
はじめに|「行けば楽しめるのに」毎朝の涙が止まらない
園では笑顔で過ごせるのに、登園前になると不安が強く出る。
制服を着せようとすると「行きたくない」と泣き出す。
靴を履くころには涙が止まらない。
園に着くまでは大変なのに、行ってしまえば先生や友達と過ごせる。
そんな姿を見ると、親もつらくなりますよね。
「どうして毎朝泣くの?」
「いつまで続くの?」
「これは登園しぶり?それとも不安が強いタイプ?」
私も、子どもの不安が強く出る朝には、どう声をかければいいのか迷うことがありました。
幼児期は、親と離れる不安、新しい環境への緊張、見通しが持てない不安などが出やすい時期です。
特に、慎重な子・感覚が敏感な子・発達特性がある子は、朝の登園場面で不安が一気に高まることがあります。
不安が強い子にとって大切なのは、無理に泣き止ませることではありません。
「不安になっても大丈夫」
「ママや先生が分かってくれる」
「次に何をするか分かる」
そんな安心を少しずつ増やしていくことです。
この記事では、登園前に泣く子や不安が強い幼児に向けて、家庭でできるサポートを5つに分けて紹介します。
※この記事は医療的な診断を目的としたものではありません。不安が強く、生活に大きな支障がある場合は、園・小児科・発達相談・専門機関へ相談してください。
この記事でわかること
- 幼児の不安と不安症の違い
- 登園前に泣く子に見られやすいサイン
- 不安が強くなる理由
- 家庭でできる5つの安心サポート
- 園や専門家に相談する目安
- わが家で意識した声かけと関わり方
幼児の「不安」と「不安症」の違い
幼児期の不安は、成長の中でよく見られるものです。
たとえば、
- ママやパパと離れるのが不安
- 初めての場所や人が怖い
- 大きな音やざわざわした場所が苦手
- 予定が変わると不安になる
- 園に行く前だけ泣く
- 先生や友達に会う前に緊張する
といった反応は、幼児期には珍しくありません。
一方で、不安が長く続いたり、生活に大きく影響したりする場合は、専門家に相談した方が安心なこともあります。
たとえば、
- 登園前の強い不安が数週間以上続く
- 腹痛や頭痛など体の症状が続く
- 食事や睡眠に影響が出る
- 園生活や家庭生活に大きな支障がある
- 親子ともに疲れ切っている
ような場合です。
この記事では、診断名としての「不安症」を決めつけるのではなく、登園前に不安が強く出る子への家庭での関わり方としてまとめます。
登園前に不安が強い子に見られやすいサイン
不安が強い子は、言葉でうまく説明できないことがあります。
そのため、体や行動でサインが出ることがあります。
- 朝になると腹痛や頭痛を訴える
- 登園前に泣き続ける
- 園に行く直前に固まる
- 「行きたくない」と強く言う
- 親から離れたがらない
- 夜に「明日行きたくない」と言う
- 新しいことへの抵抗が強い
- いつもより甘えが強くなる
- 睡眠が乱れる
- 登園準備が急に進まなくなる
こうした様子が一時的なものなら、環境の変化や疲れが関係していることもあります。
ただし、長く続く場合や、体調・睡眠・食事に影響が出ている場合は、園や専門機関に相談して大丈夫です。
「このくらいで相談していいのかな」と迷うこともありますが、早めに相談することで、親子ともに安心できることがあります。
なぜ幼児は登園前に不安を感じやすいのか

幼児の不安は、ひとつの原因だけで起きるとは限りません。
気質、環境、園での出来事、発達特性、親子の分離など、いくつかの要因が重なっていることがあります。
1.生まれ持った気質
慎重な子、敏感な子、初めてのことが苦手な子は、不安を感じやすいことがあります。
これは「弱い」ということではありません。
周りの変化によく気づく力があるとも言えます。
ただ、登園前のように、
- 親と離れる
- 園に入る
- 先生や友達の中に入る
- 今日の予定が分からない
という場面では、その敏感さが不安として出ることがあります。
2.環境の変化
進級、担任の先生の交代、引っ越し、弟や妹の誕生、長期休み明けなど、生活の中に変化があると、子どもは不安になりやすいです。
大人にとっては小さな変化でも、幼児にとっては大きな負担になることがあります。
