息子の行動に不安を感じ始めた頃
息子が2歳の頃、元気に遊ぶ姿を見て「少し落ち着きがないのかな?」と感じることが増えてきました。例えば、ブロック遊びに集中していると思ったら、急に立ち上がって走り回り、すぐに別の遊びを始める──そんな繰り返しを見て、「他の子もこんな感じなのかな?」と不安になることも少なくありませんでした。
ADHDとは何か?
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、脳の構造や神経伝達物質の機能の違いからくる発達障害の一つです。
主な特徴は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つに分類され、これらが単独または組み合わせて現れます。
私の息子の場合、特に衝動性や不注意が目立ち、日常生活や幼稚園での行動が気になることが増えてきました。
不注意優位型の特徴
不注意が目立つADHDの子どもは、以下のような行動を示すことが多いです。
- 気が散りやすい:些細なことで集中力が途切れ、タスクを完了するのが難しい。
- 忘れっぽい:持ち物を忘れやすく、スケジュール管理が苦手。
- 指示を聞き逃す:指示を聞いてもすぐに忘れてしまい、繰り返し確認が必要。
具体例
- 気が散りやすい:
お絵描きをしている最中に、近くで別の子が走り回るのが見えた瞬間、絵に集中できなくなり、絵具を置いて一緒に走り出してしまうことがあります。
読み聞かせの途中で、ページのイラストに描かれた車に興味を持ち、突然「車のおもちゃで遊びたい!」と言い出して別の遊びに移ってしまい、読み聞かせに戻るまで時間がかかることがあります。 - 忘れっぽい:
帰りの準備でジャンパーを着るように伝えても、何か他のことを考えてしまい、すぐにジャンパーをどこかに置き忘れてしまうことがよくあります。 - 指示を聞き逃す:
例えば、片づけをお願いしても数分後には「何をするんだっけ?」と尋ねるため、同じ指示を数回伝えないと行動に移せないことが多いです。
パズル遊びをしながら片付けをお願いしても、こちらの声に気づかずに遊び続けてしまい、気がつくと「何か言ってた?」と尋ねられることがよくあります。
多動性・衝動性優位型の特徴
多動性や衝動性が強い子どもは、以下のような行動を示します。
- 落ち着きがない:じっと座っていられず、頻繁に動き回る。
- 衝動的な行動:順番を待てず、他人の話に割り込むことが多い。
具体例
- じっと座っていられない:
昼ご飯の時間になると最初は座って食べていても、数分後には席を離れて窓の外を見に行ったり、別のおもちゃを取りに行ったりして、食事に戻るまで何度も注意されることがあります。
幼稚園の座り活動の時間でも、周りの子を気にせず自由に動き回ることがあります。
バスや電車で座っているときに、車内の広告や外の景色が気になって何度も席を立ち上がろうとし、何度か注意してようやく席についてくれることがあります。 - 順番を待つのが苦手:
公園の滑り台で他の子どもが遊んでいる時に、待ちきれずに「次は僕!」と割り込んで横からすべり台に入ってしまい、先生や保護者が慌てて止める場面がよくあります。
おもちゃや遊具を使うとき、他の子が遊んでいるとすぐに「僕の番!」と割り込んでしまい、トラブルになることもあります。
混合型の特徴
多動性・衝動性と不注意が両方見られる場合、整理整頓や集中が難しくなり、学校や家庭でのタスクをこなすことに苦労することが多くなります。
ADHDの診断と経過観察
ADHDの診断は、最も多いのが「8歳から10歳頃」とされています。2歳頃から特徴が現れ始める場合もありますが、幼少期の不注意や衝動的な行動は年齢相応の発達過程の一部であることも多く、他の発達障害との区別が難しいためです。そのため、正式な診断が下されることが多いのは、7歳以降とされています。
私の息子はASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けていますが、ADHDの要素も持っている可能性があり、現在は療育を受けながら経過観察を続けています。息子の気になる行動が年齢によるものなのか、それともADHDに関連しているのかを、成長を見守りつつ慎重に判断していく必要があります。
この情報はあくまで参考としてご利用いただくものであり、診断や治療については医療専門家に相談することが重要です。ADHDやASDに関する疑問や不安がある場合は、必ず信頼できる医師にご相談ください。
ADHDの原因と診断方法
ADHDの原因は、脳の前頭前皮質の機能や神経伝達物質の働きに関連しているとされています。遺伝的要因も大きく影響し、親や兄弟にADHDのある場合、同じ特性を持つリスクが高まります。環境的な要因も影響し、例えば妊娠中の喫煙や極度の早産などがリスク要因とされています。
診断には、行動観察や保護者・教師とのインタビュー、評価テストが用いられ、慎重に進められます。
私も息子がADHDではないかと疑いましたが、年齢的にまだ診断が難しいため、最終的にはASDの診断が下されました。今後もADHDの要素が見られる可能性があるため、専門家と協力しながら慎重に経過観察を続けています。
ADHDの診断には慎重な見極めが必要であり、医学的な判断が求められます。このため、専門医による適切な診断が大切です。気になる点がある場合は、医療専門家に相談して適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
気になる行動をどう見るべきか?
気になる子どもの行動が必ずしもADHDとは限らないかもしれませんが、親として「これって普通なのかな?」と悩むことは多いですよね。私も息子の行動が気になるとき、「成長過程の一部なのか、それとも専門家に相談したほうがいいのか」と迷うことがよくあります。日常生活や学びに影響が出始めたと感じたら、専門家に相談するのは大切な一歩だと思います。
ただ、発達専門のクリニックは予約が取りづらいことも多いので、まずは発達相談ができる小児科や、かかりつけの先生に相談してみるのもいいかもしれません。身近な医師に相談することで、次のステップが見えてくることがありますし、早めにサポートを受けることで、子どもが安心して成長できる環境を整えやすくなります。親としても少し肩の荷が下りる瞬間が増えると思いますよ。
まとめ:子どもの行動に気づき、見守る大切さ
子どもがADHDやASDなど発達特性を持つかもしれないと感じると、親として「このままで良いのだろうか?」と不安を感じたり、悩むのは自然なことです。ADHDやASDといった発達特性は、成長と共に明確になることも多いため、気になる行動を経過観察し、必要に応じて専門家に相談することが大切です。
また、日常生活に支障が出始めたと感じた場合や、家庭や幼稚園での行動に困難がある場合は、まずは気軽に発達相談ができる小児科や、かかりつけ医に相談してみるのもよいでしょう。早めに適切なサポートを受けることで、子どもの成長を支える環境を整えることができます。
この情報は参考であり、正確な診断や治療方針は専門医に相談することが重要です。親として子どもを見守りながら、必要なサポートを得るための第一歩を踏み出していきましょう。
次回は、「発達障害児の特性と対応法:実行機能・感覚過敏・体の使い方・注意力の課題とは?」についてお話しします。
お楽しみに!