はじめに
「太田ステージって何?」
「Stage I・II・III-1・III-2の違いがよく分からない。」
「太田ステージの発達段階を、一覧表で見たい。」
そんな方もいるのではないでしょうか。
太田ステージは、子どものシンボル表象機能の発達段階を捉えるための評価法です。
大きく、
Stage I → Stage II → Stage III-1 → Stage III-2 → Stage IV → Stage V以上
の6段階に分けられます。
評価にはLDT-R(言語解読能力テスト改訂版)が用いられ、子どもの認知発達の段階を把握することで、その子の理解に合わせた支援を考える手がかりになります。
この記事では、
- 太田ステージとは何か
- 太田ステージの6つの発達段階一覧
- LDT-Rによる評価
- 各ステージを見るときのポイント
- 発達段階に合わせた支援の考え方
- 家庭で取り入れやすい関わり方
について、できるだけわかりやすく紹介します。
※太田ステージは、子どもの発達を年齢だけで判断したり、家庭で自己診断したりするためのものではありません。
実際の評価や支援については、必要に応じて専門家にご相談ください。
太田ステージの発達段階を一覧表で見る
まずは、太田ステージの6つの発達段階を一覧で見てみましょう。
| 太田ステージ | 発達段階の大まかな位置づけ |
|---|---|
| Stage I | シンボル機能が認められない段階 |
| Stage II | シンボル機能の芽生えの段階 |
| Stage III-1 | シンボル機能がはっきりと認められる段階 |
| Stage III-2 | 概念形成の芽生えの段階 |
| Stage IV | 基本的な関係の概念が形成された段階 |
| Stage V以上 | Stage IVを超えた発達段階 |
太田ステージ研究会では、大枠をStage I・II・III-1・III-2・IV・V以上の6段階としています。
大切なのは、
「○歳だからStage○」と年齢だけで決めるものではない
ということです。
LDT-Rによる具体的な操作基準を用いて、シンボル表象機能の発達段階を捉えます。
そのため、この一覧表は「うちの子はこのStage」と家庭で判定するためではなく、太田ステージ全体の流れを理解するための目安として見てください。

※図は太田ステージの発達の流れをイメージしやすくするために作成したものです。
実際のStageは、図にある行動だけで判定するものではありません。
太田ステージとは?わかりやすくいうと
太田ステージとは、子どものシンボル表象機能がどの発達段階にあるのかを見る評価法です。
「シンボル表象機能」と聞くと、少し難しく感じますよね。
私自身も最初は、
「結局、何を見るものなの?」
と思いました。
私なりにかみ砕くと、目の前にある物だけでなく、物と言葉を結びつけたり、比較したり、位置関係などの概念を理解したりする認知の発達を見ていくもの、と考えると分かりやすくなりました。
太田ステージ研究会では、自閉スペクトラム症(ASD)では、シンボル表象の形成や比較・基本的な空間概念などに特徴がみられることに着目し、認知発達理論の発達の節目をもとに段階を設定したと説明しています。
つまり、
「できる・できない」だけを見るのではなく、今どのような理解の段階にいるのかを考える
ための視点になります。
太田ステージは何のために使うの?
太田ステージの良いところは、単に「Stage○でした」と分類して終わることではありません。
太田ステージ研究会では、評価によって、
子どものシンボル表象機能の段階を把握すること
だけでなく、
行動の意味を考えること
そして、
その段階に合った治療教育の手立てを考えること
につなげられる点を利点として挙げています。
子どもが課題をできないと、
「やる気がないのかな?」
「何回言っても分かってくれない。」
と思ってしまうことがあります。
でも、もしかすると、その課題を理解するために必要な認知発達の段階と、現在の理解にズレがあるのかもしれません。
今の理解に合った伝え方や課題を考える。
そのヒントになるのが太田ステージです。
太田ステージの評価方法|LDT-Rとは?
太田ステージの評価には、LDT-R(Language Decoding Test-Revised/言語解読能力テスト改訂版)が用いられます。
LDT-Rは、言語の理解を切り口として認知発達を把握する検査です。
太田ステージ研究会によると、用具が少なく、5分程度で理解力の目安を得られ、対象者への負担が比較的少ないことが特徴とされています。
検査には、カードだけでなく、
小箱、碁石、積み木、ボタン、はさみ、犬のおもちゃなどの用具も使用されます。
そのため、太田ステージは単純に、
「言葉を何個話せる?」
「何歳相当?」
だけを見るものではありません。
実際の課題への反応から、認知発達の段階を捉えていく評価法です。
太田ステージ6つの発達段階をわかりやすく解説
ここからは、6つのStageについて見ていきます。
なお、各Stageにはさらに細かな操作基準があります。
家庭で「この行動があるからStage○」と自己判断するのではなく、それぞれのStageがどのような発達の流れに位置しているのかを知るための説明としてご覧ください。

