「学校、どうだった?」と聞いても、「分からない」「忘れた」で終わってしまう。
「今日、誰と遊んだの?」と聞くと、嫌がったり怒ったりする。
「学校で困っていないか知りたいけれど、何も話してくれない」
そんな悩みはありませんか?
わが家には、ASD・ADHD・DCD・吃音のある小学1年生と、4歳の子どもがいます。
私は児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、家庭でも子どもの特性に合わせた声かけや視覚支援を試してきました。
わが家でも、帰宅直後に「今日は何をしたの?」と聞いても、すぐには答えられないことがありました。
学校で一日過ごした後は疲れているうえ、たくさんの出来事から一つを選び、順番に言葉にすることにも負担があります。
この記事では、小学1年生が学校の話をしない理由と、答えやすくする聞き方を紹介します。
帰宅直後に質問しすぎない工夫、出来事を思い出す手がかり、心配なときに学校へ確認する方法もまとめました。
※子どもが話さない理由は一人ひとり異なります。急な変化や強い不安、体調不良などがある場合は、家庭だけで判断せず、担任や相談機関などへご相談ください。
結論|帰宅直後に聞き出さず、話せる時間と手がかりを用意しよう
学校の話をしないからといって、隠し事がある、親を信頼していないとは限りません。
小学1年生にとって「今日どうだった?」は、答える範囲が広い質問です。
朝から帰るまでの出来事を思い出し、その中から話す内容を選び、相手に分かる順番で説明しなければなりません。
まずは水分やおやつ、休憩を優先し、子どもが落ち着いてから話せる機会をつくりましょう。
| 子どもの様子 | 最初に試したいこと |
|---|---|
| 「分からない」と答える | 給食・休み時間など場面を一つに絞る |
| 「忘れた」と答える | 時間割や給食表を一緒に見る |
| 帰宅直後は不機嫌 | 質問せず、休んでから話す |
| 質問を嫌がる | 大人が自分の出来事を短く話す |
| 言葉が出にくい | 二択、指差し、絵や表情で答えられるようにする |
| 話の順番が前後する | 訂正せず、まず最後まで聞く |
| いつもと様子が違う | 体調を確認し、必要なら学校へ連絡する |
会話の目的を「学校の情報を全部集めること」にせず、子どもが話したくなったときに受け止められる関係を大切にします。
小1が学校の話をしない8つの理由
1.質問の範囲が広すぎる
「今日どうだった?」には、授業、給食、休み時間、友達、先生、登下校など多くの場面が含まれています。
何から答えればよいか決められず、「分からない」になることがあります。
2.学校で頑張って疲れている
小学1年生は、授業を受けるだけでなく、時間割に合わせて動く、集団のルールを守る、周囲の声を聞くなど、多くのことへ力を使っています。
帰宅後は、質問を理解して言葉を組み立てる余力が残っていない場合があります。
帰宅後に機嫌が悪くなったり荒れたりするときは、先に休息を優先してください。
▶ 【小1】学校から帰ると機嫌が悪い・荒れる子へ|帰宅後に怒る理由と休ませ方
3.出来事を思い出す手がかりがない
「今日」という言葉だけでは、一日の記憶を探しにくい子もいます。
時間割、給食の献立、持ち帰った作品、連絡帳などがあると、出来事を思い出しやすくなる場合があります。
4.出来事を順番に話すことが難しい
体験したことを話すには、「いつ・どこで・誰が・何をした」を整理する必要があります。
本人の中には記憶があっても、相手へ伝わる形にまとめることが難しい場合があります。
5.質問されると正解を求められているように感じる
大人は会話のつもりでも、子どもには答えを試されているように感じられることがあります。
「何をしたの?」「誰と?」「どうして?」と質問が続くと、尋問のように感じて黙る子もいます。
6.嫌だったことをもう一度思い出したくない
友達とのトラブルや失敗があったとき、話すことでその場面を再び思い出すため、避けることがあります。
無理に詳しく聞かず、「話したくなったら聞くよ」と伝える方法があります。
7.学校と家を切り替えたい
帰宅したら好きな遊びをしたい、学校のことをいったん忘れたい子もいます。
学校の話をしないことが、必ずしも困りごとのサインとは限りません。
8.言葉以外で伝えている
表情、動き、遊び、絵、持ち帰った物などに、その日の気持ちが表れることがあります。
言葉だけを返事と考えず、指差しや表情も一つの伝え方として受け止めましょう。
帰宅直後に避けたい聞き方
質問を続ける
「今日は何をしたの?」
「誰と遊んだの?」
「楽しかった?」
「先生は何て言ったの?」
と続けると、答える前に次の質問が来てしまいます。
一つ聞いたら待ち、答えないときは会話を終えて構いません。
「忘れるわけがない」と否定する
大人には覚えているように見えても、質問された瞬間に言葉として取り出せないことがあります。
「忘れた」と言ったときは、「そっか。あとで思い出したら教えてね」と返します。
話の途中で細かく訂正する
順番や人物を訂正されると、話すこと自体をやめる子もいます。
安全に関わらない内容なら、まず最後まで聞きます。確認が必要な部分は、話し終わってから一つだけ聞きましょう。
楽しかった答えを求める
「楽しかった?」は「楽しかった」と答えることを期待されているように感じる場合があります。
「楽しい・普通・嫌だった・分からない」のどれでもよいことが伝わる聞き方にします。
学校のことを話しやすくする8つの工夫
1.先に休む
帰宅直後は、水分、おやつ、着替え、静かな休憩などを優先します。
話を聞く時間は、おやつの後、夕食中、入浴後など、家庭で落ち着きやすい時間に移して構いません。
2.場面を一つに絞る

「今日どうだった?」の代わりに、次のように範囲を狭くします。
- 給食で何が出た?
