はじめに|「落ち着かせる」より、休みやすい方法を探したい
「帰宅すると、子どもがイライラしている」
「寝る前まで気持ちが高ぶっている」
「親子で少し休みたいけれど、何をすればよいの?」
そんなふうに迷うことはありませんか?
わが家でも、息子が気持ちを切り替えにくいときや、親子ともに疲れてしまう日があります。
寝る前に一緒に呼吸をしたり、波の音を流したり、本人が希望したときに手をトントンしたり。いろいろ試す中で、息子が好む過ごし方を少しずつ探してきました。
ただ、同じ方法が毎回合うわけではありません。音楽を聴きたい日もあれば、話さず静かに過ごしたい日もあると思います。
この記事では、発達障害のある子のリラックス方法について、わが家で試した休み方と、家庭で取り入れる場合の工夫を紹介します。
何かをさせて落ち着かせることより、本人が休みやすい環境や過ごし方を、一緒に探すことを大切にしています。
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※体験談は当時のわが家の記録です。その他の方法は、家庭で取り入れる場合の例として紹介しています。
※特定の方法によるストレス軽減や睡眠への効果を測定した記事ではありません。
リラックス方法を選ぶ前に|刺激を足すより、減らす方が合うこともある
「リラックスによさそう」と考えて、音楽や香り、触れ合いを取り入れたくなることがあります。
でも、本人にとっては、その音やにおい、触られることが負担になる場合もあります。
英国のNational Autistic Societyも、感覚的な刺激が重なってつらいときには、刺激を減らす、静かな場所へ移る、話しかける量を抑えるなどの対応を紹介しています。National Autistic Society「Autism and sensory processing」
まずは、次のような点から見直せます。
| 見直すこと | 家庭での例 |
|---|---|
| 音 | テレビや音楽を止める |
| 光 | まぶしい照明や画面から離れる |
| 人との距離 | 一人で休むか、近くにいてほしいか確かめる |
| 体調や疲れ | 眠さ、空腹、痛み、不調がないかを見る |
| 予定の多さ | 帰宅直後に活動を詰め込まない |
診断名だけで「この方法が合う」とは決まりません。本人の反応を見て、やめる・変えることも選べる形にします。
▶ 音や光などの調整を詳しく知りたい方は、感覚過敏の子ども向けの環境づくりと支援グッズの記事も参考にしてください。
わが家で試した過ごし方① 寝る前に、一緒にゆっくり呼吸する

わが家では、息子と寝る前に「5秒吸って、5秒吐く」呼吸を一緒にしていたことがあります。
最初は、
「つまんない!」
と言っていましたが、続ける中で、
「今日もやる?」
と、息子から言うようになりました。
私には、寝る前に一緒に過ごす習慣の一つとして、受け入れられてきたように感じられました。
ただし、5秒という長さを守ることが目的ではありません。
これから取り入れる場合は、秒数や息止めを課題にせず、本人が苦しくない範囲で、ゆっくり呼吸するところから考えられます。NHSも、無理に深く吸わず、楽にできる呼吸を案内しています。NHS「Breathing exercises for stress」
声をかけるなら、例えば、
「お花のにおいをかぐみたいに、すーっ」
「ゆっくり、ふーっ」
と、イメージを添える方法もあります。
嫌がるときや、息苦しさ・めまいなどがあるときは中止します。目を閉じることや、長く続けることも必要ありません。
わが家で試した過ごし方② 「波の音」を聴く、音を止めて過ごす
わが家では、波の音を流すと、息子が落ち着きやすいと感じることがありました。
寝る前には、手を軽くなでたりしながら一緒に聴き、親子でゆったり過ごしたこともあります。
これは息子の好みについての体験で、自然音がすべての子に合うという意味ではありません。
音を使う場合は、次のように確かめられます。
- 本人が聴きたい音か
- 音量が大きすぎないか
- 繰り返しや突然の音が気にならないか
- 途中で止められるか
- 音がない方が休みやすくないか
