はじめに|「言葉が遅い」と感じたら、まずは口のまねから
「もうすぐ3歳なのに、言葉が少ない」
「発音がはっきりしない」
「声は出るけれど、ことばになりにくい」
「家庭でできる発語練習を知りたい」
そんな悩みはありませんか?
言葉を話すためには、語彙を増やすだけでなく、口・唇・舌を動かす力も必要です。
そこで家庭で取り入れやすいのが、口の動きをまねする遊びです。
この記事では、言葉が遅い子や発語がゆっくりな子に向けて、家庭でできる「口まね遊び」のやり方、声かけ、注意点を体験談つきで紹介します。
※この記事は家庭でできる関わり方の一例です。発語や発音の心配が強い場合は、言語聴覚士・小児科・発達相談窓口などに相談してください。
口の動きをまねする遊びとは?
口の動きをまねする遊びとは、大人の口の形や舌・唇の動きを見て、子どもがまねする遊びです。
たとえば、
- 口を大きく開ける
- 唇をすぼめる
- 口を横に引く
- 唇を閉じる
- 舌を出す
- 「パ」「マ」「あ」など短い音をまねする
といった動きです。
最初から言葉を言わせる必要はありません。
まずは、見る → まねする → 声が出る → 音になるという順番で進めます。
口まね遊びが発語につながる理由

発語には、次のような力が関わっています。
- 相手の顔を見る力
- 口の動きを見る力
- 自分の口を動かす力
- 音を聞いてまねする力
- 「伝わった」と感じる経験
口まね遊びは、これらを遊びの中で育てやすいのが特徴です。
特に、言葉がまだ少ない子にとっては、いきなり「言ってごらん」と促されるより、大人の顔を見ながら一緒に口を動かす方が取り組みやすいことがあります。
始める前に|まずは動作模倣が土台になる
口の動きをまねる前に、体や手のまねっこができると進めやすくなります。
たとえば、
- バイバイ
- パチパチ
- ハイタッチ
- 手を上げる
- ジャンプする
- 動物のまねをする
などです。
動作模倣ができるようになると、子どもは「相手を見てまねする」ことに慣れていきます。
その延長として、口のまねにもつながりやすくなります。
▶ 関連記事:言葉が遅い子の発語を促す動作模倣遊び|家庭でできるまねっこ練習
家庭でできる口まね遊びの基本ステップ

ステップ1|鏡を用意する
鏡があると、自分の口の形を見ながら練習できます。
おすすめは、
- 卓上ミラー
- 洗面所の鏡
- 親子で一緒に見られる大きめの鏡
です。
「お口、見てみよう」
「ママと同じお口できるかな?」
と、遊びの雰囲気で始めます。
ステップ2|声を出さずに口の形だけまねする

最初は声が出なくても大丈夫です。
まずは、
- 「あ」の口
- 「い」の口
- 「う」の口
- 「ん」の口
をまねしてみます。
| 音 | 口の形 |
|---|---|
| あ | 口を大きく開ける |
| い | 口を横に引く |
| う | 唇をすぼめる |
| ん | 口を閉じる |
「声を出して」ではなく、
「同じお口できたね」
とほめるのがポイントです。
ステップ3|短い音をまねする
口の形に慣れてきたら、短い音に進みます。
おすすめは、
- あ
- う
- ん
- ま
- ぱ
- ば
など、まねしやすい音です。
特に「ま」「ぱ」は唇の動きが見えやすいので、子どもにも分かりやすいです。
「まーま」
「ぱっ」
「んー」
のように、短く楽しく取り入れます。
発語を促す口まね遊びアイデア
▶ 吃音の子に家庭でできる遊びと練習|親子で楽しく話しやすさを育てる方法
1. あいうー顔まね遊び
鏡を見ながら、
「あー」
「いー」
「うー」
と大人がゆっくり口を動かします。
子どもが少しでも口を動かしたら成功です。
声が出なくても、口の形をまねできたら十分です。
2. パッと開く遊び
唇を閉じてから、
「ぱっ!」
と開く遊びです。
シャボン玉が割れる音、手を開く動き、おもちゃを出すタイミングと合わせると楽しくなります。
「ぱっ!」は、唇の動きが分かりやすいので発語練習に取り入れやすい音です。
3. まねっこ電話遊び
おもちゃの電話を使って、
「もしもし」
「まま」
「ばいばい」
などをまねします。
電話遊びは、子どもが「話す役」になりやすいので、発語のきっかけを作りやすいです。
4. 動物の鳴き声まね
動物の鳴き声は、言葉よりまねしやすいことがあります。
- 犬:わんわん
- 猫:にゃんにゃん
- 牛:もー
- 豚:ぶーぶー
- 馬:ぱかぱか
発音が正確でなくても大丈夫です。
「ぶー」だけでも、立派な発語の一歩です。
5. 食べ物ごっこで口を動かす
ままごと遊びの中で、
「あーん」
「もぐもぐ」
「ごっくん」
「おいしい」
などを取り入れます。
生活の動きと一緒に言葉を入れると、子どもも意味を理解しやすくなります。
体験談|次男は動物の鳴き声から言葉が増えました

