はじめに|触れ合い方は、子どもの反応を見ながら
「抱きしめてあげたいけれど、嫌がることがある」
「くすぐって笑っているなら、楽しんでいるの?」
「スキンシップが少ないと、愛着に影響するのかな?」
そんなふうに迷うことはありませんか?
わが家では、登園前の抱っこや、夕食後のくすぐり遊び、入浴後にボディークリームを塗る時間など、日常の中に触れ合いがありました。
息子がほっとしたように見えたり、笑い合ったりする時間は、私にとっても大切なものでした。
一方で、親がよいと思う触れ方と、本人が望む触れ方が、いつも同じとは限りません。
この記事では、発達が気になる息子との体験を振り返りながら、抱っこやくすぐり遊び、絵本など、親子で過ごしてきた時間を紹介します。触れ合いを嫌がるときの対応も含め、本人が安心して関われる方法を考えます。
触れる回数を増やすことより、「してほしい」「今は嫌」という反応を受け止めることを大切にしたいです。
※体験談は当時のわが家の記録です。その他の声かけや対応は、家庭で取り入れる場合の例として紹介しています。
※特定の触れ合いや遊びによる、愛着・睡眠・感覚面への効果を測定した記事ではありません。
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子どものスキンシップ|「好きなはず」より、今の反応を確かめる
抱っこが好きな子でも、遊びに集中しているときや、暑いときには触られたくないかもしれません。
軽く触れられること、服の上から触れられること、急に近づかれることなど、気になる条件も人によって違います。
米国小児科学会の保護者向けサイトも、抱擁やキスを強制せず、本人の希望を尊重するよう案内しています。米国小児科学会・HealthyChildren.org「Sexual Behaviors in Young Children: What’s Normal, What’s Not?」
家庭では、例えば、
「抱っこする?」
「手をつなぐ?」
「隣に座ってもいい?」
と、短く確かめられます。
返事がないときは、同意したと決めつけず、いったん待ちます。体を離す、手を引く、顔を背けるなど、言葉以外の反応にも目を向けたいです。
【体験談】わが家の抱っこ・ハグ|登園前、怒ったとき、寝る前
登園前に、短く抱きしめていたこと

わが家では、登園前に息子を「ぎゅっ」と抱きしめる時間を作っていました。
不安そうに見えた息子が、抱っこすると、ほっとしたように力を抜くことがありました。
その頃、園の先生から、
「最近とても楽しそうに活動していますね」
「自信がついてきましたよ」
と言っていただいたこともあります。
私にはうれしい変化でしたが、抱っこだけによるものとは分かりません。本人の成長や、園での経験、先生や友達との関わりも重なっていたと思います。
登園前に抱っこすることを、すべての家庭に必要な習慣として勧めるものではありません。
怒っているとき、抱っこで落ち着くこともあった
息子がかんしゃくを起こしたとき、抱きしめることで、少しずつ落ち着いていくこともありました。
イヤイヤが強いときに抱っこし、
「今日は○○が嫌だったんだよね」
と話しかけると、表情が穏やかになったこともあります。
ただ、今振り返ると、「かんしゃくのときは、まず抱きしめる」と決める必要はなかったと思います。
本人が触れられたくないときには、抱っこが負担になる場合もあります。英国のNational Autistic Societyも、刺激が重なってつらいときには、触覚への敏感さに配慮することを紹介しています。
安全を確保したうえで、抱っこを望むか、近くにいる方がよいか、少し距離を取るかを、そのときの反応から考えたいです。
寝る前の声かけとハグ
寝る前に、
「今日も楽しかったね」
と声をかけ、ハグしていたこともあります。
今なら、その日を楽しかったと感じているかは本人にも確かめながら、
「一緒に過ごせてうれしかったよ」
と、自分の気持ちを伝える方法も考えたいです。
ハグをする日も、言葉だけの日も、そのときの希望に合わせられます。
