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子どもの気になる行動の原因と発達障害:保護者が知っておくべき理解と対策ガイド

私は、発達障害について深く学ぶ前、子どもの行動に対して、「どうしてこんなことをするんだろう?」「なぜ何度言ってもわかってくれないの?」と感じることが多くありました。イライラしたり、悲しくなったり、疲れ果てたりすることもありましたが、療育の勉強会や医師への相談を通じて、子どもの行動を新たな視点から見る方法を学びました。

背景を理解せずに叱るだけでは、行動は改善されるどころか、親子ともにストレスが増えるばかりです。何度言っても改善が見られない場合や、他のさまざまな状況を考慮して、発達障害の可能性を疑ってみることも重要だと感じています。私自身、こうした理解が進むにつれて、子どもとの接し方が大きく変わり、親子に前向きな変化が生まれました。

子どもの気になる行動とその背景を理解する

1. 気になる行動の背景:子どもが『うろうろする』理由

  • 体が動いてしまう: エネルギーが余っている場合や注意が散漫な場合に発生します。
  • 不快な感覚による動き: 触覚過敏で衣服が不快に感じることがあり、これによりじっとしていられない場合があります。
  • 次に何をすれば良いかわからない: 環境や指示が理解しにくく、何をすべきか分からないために、落ち着きがなくなることがあります。

  • うろうろする行動の背景:家の中でのケース
    子どもが家の中でじっとしていられず、リビングから寝室、廊下と行ったり来たりする場面も多くあります。例えば、家族がテレビを見ている間、じっと座っていられずに部屋中を歩き回ることがしばしば見られます。この場合、椅子にじっと座っている感覚が不快だったり、視覚的な刺激が強すぎたりして、体を動かすことでリラックスしようとしていることが考えられます。本人にとっては、リズミカルに歩くことで落ち着きや安心感が得られるのです。
  • うろうろする行動の背景:幼稚園や学校でのケース
    幼稚園や学校で集団行動中にもじっとしていられない場面があります。例えば、朝の会や話し合いの場面で、他の子どもが座っている中、一人だけ席を離れて教室の後ろを歩き回ることがあります。この場合、集団での静かな活動にプレッシャーを感じたり、指示の意味が分かりにくく感じてしまっている可能性があります。こうしたとき、うろうろすることは緊張を和らげるための『自己調整』の一環とも考えられます。
  • うろうろする行動の背景:訪問先でのケース
    家族や友人の家を訪ねた際に、初めての場所でうろうろすることもあります。例えば、他の子が集まって遊んでいる間、一人で部屋の隅々まで歩き回ったり、他の部屋に入ってみたりする行動が見られることがあります。この場合、知らない場所や新しい環境に対する不安感が原因であり、その場所が安全か確認したり、自分の落ち着く場所を探そうとしている可能性があります。歩き回ることで不安を軽減し、環境に馴染もうとする行動なのです。

2. 周囲と同じ行動ができない場合の対応方法

  • 何をすればよいかわからない: 周囲の状況や指示が理解しづらい場合、他の子どもと同じような行動が難しいことがあります。
  • 対策として、子どもに分かりやすい手順や具体的な指示を与えることが有効です。

  • エピソード:お片づけの時間
    幼稚園で遊びの時間が終わり、他の子どもたちが先生の指示に従っておもちゃを片づけ始める中、うちの子はまだ遊び続けようとしてしまうことがあります。周囲が片づけを始めても、自分だけが楽しい時間を続けていたい気持ちが強く、すぐには行動を切り替えられないようです。
  • 対応方法 このような場合には、「あと5分でお片づけの時間だよ」と、前もって時間の区切りを伝える声かけが有効です。また、片づけが始まる少し前に「今から3つだけおもちゃを集めてみようか?」と、小さな目標を設定するのも効果的です。こうしたアプローチにより、行動の切り替えが少しずつスムーズになり、周囲と同じペースで動ける経験が積み重ねられていきます。

