はじめに|発語の前に「まねっこ」が大切な理由
「うちの子、言葉が少ないけど大丈夫かな」
「発語を促したいけれど、何から始めればいいの?」
「言葉の練習をしようとしても、嫌がってしまう」
そんな悩みはありませんか?
言葉の発達がゆっくりな子にとって、いきなり「言ってごらん」と発語を求めるのは負担になることがあります。
そこで家庭で取り入れやすいのが、動作模倣です。
動作模倣とは、大人の動きをまねすること。
たとえば、
- バイバイ
- パチパチ
- ハイタッチ
- バンザイ
- いただきます
- 口をあける
- 指さしする
といった動きです。
一見、言葉とは関係なさそうに見えますが、実は「見る・まねする・やりとりする」は、発語の土台になります。
この記事では、家庭でできる動作模倣遊びを、発語につなげやすい順番で紹介します。
※この記事は医療的な診断や治療の代わりではありません。発語の遅れが気になる場合は、必要に応じて小児科・発達相談・言語聴覚士などに相談してください。
動作模倣とは?発語につながる理由

動作模倣とは、相手の動きを見て、同じようにまねする力です。
子どもは、言葉を覚える前から、周りの人の動きや表情をよく見ています。
たとえば、親が手を振ると子どもも手を振る。
親が「パチパチ」と拍手すると、子どももまねして拍手する。
このようなやりとりの中で、
- 人を見る力
- 相手に注目する力
- 動きをまねする力
- やりとりを楽しむ力
- 動きと言葉を結びつける力
が育っていきます。
発語は、口だけの問題ではありません。
「見てまねする」
「やりとりを楽しむ」
「伝わった経験を積む」
こうした土台があって、少しずつ言葉につながっていきます。
発語を促す動作模倣は「大きな動き」から始める
動作模倣は、いきなり口の動きから始めなくて大丈夫です。
むしろ最初は、子どもが分かりやすい大きな動きから始めるのがおすすめです。
最初におすすめの動作
- バイバイ
- パチパチ
- バンザイ
- ハイタッチ
- いただきます
- 机をトントン
- 手をグーパー
- 両手を広げる
ポイントは、親が大きく、ゆっくり、楽しそうに見せることです。
「まねして」と何度も言うより、
「ママ、パチパチするよ」
「一緒にバンザイ!」
「できたね」
くらいの軽い声かけで十分です。
できなかったとしても、無理にやり直しさせなくて大丈夫です。
家庭でできる動作模倣遊び7選

1. バイバイ遊び
バイバイは、日常生活に取り入れやすい動作模倣です。
朝の見送り、寝る前、ぬいぐるみとの遊びなどで使えます。
やり方
- 親が手を振る
- 「バイバイ」と短く言う
- 子どもが手を動かしたらすぐ反応する
- できなくても親が楽しそうに続ける
声かけ例
「くまさんにバイバイ」
「パパにバイバイ」
「手、ふれたね」
言葉が出なくても、手を少し動かせたら大きな一歩です。
2. パチパチ遊び
拍手は、リズム遊びにもつながる動作です。
「できたね」の場面でも使いやすく、成功体験と結びつけやすいです。
やり方
- 親が「パチパチ」と拍手する
- 子どもの手を軽く添えて一緒に拍手する
- 音が出たら一緒に喜ぶ
発語につなげるコツ
「パ」
「ぱち」
「パチパチ」
のように、短い音を添えると、発語のきっかけになりやすいです。
3. ハイタッチ遊び
ハイタッチは、親子のやりとりが分かりやすい遊びです。
子どもにとっても楽しく、成功が分かりやすいのが魅力です。
やり方
- 親が手を出す
- 「タッチ」と言う
- 子どもが触れたらすぐ喜ぶ
声かけ例
「タッチ!」
「できた!」
「もう一回?」
「タッチ」という短い言葉は、動作と結びつけやすいです。
4. 体のパーツにタッチ
体の部位を知ることは、言葉の理解にもつながります。
最初はクイズにしすぎず、親が見本を見せながら一緒に触ります。
やり方
- 「あたま、ポン」
- 「おなか、トントン」
- 「おはな、ここ」
- 「おくち、あーん」
ポイント
「どこ?」と聞きすぎるとプレッシャーになることがあります。
最初は、
「ママのあたま」
「〇〇くんのあたま」
「あたまポン」
のように、親が言葉を添えて見せるだけでOKです。
5. 動物まねっこ遊び

体を大きく使う動作模倣は、子どもが楽しみやすいです。
おすすめの動物まね
| 動物 | 動き | 声かけ |
|---|---|---|
| うさぎ | 両足ジャンプ | ぴょんぴょん |
| かえる | しゃがんでジャンプ | ケロケロ |
| ぞう | 腕を鼻のように揺らす | パオーン |
| ねこ | 両手を丸める | にゃー |
| いぬ | 手を前に出す | ワンワン |
動物の動きは、声も一緒に出しやすいので、発語のきっかけになりやすいです。
6. ものを使ったまねっこ

