はじめに
「小さい『ゃ・ゅ・ょ』は分かっているはずなのに、言葉になると間違える……。」
「『きゅうり』が『きょうり』になってしまう。」
「『ちゅうしゃ』が『ちょうしゃ』になってしまう。」
「『しゅっぱつ』のように、小さい『ゅ』と『っ』が一緒に出てくると難しい。」
そんなことはありませんか?
小学1年生では、
「きゃ・きゅ・きょ」
「しゃ・しゅ・しょ」
「ちゃ・ちゅ・ちょ」
など、小さい「ゃ・ゅ・ょ」を使った言葉を学びます。
でも、実際に子どもの間違いを見ていると、
「小さい文字を使うことが分かっていない」
とは限らないことに気づきました。
例えば、
きゅうり → きょうり
と書く場合。
小さい文字そのものを忘れているのではなく、「ゅ」と「ょ」を取り違えています。
さらに、
しゅっぱつ
しゅっせき
しゃっくり
のように、小さい「ゃ・ゅ・ょ」と小さい「っ」が同じ言葉に入ると、さらに難しくなることもあります。
そこで今回は、単純に「ゃ・ゅ・ょ」を何度も書くのではなく、
似た音を聞き分ける
↓
正しい言葉を選ぶ
↓
小さい文字を入れる
↓
「ゃ・ゅ・ょ」+「っ」を練習する
↓
最後は自分で書く
という、5段階の練習プリントを作りました。
「何回書いた?」ではなく、
「どんな言葉になると迷いやすい?」
を見つけながら練習できるプリントです。
「ゃ・ゅ・ょ」は分かっているのに、どうして間違える?
小さい「ゃ・ゅ・ょ」を使った言葉を間違えると、
「まだ小さい文字が分かっていないのかな?」
と思うことがあります。
でも、
きゅうり → きょうり
ちゅうしゃ → ちょうしゃ
のような間違いでは、小さい文字そのものは使えています。
このような間違いでは、小さい文字を使うこと自体は分かっていても、
「きゅ」と「きょ」、「ちゅ」と「ちょ」など、似た音と文字の組み合わせで迷っている可能性があります。
そこで、まずは「聞いて区別できるか」「見て選べるか」「自分で書けるか」を順番に確認できるようにしました。
実際に間違えやすかった言葉を中心にしました

今回のプリントでは、単純な「きゃ・きゅ・きょ」の練習だけではなく、実際に書くと迷いやすかった言葉を中心に取り入れています。
例えば、
- きょうりゅう
- きゅうり
- しゅっぱつ
- ききゅう
- ちゅうしゃ
- きょうかしょ
- はくしゅ
- しゅっせき
- しゃっくり
- しょうぼうしゃ
などです。
並べてみると、どれも同じ難しさではありません。
「きゅうり」には、拗音+のばす音。
「しゅっぱつ」には、拗音+小さい「っ」。
「きょうりゅう」には、複数の拗音+のばす音。
「しょうぼうしゃ」にも、複数の拗音と長くのばす部分があります。
つまり、
小さい「ゃ・ゅ・ょ」だけを覚えれば終わりではなく、いくつかの難しいポイントが組み合わさることで書きにくくなっている
ことも考えられます。
そこで、簡単な問題から少しずつ難しくなるように5段階にしました。
「ゃ・ゅ・ょ」+「っ」5段階練習プリント
STEP1|「きゅ・きょ」「しゅ・しょ」「ちゅ・ちょ」を聞き分けよう

最初は、書きません。
似ている音を聞いて、どちらなのかを選びます。
例えば、
きゅ / きょ
しゅ / しょ
ちゅ / ちょ
を見せます。
大人が「きゅ」と言ったら、
きゅ
を指さします。
「ちょ」と言ったら、
ちょ
を選びます。
ここで確認したいのは、字の形ではなく、
似た音を聞き分けられるか
ということです。
問題例
聞こえた方に○をつけましょう。
① きゅ ・ きょ
② しゅ ・ しょ
③ ちゅ ・ ちょ
④ しゃ ・ しゅ
⑤ しゅ ・ しょ
大人が読み上げて取り組みます。
聞き分けられたら、次のSTEPへ進みます。
STEP2|絵を見て、正しい言葉を選ぼう

次は、絵と言葉を結びつけます。
例えば、きゅうりの絵を見せて、
きゅうり
きょうり
のどちらが正しいか選びます。
問題例
🥒
きゅうり / きょうり
💉
ちゅうしゃ / ちょうしゃ
🦖
きゅうりゅう / きょうりゅう
最初から言葉を全部書く必要はありません。
「どっち?」
と選ぶだけにすることで、書くことへの負担を減らし、音と文字の違いに集中できます。
STEP3|小さい文字を選んで入れよう