「癒やしの音楽」として紹介されているものでも、本人が嫌なら使う必要はありません。
特定の周波数を選ぶことより、本人が心地よく聴けるか、静かにしたいかを手がかりにします。
わが家で試した過ごし方③ 本人が望むときに、手をトントンする

息子が4歳の頃、寝るときに、
「ママ、手トントンして」
と、よく言っていました。
手を軽くなでたりトントンしたりすると、安心するように見え、気持ちよさそうに寝つくことがありました。
わが家では、息子からの希望が、触れ合い方を知る手がかりになりました。
一方で、触られることが苦手な子や、その日は触ってほしくない子もいます。
家庭で取り入れるなら、
「手をトントンする?」
「隣にいるだけがいい?」
など、本人の希望を確かめます。
触れる場合も、痛みのない軽い触れ方にし、手を引く、体を離すなどの反応があれば止めます。特別なマッサージやオイルを用意する必要はありません。
▶ 抱っこやくすぐりなど、触れ合うときの確かめ方は、発達が気になる子の安心感を支える関わり方|わが家のスキンシップと親子時間にまとめています。
わが家で試した過ごし方④ 静かに過ごせる場所を決める

わが家では、家の中に静かに過ごす場所を設け、
「ここに座ったら静かに過ごす」
というルールを伝えていた時期がありました。
その場所が、息子にとって過ごし方を切り替える手がかりになったように感じています。
今、休む場所を考えるなら、静かにできることを利用の条件にせず、本人が休みたいときに使える場所として整えたいです。
例えば、リビングの一角や、部屋の端などから考えられます。
| 確認すること | 整え方の例 |
|---|---|
| 音や光 | テレビやまぶしい窓から少し離す |
| 座りやすさ | 本人が好む椅子やクッションを使う |
| 置く物 | 好きな本やぬいぐるみなど、必要な物に絞る |
| 家族の関わり | 質問や指示を重ねない |
| 出入り | 本人が離れられるようにする |
ここは、叱られたときに行かされる場所にはしません。
一人がよいのか、家族に近くにいてほしいのかも、そのときの本人に合わせます。
わが家で試した過ごし方⑤ お絵描きや体を動かす遊びを楽しむ
お絵描きは、作品を完成させるためだけの時間にしない
わが家では、息子が「描きたい!」という気持ちになると、おしゃべりも増えることがありました。
好きなことをしながら話す方が、向かい合って質問されるより、話しやすい場面もあったのかもしれません。
ただ、お絵描きが休息になるかは、その子やその日によって違います。
何かを完成させたり、上手に描いたりすることを求めず、線を描くだけ、見るだけ、今日はしないという過ごし方も選べます。
戦いごっこは好きでも、必ず落ち着くとは限らない
息子は戦いごっこが大好きでした。
私は当初、「攻撃的すぎるのでは」と不安もありましたが、力加減を伝えながら遊ぶ中で、普段のイライラが減ったように感じた時期がありました。
ただし、回数を測ったわけではなく、遊びによる変化かどうかは分かりません。
体を動かすことで満足する場合もあれば、興奮が続く場合もあります。怒りを発散させるために、叩く遊びを勧めるものではありません。
遊ぶ場合は、相手が嫌がったら止める、人を傷つけないなどの約束を確認します。遊んだ後に、静かに過ごす時間が必要かも見ていきたいです。
▶ 動く・待つなどのルールを含む遊びは、子どもの自己コントロールを支える遊び8選にまとめています。
わが家で試した過ごし方⑥ 話しやすい相手と、短くおしゃべりする
ぬいぐるみ相手だと話せることがあった
息子は、おしゃべりは好きでも、質問に答える形で話すことが苦手でした。
ぬいぐるみを相手にすると、
「きょうね、おともだちとあそんだよ!」
と、話せる場面が増えました。
直接聞かれると答えにくくても、ごっこ遊びの形なら話しやすかったのかもしれません。
ただ、ぬいぐるみを使えば、本音を聞き出せるわけではありません。本人が話したいことを聞き、話さないことも受け止めます。
▶ 質問や返し方に迷ったら、子どもとの会話が続かないときは?答えやすい質問10例と親の聞き方も参考にしてください。
弟が寝た後の、長男との5分間

