はじめに|キャッチボールは「難しい遊び」ではありません
「キャッチボール」と聞くと、
✅ ボールを投げて
✅ 相手がキャッチして
✅ それを繰り返す
という完成形を思い浮かべる方が多いかもしれません。
ですが、発達段階に合わせて分解すると、
キャッチボールは 感覚統合・運動協調・社会性 を育てる“最高の遊び”になります。
この記事では、
キャッチボールを4つのステップに分けて
家庭や療育で無理なく取り入れる方法を解説します。
目次
はじめに|キャッチボールは「難しい遊び」ではありません
1. キャッチボールが育てる力【発達支援の視点】
2. キャッチボールのステップ
ステップ① ボールを転がす|キャッチボールの土台作り
ステップ② ボールをキャッチする|目と手の協応を育てる
ステップ③ ボールを投げる|力のコントロール練習
ステップ④ 複数でキャッチボールする|社会性とルール理解へ
3. 発達段階別|キャッチボールの目安
年齢別|キャッチボールの声かけ例【発達に合わせて】
4. キャッチボールでよくあるつまずき → 家庭での工夫
5. よくある質問(Q&A)
まとめ|キャッチボールは「できる形」で育てればいい
1. キャッチボールが育てる力【発達支援の視点】

キャッチボールには、次のような力が自然に含まれています。
- 👀 視覚認知(ボールを目で追う)
- ✋ 目と手の協応(見る→つかむ)
- 💪 力加減・タイミング調整
- 🧠 予測力・注意力
- 🧑🤝🧑 順番・やりとり(社会性)
そのため、
ASD・ADHD・DCD(不器用さ) のある子の支援にも非常に相性が良い運動遊びです。
2. キャッチボールのステップ

ステップ①
ボールを「転がす」|キャッチボールの土台作り

ねらい
- 視線で物を追う
- 相手の存在を意識する
- 手で止める経験をする
遊び方
- 座った状態で向かい合う
- 柔らかいボールを 床に転がす
- 「いくよ」「どうぞ」と声かけを入れる
ポイント
- キャッチできなくてもOK
- 触れた・止められたら大成功
- 距離は50cm〜1mで十分
👉 「投げないキャッチボール」でも立派なスタートです
体験談
我が家でも、最初はいきなり投げるのは難しく、床にボールを転がすところから始めました。
「止められたね」「触れたね」と声をかけるだけでも、
少しずつボールへの抵抗が減っていったように感じます。
ステップ②
ボールを「キャッチする」|目と手の協応を育てる

ねらい
- タイミングを合わせる
- 両手で受け止める感覚を知る
遊び方
- 軽く山なりに投げる
- 最初は胸元を狙う
- 落としても責めない
家庭での工夫
- 風船や布ボールから始める
- 「両手でぎゅー!」と動作を言語化
- キャッチできなくても拍手👏
ステップ③
ボールを「投げる」|力のコントロール練習