わが家の次男は、2歳半頃でも言葉が少なく、「ワンワン」「パン」「ママ」くらいしか出ていませんでした。
当時は、
「このまま言葉が増えなかったらどうしよう」
と不安になることもありました。
そこで、言語聴覚士さんのアドバイスも参考にしながら、動物の鳴き声と動きを組み合わせた遊びを取り入れました。
猫なら、手をひらひらさせて「にゃんにゃん」
馬なら、手でリズムを取りながら「ぱかぱか」
鳥なら、腕を羽のように動かして「チュンチュン」
豚なら、鼻を指で押さえて「ぶーぶー」

最初は声が出ないこともありました。
でも、動きと音をセットにして遊ぶうちに、少しずつ「にゃん」「ぱか」「ぶー」のような音が出るようになりました。
完璧な言葉ではありません。
それでも、本人がまねしようとして口を動かしたり、声を出したりする姿を見て、
「言葉につながる入り口は、こういう遊びの中にあるんだ」
と感じました。
▶ 『だるまさんが』で言葉のリズムを育てる|吃音・発語が気になる子との読み聞かせ実践
体験談|長男は鏡を使うと口の形が分かりやすかった
長男は、発音が不明瞭な時期がありました。
「パ」「カ」などの単音を練習するとき、ただ口で説明しても分かりにくそうでした。
そこで鏡を使って、
「ママの口を見て」
「同じ口にできるかな?」
「今、口が大きく開いたね」
と声をかけながら練習しました。
鏡を見ることで、自分の口がどう動いているのか分かりやすくなったように感じます。
ただし、最初は「練習しよう」と言うと嫌がることもありました。
そこで、
「じゃんけんで勝った方が3回言う」
「次はママの番」
「できたらシール」
のようにゲーム感覚にしたところ、取り組みやすくなりました。
わが家では、練習より遊びにすることが一番大事でした。
発語を引き出す声かけのコツ
「言ってごらん」を減らす
発語を促したいとき、つい「言ってごらん」と言いたくなります。
でも、子どもによってはプレッシャーになることがあります。
代わりに、
「ママは“ぱ”って言ってみるね」
「同じお口できるかな?」
「声が出たね」
「まねできたね」
のように、言わせるより見せる関わりがおすすめです。
少しでもできたら成功にする
最初から正しい発音を目指さなくて大丈夫です。
- 口を動かした
- 見ていた
- 声が出た
- 似た音が出た
- まねしようとした
これらはすべて成功です。

日常動作に言葉を添える
療育の先生から、
「子どもの動作を言葉にしてあげるといい」
とアドバイスをもらったことがあります。
たとえば、
積み木を箱に入れたら「入れる」
ままごとで包丁を使ったら「切る」
車を走らせたら「ぶーん」
扉を開けたら「開いた」

というように、動作と言葉をセットにします。
すると、親の言葉を聞きながら、子どもが自然にまねする場面が増えていきました。
要求語につなげる練習

口まねに慣れてきたら、「欲しい」「やってほしい」を伝える言葉につなげます。
たとえば、
- ちょうだい
- あけて
- とって
- もう一回
- いや
- おしまい
などです。
いきなり全部言えなくても大丈夫です。