おもちゃや身近な道具を使うと、動作と言葉が結びつきやすくなります。
おすすめの動作
- コップで「ごくごく」
- 電話で「もしもし」
- 車で「ブーブー」
- ラッパで「ぷっぷー」
- タンバリンで「たんたん」
- タオルで「ふきふき」
- 帽子で「かぶる」
道具を使うと、子どもが「何をすればいいか」をイメージしやすくなります。
7. 生活の中の指示まね
発語の土台には、簡単な指示理解も関係します。
遊びの中で、
- ここ押して
- 座って
- 取って
- 渡して
- 入れて
- 置いて
- ドアを閉めて
- ゴミ箱にポイ
などを取り入れると、生活の中で自然に言葉と動きがつながります。
ポイントは、長い説明をしないことです。
「これ、ポイ」
「ここ、押して」
「ママに、ちょうだい」
のように短く伝えると分かりやすいです。
おすすめグッズ
家庭で取り入れるなら、絵カード・おもちゃ電話・ままごとセットなど、子どもが「まねしたくなる」道具があると始めやすいです。
- 絵カード・言葉カード
- まねっこ絵本
- おもちゃ電話
- ままごとセット
- タンバリン・マラカス
- 動物フィギュア
- 発語・療育系の書籍
発語につなげる声かけのコツ
動作模倣を発語につなげるには、声かけが大切です。
短い言葉で伝える
長い説明より、短い言葉の方がまねしやすいです。
例:
- バイバイ
- タッチ
- パチパチ
- ポイ
- ちょうだい
- どうぞ
- もう一回
動作と言葉をセットにする
「手を振る+バイバイ」
「拍手+パチパチ」
「渡す+どうぞ」
のように、動きと言葉をセットにすると、意味が伝わりやすくなります。
質問よりコメントを増やす
「これは何?」ばかりだと、子どもが答えなければいけないプレッシャーを感じることがあります。
最初は、
「車だね」
「ブーブー走ったね」
「赤いね」
「楽しいね」
のように、大人が言葉を添えるだけでも十分です。
体験談|まねっこから言葉につながる感覚があった
わが家でも、言葉の発達が気になる時期に、動作模倣を意識して取り入れていました。
最初から言葉を言わせようとすると、子どもも親も疲れてしまいます。
でも、
「バイバイ」
「パチパチ」
「タッチ」
「どうぞ」
のような短い動作なら、遊びの中で自然に取り入れやすかったです。
特に印象に残っているのは、子どもが言葉を言う前に、まず動きで伝えようとしていたことです。
手を伸ばす。
指をさす。
うなずく。
まねして拍手する。
そのあとに、少しずつ声がついてくることがありました。
「あ、言葉って、いきなり出るんじゃなくて、やりとりの中で育つんだな」
と感じた経験でした。
動作模倣が苦手な子へのサポート
動作模倣が苦手な子もいます。
その場合は、「できない」と見るのではなく、ステップを小さくします。
1. 見るだけでもOK
最初は、親の動きを見るだけでも大丈夫です。
興味を持って見ているなら、それも参加の一つです。
2. 大きな動きから始める
指先の細かい動きより、バンザイやジャンプのような大きな動きの方が分かりやすいです。
3. 手を添えて一緒にやる
嫌がらない範囲で、親がそっと手を添えて一緒にやるのも方法です。
ただし、無理に動かす必要はありません。
4. 好きなものを使う
車、電車、キャラクター、動物、音の出るおもちゃなど、子どもが好きなものを使うと入りやすいです。
専門家に相談した方がいい目安
発語のペースには個人差があります。
ただし、次のような場合は一度相談してもよいと思います。
- 2歳半〜3歳頃になっても発語がほとんどない
- 言葉の理解も気になる
- 指さしやまねが少ない
- 呼びかけへの反応が弱い
- 目が合いにくい
- 親の不安が強い
- 園から相談をすすめられた
相談先は、
- 小児科
- 保健センター
- 発達相談
- 児童発達支援センター
- 言語聴覚士
- 発達クリニック
などがあります。
相談することは、決して大げさなことではありません。
親の不安を整理するきっかけにもなります。
よくある質問
動作模倣とは何ですか?
大人の動きや表情を見て、子どもがまねすることです。発語やコミュニケーションの土台になる力です。
発語が遅い子には何から始めればいいですか?
まずは、バイバイ・パチパチ・ハイタッチなど、大きくて分かりやすい動作から始めるのがおすすめです。
口のまねから始めた方がいいですか?
最初から口の動きにこだわらなくて大丈夫です。全身の動作模倣から始め、慣れてきたら口の形や音まねに進むと取り入れやすいです。
毎日練習した方がいいですか?
短時間で大丈夫です。生活の中で自然に取り入れる方が続きやすいです。
子どもがまねを嫌がるときは?
無理にさせず、親が楽しそうにやって見せるだけでもOKです。好きなおもちゃや歌に合わせると入りやすいことがあります。
動作模倣ができないと発達障害ですか?
動作模倣が苦手な理由はさまざまです。それだけで判断はできません。気になることが続く場合は専門機関に相談しましょう。
マンド・トレーニングとは何ですか?
欲しいものを「ちょうだい」などの言葉やサインで伝える練習のことです。家庭では無理に言わせるより、指さしやジェスチャーも含めて「伝わった経験」を大切にすると取り入れやすいです。
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まとめ|発語は「まねっこ」とやりとりの中で育つ
言葉が遅い子にとって、動作模倣は発語の土台になります。
大切なのは、
- 大きな動きから始める
- 短い言葉を添える
- 動作と言葉をセットにする
- 質問よりコメントを増やす
- 成功体験を大切にする
- 無理に言わせない
ことです。
発語は、急に伸びるものではありません。
でも、毎日の生活の中で「見て、まねして、伝わった」と感じる経験を積み重ねることで、少しずつ言葉の芽が育っていきます。
焦らず、比べず、親子で楽しく。
今日できる小さなまねっこ遊びから始めてみてください。