STEP2ができたら、今度は言葉の一部を自分で完成させます。
問題例
① き□うり
ゅ ・ ょ
② ち□うしゃ
ゅ ・ ょ
③ はくし□
ゅ ・ ょ
④ き□うかし□
ゅ ・ ょ
⑤ し□うぼうし□
ゃ ・ ゅ ・ ょ
全部を書かせるのではなく、迷いやすい部分だけを考える問題です。
ここで、
「小さい文字を使うことは分かるけれど、『ゅ』と『ょ』で迷う」
といった様子も見つけやすくなります。
STEP4|「ゃ・ゅ・ょ」+小さい「っ」に挑戦

次は難易度を上げます。
小さい「ゃ・ゅ・ょ」と、小さい「っ」が同じ言葉に入る問題です。
今回取り入れたいのは、
しゅっぱつ
しゅっせき
しゃっくり
など。
例えば「しゅっぱつ」は、
しゅ|っ|ぱつ
と分けて考えてみます。
「しゅ」と「っ」を一度に考えるのが難しければ、まずはそれぞれを確認します。
問題例
① し□っぱつ
② し□っせき
③ し□っくり
さらに、
しゅ / っ / ぱつ
をカードのように分けて、
「しゅっぱつ」になるように、じゅんばんにならべましょう。
という問題にしてもOKです。
小さい「ゅ」も分かる。
小さい「っ」も分かる。
でも、2つが一つの言葉に入ると難しい。
そんな場合に重点的に取り組みたいSTEPです。
STEP5|絵を見て、自分で全部書こう
最後はヒントをなくします。
絵だけを見て、言葉を最初から最後まで自分で書きます。
チャレンジ10もん

① 🦖
( )
きょうりゅう
② 🥒
( )
きゅうり
③ 🚉 出発する場面
( )
しゅっぱつ
④ 🎈 気球
( )
ききゅう
⑤ 💉
( )
ちゅうしゃ
⑥ 📖
( )
きょうかしょ
⑦ 👏
( )
はくしゅ
⑧ 🏫 出席する場面
( )
しゅっせき
⑨ しゃっくりをしている子
( )
しゃっくり
⑩ 🚒
( )
しょうぼうしゃ
ここでは、
言葉を思い出す
↓
音を考える
↓
「ゃ・ゅ・ょ」を選ぶ
↓
小さい「っ」やのばす音にも気をつける
↓
言葉全体を書く
という、いくつものことを同時に行います。
そのため、このSTEPが難しくても、すぐに「覚えていない」と考える必要はありません。
「きゅう」と「きょう」を分ける練習も入れよう
今回特に取り入れたいのが、
「きゅう」と「きょう」の仲間分け
です。
見た目が似ている言葉を、あえて並べて比べます。

「きゅう」のなかま
きゅうり
きゅうしょく
ききゅう
「きょう」のなかま
きょう
きょうかしょ
きょうりゅう
例えば、言葉カードを見ながら、
「きゅう」のなかまかな?
「きょう」のなかまかな?
と2つのグループに分けます。
「ゅ」「ょ」を一文字ずつ覚えるだけではなく、
「きゅう」「きょう」という音のまとまりとして比べる
練習です。
最初と最後に同じ10問をやってみる