わが家では、弟のコネギ君が寝た後に、長男のナガネギ君と「5分間のおしゃべりタイム」を楽しむことがあります。
短い時間でも、長男と二人で過ごせる大切なひとときです。私には、一日の終わりに、親子で気持ちを共有できる時間に感じられます。
ただし、毎晩「楽しかったこと」を答えてもらう必要はありません。
話したいことを話す、私の話を聞く、今日は早く寝る。その日の疲れに合わせて考えます。
親も自分の出来事を話せますが、子どもに慰めてもらったり、大人の悩みを解決してもらったりする時間にはしないようにしたいです。
親子で同じ方法をするより、それぞれに合う休み方を
親子で一緒に過ごす時間が助けになることもありますが、いつも一緒に取り組む必要はありません。
子どもは一人で本を見たい、親は少し静かに飲み物を飲みたい。そんなふうに、希望が違うこともあります。
子どもの安全を確保したうえで、家族に交代を頼む、別々に休むなどの方法も考えられます。
「親が落ち着いていれば、子どもも必ず落ち着く」ということではありません。親自身の負担が大きいときは、関わり方を増やすより、周囲の助けを使いたいです。
リラックス用品を選ぶとき|効果より、本人の使いやすさを確認する
休む時間のために、最初から道具を買いそろえる必要はありません。
家にある椅子やクッション、ぬいぐるみなどで試し、必要な物があれば選ぶ方法があります。
| 候補になる物 | 購入前に確認すること |
|---|---|
| クッション | 硬さ、肌触り、大きさ、洗いやすさ |
| ブランケット | 重さ、暑さ、肌触り、使用上の注意 |
| ぬいぐるみ | 本人の好み、素材、部品、手入れの方法 |
| 室内用テント | 対象年齢、通気性、設置場所、出入りのしやすさ |
室内用テントを選ぶ前に|遊ぶ場所・休む場所の用途を確認する
室内用テントには、体を動かして遊ぶための商品や、空間を区切って過ごすための商品があります。まずは、どんな場面で使いたいのかを考えます。
囲まれた場所を好む子もいれば、苦手な子もいます。本人が入りたがるか、家の中に無理なく置けるかも、購入前に確認しましょう。
確認したいのは、次の点です。
- メーカーが案内する対象年齢と用途
- 設置したときの幅・奥行き・高さ
- 通気性と、中の様子の確認しやすさ
- 本人が出入りしやすい構造か
- 組み立て・収納・手入れの方法
商品名に「一人用」「子供用」と書かれていても、子どもの使用条件は商品説明や取扱説明書で確認してください。
テントは、本人が使いたいときに利用する場所として考えます。入ることや、中で静かにすることを強制する必要はありません。
体を動かす遊び場も検討したい方へ|トンネル付きテント
トンネルやボールハウスを組み合わせた、遊び場向けの商品です。静かに休む場所とは用途を分け、本人がどんな遊びを楽しみたいかに合わせて検討してください。
購入前に、セット全体の設置サイズ、対象年齢、付属品を確認しましょう。
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価格:2980円 |
囲まれた空間を好む場合の比較候補|一人用の室内テント
家の中で過ごす場所を区切りたい場合の比較候補です。商品名には大人向けの表記もあるため、子どもが使用できる条件や、設置サイズ、通気性、出入りのしやすさを確認してください。
囲まれた場所を嫌がる場合は、購入を急がず、部屋の一角や家具の配置で休む場所を作る方法もあります。
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価格:12690円 |
※掲載商品は購入時の比較候補です。わが家で使用した商品を示すものではありません。購入前に、メーカーの使用条件・付属品・送料・配送条件を確認してください。
香りやオイルは、リラックスのために必須ではない
香りを好む人もいますが、子どもが苦手に感じることもあります。
精油は「天然だから安全」とは限りません。Johns Hopkins Medicineも、子どもへの使用では、誤飲や原液の皮膚への使用などに注意が必要と案内しています。Johns Hopkins Medicine「Are Essential Oils Safe for Children?」
