はじめに:DCDってどんな障害?
「うちの子、ちょっと不器用かな?」
そんな小さな気づきから、DCD(発達性協調運動障害)が分かることがあります。
走るのがぎこちない、ボール遊びが苦手、靴ひもが結べない…。
親としては「練習不足かな?」と思いがちですが、実は脳と体の協調に難しさがある発達障害のひとつなんです。
子どもの約20人に1人が持つといわれ、決して珍しいものではありません。
目次
はじめに:DCDってどんな障害?
1. DCDと発達障害、いっしょに見られることも
2. 早めのアプローチが大切な理由
3. 実際にやってみた!アプローチ事例
3-1. バランス感覚を育てる遊び
3-2. 日常動作につながるトレーニング
3-3. 学校や家庭でできる環境の工夫
3-4. 心を支える声かけ
4. 専門家と一緒に取り組むとできること
5. 保護者・先生に知ってほしいポイント
6. 大人になってからのDCD
7. よくある質問(FAQ)
まとめ:子どもの「できた!」を一緒に育てよう
1. DCDと発達障害、いっしょに見られることも
DCDは単独でも現れますが、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動性障害)、学習障害といったほかの発達障害と重なることも多いです。
例えば「運動が苦手で、さらに集中も続かない」「字を書くのが遅いし、忘れ物も多い」など。
重なりがあると、日常生活や学校生活に影響が大きくなるので、まわりの理解が欠かせません。
2. 早めのアプローチが大切な理由
できないことが増えると、子ども自身が「ぼくはダメなんだ」と思ってしまうことがあります。
実際、DCDの子は自己肯定感が下がりやすく、不登校や不安につながることも…。
だからこそ、幼児期から小学校低学年のうちにサポートを始めることがとても大切なんです。
運動スキルの伸びだけでなく、心の安心感にもつながります。
3. 実際にやってみた!アプローチ事例
「どうやって関わればいいの?」と悩む方は多いですよね。
ここでは、我が家や療育の現場で取り入れられている工夫を、実際のエピソードを交えながらご紹介します。
3-1. バランス感覚を育てる遊び
DCDの子は、体幹やバランスを取ることが苦手なケースが多いです。
ですが「運動練習」として取り組むより、「遊び」として自然に取り入れると続きやすくなります。
- バランスボールでポンポン跳ねる
最初はただ座るだけでもOK。慣れてきたら「両手を広げて10秒バランスキープ」に挑戦。
子どもはゲーム感覚で楽しめます。 - ケンケンパで体をリズムよく動かす
「1回ケンケンしたらジャンプ!」とリズムに乗せると、足の協調運動にもつながります。
雨の日は、カラーテープを床に貼っておうちケンケンパにするのもおすすめ。 - 音楽に合わせてステップを踏む
リトミックのように、音に合わせてジャンプ・回転などをすると、「聴覚」と「運動」を一緒に刺激できます。
親子で一緒に踊れば、楽しいコミュニケーションにも。
ポイントは「練習」ではなく「遊び」。
子どもが「もう一回やりたい!」と思える形にすると、自然に体幹やバランス感覚が身についていきます。
3-2. 日常動作につながるトレーニング
DCDの子がつまずきやすいのは、学校や生活に直結する「手先の動き」です。これを細かく分けて練習すると成功しやすくなります。
- 靴ひも結び
「片結び→ちょうちょ結び」のステップを分けて練習。
最初は太いひもを使い、慣れてから細い靴ひもへ。
大人が横で同じ動きをやってみせる「モデリング」も効果的です。 - ハサミの練習
直線切りから始めて、次にジグザグ、最後に丸や星など複雑な形に挑戦。
紙の厚さを工夫すると(厚紙の方が安定しやすい)、達成感を得やすいです。 - ボール遊び
最初は「転がす」から。
キャッチや投げるのはその後。成功体験を積むために、やわらかい風船や大きなボールから始めると安心です。
できることが1つ増えるごとに、子どもの表情がパッと明るくなります。
「できた!」の経験は、次のチャレンジへのエネルギーになります。
3-3. 学校や家庭でできる環境の工夫
努力や練習だけでなく、「環境」を整えることも大切です。
- 筆記用具を工夫する
三角鉛筆やグリップ付きペンは、持ちやすく力を入れやすいです。
「書くこと=苦手」を減らす第一歩になります。 - 体育での配慮
先生にお願いして、跳び箱やマット運動の時は近くに補助の先生がいてくれると安心。
失敗への不安が減り、チャレンジしやすくなります。 - 朝の準備に余裕を持たせる