「前は行けていたのに、急に泣くようになった」という場合も、何かしらの変化がきっかけになっていることがあります。
3.園での小さな出来事
友達とのトラブル、先生に注意されたこと、活動についていけなかったことなど、園での小さな出来事が登園前の不安につながることもあります。
子ども本人も理由をうまく説明できないことがあります。
「何が嫌なの?」と聞いても答えられない場合は、責めるより、様子を見ながら園にも共有すると安心です。
4.発達特性との関係
ASD・ADHD傾向など発達特性がある子は、予測できない状況や感覚刺激に不安を感じやすいことがあります。
たとえば、
- 園の音
- 集団のざわざわ感
- 急な予定変更
- 先生の声かけ
- 友達との距離感
- 着替えや給食などの流れ
- 登園後に何をするか分からないこと
が負担になることもあります。
「園が嫌い」なのではなく、園に入るまでの流れや刺激がしんどい場合もあります。
▶ 車での移動に不安がある場合の具体例は、3歳が車で泣くとき|道が違うと不安になる次男への予告と声かけ【体験談】で紹介しています。行き先やその後の予定を、短く伝えるようにした経験をまとめました。
5.親の不安が伝わることもある
朝の時間は、親も忙しくなります。
「早くして」
「また泣くのかな」
「仕事に遅れるかも」
という焦りが、子どもに伝わることもあります。
これは、親が悪いという意味ではありません。
登園前に泣かれると、親も心が削られます。
だからこそ、親が少しでも落ち着いて関われるように、朝の流れをシンプルにしておくことは、子どもの安心にもつながります。
家庭でできる安心サポート5つの工夫
1.不安を否定せず、言葉にする
登園前に泣いている子に、
「泣かないで」
「大丈夫でしょ」
「早く行こう」
と言いたくなることがあります。
でも、不安が強いときは、まず気持ちを受け止めることが大切です。
たとえば、
「行くのが不安なんだね」
「ママと離れるのがさみしいんだね」
「ドキドキしているんだね」
「今日はちょっと心配なんだね」
と、気持ちを言葉にします。
不安を否定されないことで、子どもは少し安心しやすくなります。
泣いているから失敗ではありません。
「泣いても気持ちを分かってもらえた」という経験が、少しずつ安心につながります。
2.朝の流れを見える化する

登園前に不安が強い子には、見通しがあると安心しやすいことがあります。
たとえば、
- 着替える
- 朝ごはん
- 歯みがき
- 靴を履く
- 園へ行く
- 先生に会う
- ママとバイバイする
のように、朝の流れを紙やホワイトボードに書いておきます。
イラストや写真を使うと、より分かりやすくなります。
「次に何をするか」が見えるだけで、朝の不安が少し減ることがあります。
写真の方が分かりやすい子には、実際の玄関・靴・園バッグ・園の門などを写真にしてカードにするのもおすすめです。
フォトカードを作る場合は、こちらの無料ツールも使えます。
3.スモールステップで考える

いきなり「泣かずに教室まで入る」を目標にすると、子どもにとってハードルが高くなりすぎることがあります。
もちろん、最終的な目標は園で安心して過ごせるようになることです。
ただ、そのためには「今日は全部できたか・できなかったか」だけで見るのではなく、登園までの流れを小さなステップに分けて考えると、子どもの頑張りが見えやすくなります。
たとえば、
- 家で園バッグを持てた
- 玄関まで行けた
- 靴を履けた
- 園の門まで行けた
- 先生に会えた
- ママと一緒に教室まで行けた
- 先生と一緒に入れた
- 泣きながらでもバイバイできた
などです。
「玄関まで行けたから、今日はそこで終わりにしよう」という意味ではありません。
泣いていても、途中で止まってしまっても、
その中にある小さな前進を見つけてあげる、ということです。
「今日は靴を履けたね」
「泣いたけど、園の門まで行けたね」
「先生に会えたね」
「バイバイのあと、先生と入れたね」
と、できた部分を具体的に認めていくと、子どもは「自分にもできた」という感覚を少しずつ持ちやすくなります。
▶ 【無料公開】登園しぶりの視覚支援|登園できた!ステップアップ表