- 休み時間は教室と外、どちらにいた?
- 今日使った教科書はどれ?
- 体育はあった?
- 今日、一番長くいた場所はどこ?
思い出せないときは、答えを求めず終えます。
3.二択にする
自由に答えることが難しい場合は、二つから選べるようにします。
- 給食は好きだった?苦手だった?
- 休み時間は一人でいた?誰かといた?
- 今話す?あとで話す?
- 楽しかったことから話す?困ったことから話す?
どちらでもない可能性があるため、「どっちでもない」「分からない」も選べるようにしましょう。
4.時間割や持ち物を手がかりにする
時間割を見ながら「今日は図工があったね」と、大人が事実を短く伝えます。
子どもが続けて話したら聞き、反応がなければ質問を重ねません。
5.大人から短く話す
「お母さんは今日、買い物で新しいパンを見つけたよ」のように、大人が自分の出来事を一つ話します。
子どもへ同じ形式の返事を求めず、会話の例を見せるだけにします。
6.言葉以外で選べるようにする
表情カード、気持ちの色、指差しなどを使う方法があります。
例えば、「今日の学校に近い顔はどれ?」と、笑顔・普通・疲れた顔の3つを見せます。
選んだ理由を必ず説明させる必要はありません。
学校で困ったときも、言葉だけで伝える必要はありません。
先生を探す、困っている場所を指差す、カードを見せるなど、その子が使いやすい方法を用意できます。
▶ 【小1】困っても「助けて」と言えない子へ|学校で先生に伝える練習と視覚支援
7.一緒に何かをしながら聞く
顔を見て質問されると緊張する子には、おやつを食べる、歩く、絵を描くなど、同じ方向を向いている時間が話しやすい場合があります。
8.子どもが話し始めたときに止めない
忙しい時間に突然話し始めることもあります。
すぐに聞けないときは、「聞きたいから、これを置いたら聞くね」と具体的に伝えます。
「分からない」「忘れた」と言われたときの返し方
答えられないときは、次のような短い言葉で終えて構いません。
- 「分からないんだね」
- 「今は思い出せないんだね」
- 「あとで思い出したら教えて」
- 「今は話さなくても大丈夫」
- 「時間割を見てみる?今日は見ない?」
「本当に?」「何かあったんでしょう?」と追いかけず、話さない選択も認めます。
出来事を思い出すための視覚支援
毎日同じ質問をする代わりに、話題を絵や文字で示す方法があります。
話題カードの例

- 授業
- 給食
- 休み時間
- 友達
- 先生
- できたこと
- 困ったこと
- 話さない
カードを一枚選び、その話題だけ聞きます。
「話さない」のカードも用意すると、答えないことを自分で伝えやすくなります。
思い出す練習をゲームのように行いたい場合は、無料の「ことばの引き出し」も使えます。
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わが家で意識したこと
わが家では、帰宅直後に学校のことを聞いても、「分からない」で終わることがありました。
そこで、話さないことを問題にする前に、何が難しいのかを分けて考えました。
- 疲れていて話す力が残っていないのか
- 質問の範囲が広すぎるのか
- 出来事を思い出しにくいのか
- 順番に説明することが難しいのか
- 今は学校のことを考えたくないのか
帰宅直後の質問を減らし、給食や授業など一つの場面に絞ると、後から自分で話し始める日もありました。
話が前後してもすぐに直さず、まず聞くことも意識しました。
毎日詳しく聞けなくても、必要な情報は連絡帳や先生とのやり取りで確認できます。
「学校のことを全部話せるようにする」より、話したくなったときに安心して話せることを大切にしました。
発達が気になる子へできる工夫
発達が気になる子の場合も、診断名だけで聞き方を決める必要はありません。
次の中から、本人が答えやすい方法を選びます。
- 帰宅直後は質問しない
- 質問を一つにする
- 一文を短くする
- 二択または三択にする
- 時間割や給食表を見る
- 写真や絵カードから選ぶ
- 話す順番を「最初・次・最後」で示す
- 大人が先に例を話す
- 指差しや表情も返事として受け止める
- 話さない選択肢を用意する
