はじめに
「赤ちゃんのまねっこは、いつから始まる?」
「1歳になっても、バイバイやパチパチをあまり真似しないけれど大丈夫?」
「周りの子はダンスを真似しているのに、うちの子は見ているだけ……。」
そんなふうに、子どもの模倣行動(まねっこ)が気になることはありませんか?
模倣行動とは、大人や子どもの動き・表情・声・しぐさなどを見て、同じようにやってみることです。
赤ちゃんのころの表情や声のやり取りから、バイバイやパチパチ、ごっこ遊び、ダンスや集団活動まで、まねっこの姿は成長とともに変わっていきます。
ただし、
「○歳なら必ずこれができる」
というものではありません。
発達の時期や現れ方には個人差があります。
わが家でも、息子が幼いころは手遊びやダンスのまねが苦手で、「どうして周りの子のようにできないんだろう」と心配した時期がありました。

この記事では、
- 模倣行動とは何か
- 0歳〜4歳ごろまでの年齢別の発達の目安
- まねっこが苦手なときに家庭でできる関わり方
- 親子で楽しめる模倣遊び
- 発達が気になるときの相談先
- わが家で実際に取り組んだこと
について紹介します。
※年齢別の内容は「できる・できない」を判定するものではなく、子どもの発達を見る一つの目安としてご覧ください。
1.模倣行動とは?子どもの発達との関係
模倣行動(まねっこ)とは、周囲の人の動き・表情・声・しぐさなどを見たり聞いたりして、同じようにやってみることです。
模倣行動の例
たとえば、
- 大人が手を振ると「バイバイ」と手を振る
- 大人が拍手するとパチパチする
- 掃除をしている姿を見て、同じような動きをする
- 歌やダンスの振り付けをまねる
- 友達の遊び方を見て同じように遊ぶ
なども模倣行動の一つです。
子どもはまねっこを通して、ことば・体の動かし方・物の使い方・人との関わり方など、さまざまなことを学んでいきます。
「まねする」という行動は、子どもにとって大切な学び方の一つなのです。
2.模倣行動はいつから?何歳ごろにどんなまねっこが見られる?