「着替えが遅い」とイライラしてしまう前に、朝10分早く動き出すだけで、親子のバトルが減ることもあります。
環境を少し変えるだけで「できない」が「できた!」に変わる瞬間がたくさんあります。
3-4. 心を支える声かけ
スキルの練習以上に大切なのが、心のサポートです。
- 「またできなかったね」ではなく
👉「昨日より早くできたね!」 - 「下手だなぁ」ではなく
👉「頑張ってるの見てるよ」
小さな進歩を一緒に喜ぶことで、子どもは「挑戦するのも悪くないな」と思えるようになります。
4. 専門家と一緒に取り組むとできること
家庭や学校での工夫に加えて、療育や医療機関での専門的サポートも大きな助けになります。
- 理学療法士(PT)
体幹やバランス、全身運動を中心にサポート。姿勢改善や運動スキルの基盤作りをしてくれます。 - 作業療法士(OT)
手先の動きや日常動作(着替え、書字、食事など)を支援。生活に直結する力を引き出してくれます。
実際に、
「転びやすかった子が、半年後にはマラソン大会を完走できた」
「着替えに30分かかっていた子が、今では5分で自分でできる」
という変化も見られました。
プロと一緒に取り組むことで、家庭だけでは難しい部分もカバーできます。
5. 保護者・先生に知ってほしいポイント
- 転びやすい、字が遅い、着替えに時間がかかる → DCDのサインかも?
- 早めの相談が未来を変える → 気づいたら専門機関や学校に相談してみましょう。
- 「やらせる」より「一緒に工夫」 → 親子で取り組むスタンスが大切です。
6. 大人になってからのDCD
DCDは子ども時代に目立ちますが、大人になっても続くことがあります。
- 車の運転が苦手
- 細かい手作業が人より時間がかかる
- スポーツや体を使う仕事が難しい
でも、工夫や環境調整次第で、生活は十分にスムーズになります。
自分の得意分野を活かせる場所で力を発揮する大人もたくさんいます。
7. よくある質問(FAQ)
DCDってただの「不器用」とは違うの?
はい。単なる練習不足ではなく、脳の働きによる「運動の協調の難しさ」が背景にあります。
医学的に診断される発達障害のひとつです。何歳ごろからDCDに気づくことが多いですか?
早ければ幼児期(3〜5歳)に気づくこともあります。
小学校で運動や学習が本格化したときに明らかになるケースも多いです。DCDは治るんですか?
「完全に治る」というより、トレーニングや環境調整でできることを増やしていくイメージです。
成長とともに改善が見られる子もいます。家庭でできる支援は何がありますか?
バランス遊び(ケンケンパ、バランスボール)、靴ひも練習、ハサミやボール遊びなど、
生活に直結する練習を「遊び感覚」で行うことです。学校にお願いできる配慮は?
体育で補助をつけてもらう、書きやすい鉛筆を使う、提出物に時間的猶予をもらうなど。
先生に相談して工夫することが大切です。DCDはADHDやASDと一緒に見られることがある?
はい。ADHDやASDなどと合併するケースは少なくなく、複数の困難が重なっている子もいます。
DCDの子は勉強も苦手ですか?
すべての子がそうではありません。
ただ、字を書くことや道具を使うことに時間がかかるため、学習に影響することはあります。専門機関に相談するにはどこに行けばいいですか?
発達外来、小児科、発達支援センターなどで相談できます。
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)の支援につながることもあります。親ができる声かけで大事なことは?
「またできなかった」ではなく「昨日よりちょっと上手になったね」と前向きに伝えることが、
自己肯定感を守るカギです。大人になってもDCDは続きますか?
はい、続くケースもあります。
車の運転や細かい作業に苦手さが残ることがありますが、工夫や環境調整で十分に社会生活を送れます。
まとめ:子どもの「できた!」を一緒に育てよう
DCDは「不器用さ」として見過ごされやすいですが、適切なアプローチで驚くほど伸びていきます。
- 遊びながら体幹やバランスを育てる
- 日常生活を分解して少しずつ練習する
- 環境を工夫して「できた」を増やす
- そして、何より「心を支える声かけ」
小さな成功の積み重ねが、子どもの未来を大きく変えます。
「昨日よりちょっとできた!」
その一歩を一緒に喜ぶことこそ、最高の支援です。
📢次回予告
次回は「【最強王図鑑】子どもが夢中になる人気アニメ・本・おもちゃ&ダイソー神グッズ」をご紹介します!
お楽しみに✨