「どうして?」は、理由を整理して説明する必要があるため、答えにくい質問です。
先に「何があった?」「どこにいた?」など、事実を一つずつ確認すると話しやすい場合があります。
学校へ確認・相談した方がよい場合
学校の話をしないことだけで、心配しすぎる必要はありません。
ただし、次のような変化が続く場合は、担任などへ家庭での様子を伝えて構いません。
- 急に学校の話をしなくなった
- 登校を強く嫌がる
- 帰宅後に泣く、怒る状態が続く
- 腹痛や頭痛などの訴えが増えた
- 食欲や睡眠に変化がある
- 持ち物が頻繁になくなる、壊れる
- 友達や先生を強く怖がる
- 本人が「学校に行きたくない」「消えたい」などと話す
危険やいじめが疑われる場合は、子どもが詳しく話せるまで待たず、学校へ相談してください。
担任へ伝える文例
家庭で学校の様子を聞いても、「分からない」「忘れた」と答えることが多く、最近は帰宅後に疲れた様子も見られます。
学校では、授業・休み時間・友達との関わりなどで、いつもと違う様子はありますでしょうか。
本人を問い詰めずに見守りたいと考えているため、学校で気づいたことがあれば教えていただけると助かります。
家庭での推測を事実として伝えず、「いつから」「どのような様子か」「何を確認したいか」を具体的に書きます。
よくある質問
毎日、学校の様子を聞いた方がよいですか?
毎日詳しく聞く必要はありません。
話したい子には聞き、疲れている日や嫌がる日は休みましょう。連絡帳や配布物から分かることもあります。
「今日どうだった?」と聞くのはよくないですか?
その質問で話せる子には問題ありません。
「分からない」が多い場合は、「給食はどうだった?」など、場面を一つに絞ってみてください。
「楽しかった?」には「うん」と答えます。本当に楽しかったのでしょうか?
返事だけで一日全体を判断することはできません。
答えやすい返事をしている可能性もあります。詳しく聞き出すより、普段の表情や生活の変化も一緒に見ましょう。
話の内容が毎回変わります
出来事の順番や人物が混ざることはあります。
すぐに嘘と決めつけず、必要な情報は学校へ確認してください。
友達のことを全く話しません
友達の話をしないだけで、学校で一人とは限りません。
気になる場合は、「友達はいるか」と本人へ繰り返し聞くより、休み時間の様子を担任へ確認できます。
嫌だったことだけでも聞き出した方がよいですか?
無理に聞き出すと、さらに話しにくくなることがあります。
「話したくなったら聞くよ」と伝え、急な行動や体調の変化がある場合は学校へ相談しましょう。
絵カードを使うと、言葉で話さなくなりませんか?
絵カードは、答えを言葉にする前の手がかりとして使えます。
指差しだけの日があっても構いません。選んだ理由を毎回説明させる必要もありません。
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話したい言葉を思い出す練習には、こちらの無料ゲームも利用できます。
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まとめ|話させるより、話せる余白を残そう
小学1年生が学校の話をしないときは、隠し事や信頼関係だけが理由とは限りません。
- 質問の範囲が広い
- 学校で頑張って疲れている
- 出来事を思い出しにくい
- 順番に説明することが難しい
- 質問をテストのように感じる
- 嫌な出来事を思い出したくない
- 学校と家を切り替えたい
など、さまざまな理由が考えられます。
家庭では、次の方法を試せます。
- 帰宅直後は休ませる
- 質問を一つにする
- 給食や休み時間など場面を絞る
- 二択や絵カードを使う
- 時間割や持ち物を手がかりにする
- 大人から短く話す
- 話の途中で細かく訂正しない
- 話さない選択も認める
毎日、学校であったことをすべて聞き出す必要はありません。
子どもが話し始めたときに、「話しても大丈夫」「最後まで聞いてもらえる」と感じられる関わりを大切にしてみてください。
参考資料
※本記事は、子どもから詳しい話を聞き出す方法ではなく、本人が話しやすい時間と伝え方を整える家庭での工夫を紹介しています。