▶ 休む場所や音なども含めた過ごし方は、発達障害のある子のリラックス方法|わが家で試した休み方と親子の過ごし方にまとめています。
【体験談】くすぐり遊び|笑っていることだけで判断しない
夕食後のくすぐり遊びは、わが家で楽しんでいた遊びの一つです。
息子が笑い転げ、親子で笑い合う時間もありました。
ただ、くすぐられて笑うことだけを、「続けてほしい」という合図にはしないようにしたいです。
オーストラリアの子どもの安全に関する公的案内でも、くすぐりや抱擁を断ること、途中で気持ちを変えることを尊重するよう説明されています。qld.gov.au
これから遊ぶなら、次のように考えます。
- 始める前に、本人が遊びたいか確かめる
- 短く区切って、いったん手を止める
- 「やめて」と言ったら、すぐに止める
- 逃げる、体をよじるなどの反応があれば止めて確かめる
- 押さえつけて続けない
「もう一回」と言っても、その次も続けたいとは限りません。
触覚を鍛えるために行うのではなく、本人も大人も楽しめる遊びとして扱いたいです。
【体験談】入浴後の保湿ケア|感じた変化と、効果の区別
入浴後にボディークリームを塗るとき、わが家では、優しく触れる時間も取っていました。
当時の私は、その習慣を始めてから、息子の眠りが安定し、夜中に目を覚ますことが減ったように感じていました。
日中も、以前より落ち着いて遊びや活動に取り組めるように見えた時期がありました。
睡眠や集中力を記録・測定したわけではないため、クリームや触れ合いによる変化かどうかは分かりません。
私にとっては、入浴後に息子とゆっくり関わる、日常のケアの時間でした。
保湿などのケアをするときも、
「今から腕に塗るね」
「自分で塗る? 手伝おうか?」
と、何をするか伝えたり、本人が参加できる部分を選んだりする方法があります。
肌の状態や製品の使い方については、医師・薬剤師などから案内されている場合、その指示に合わせます。
保湿用品を検討している方へ
入浴後などの保湿用品を探している方は、商品の使用条件や成分、容量を確認して選んでください。
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スキンシップを嫌がるときの関わり方5つ

① まず手を止める
嫌がったときは、「少しだけだから」と続けず、いったん止めます。
拒否を、親への愛情がないことや、親子関係の悪さに結びつけないようにしたいです。
② 理由を何度も説明させない
「どうして嫌なの?」に、本人がすぐ答えられるとは限りません。
触れ方、場所、体調、タイミングなどを見ながら、答えを急がずに考えます。
③ 別の部位へ触れて慣らすことを、すぐに目標にしない
腕を嫌がったら背中、背中が嫌なら手というように、触れ続ける方法を探す必要はありません。
「今日は触れない」という選択もできます。
生活上必要なケアで困る場合は、方法や道具、介助の仕方を専門家と相談します。
④ 触れない関わり方を選べるようにする
隣で本を見る、同じ遊びをする、手を振る、話を聞くなど、触れずに一緒に過ごす方法もあります。
「抱っこしないなら、何もしない」ではなく、本人が受け取りやすい関わり方を考えます。
⑤ 家族にも、本人の希望を共有する
親戚やきょうだいとの間でも、抱っこやくすぐりを必ず受け入れる必要はありません。
例えば、
「今日はハグより、手を振って挨拶したいみたい」
と、大人が間に入る方法があります。
本人も、相手から「今は触らないで」と言われたときには止めるなど、お互いの希望を大切にします。
触れずに一緒に楽しんだ、わが家の時間
寝る前の絵本

わが家では、寝る前に息子と絵本を見る時間を作っていました。
最初は、
「飽きちゃった〜」
と途中で終えることもありましたが、後には、
「次はどうなるの?」
と、続きを楽しみにする姿も見られました。
言葉の使い方や表現が増え、園でも自信を持って話しているように感じた時期がありましたが、読み聞かせだけの効果とは判断できません。
私にとっては、同じ本を見ながら、息子の反応に応じてやり取りする時間が大切でした。