この記事では、特定の精油を子どもの安眠や感情調整のために勧めることはしません。
使うことを検討する場合は、子どもの年齢や体調、製品の使用条件を確認し、必要に応じて医療者などへ相談してください。
続けるコツ|「毎日できたか」を確認する習慣にしない
わが家では、一緒に過ごすことや、同じ時間帯に取り入れることが、習慣のきっかけになったように感じます。
息子から、
「今日はやらないの?」
と聞かれることもありました。
一方で、続けること自体が負担になっては、休む時間を作りにくくなります。
- 本人が好んだ方法を、選べるようにしておく
- 嫌がる日はやめる
- 時間を延ばすことを目標にしない
- 昨日と違う過ごし方も認める
- 親も無理なく付き合える方法を選ぶ
毎日同じことをするより、本人が「今日はこれがいい」と伝えられることも大切にしたいです。
休み方を工夫しても、つらさが続くときは
リラックスの方法だけで、困りごとが解決するとは限りません。
眠れない、体の痛みや不調がある、不安が強く日常生活に支障があるなどの場合は、休み方を増やすだけで様子を見続けず、かかりつけ医や支援先へ相談できます。
相談するときは、
- いつ、どんな場面でつらそうになるか
- 音や光、人との距離などで気になること
- 本人が希望すること
- 試して合った方法、合わなかった方法
を伝えると、状況を共有しやすくなります。
子どもの不安が日常生活に影響する場合には、学校などと協力し、医療者へ相談することもNHSから案内されています。NHS「Anxiety in children」
癇癪が繰り返されるときは、休み方に加え、直前の出来事や生活の流れを振り返る方法もあります。
▶ 癇癪が続くときの声かけ・記録・生活の見直しを見る
よくある質問
発達障害のある子には、どのリラックス方法が合いますか?
診断名だけでは決まりません。
音を聴きたいか、静かにしたいか、触れてほしいか、一人で休みたいかなど、本人の希望や反応を手がかりにします。
深呼吸は、何秒ずつ行えばよいですか?
わが家では5秒ずつ数えたことがありますが、その秒数を守る必要はありません。
息を止めたり、無理に深く吸ったりせず、本人が楽にできる範囲で考えます。
触れられることを嫌がります
マッサージや抱っこを取り入れる必要はありません。
近くに座る、少し離れる、声をかけずに見守るなど、本人が望む距離を考えます。
音楽をかけると、かえって落ち着きません
音楽を止めて、静かな環境にする方法があります。
「リラックス用」とされる音でも、本人に合うとは限りません。
寝る前に、よかったことを話した方がよいですか?
必須ではありません。
話したいことがあれば聞き、疲れているときは話さず休んでも構いません。
リラックス用品を買えば、休みやすくなりますか?
商品だけで決まるものではありません。
まずは、音・光・予定の多さなどを見直し、必要な物がある場合に本人の使いやすさで選びます。
まとめ|親子それぞれに、休みやすい過ごし方を
わが家では、寝る前の呼吸、波の音、手のトントン、静かな場所、お絵描き、ぬいぐるみとの会話などを試してきました。
弟が寝た後に、長男と短く話す時間も、私にとって大切なひとときです。
ただ、どれも毎回同じように合うわけではありません。
何かを追加するより、音を止める方がよい日もあります。一緒に話すより、一人で過ごしたい日もあると思います。
「落ち着けたか」を成果にするより、本人が好むこと、嫌がることを知り、親も休める形を探していきたいです。
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参考資料
- National Autistic Society「Autism and sensory processing」
- NHS「Breathing exercises for stress」
- NHS「Anxiety in children」
- Johns Hopkins Medicine「Are Essential Oils Safe for Children?」
情報確認日:2026年10月31日