模倣行動は、ある日突然完成するものではありません。
人の顔を見る、声に反応する、やり取りを楽しむといった経験を重ねながら、少しずつさまざまなまねっこにつながっていきます。
ここでは年齢ごとによく見られる姿を紹介します。
乳児期の模倣行動は、大人とまったく同じ動きを再現することだけではなく、人の顔を見る、声に反応する、やり取りを楽しむといった姿から少しずつ広がっていきます。
生後6か月ごろ~
このころは、大人とのやり取りを楽しむ姿が増えてきます。
たとえば、
- 顔を見て笑う
- 声を出すと声を返す
- 「いないいないばあ」を喜ぶ
- 表情や声に反応する
などです。
まだ「大人とまったく同じ動作をする」という模倣だけではなく、人に注目してやり取りすること自体が、その後のまねっこにつながっていきます。
1歳ごろ~
バイバイやパチパチなど、分かりやすいジェスチャーが見られるようになってきます。
たとえば、
- バイバイと手を振る
- パチパチと拍手する
- 手遊びを一緒に楽しむ
- 大人が使っている物に興味を持つ
など。
ただし、同じ月齢でも得意なことや興味を持つものは違います。
「バイバイはしないけれど、別の動作はよくまねする」ということもあります。
1歳半ごろ~
大人が日常生活でしていることを、遊びの中で再現する姿も増えてきます。
たとえば、
- 掃除をするまね
- 電話をするまね
- スプーンを使うまね
- 人形に食べさせる
- 音楽に合わせて体を動かす
などです。
「見たことを自分でもやってみる」という行動が、日常生活の中に広がっていきます。
赤ちゃんの模倣が始まる時期や、バイバイ・パチパチの月齢について詳しく知りたい方は、こちらの記事でまとめています。
👉【赤ちゃんの模倣はいつから?】まねっこが始まる時期・月齢の目安|バイバイ・パチパチは?
2〜3歳ごろ
ごっこ遊びがさらに広がってきます。
- お医者さんごっこ
- お料理ごっこ
- キャラクターになりきる
- 大人や友達の言葉をまねする
- 簡単なダンスをまねする
など、単純な動作だけではなく、役割や場面そのものをまねする遊びも増えてきます。
3〜4歳ごろ
幼稚園や保育園などの集団生活では、周りを見ることで活動を理解する機会も増えてきます。
たとえば、
- 先生の動きを見て体操する
- ダンスの振り付けをまねする
- 友達の遊びを取り入れる
- 周りの子を見ながら活動する
などです。
一方で、
「見て分かっていても、同じように体を動かすのは難しい」
という子もいます。
わが家の息子は、このタイプでした。
3.まねっこが苦手なのはなぜ?
「まねをしない=やる気がない」とは限りません。
一つの動きをまねするためにも、
見る → 注目する → 動きを理解する → 自分の体を動かす
という複数の過程があります。
そのため、
- 人や動きへの注目のしやすさ
- ことばの理解
- 体の動かし方
- 感覚の特性
- 集中しやすさ
- その遊びへの興味
など、いろいろな要素が関係することがあります。
特に複雑なダンスなどは、単純な「まねっこ」だけではなく、複数の動きを覚えたり順番に再現したりする必要があります。
そのため、簡単な模倣はできても、ダンスになると難しいということもあります。
大切なのは、一つの行動だけを見て判断するのではなく、その子が普段どのように人と関わり、遊び、コミュニケーションを取っているかを含めて見ていくことです。
4.まねっこが苦手な子に家庭でできる関わり方
お手本は短く・分かりやすく
いきなり長いダンスをまねするのは難しくても、
「パチパチ」
だけならできるかもしれません。
最初は一つの簡単な動きから始めます。
できるようになったら、
パチパチ → バンザイ
のように、少しずつ動きを増やします。
子どもの好きなものを使う
「練習しよう」と誘うより、
「ライオンみたいにガオー!」
「ウサギみたいにピョン!」
など、好きな動物やキャラクターになりきる方が参加しやすいこともあります。
正確さを求めすぎない
最初から大人とまったく同じ動きでなくても大丈夫です。
少し手が動いた、体を揺らした、こちらを見た。
そんな小さな参加も、次のステップにつながります。
刺激を減らしてみる
周囲にたくさんのおもちゃや音があると、お手本に注目しにくい子もいます。
必要に応じて、
「今見てほしいもの」が分かりやすい環境
にすると取り組みやすくなることがあります。
5.親子で楽しめる「まねっこ遊び」12選
① お料理ごっこ
野菜を切る、混ぜる、フライパンを振るなど、身近な動きを一緒にまねします。

② 洗濯物たたみごっこ
小さなタオルやハンカチを使って、親が折る姿を見せながら一緒にたたみます。

③ 動物まねっこ
「ライオンでガオー!」
「ウサギでぴょんぴょん!」
など、全身を使って遊びます。

④ リズム遊び
最初は、
パン・パン♪
と手を2回叩く程度から。
慣れてきたら簡単なリズムに発展させます。

⑤ いないいないばあ
小さい子でも楽しみやすい、親子のやり取り遊びです。

⑥ お絵描きまねっこ
親が「○」を描いて、子どもも同じように描いてみます。
難しければ線一本から始めてもOKです。

⑦ お風呂でまねっこ
「腕をゴシゴシ」
「頭をゴシゴシ」
など、生活動作の中にもまねっこを取り入れられます。

⑧ ダンスごっこ
好きな音楽に合わせて体を動かします。
最初から振り付けを全部覚えなくても、手を上げる・ジャンプするなど、一部分だけでも十分です。

⑨ 拍手・ジェスチャーまねっこ
拍手、バンザイ、タッチなど、簡単な動作から楽しみます。

⑩ ストーリーごっこ
「電車が出発します!」
と言いながらおもちゃを動かすなど、物語の中にまねっこを取り入れます。

⑪ おままごと
お皿を並べる、コップに注ぐ、人形に食べさせるなど、日常生活の模倣につながります。

⑫ 鏡でまねっこ
鏡を見ながら、
「にっこり」
「ほっぺをぷくっ」
「バンザイ!」
など、表情やポーズを一緒に楽しみます。
ポイントは、「できるようにするための訓練」にしすぎないこと。
親子で「面白い!」と思える遊びの中に、自然にまねっこを入れていきます。