▶ 絵本や日常生活で言葉に触れる工夫は、子どもの語彙力を育てる家庭の工夫5つでも紹介しています。
動きをまねするミラーゲーム
私が手を上げたり、体をくねくね動かしたりすると、息子がまねをする遊びもしていました。
最初は、
「え〜、難しい〜」
と言っていましたが、一緒に動きながら、
「ママと一緒だね!」
と笑い合うことがありました。
正確にまねることを目標にせず、本人の動きを私がまねするなど、楽しめる形に変えられます。
朝の準備中に、一緒に歌ったこと
朝の準備で慌ただしかったとき、手遊び歌を一緒に歌うと、息子がにこっと笑い、その後の準備が進んだことがありました。
その一度の経験で、歌えばいつも準備が進むとは言えません。それでも、親子でやり取りの雰囲気が変わった場面として覚えています。
愛着形成とスキンシップ|触れ合いの回数だけで考えない
愛着は、子どもが養育者との関係の中で、安心して頼ったり、支えてもらったりすることに関わる概念です。
この記事の体験だけで、愛着の状態を評価することはできません。また、抱っこやハグの回数を数えて判断するものでもありません。
ハーバード大学の発達研究センターは、子どもの身ぶりや声などに大人が応じる、双方向のやり取りの大切さを紹介しています。developingchild.harvard.edu
家庭では、
- してほしいことに応じる
- 嫌だという反応を受け止める
- 困ったときに必要な手助けをする
- 触れずに一緒に過ごす
といった関わりにも目を向けられます。
親がいつも完璧に応じなければならない、ということではありません。親自身が疲れているときは、休むことや周囲の助けも必要です。
感覚統合と家庭の遊び|体験から治療効果までは判断できない
感覚統合は、体や周囲から入る感覚情報を整理し、活動に使う働きに関わる考え方です。
ただし、抱っこやくすぐり、家庭の運動遊びを、そのまま専門的な感覚統合療法と同じものとして扱うことはできません。
わが家にも、遊びの中で変化を感じた経験があります。ここでは、体験と効果の判断を分けて振り返ります。
逆さま・回転遊びを楽しんだこと

以前は、抱っこの中で逆さまになる遊びや、抱いたまま回る遊び、鉄棒にぶら下がる遊びをしていました。
最初は、
「怖い〜」
と言っていた息子が、後には、
「もう一回やって!」
と希望することもありました。

同じ時期に、園での姿勢や、歩くときのふらつき・転びやすさが変わったように感じていました。
ただ、それらが遊びによる変化かは分かりません。姿勢や運動面の改善を目的に、怖がる動きを繰り返すことは勧めません。
運動や感覚面の困りごとがある場合は、本人に合う活動を支援先や作業療法士などへ相談できます。
砂や水への関わり方が変わったこと

触覚に敏感だった息子は、砂や水が苦手でした。
スコップで砂をすくう、水に手を入れてみるなどの経験の中で、少しずつ興味を示し、後には泥団子づくりにも取り組むようになりました。
「もっとやりたい!」
と遊ぶ姿も見られました。
園では、以前は指に糊が付くことを嫌がっていましたが、その後、嫌がらずに製作へ参加できる場面もありました。
ただし、砂遊びによって糊への苦手さが改善したとまでは判断できません。素材や場面、成長によっても反応は違います。
苦手な素材に慣らすことを目標にせず、道具を使う、触らず見る、手を拭けるようにするなど、本人が関われる形を選びたいです。
雨の日の風船遊び
雨の日に、室内で風船を追いかけて遊んだこともあります。
遊んだ後、満足したように見え、落ち着いて過ごせることがありました。
これも、わが家で感じた反応です。風船遊びが感覚面を整えると、一律には言えません。
家庭で使う場合は、口に入れないよう大人が管理し、割れた破片はすぐに片付けます。割れる音を嫌がる場合や、素材が合わない場合には、別の遊びを選びます。
▶ 雨の日の室内遊びには、動画に合わせてジャンプや足踏みを楽しんだ、3歳・5歳の兄弟の体験もあります。動画の選び方や、動きの調整をまとめています。
絵本や道具を選ぶとき|触れ合いを増やすために買わなくてもよい
