はじめに
3歳の子どもが車に乗るたび泣いてしまう…そんな悩みはありませんか?
「家に帰って」と泣く3歳児。繊細さに気づいた瞬間
車に乗るたび、
いつもと少しでも道が違うと、後部座席から聞こえてくる不安そうな声。
「おうち、かえって…」
次第に声は大きくなり、泣き出してしまうことも頻繁です。
「ただのワガママかな?」
「甘やかしすぎ?」
そう思おうとしても、表情は明らかに「怖い」という顔。
そこで気づきました。
これは 反抗ではなく、不安 なんだと。

原因は「予測できないこと」への強い不安かもしれない
思い当たることがあります。
これまで何度か、内緒で病院や歯医者に連れて行ったこと。
・車に乗る
・いつもと違う道を走る
・着いた先は「怖い場所」
3歳の子にとっては、
「車=何が起こるかわからない」
という記憶が結びついてしまっても不思議ではありません。
特に繊細な子は、
- 見通しが立たないことが苦手
- 予定外の出来事に強い不安を感じる
- 「だまされた」と感じやすい
という特徴があります。
泣くのは「わかってほしい」のサイン
この行動、実はとても健気です。
泣いているけれど、
暴れているわけでも、怒っているわけでもない。
「怖いよ」
「また嫌なところに行くの?」
言葉にできない代わりに、
泣くことで必死に伝えている んですよね。

目次
はじめに|「家に帰って」と泣く3歳児に気づいたこと
原因は「予測できないこと」への強い不安
泣くのは「わかってほしい」のサイン
1.【実体験】繊細な3歳児への対処法
・もう「内緒」はやめる
・行き先を必ず言葉で伝える
・泣いても否定しない
・「帰れる保証」をセットにする
・繊細さは「弱さ」じゃない
・感想|「安心できる」を積み重ねていく
2. 繊細な子に「予告」が必要な理由
3. 繊細な子の脳で起きていること
・前頭前野の未熟さ
・扁桃体の過敏な反応
・経験と記憶の結びつき
4. 予告は「安心を作る準備時間」
5. 正しい予告のコツ
・直前すぎない
・具体的で短く
・終わりを伝える
・予告を続けると起こる変化
6. よくある質問
まとめ|予告は甘やかしではなく発達支援
1.【実体験】繊細な3歳児への対処法|わが家で意識していること

① もう「内緒」はやめる
まず大切なのは、信頼を取り戻すこと。
たとえ泣いてしまっても、
- 「今日は病院に行くよ」
- 「終わったらおうちに帰るよ」
と、正直に伝えることを意識します。
短く、シンプルでOKです。
② 行き先を必ず言葉で伝える
車に乗る前に、
- 「これからスーパーに行くよ」
- 「ママのお迎えに行くだけだよ」
- 「今日はおうちに帰るだけだよ」
と、毎回伝えます。
道が違うときも、
「こっちは工事してるから、違う道なんだよ」と一言添えるだけで、
不安が和らぐことがあります。
③ 泣いても否定しない
泣き出したとき、つい言ってしまいがちですが…
✕「大丈夫でしょ!」
✕「また泣いてるの?」
これは逆効果。
おすすめは、
- 「怖くなったんだね」
- 「心配だったよね」
と 気持ちだけを受け止める 声かけ。
落ち着くまで時間がかかっても大丈夫です。
④ 「帰れる保証」をセットにする
繊細な子にとって一番安心できるのは、
終わりが見えること。
- 「終わったらおうちに帰ろうね」
- 「〇〇したら、帰るよ」
「帰れる」とわかるだけで、車内でのパニックが減ることもあります。
繊細さは「弱さ」じゃない

この経験を通して感じたのは、
繊細さは決して悪いものではない、ということ。
- 先を予測しようとする力
- 危険を察知する感覚
- 安心できる場所を大切にする気持ち
全部、その子の大事な特性。
ただ、まだ3歳。
上手に処理できないだけなんですよね。
感想|「安心できる」を積み重ねていく
車で泣く次男に、
すぐに変化を求めるのはやめました。
代わりに、
嘘をつかない
予定を伝える
気持ちを否定しない
この3つを、淡々と続ける。
少しずつ、
「車に乗っても大丈夫かもしれない」
そんな経験が増えていけばいいなと思っています。
2. 繊細な子に「予告」が必要な理由|脳の発達からわかる不安の正体