※図は6つのStageの全体像を分かりやすく示したイメージです。実際の評価はLDT-Rによる操作基準をもとに行われます。
Stage I(ステージ1)
Stage Iは、シンボル機能がまだ認められない段階です。
この段階では、言葉だけで理解させようとするよりも、実物や動作など、具体的で分かりやすい情報を使って関わることが大切になります。
家庭での関わり方の一例としては、
- 実物を見せながら言葉を添える
- 短く分かりやすい声かけにする
- 手遊びや歌など、一緒に楽しめる活動を取り入れる
- 毎日の流れを分かりやすくする
など、「見て分かる」「やって分かる」関わりを意識すると取り入れやすいと思います。
Stage II(ステージ2)
Stage IIは、シンボル機能の芽生えの段階です。
物と言葉とのつながりが少しずつ生まれてくる段階として捉えると、イメージしやすくなります。
家庭での関わり方の一例としては、実物+言葉をセットにする方法があります。
例えば、
りんごを見せながら「りんごだね」。
コップを渡しながら「コップで飲もう」。
靴を見せながら「靴を履こう」。
このように、目の前にあるものと短い言葉を結びつけながら伝えます。
写真や絵カードなど、視覚的な情報を加える方法もあります。
Stage III-1(ステージ3-1)
Stage III-1では、シンボル機能がはっきりと認められる段階です。
この頃は、ただ物の名前を覚えるだけでなく、
「何に使うもの?」
「どうやって使う?」
といった物の用途や意味へ理解を広げる遊びも取り入れやすくなります。
例えば、
「スプーンは食べるときに使う」
「鉛筆は書くときに使う」
など、日常生活そのものが教材になります。
我が家でも、机上の課題だけではなく、買い物・食事・着替えなど、実際の生活の中で経験することを大切にしてきました。
Stage III-2(ステージ3-2)
Stage III-2は、概念形成の芽生えの段階です。
比較などを通して、物と物との関係を捉える理解が広がっていきます。
例えば、
「大きい・小さい」
「長い・短い」
などです。
家庭での関わり方の一例として、
「どっちが大きい?」
「長い方をちょうだい」
「同じものはどれ?」
など、生活や遊びの中で比較する経験を取り入れることもできます。
ブロック、お菓子、洋服、食器など、身近なものでも十分です。
Stage IV(ステージ4)
Stage IVは、基本的な関係の概念が形成された段階です。LDT-Rでは空間関係などの理解が評価されます。
「上・下」
「右・左」
「前・後ろ」
「○○の中」
「○○の横」
など、物と物、自分と周囲との位置関係を理解する力も重要になってきます。
こうした力は、日常生活だけでなく、
- 学校で自分の場所へ移動する
- 体育で並ぶ
- 図や地図を見る
- 迷路をする
- 指示された位置に物を置く
といった場面にも関係します。
我が家でも、位置関係が分かりにくい場面では、言葉だけで何度も説明するより、図や印で「見える化」することで理解しやすくなることがありました。
Stage V以上
Stage V以上は、Stage IVを超えた発達段階です。
Stage IVまでの基本的な関係概念を土台に、より複雑な理解や思考を扱う段階へ進んでいきます。
この段階でも、
「Stageが高い=困りごとがない」
というわけではありません。
子どもによって得意・不得意は異なります。
学習、コミュニケーション、集団生活など、その子が実際に困っている場面を見ながら個別に支援を考えることが大切です。
太田ステージと年齢は同じではない
太田ステージを調べていると、
「Stage III-2は何歳?」
「Stage IVは何歳くらい?」
と気になる方もいると思います。
ただし、太田ステージを年齢だけに置き換えて考えるのはおすすめしません。
公式には、LDT-Rによる具体的な操作基準を用いて6段階に分ける評価法とされています。
同じ年齢でも、子どもの発達の仕方は一人ひとり違います。
さらに、一人の子どもの中でも、
「これは得意」
「これはまだ難しい」
というばらつきがあります。
そのため、
「○歳なのにStage○だから遅れている」
と単純に考えるのではなく、
「今、どんなことなら理解しやすいのか」
「どんな伝え方なら分かりやすいのか」
を考える材料として活用することが大切です。
太田ステージに合わせた支援で大切なこと
太田ステージを知ったとき、私が一番役立つと感じたのは、
「次のStageへ上げなければ」と考えることではありませんでした。
それよりも、
「今の理解に合った方法で伝える」
という視点です。
例えば、言葉だけでは分かりにくいなら、
写真・イラスト・実物・見本
を使ってみる。
一度に複数のことを伝えるのが難しければ、
一つずつ伝える。
見通しが持てず動けないなら、
「①これ → ②これ → ③おしまい」と順番を見えるようにする。
こうした工夫は、家庭でも取り入れやすい方法です。
我が家で感じた「見える化」の大切さ