スキンシップのために、専用のマッサージ用品や遊具を用意する必要はありません。
家にある絵本やぬいぐるみを見ながら、本人が望む過ごし方を確かめるところから始められます。
市販品を選ぶ場合は、次の点を確認します。
| 候補 | 確認したいこと |
|---|---|
| 触れ合いを題材にした絵本 | 内容やしかけを本人が楽しめそうか |
| ぬいぐるみ | 肌触り、部品、大きさ、手入れの方法 |
| 肌に使う製品 | 使用条件と、本人の肌に合うか |
| 運動遊具 | 対象年齢、設置条件、大人の見守り方 |
抱きしめる場面が出てくる本でも、読んだ後に実際のハグを求める必要はありません。
絵を見る、登場人物について話すだけでも楽しめます。
▶ 触れ合いや生活場面を題材にした本を探す方は、「あかちゃんのあそびえほん」19作品のテーマと版の選び方も参考にしてください。
「あかちゃんのあそびえほん」を購入する前に
シリーズの中から選ぶ場合は、購入したい作品名と版を確認してください。商品ページの選択肢によって、価格や仕様が異なる場合があります。
触れ合いが登場する絵本も、実際に同じ動作をすることを求めず、絵やしかけを見ながら楽しめます。
▶ 楽天で、選べる作品・版・価格・送料を確認する
【2冊以上送料無料】 ボードブック あかちゃんのあそび絵本 きむらゆういち 保育 読み聞かせ 価格:858円〜 |
よくある質問
子どもが抱っこを嫌がるのは、愛着に問題があるからですか?
抱っこを嫌がることだけでは判断できません。
触られる感覚、暑さ、体調、遊びの途中など、いろいろな条件を見ます。親への気持ちを、触れ合いへの反応だけで決めつけないようにします。
笑っているなら、くすぐりを続けてもよいですか?
笑いだけで判断せず、いったん止めて本人の反応を確かめます。
「やめて」と言う、体を離す、逃げるなどの様子があれば止めます。
スキンシップは毎日、何分必要ですか?
この記事では、一律の時間を設けていません。
時間や回数を達成するより、本人が望む関わり方かを大切にします。
嫌がっても、少しずつ触れば慣れますか?
慣れることを期待して、嫌がる接触を続ける必要はありません。
生活上必要なケアで困っている場合は、道具や方法、介助の仕方を専門家と相談できます。
子どもから抱っこを求められても、応じられないときがあります
大人の体調や状況によって、難しいときもあります。
「今は抱っこが難しいから、隣に座ろうか」など、できる関わり方を伝えられます。
感覚面や運動面の困りごとは、どこへ相談できますか?
かかりつけ医、自治体の発達相談窓口、普段の療育・支援先などへ相談できます。
触れる・着替える・洗う・遊ぶなど、何をするときに困るのかを具体的に伝えます。
まとめ|「触れ合うこと」と同じくらい、「嫌だ」を受け止めたい
登園前の抱っこ、夕食後のくすぐり遊び、入浴後のケア。わが家には、触れ合いながら過ごしてきた時間がありました。
一方で、絵本やまねっこ、歌など、触れずに笑い合った時間も大切な思い出です。
親がよいと思う触れ方を増やすより、本人の「してほしい」「今は嫌」という反応を知ること。
触れ合いを楽しむ日も、少し離れて過ごす日も、本人と大人の両方に無理のない関わり方を探していきたいです。
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参考資料
- 米国小児科学会・HealthyChildren.org「Sexual Behaviors in Young Children: What’s Normal, What’s Not?」
※身体の自己決定・触れ合いを強制しないことに関する説明を参照。 - Queensland Government「Teaching consent to children and young people」
- ハーバード大学発達研究センター「Serve and Return」
- National Autistic Society「Autism and sensory processing」
情報確認日:2026年10月31日