4.安心グッズや安心の約束を作る
お気に入りのハンカチ、小さなキーホルダー、家族の写真など、園のルールの範囲で持てる安心グッズがあると落ち着く子もいます。
また、
「帰ったら一緒におやつを食べようね」
「帰ってきたら話を聞くね」
「先生に渡したら、ママはお仕事に行くね」
「お迎えの時間になったら、必ず迎えに行くよ」
など、見通しのある約束も安心につながります。
大切なのは、「ママはいなくなる」のではなく、「また会える」「帰ってから安心できる」と伝えることです。
ただし、約束は守れる内容にします。
「すぐ迎えに来るからね」と言って長時間離れると、子どもが不安になりやすいこともあります。
5.親自身も落ち着ける形を作る
登園前に泣かれると、親もつらくなります。
「また泣いた」
「いつまで続くの」
「私の関わり方が悪いのかな」
と思うこともあります。
でも、親が全部を一人で抱えなくて大丈夫です。
- 園の先生に様子を伝える
- 朝の引き渡し方を相談する
- 前日の夜に準備をしておく
- 朝の予定を減らす
- 着替えや持ち物を固定する
- 登園後の様子を先生に教えてもらう
親が少し落ち着ける形を作ることも、子どもの安心につながります。
「園に着いたあとは遊べています」
「朝だけ不安が強いようです」
「先生に引き継ぐと落ち着きやすいです」
など、園と情報共有しておくと、朝の対応を一緒に考えやすくなります。
我が家のケース|泣く朝の中にも小さな前進があった
わが家でも、登園前に泣く時期がありました。
最初は、朝になると不安が強くなり、なかなか出発できませんでした。
私も最初は、
「行けば大丈夫なのに」
「どうして毎朝こんなに泣くんだろう」
「このまま登園できなくなったらどうしよう」
と不安になっていました。
でも、泣かないことを目標にすると、親子で苦しくなってしまいました。
そこで、
「泣いても大丈夫」
「今日は園まで行けたね」
「先生に会えたね」
「バイバイのところまでできたね」
と、できたところを見るようにしました。
最初は、門まで一緒に行く。
次に、園の入口まで手をつなぐ。
先生に引き継いでもらう。
そんな小さなステップを積み重ねていきました。
泣かない日を目標にするのではなく、泣いてもできた行動を認めるようにしたことで、少しずつ朝の不安がやわらいできました。
不安がゼロにならなくても、「安心して泣ける関係」があることは、子どもにとって大きな支えになると感じています。
親としては、泣かれるたびに胸がぎゅっとなります。
でも、泣きながらでも一歩進めた日は、その子なりに本当に頑張った日なのだと思います。
園の先生に伝えておくとよいこと
登園前の不安が続くときは、園の先生と情報共有しておくと安心です。
伝える内容は、長くなくて大丈夫です。
たとえば、
- 朝だけ不安が強い
- 園に入った後は落ち着くことが多い
- 先生に声をかけてもらうと安心しやすい
- 予定が分かると安心する
- 引き渡しは短い方がよい
- お守り代わりのハンカチがあると落ち着く
などです。
伝え方の例:
最近、登園前に不安が強く出ています。家では朝の流れを見える化して、少しずつ登園できるように練習しています。園に着いたあと、先生に短く声をかけてもらえると安心しやすいようです。様子を見ながら、無理のない形で引き継げると助かります。
家庭と園で対応がそろうと、子どもも安心しやすくなります。
専門家に相談する目安
次のような状態が続く場合は、専門家に相談しても大丈夫です。
- 強い不安が数週間以上続く
- 登園や日常生活に大きな支障がある
- 食事や睡眠に影響が出ている
- 腹痛や頭痛など体の症状が続く
- 親子ともに疲れ切っている
- 園でも不安が強く出ている
- 家を出られない日が増えている
相談できる場所は、
- 小児科
- 園の先生
- 発達相談センター
- 療育センター
- 子育て相談窓口
- 小児精神科
- 児童心理外来
などです。
「病気だから相談する」のではなく、安心のために状態を整理してもらうと考えて大丈夫です。
本記事は筆者の体験をもとにした一般的な情報です。症状や状態に不安がある場合は、専門機関にご相談ください。
よくある質問
登園前に毎日泣くのは不安症ですか?