「あけて」なら、
「あ」だけ
「て」だけ
手を伸ばすだけ
うなずくだけ
でも、まずは伝わる経験を大切にします。
「伝えたら分かってもらえた」
「声を出したら叶った」
という経験が、次の発語につながります。
2語文につなげる練習も少しずつ
単語で伝えることに慣れてきたら、少しずつ2語文にもつなげていきます。
たとえば、
- 「ブーブー ちょうだい」
- 「絵本 とって」
- 「パン ちょうだい」
- 「もう一回 やって」
のように、子どもが欲しいもの・やってほしいことを短い言葉で伝える練習です。

やり方はシンプルです。
- 大人が「ブーブーちょうだい」とゆっくり見本を見せる
- 子どもが一部でもまねできたら、すぐにほめる
- できるだけ早く要求を叶える
最初から2語すべて言えなくても大丈夫です。
「ブーブー」だけ、「だい」だけ、手を伸ばすだけでも、
「伝えようとした」ことを大切にします。
言葉を言ったら欲しいものがもらえた、
お願いしたら伝わった、
という経験が増えると、子どもの中に
「また言ってみよう」という気持ちが育ちやすくなります。
口まね遊びで気をつけたいこと
▶ 【吃音を理解したい親へ】感動する映画・アニメ・ドラマ7選|子どもの気持ちに寄り添える作品
無理に言わせない
発語練習で大切なのは、子どもが「話すのが嫌」と感じないことです。
嫌がるときは中断してOKです。
口の中を無理に触らない
舌や唇の位置を教えたくなることもありますが、無理に口の中を触るのは避けましょう。
特に感覚過敏がある子は、触られること自体が負担になることがあります。
正しく言えなくても直しすぎない
「違うよ」
「もう一回」
「ちゃんと言って」
が続くと、子どもが話すことを避けてしまうことがあります。
正確さより、まずは声を出すこと・まねしようとすることを大切にします。
専門家に相談した方がいい目安
次のような場合は、家庭だけで抱え込まず相談してみるのがおすすめです。
- 3歳を過ぎても単語がかなり少ない
- 言葉の理解も気になる
- 呼びかけへの反応が少ない
- 発音が極端に聞き取りにくい
- 食べる・飲み込む・よだれなど口の機能も気になる
- 親の不安が強い
相談先としては、
- 小児科
- 言語聴覚士
- 発達支援センター
- 保健センター
- 療育センター
などがあります。
よくある質問
口まね遊びは何歳からできますか?
1〜2歳頃から、遊びとして取り入れることができます。年齢よりも、子どもが大人の顔や口に興味を持てるかを目安にしましょう。
声が出なくても意味はありますか?
あります。まずは口の形をまねるだけでも、発語の土台になります。
鏡は必要ですか?
必須ではありませんが、口の動きが見えるので分かりやすくなります。
どのくらい練習すればいいですか?
1回1〜3分程度で十分です。長くやるより、楽しく終わることを優先しましょう。
▶ 【保存版】子どもの発語を促す「パタカラ体操&あえうべ体操」効果・やり方・続けるコツ
発音が違うときは直した方がいいですか?
強く直す必要はありません。大人が正しい音をさりげなく言い直す形がおすすめです。
言葉が遅い子は必ず療育が必要ですか?
必ずではありません。ただし、気になる場合は早めに相談すると、必要な支援につながりやすくなります。
口のまねを嫌がる場合は?
無理に続けなくて大丈夫です。動作模倣や絵本、ままごとなど、別の遊びから始めましょう。
発語につながるおすすめ道具はありますか?
鏡、絵カード、おもちゃ電話、ままごとセット、動物カードなどが使いやすいです。
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まとめ|口まね遊びは「言わせる練習」ではなく「話したくなる遊び」
口の動きをまねする遊びは、発語がゆっくりな子に取り入れやすい家庭でのサポートです。
大切なのは、
- 口の形をまねる
- 声が出たら喜ぶ
- 正しく言えなくても責めない
- 遊びの中で自然に取り入れる
- 子どものペースを大切にする
ことです。
発語は、急に増えることもあれば、ゆっくり少しずつ伸びることもあります。
わが家でも、すぐに大きな変化があったわけではありません。
それでも、動きや口のまねを遊びとして続ける中で、少しずつ「言ってみよう」「まねしてみよう」という姿が増えていきました。
まずは今日、鏡の前で
「あー」「うー」「ぱっ」
と親子で笑いながら遊ぶところから始めてみてください。