3.友達をたたいてしまう行動の理由とその対策

  • どうしてよいのかわからない: 社会的スキルが未熟で、適切なコミュニケーション方法が分からず、衝動的に行動してしまうことがあります。
  • 感情のコントロールが難しい: 怒りや不安を言葉で表現できず、身体的に表現してしまうことがあります。
  • 個人空間の理解が不十分: 他人との距離感や適切な接触の仕方が分からず、誤った行動をとってしまうことがあります。
  • 対策:子どもが適切に感情を表現する方法を練習する場を提供することが重要です。

  • エピソード:ブロック遊び中のトラブル
    友達と一緒にブロックで遊んでいるとき、友達が触っていたブロックを急に取ろうとして、うちの子が相手の手をたたいてしまう場面がありました。どうやら、自分の意図が伝わらなかったことや、自分の遊びを邪魔されたと感じてしまい、感情が高ぶってしまったようです。
  • 行動の理由 このような行動の背景には、「思ったことがうまく言葉にできない」「自分の意図を伝えるのが苦手」といった特性があることが多いです。たたくことで自分の気持ちを表現しようとしているため、攻撃的な行動に見えますが、実際には伝える手段を持てずに混乱しているのです。
  • 対策 こうした場面では、まず「お友達に何をしてほしかったの?」と落ち着いて尋ねてみましょう。伝える方法が分かりやすくなるよう、「貸してほしいときは『ちょうだい』って言ってみようね」など、簡単な言葉や動作で気持ちを伝える練習をします。また、遊びの前に「順番で使おうね」や「これを使いたくなったら、貸してほしいって言うんだよ」など、具体的なルールをあらかじめ説明しておくことで、友達との衝突が防げることもあります。

4. 走り回る理由と行動背景

  • 気になるものが見えた: 好奇心が強く、視覚的な刺激に敏感で、興味を引かれるとそれに向かって走り出すことがあります。
  • 何をしてよいかわからない: 明確な指示がない、または活動に集中できないため、走り回ることでストレスを発散しようとすることがあります。
  • 不快な感覚がある: 触覚過敏などで、身につけているものが不快に感じられ、その場から逃れようと走り出すことがあります。

  • エピソード:公園で突然走り出す
    公園で遊んでいるときに突然走り出す場面があります。このような場合、周囲の音や視覚的な刺激に興奮してしまったり、特定の方向に強い興味を惹かれるため、急に走り出してしまうのです。また、特に理由もなく走り回るように見えるときも、実は『走ることで自分の位置や体の動きを感じ取る』ために行っていることもあります。
  • エピソード:ショッピングモールでの買い物中
    ショッピングモールの広い通路で、突然うちの子が走り出してしまうことがあります。私が商品を見ていると、少し目を離した隙に子どもがどんどん先に進んでしまい、気づくと見えないところまで行ってしまうこともあります。どうやら、広々とした空間にワクワクしてしまい、自分を抑えきれなくなることがあるようです。
  • 行動の背景 このような行動は、「広い場所にいると、自然に体を動かしたくなってしまう」という特性が背景にあることが多いです。周りが見えなくなって不安を感じたり、親の元へ戻る感覚が薄かったりすることもあります。また、新しい刺激が多い場所では集中力が途切れやすく、落ち着いてじっとしているのが難しい場合もあります。
  • エピソード:家族での食事中のレストランレストランでの席からの脱走
    家族でレストランに出かけると、料理を待っている間や食べ終わった後に、うちの子が席を離れて店内を歩き回ってしまうことがあります。こちらが声をかけても、「ちょっと見てくる!」と意気込んで、店内を見回りに行こうとするのです。
  • 行動の背景 レストランでは特に、「じっと座っている時間が長い」「刺激が多く興奮してしまう」ことが理由で、体を動かして気持ちを切り替えたくなる場合があります。退屈や不安から気を紛らわせようとして動き回り、目の前にある座るというルールを守ることよりも、環境を探検しようという気持ちが勝ってしまうことが多いです。
  • エピソード:病院の待合室での落ち着きのなさ(病院の待合室での行動)
    病院の待合室で順番を待っているときに、うちの子が待合室を行ったり来たりしてしまうことがあります。名前が呼ばれるまで待つように伝えても、気づくと少しずつ離れていき、他の人の近くに行ってしまうこともあります。
  • 行動の背景 病院や静かに待つべき場所では、不安や緊張が高まりやすいため、それを解消するために体を動かそうとすることがあります。また、長時間静かに待つことが苦手で、気持ちの切り替えをするために「歩く」という行動が助けになっているのです。

