はじめに
サーキット学習は、運動・感覚・注意力・順番を待つ力を一度に育てられる、療育や家庭遊びでとても人気の高い活動です。
特に発達特性のある子どもにとっては、
「見通しが立つ」「体を動かしながら学べる」という点で取り入れやすく、年少〜就学前まで幅広く活用できます。
この記事では、
- 課題の具体的な流れ
- 複数人で行うときのポイント
- よくあるつまずきと家庭での工夫
まで、実践的にまとめました。
目次
- サーキット学習とは?
- サーキット学習|課題の流れ(基本モデル)
- 各課題のねらいと家庭での工夫
- 実体験からわかったサーキット学習の効果
- サーキット学習|複数人で参加するメリットと工夫
- 家庭でサーキット学習を成功させるコツ
- 年齢別サーキット学習アレンジ
(3歳・4歳・5歳)
就学準備向け(6歳・年長) - よくある質問(FAQ)
- まとめ|家庭で無理なく続けるために
1. サーキット学習とは?
サーキット学習とは、複数の運動課題を順番に回って行う学習方法です。
療育現場・幼稚園・保育園・家庭療育で活用され、
- ✅ 粗大運動(ジャンプ・バランス)
- ✅ 感覚統合(前庭感覚・固有感覚)
- ✅ 注意力・切り替え
- ✅ 指示理解・順序理解
を同時に育てることができます。
2. サーキット学習|課題の流れ(基本モデル)

🔁 基本の流れ(おすすめ順)
1️⃣ 椅子に座る(スタート)
2️⃣ 平均台を渡る
3️⃣ マットや座布団の上をジャンプ
4️⃣ ボールを持って箱に入れる
5️⃣ フラフープ・段ボールトンネルをくぐる
6️⃣ 毛布ブランコ
7️⃣ 椅子に座る(ゴール)
👉「始まりと終わりが同じ動作(椅子に座る)」にすることで、
子どもが見通しを持ちやすく・気持ちを切り替えやすくなります。
3. 各課題のねらいと家庭での工夫 ✅
🔹椅子に座る
ねらい:姿勢保持・スタート合図の理解
つまずきがち:すぐ立ち上がる
👉 工夫:「ピッタリ座れたらスタート!」と短い声かけ
🔹平均台
ねらい:バランス感覚・体幹
つまずきがち:怖がって進めない
👉 工夫:最初は床にテープで代用してOK
🔹ジャンプ(マット・座布団)
ねらい:両足ジャンプ・固有感覚
つまずきがち:片足ジャンプ・着地が不安定
👉 工夫:「グーでジャンプ!」と視覚+言語提示
🔹ボールを箱に入れる
ねらい:目と手の協応・達成感
つまずきがち:投げすぎ・逸れる
👉 工夫:最初は箱を近く・大きめに
🔹トンネル・フラフープ
ねらい:空間認知・全身運動
つまずきがち:途中で止まる
👉 工夫:出口に大人の笑顔と声掛け
🔹毛布ブランコ
ねらい:前庭感覚・安心感
つまずきがち:怖がる
👉 工夫:揺らさず「乗るだけ」からスタート
4. 実体験ひとこと📝

最初は平均台で止まってしまっていた息子も、
毎回同じ順番でサーキットを行うことで
「次はジャンプだね」と先を予測できるようになりました。
終わった後の達成感の表情が、親として本当に嬉しかったです。
5. サーキット学習|複数人で参加するメリットと工夫

👦👧 複数人で行うメリット
- ✅ 順番を待つ力(ターンテイク)
- ✅ 友だちの動きを見る模倣力
- ✅ 「次は自分」という見通し
- ✅ 成功体験の共有による社会性
複数人サーキットでのおすすめルール
✅ 順番カード・色マットを用意
✅ 1人ずつスタート(流れは同じ)
✅ 待つ場所は「椅子で座って待つ」
👉「待つ」も立派な課題です。
6. 家庭でサーキット学習を成功させるコツ