必ずしも不安症とは限りません。
入園直後、進級後、長期休み明けなどは、登園前に泣く子もいます。
ただし、数週間以上続く場合や、体調・食事・睡眠に影響がある場合は相談すると安心です。
登園前に泣く子へ、どんな声かけをすればいいですか?
まずは否定せず、
「不安なんだね」
「ママと離れるのがさみしいんだね」
「泣いても大丈夫だよ」
と受け止めます。
そのうえで、「靴を履いたら園に行くよ」「先生に会ったらママとバイバイね」と、次の行動を短く伝えると分かりやすいです。
登園前の声かけに迷う場合は、こちらの記事も参考になります。
無理に登園させてもいいですか?
子どもの状態によります。
無理に引き離すより、園の先生と相談しながら、短時間登園、先生への引き継ぎ、門まで行くなど、安心できる形を探していく方がよいことがあります。
一方で、毎回長く引き延ばすことで不安が強まる子もいます。
家庭だけで判断せず、園と相談しながら進めると安心です。
朝だけ腹痛や頭痛を訴えるのはなぜですか?
不安や緊張が体の症状として出ることがあります。
ただし、体調不良が続く場合は、心理面だけと決めつけず、小児科などに相談してください。
発達特性がある子は登園前の不安が強くなりやすいですか?
発達特性がある子は、環境の変化や感覚刺激に不安を感じやすいことがあります。
見通しを持たせる、スモールステップにする、園と情報共有するなどの工夫が役立つことがあります。
登園前に泣く子には視覚支援が効果的ですか?
効果的な子もいます。
特に、「次に何をするか分からない」「予定変更が苦手」「言葉だけの説明では不安が強い」という子には、写真やイラストで朝の流れを見せると安心しやすいです。
親がイライラしてしまうときはどうしたらいいですか?
登園前に毎日泣かれると、親も疲れます。
一人で抱えず、園の先生に相談したり、朝の流れを簡単にしたり、準備を前日に済ませたりして、親の負担を減らすことも大切です。
親が落ち着ける仕組みを作ることは、子どもの安心にもつながります。
泣いて登園した日は失敗ですか?
失敗ではありません。
泣きながらでも園まで行けた、先生に会えた、門まで歩けたなど、その子なりにできたことがあります。
「泣かなかったか」ではなく、「どこまでできたか」を見てあげることが大切です。
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まとめ|不安をなくすより、安心を増やす
登園前に泣く子を見ると、親もつらくなります。
でも、不安があること自体は悪いことではありません。
大切なのは、不安を無理になくそうとすることではなく、安心できる関わりを少しずつ増やしていくことです。
- 不安を否定せず言葉にする
- 朝の流れを見える化する
- スモールステップで進める
- 安心グッズや約束を作る
- 親も一人で抱え込まない
泣いても大丈夫。
戻っても大丈夫。
少しずつで大丈夫。
子どものペースで、小さな安心と「できた」を積み重ねていけるといいですね。