発達障害に関連する特性とサポート方法

1. 自閉症スペクトラム症(ASD)

  • 対人関係や社会性の特性: 周囲の状況を理解しにくく、適切な行動をとることが難しいことがあります。
    例えば、人の表情や感情を読み取るのが苦手で、他者の意図を誤解しやすい場合があります。
  • コミュニケーションの特性: その場に適した返答が難しかったり、好きなことを一方的に話すものの、相手とのやり取りが成立しないことがあります。相手の話を受けて会話を続けるのが難しい場合もあります。
  • 限定した常同的な興味や行動: 物の位置が変わることや日常のルーティンが乱れることに敏感で、変化に対応するのが難しいことがあります。また、手をひらひらさせるなどの反復行動が見られることもあります。

2. ADHD(注意欠陥・多動性障害)

  • 多動性、衝動性、不注意:
    • 不注意型: 気が散りやすく、物事を忘れやすいのが特徴です。
    • 多動性・衝動性優位型: 落ち着きがなく衝動的に行動する場合があり、学習環境に適応する支援が求められます。
    • 混合型: 不注意と多動性・衝動性の両方の特徴を持つ場合があります。

その他の関連特性

感覚過敏や実行機能の問題など、発達障害に関連する特性にはさまざまなものがありますが、それぞれに応じた対策が求められます。子どもの行動の背景を理解することは、適切な支援を提供するための第一歩です。

  • 実行機能の特性: 段取りを立てたり、集中したり、行動を切り替えたりすることが困難な場合があります。
  • 感覚の特性: 感覚刺激に対する反応が過敏または鈍感であることがあります。特定の触覚や視覚、聴覚などに過敏に反応することもあります。
  • 体の使い方の特性: 全身の運動がぎこちない、または手先が不器用であることが見られることがあります。
  • 注意・記憶の特性: 細部に注意を向けることが難しかったり、注意が散りやすかったりします。短期記憶が弱い一方で、長期記憶は強く、作業記憶(ワーキングメモリ)が弱いこともあります。

まとめ

子どもの行動には、さまざまな背景や理由が隠れています。日々の生活で困難を感じたら、一度背景を見つめ直し、適切なサポートを考えてみましょう。
特に発達障害が関連する場合、その背景を理解し、適切な支援やサポートを提供することが、子どもが安心して成長できる環境づくりに繋がります
保護者や教育者として、理解とサポートを通じて子どもが最大限の力を発揮できる未来を一緒に築きましょう。

発達障害の特性について、詳しくは厚生労働省:発達障害の理解のためにをご参照ください。

次回予告

次回は、「自閉症スペクトラム症の子どもの行動を理解する:その背景とサポート方法」についてさらに詳しくご紹介します。お楽しみに!

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しょうがなすこさん

はじめまして!「しょうがなすこ」と申します。2歳と4歳の男の子を育てるママで、現役保育士監修のもと、特性を持つお子さんとの育児についてブログで発信しています。このブログでは、同じような状況で悩む親御さんたちと共感し合い、困りごとを少しでも減らすヒントや、育児の楽しさを一緒に見つけられるような内容をお届けしています。 「ひとりじゃない」と感じられる温かい場になるように心を込めて書いていますので、ぜひ気軽に読んでみてください!

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