「急に言うと泣く」には、ちゃんと理由がある
「今から出かけるよ」
「え? なんで?」
そして泣き出す――。
繊細な子ほど、予告なしの行動変更が苦手です。
これは性格や甘えではなく、脳の発達段階による自然な反応。
特に3歳前後の子どもは、
「見通しを立てる力」がまだ発達途中なのです。
3. 繊細な子の脳で起きていること

① 前頭前野がまだ未熟
予告が必要な最大の理由は、
前頭前野(ぜんとうぜんや) の発達にあります。
前頭前野は、
- 予定を理解する
- 先のことを想像する
- 感情をコントロールする
といった働きを担っています。
この部分は、幼児期にはまだ十分に育っていません。
特に繊細な子は、
「次に何が起こるか分からない」
↓
「危険かもしれない」
と、強く反応しやすいのです。
② 扁桃体が敏感に反応しやすい
繊細な子は、脳の中でも
扁桃体(へんとうたい) が過敏に反応しやすいと言われています。
扁桃体は、
- 恐怖
- 不安
- 危険察知
を司る部分。
予告なしで予定が変わると、
- 状況が理解できない
- 扁桃体が「危険!」と判断
- 泣く・固まる・拒否する
という流れが起こります。
これは 自分を守るための本能的反応。
わざと困らせているわけではありません。
③ 経験が記憶と結びつきやすい
繊細な子は、
- 嫌だった経験
- 怖かった場所
を、強く記憶に残しやすい 傾向があります。
たとえば、
- 車に乗る
- 道が違う
- 病院に連れて行かれた
この経験がつながると、
「車=何か嫌なことが起きる」
と脳が学習してしまいます。
だからこそ、事前の説明=安心材料 が必要なのです。
4. 予告は「安心を作る準備時間」

予告があると、脳はこう変わる

「今から〇〇に行くよ」
「終わったらおうちに帰るよ」
この一言で、
- 1️⃣前頭前野が少しずつ働き始める
- 2️⃣扁桃体の過剰反応が落ち着く
- 3️⃣心の準備ができる
つまり、予告は脳のブレーキを助ける役割を果たします。
5. 繊細な子への「正しい予告」のコツ

① 直前すぎない
理想は、
- 10分前
- 出発前
- 車に乗る前
何段階かに分けて伝えること。
「あと10分したら出かけるよ」
→「今から出るよ」
この流れが安心につながります。
② 具体的で短く
✕「ちょっとそこまで」
◯「スーパーに行って、すぐ帰る」
曖昧な表現は不安を増やします。
③ 必ず「終わり」を伝える
繊細な子にとって一番大事なのは、
ちゃんと帰れるかどうか
- 「終わったらおうち」
- 「〇〇したら帰る」
ゴールをセットで伝えるのがポイントです。
予告を続けると起こる変化
すぐに泣かなくなるわけではありません。
でも、
- 不安になるまでの時間が伸びる
- 泣いても立ち直りが早くなる
- 自分から確認するようになる
こんな小さな変化が出てきます。
これは、
「予測できた=大丈夫だった」
という経験が、脳に積み重なっている証拠。
6. よくある質問
3歳でこんなに不安が強いのは普通ですか?
はい。特に繊細な気質の子は、3歳頃に不安が強く出ることがあります。
車で泣くのはトラウマのせいですか?
一概には言えませんが、嫌な経験が結びついている可能性はあります。
予告しても泣く場合はどうしたらいい?
泣いても予告を続けることが大切です。
安心の積み重ねが目的です。泣いたら予定を変えたほうがいい?
可能な範囲で調整しつつ、「伝えること」を優先しましょう。
甘やかしになりませんか?
予告は甘やかしではなく、発達に合わせた支援です。
何歳くらいまで続きますか?
個人差はありますが、経験を積むことで徐々に落ち着く子が多いです。
ASDやHSCと関係がありますか?
共通点はありますが、診断を決めつける必要はありません。
病院や歯医者はどう伝えたらいい?
正直に、短く、終わりをセットで伝えるのがおすすめです。
兄弟で対応を変えてもいい?
問題ありません。
子どもの特性に合わせた対応が大切です。いつ相談したらいいですか?
日常生活に大きな支障が出る場合は専門機関に相談してもよいでしょう。
まとめ|予告は甘やかしではなく「発達支援」
繊細な子にとっての予告は、
- ワガママ対応でも
- 甘やかしでもなく
脳の発達を助ける環境調整です。
安心できる回数が増えるほど、
子どもの「不安センサー」は少しずつ落ち着いていきます。
今日も泣かれたとしても大丈夫。
それは、ちゃんと感じ取れる脳が育っている証拠です。
📢次回予告
どうぞお楽しみに。
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