- 🔹 課題数は 5〜7個まで
- 🔹 毎回「同じ流れ」を意識
- 🔹 できたらすぐ褒める
- 🔹 うまくいかない日は減らす勇気
7. 年齢別サーキット学習アレンジ(3歳・4歳・5歳)
サーキット学習は、
運動・感覚・社会性・就学準備までつながる万能な療育アプローチです。
年齢や特性に合わせて柔軟にアレンジし、
「できた!」を積み重ねていきましょう✨
🌱 3歳向け|「安心して参加する」が最優先
ねらい
- 指示を聞く
- 流れに乗る
- 体を動かす楽しさを知る
おすすめ構成
- 椅子に座る
- 床テープの平均台(1〜2m)
- 座布団ジャンプ(1回)
- ボールを箱へ「入れるだけ」
- トンネルをくぐる
- 椅子に座る
工夫ポイント
- 説明は「みて・やって」でOK
- 失敗は訂正しない
- 笑顔と拍手で終了👏
👉 目的は成功体験のみ
🌼 4歳向け|「順番・切り替え」を育てる
ねらい
- 指示理解
- 両足ジャンプ
- 待つ経験
おすすめ構成
- 椅子に座る
- 平均台(落ちないように)
- マットジャンプ(2回)
- ボールを「持って→箱に入れる」
- フラフープ or トンネル
- 毛布ブランコ(軽く)
- 椅子に座る
工夫ポイント
- 「次は○○」と予告
- 待機場所を明確に
- できた所をピンポイントで褒める
🌟 5歳向け|「就学を意識した構造」
ねらい
- 複数指示の理解
- 自己コントロール
- 見通しをもって行動する力
おすすめ構成
- 椅子に座る(姿勢意識)
- 平均台(途中で方向転換)
- マットジャンプ(連続)
- ボールを指定色の箱へ
- トンネル(途中で止まらない)
- 毛布ブランコ→自分で降りる
- 椅子に座る
工夫ポイント
- ルールを事前に1回説明
- タイムや回数は競わせない
- 「終わり」を自分で意識させる
✅ 6歳向け|就学準備向けサーキット構成(年長〜)
🎒 学校生活につながる構成
構成例
- 椅子に座る(背中を付ける)
- 平均台(ゆっくり・落ち着いて)
- 指示付きジャンプ
→「2回ジャンプしてストップ」 - ボールを箱に入れたら待機
- トンネル(順番を守る)
- 椅子に戻り、名前を呼ばれて立つ
身につく力
- 指示を最後まで聞く
- 順番を守る
- 集団行動への耐性
👉 体育・生活科・朝の会の基礎になります
8. よくある質問(FAQ)
サーキット学習は何歳からできますか?
2歳後半〜可能ですが、3歳以降が特におすすめです。
発達障害の子でも参加できますか?
はい。ASD・ADHD・DCDの子にも適した活動です。
落ち着きがなくても大丈夫?
大丈夫です。短時間・少ない課題から始めましょう。
家庭でもできますか?
できます。100均グッズで十分代用可能です。
失敗したらやり直させるべき?
無理にやり直させず、できた所を評価しましょう。
時間はどれくらい?
5〜15分が集中できます。
毎日やる必要はありますか?
週1〜2回でも十分効果があります。
兄弟で一緒にできますか?
可能です。年齢差があっても役割分担すればOKです。
危険な点はありますか?
床滑り・高さに注意し、必ず大人が見守りましょう。
うまくいかない日はどうする?
その日は課題を減らして早めに終了で大丈夫です。
まとめ 🌟
サーキット学習は、
運動が苦手な子・落ち着きにくい子・切り替えが難しい子にも取り入れやすい、
非常にバランスの良い療育アプローチです。
✅ 課題の流れを固定する
✅ 椅子スタート・椅子ゴールで安心感
✅ 複数人参加で社会性も育つ
まずは平均台とジャンプだけでもOK。
今日できる一歩から始めてみてください。
「完璧」を目指さず、
楽しく続けることがいちばんの近道です。
📢次回予告
どうぞお楽しみに。
関連記事
- 【発達が気になる子に】着替え・身支度が苦手な理由とサポート法|視覚支援×遊び
- 【就学相談の流れ】年長ママ体験談|聞かれること&後悔しない準備
- 就学に向けて 年長 リアル体験談|ASD・吃音の息子と歩む支援級か普通級かの選び方と入学準備
- 年長児の就学前学習|ひらがな・数・図形の目安と家庭でできる対策
- 【発達検査WISC-Ⅴ】FSIQ(全検査IQ)とは?意味・特徴・結果の見方とサポート法と体験談
- 【体験談あり】就学前検診の所要時間と当日の流れ|持ち物・服装・注意点も解説
- 就学判定の結果が届いたらどうする?|特別支援学級と通級の違い・家庭での準備ポイント
- 【就学準備】立って靴を履く練習|小学校入学前に身につけたい身辺自立スキル
- 【就学準備】運動スキルを高めるジャンプ・バランス練習|家庭でできるアプローチ