今回のプリントでは、5段階の練習だけでなく、練習前と練習後に同じ10問に挑戦する使い方もできます。
① 最初にチャレンジ10問
まずはヒントなしで解いてみます。
↓
② 間違えた言葉を確認
「きゅ・きょ?」
「小さい『っ』?」
「長い言葉になると難しい?」
と間違い方を見ます。
↓
③ 必要なSTEPだけ練習
全部やり直す必要はありません。
↓
④ 数日後にもう一度チャレンジ10問
同じ問題を解いてみます。
この方法なら、
「何問できたか」だけでなく、「どんな間違いが減ったか」
も確認できます。
ただし、同じ問題をすぐに繰り返すと答えそのものを覚えている場合もあるため、練習の効果を見る目的なら、少し日を空けたり、似た別の言葉でも試したりするのがおすすめです。
間違えたら「10回書く」より、どこで迷ったか確認しよう
例えば、
きゅうり → きょうり
となった場合。
すぐに、
「きゅうりを10回書こう!」
とするのではなく、
「きゅ」と「きょ」を聞き分けられる?
↓
「きゅうり」「きょうり」なら正しい方を選べる?
↓
「き□うり」に「ゅ」を入れられる?
↓
絵だけを見て「きゅうり」と書ける?
と確認します。
「しゅっぱつ」なら、
「しゅ」は分かる?
↓
小さい「っ」は分かる?
↓
「しゅ|っ|ぱつ」なら分かる?
↓
全部続けて「しゅっぱつ」と書ける?
と分けてみます。
こうすると、
「この言葉が書けない」
だけではなく、
「ここまではできている」
が見えやすくなります。
「全部苦手」ではなく、どこから難しくなるかを見てみよう
5段階に分けると、つまずき方の違いも見つけやすくなります。
例えば、
STEP1 ○
STEP2 ○
STEP3 △
STEP4 △
STEP5 ×
なら、
単純な「ゃ・ゅ・ょ」がまったく分からないというより、言葉が複雑になると迷いやすいことが考えられます。
一方、
「きゅ・きょ」の聞き分けから迷うのであれば、書き取りを増やす前に、音を聞いたり選んだりする問題を多めにしてもよいでしょう。
正解数だけではなく、
どのSTEPから難しくなったか
も見てみてください。
5段階すべてをやらなくてもOK
今回のプリントは、
STEP1からSTEP5まで全部やらなければならない
というものではありません。
例えば、
「しゃしん」は書ける。
「はくしゅ」も書ける。
でも、
「きゅうり」と「きょうり」で迷う。
という場合は、STEP2・3を中心に。
「きゅうり」は書けるけれど、
「しゅっぱつ」「しゅっせき」になると難しい。
という場合は、STEP4を中心にします。
できるところは飛ばしてOK。
難しくなったところまで戻ってOK。
全部を繰り返すのではなく、その子に必要な問題を選んで使ってみてください。
夏休み総復習プリントで間違えた問題の「その先の復習」に
以前作った「小学1年生 夏休み総復習プリント」では、1学期に習った内容の中から、迷いやすい問題を中心にまとめました。
そこで、
「ゃ・ゅ・ょの問題をよく間違える」
と分かったとしても、それだけでは、
「小さい文字そのものが難しいのかな?」
「『ゅ』と『ょ』を間違えているのかな?」
「長い言葉になると難しいのかな?」
までは分かりません。
そこで今回の5段階プリントにつなげます。
夏休み総復習プリント
↓
苦手な分野を見つける
↓
5段階プリント
↓
どのタイプの問題で迷うか確認する
↓
必要なSTEPだけ練習する
という流れです。
前回のプリントが「苦手を見つけるプリント」なら、今回は「苦手をもう少し細かく分けて練習するプリント」として使えます。
【無料ダウンロード】「ゃ・ゅ・ょ」+「っ」5段階練習プリント
今回紹介した練習プリントは、無料で公開します。
内容は、
STEP1 似た音を聞き分ける
↓
STEP2 正しい言葉を選ぶ
↓
STEP3 小さい文字を入れる
↓
STEP4 「ゃ・ゅ・ょ」+「っ」に挑戦
↓
STEP5 絵を見て自分で書く
の5段階です。
さらに、練習前後に使える「チャレンジ10もん」も用意します。
「何回書いても間違えるから、もっと書こう」だけではなく、
「どこまではできる?」
「どんな言葉になると迷う?」
を見つけるためにも活用してみてください。
※PDF完成後、こちらに無料ダウンロードリンクを掲載します。
保護者の方へ|「間違え方」もヒントになる
同じ「間違えた」でも、間違い方はさまざまです。
例えば、
きゅうり → きょうり
なら、「きゅう」と「きょう」の混同。
ちゅうしゃ → ちょうしゃ
なら、「ちゅう」と「ちょう」の混同。
しゅっぱつやしゅっせきで「ゅ」や「っ」が抜けるなら、複数のポイントを一度に書く場面で迷っている可能性もあります。
だから、○×だけを見るのではなく、
「どんなふうに間違えた?」
にも注目してみてください。
間違いは、次にどんな練習をすればよいか考える手がかりにもなります。
まとめ|「何回書いた?」より「どこで迷っている?」を見てみよう
小さい「ゃ・ゅ・ょ」が入った言葉を間違えると、
「まだ小さい文字を覚えていないのかな?」
と思ってしまうことがあります。
でも、
きゅうり → きょうり
ちゅうしゃ → ちょうしゃ
のように、小さい文字を使うこと自体は分かっていても、似た音を取り違えることがあります。
さらに、
しゅっぱつ
しゅっせき
しゃっくり
のように、小さい「ゃ・ゅ・ょ」と「っ」が一つの言葉に入ることで難しくなることもあります。
そこで今回のプリントでは、
① 聞き分ける
↓
② 選ぶ
↓
③ 小さい文字を入れる
↓
④ 複数の小さい文字を扱う
↓
⑤ 自分で全部書く
と、5段階に分けました。
間違えたら、同じ言葉を何度も書くだけではなく、
「どこまではできる?」
と一つ前の段階に戻ってみる。
できるところを確認しながら、迷いやすいところを少しずつ練習する。
「小さい文字が苦手」でひとまとめにせず、その子がどこで迷っているのかを見つける。
そんな練習プリントとして、ぜひ活用してみてください。