ねらい
- 力加減を学ぶ
- 狙った方向へ出す
遊び方
- 的(箱・カゴ)に向かって投げる
- 距離は近くから
- 下投げ → 両手 → 片手へ段階的に
つまずきやすいポイント
- 強く投げすぎる
- 上に投げてしまう
👉
✅「転がしてもいい」
✅「近づいて投げてもOK」
と 失敗しない形に調整 するのがコツです。
ステップ④
複数でキャッチボールする|社会性とルール理解へ
ねらい
- 順番を待つ
- 相手を見る
- ルールのあるやりとりを経験する
遊び方
- 大人+子ども2人以上
- 「〇〇ちゃん→ママ→〇〇くん」のように順番を明確に
- 名前を呼んでから投げる
支援ポイント
- 待てなくても「途中参加OK」
- ボールを受け取らず見ているだけでもOK
- 無理に続けさせない
👉「参加している感覚」が何より大切です
3. 発達段階別|キャッチボールの目安
| 発達段階 | おすすめ内容 |
|---|---|
| 2〜3歳 | 転がす・止める |
| 3〜4歳 | 受け取る・下投げ |
| 4〜5歳 | 投げ返す |
| 5歳〜 | 複数人キャッチボール |
※あくまで目安。
年齢より「できる動き」を優先します。
年齢別|キャッチボールの声かけ例【発達に合わせて】
2〜3歳|「見る・触れる」を楽しむ時期
ねらい
- ボールに注目する
- 相手の存在を意識する
声かけ例
- 「コロコロ〜いくよ」
- 「ボールきたね」
- 「さわれたね!」
✅ ポイント
→ 成功を判断しない声かけ が安心感につながります。
3〜4歳|受け取る動きを覚える時期
ねらい
- 目と手を同時に使う
- 両手で受け止める
声かけ例
- 「まえをみて、キャッチ!」
- 「りょうてでギュッ」
- 「おしかったね、つぎいこう」
✅ ポイント
→ 「惜しい」「もう一回」が 意欲を伸ばします。
4〜5歳|投げ返す・やりとりする時期
ねらい
- 力加減
- 相手を意識した投球
声かけ例
- 「〇〇にむかって、えいっ」
- 「やさしくね」
- 「ママ、まってるよ」
✅ ポイント
→ 抽象語より 具体的な指示 が理解しやすいです。
5歳〜|複数人・ルールを意識する時期
ねらい
- 順番を待つ
- ルールのある遊び
声かけ例
- 「つぎは〇〇ちゃん」
- 「なまえをよんでからね」
- 「ナイスパス!」
✅ ポイント
→ 結果より 行動をほめる と継続しやすくなります。
4. キャッチボールでよくあるつまずき → 家庭での工夫

ボールを見ない・追えない
よくある背景
- 視覚の使いづらさ
- 注意がそれやすい
✅ 家庭での工夫
- 派手な色・大きめボールを使う
- 転がす距離を短くする
- 「いくよ」と予告する
キャッチできず癇癪になる
よくある背景
- 失敗経験がつらい
- 期待が高すぎる
✅ 家庭での工夫
- 風船・布ボールに変更
- キャッチしなくてOKルール
- 「触れたら成功」に基準を下げる
投げる力が強すぎる・弱すぎる
よくある背景
- 力加減が分からない
- 体幹・協調性の課題
✅ 家庭での工夫
- 下投げから始める
- 近距離にする
- 的(箱・カゴ)を使う
順番が待てない・割り込む
よくある背景
- 衝動性が高い
- ルール理解が未熟
✅ 家庭での工夫
- 順番カード・名前呼び
- 待ち時間を短く
- 見ているだけ参加OK
5. よくある質問
キャッチボールは何歳からできますか?
2歳前後でも「転がす」遊びから始められます。
年齢より発達段階を重視しましょう。キャッチできなくても意味はありますか?
あります。
見る・触れる・止めるだけでも十分な発達刺激になります。発達障害のある子でも取り組めますか?
はい。段階を細かく分けることで無理なく取り入れられます。
すぐ飽きてしまう場合は?
1〜2分で終わってOKです。
「またやろう」と思える終わり方が大切です。ボールはどんなものがおすすめ?
風船・布ボール・柔らかいスポンジボールがおすすめです。
投げる力が強すぎて危ないです
距離を近づけ、下投げ・転がしに戻して調整しましょう。
順番が待てずトラブルになります
見ているだけ参加でもOK。
順番カードを使うのも効果的です。毎日やった方がいいですか?
無理に毎日でなくてOK。週に数回でも十分です。
集団遊びが苦手でも大丈夫?
まずは大人1人との1対1から始めましょう。
療育に通っていなくてもできますか?
はい。家庭でできる遊びとして十分活用できます。
まとめ|キャッチボールは「できる形」で育てればいい
✅ 転がすだけでもOK
✅ キャッチできなくてもOK
✅ 投げなくてもOK
キャッチボールは
完成形を目指す遊びではなく、積み重ねを楽しむ遊びです。
小さな「できた」を大切にしながら、
「一緒に楽しめたか」を大切にして続けています。
親子・家族・療育の時間にぜひ取り入れてみてください🌱
📢次回予告
お楽しみに✨