6.わが家では「ダンスのまね」が苦手だった
わが家の息子も、幼いころは模倣が得意ではありませんでした。
2〜3歳ごろは、「むすんでひらいて」などの手遊びをみんなと一緒にすることが難しく、幼稚園でもダンスや集団活動が苦手でした。
特に印象に残っているのが、年少の運動会です。
周りの子が踊っている中で、息子はなかなか同じように動くことができませんでした。
当時は私も、
「どうしてみんなと同じようにできないんだろう」
と心配しました。

その後、発達について相談し、療育でも簡単なまねっこ遊びなどに取り組みました。
最初は拍手やジャンプなど、簡単な動きから。
少しずつ経験を重ねていく中で、手遊びや体を使った活動にも参加できることが増えていきました。
そして年中の運動会では、音楽に合わせて体を動かす姿を見ることができました。
「まねが苦手」という一つの姿だけを見るのではなく、
どのくらいの動きならできるのか
どんな見せ方なら分かりやすいのか
を探していくことが大切だったのだと感じています。


7.模倣行動が気になるときはどこに相談する?
模倣の発達には個人差があります。
そのため、
「○歳でこの動作ができないから、発達に問題がある」
と一つの行動だけで判断することはできません。
一方で、
- まねっこだけでなく、ことばやコミュニケーションなど他にも気になることがある
- 以前できていたことができなくなった
- 園生活や日常生活で困る場面が増えている
- 保護者自身が「少し気になる」と感じている
という場合は、一人で判断せず相談してみるのも一つの方法です。
相談先としては、
市区町村の乳幼児健診・保健センター、かかりつけの小児科、地域の発達相談窓口などがあります。
「相談するほどなのかな?」という段階でも、普段気になっている様子を伝えてみて構いません。
8.よくある質問
赤ちゃんの模倣行動はいつから始まりますか?
人とのやり取りや声への反応などから少しずつ発達し、1歳ごろにはバイバイなどのジェスチャーが見られる子もいます。
ただし、発達の現れ方には個人差があります。
1歳なのにバイバイをまねしません。大丈夫ですか?
バイバイ一つだけで発達全体を判断することはできません。
ほかのジェスチャー、人とのやり取り、ことば、遊びなども含めて見ていきます。
気になることが複数ある場合や心配が続く場合は、乳幼児健診やかかりつけ医などで相談してみてもよいでしょう。
模倣行動を促すには、どんな遊びがいいですか?
拍手、バンザイ、動物の動きなど、短くて分かりやすい動作から始めると取り組みやすくなります。
子どもの好きな歌や遊びに取り入れるのもおすすめです。
ダンスをまねできないのは、模倣が苦手だからですか?
一概にはいえません。
ダンスでは、お手本を見るだけでなく、動きを覚える、順番を理解する、体を動かすなど複数の力を使います。
一つずつの動作に分けると取り組みやすくなる子もいます。
模倣が少ないときは、いつ相談すればいいですか?
年齢だけで一律に判断するのではなく、ほかの発達面や日常生活での困りごとも含めて考えます。
保護者が気になっている場合は、健診やかかりつけ医などで相談して構いません。
まとめ|まねっこは「できる・できない」だけで見なくていい
模倣行動は、子どもが周囲からさまざまなことを学ぶ方法の一つです。
赤ちゃんのころのやり取りから始まり、
バイバイ・パチパチ → 生活動作 → ごっこ遊び → ダンスや集団活動
など、成長とともにさまざまな形へ広がっていきます。
一方で、発達のスピードや得意なまねっこは子どもによって違います。
わが家の息子も、幼いころは手遊びやダンスの模倣が苦手でした。
だからこそ、
「できないから何度も練習させる」
だけではなく、
「どこまでならできる?」
「どう見せると分かりやすい?」
と考えることが大切だと感じています。
簡単な動作から、親子で楽しみながら。
それでも気になることがある場合は、一人で抱えず、健診や専門家への相談も活用してみてください。