我が家でも、子どもができないことに対して、
「どうして分からないんだろう?」
と思ってしまったことがありました。
でも、実際には、
「やりたくない」
のではなく、
「何をすればいいのか分からない」
ということもあります。
例えば、初めての場所で動けなくなったとき。
言葉で何度も、
「大丈夫だよ」
「行っておいで」
と伝えるだけでは、なかなか動けないことがありました。
そこで、
①写真や動画で場所を見る
↓
②これからすることを確認する
↓
③一緒にやってみる
↓
④できた経験を積む
という形にすると、見通しを持ちやすくなりました。
また、位置関係が分かりにくい場面では、床に印を付けたり、図にしたりすることもありました。
太田ステージを知ることは、
「子どもをStageに当てはめること」ではなく、「この子にはどう見せたら伝わるだろう?」と考えるきっかけ
になるのではないかと思っています。
太田ステージを活用するメリット

太田ステージ研究会では、太田ステージ評価の利点として、発達段階を把握できることだけでなく、子どもの行動の意味や治療教育の手立てを考えられること、共通の基盤で支援の適切性を検討できることなどを挙げています。
家庭で結果を聞いたときも、
「Stage○だった」
だけで終わらせず、
今、何が分かっている?
どこでつまずきやすい?
どう伝えると理解しやすい?
まで専門家に聞いてみると、日常生活につなげやすくなります。
太田ステージに基づく3つの支援目標

太田ステージに応じた認知発達治療では、目標を3つの次元から設定するとされています。
第1次元|認知・情緒発達
認知・情緒の発達を促し、自分で行動をコントロールする力につなげていきます。
第2次元|生活技能
身支度や食事など、その人に必要な生活技能の獲得を目指します。
第3次元|不適応行動の予防・減弱
不適応につながる行動などを予防したり、減らしたりすることを目指します。
太田ステージ研究会では、各Stageに応じて、治療教育の目標・課題・プログラム・留意点などが整理されています。
つまり、認知課題だけに取り組むのではなく、実際の生活や行動まで含めて支援を考えるところもポイントです。
家庭で太田ステージを活用するときの注意点
太田ステージについて知ると、
「家でやってみたい」
「うちの子がどのStageなのか調べたい」
と思うかもしれません。
ただ、この記事の一覧表だけを使って家庭でStageを判定することはおすすめしません。
LDT-Rには具体的な検査用具や手引書があり、評価された発達段階ごとに治療教育・対応・支援の指針が整理されています。
家庭ではStageを決めることより、
専門家から伝えられた発達の特徴を、日常生活でどう支援するか
を考える方が活用しやすいと思います。
よくある質問
太田ステージとは何ですか?
太田ステージは、シンボル表象機能の発達段階を見る評価法です。
大枠ではStage I・II・III-1・III-2・IV・V以上の6段階に分けられます。太田ステージは何段階ありますか?
大きく6段階です。
Stage I → Stage II → Stage III-1 → Stage III-2 → Stage IV → Stage V以上
に分けられています。
太田ステージはどうやって評価しますか?
LDT-R(言語解読能力テスト改訂版)による具体的な操作基準を用いて評価します。
LDT-Rは言語理解を切り口として認知発達を把握する検査です。LDT-Rとは何ですか?
「Language Decoding Test-Revised」の略で、日本語では「言語解読能力テスト改訂版」と呼ばれます。
太田ステージの発達段階を評価するために使用されます。太田ステージは年齢で決まりますか?
年齢だけで決めるものではありません。
LDT-Rによる操作基準を使って発達段階を評価します。
まとめ|太田ステージは「今の理解に合った支援」を考えるヒント
太田ステージは、子どものシンボル表象機能の発達段階を捉える評価法です。
大きく、
Stage I
↓
Stage II
↓
Stage III-1
↓
Stage III-2
↓
Stage IV
↓
Stage V以上
の6段階に分けられます。
大切なのは、
「Stageが高い・低い」だけを見ることではありません。
「今、どんなことを理解しているのか」
「どんなところでつまずきやすいのか」
「どう伝えると分かりやすいのか」
を考え、その子に合った支援につなげていくことです。
我が家でも、言葉だけで伝わりにくいことを写真・イラスト・図・順番などで「見える化」することで、理解しやすくなった場面がありました。
子どもの「できない」を、
「どうしたら分かりやすくなるだろう?」
と考える。
太田ステージは、そのための一つの手がかりになると思います。
参考情報
本記事では、太田ステージの基本的な考え方・6つの発達段階・LDT-Rについて、太田ステージ研究会の公式情報を参考にしています。
太田ステージは、Stageだけで子どもの発達全体を判断するものではありません。実際の評価や支援については、必要に応じて医療・療育・教育などの専門家にご相談ください。
太田ステージ研究会「太田ステージ評価」
太田ステージ研究会「言語解読能力テスト改訂版(LDT-R)」
🔗 他の記事もチェック
- [【初心者向け】ASDの療育方法まとめ|ABA・TEACCH・感覚統合の選び方を解説]
- [療育って何から始めればいい?家庭でできること5選]
- [療育は必要?療育開始までの葛藤と乗り越え方:リアルな体験談]
ご意見・ご感想などありましたら、お気軽にコメント欄へどうぞ♪
この記事が少しでもお役に立ったら、ぜひシェアしていただけると嬉しいです✨