はじめに
「嫌だったことは分かるけれど、何が嫌だったのか説明できない。」
「悲しいのか、悔しいのか、怒っているのか、自分でも分からない。」
「学校で何かあったようだけれど、『分からない』『別に』で終わってしまう。」
そんなことはありませんか?
子どもは、心の中に気持ちがあっても、それを表す言葉がすぐに見つかるとは限りません。
特に、幼児や小学校低学年では、いろいろな気持ちをまとめて「嫌」「むかつく」「分からない」と表すことがあります。
そこで今回は、表情を見ながら自分の気持ちを選べる感情カードを作りました。
- 幼児向け:基本の気持ち8種類
- 小学生向け:少し細かな気持ち24種類
- 女の子版・男の子版
を無料でダウンロードできます。
女の子版・男の子版がありますが、性別に関係なく、子どもが見やすい方や親しみやすい方を選んで使ってください。
幼児向け・小学生向けの感情カードは、記事の後半から無料で保存できます。
家庭だけでなく、学校、放課後等デイサービス、療育などで、子どもの気持ちを確認するときにも使える視覚支援カードです。
感情カードとは?
感情カードは、「うれしい」「かなしい」「イライラ」などの気持ちを、言葉と表情で見えるようにしたカードです。
「今、どんな気持ち?」と聞かれても、すぐに言葉で答えることが難しい子もいます。
そんなとき、カードを見ながら、
「これに近いかな?」
と選べるようにすると、気持ちを伝えるための手がかりになります。
カードを選ぶことが、必ずしも気持ちを正確に言い当てることにつながるわけではありません。
それでも、何もないところから言葉を考えるより、表情や言葉を見比べながら選ぶ方が答えやすい子もいます。
感情カードはこんな子におすすめ
- 自分の気持ちを言葉にすることが苦手
- 「嫌」「分からない」だけで終わりやすい
- 学校や園であったことを説明しにくい
- 怒ったり泣いたりしたあと、理由を話せない
- 悲しい・悔しい・不安などの違いが分かりにくい
- 表情やイラストがあると理解しやすい
- ASD・ADHDなどがあり、視覚的な手がかりが役立ちやすい
診断の有無にかかわらず、気持ちを整理したり、親子で話すきっかけを作ったりするときに使えます。
【幼児向け】まずは基本の8種類から
幼児向けは、次の8種類です。

- たのしい
- うれしい
- かなしい
- イライラ
- くやしい
- おどろき
- ドキドキ
- つまらない
最初からたくさんのカードを見せると、どれを選べばよいか迷うことがあります。
幼児や、感情カードを初めて使う子には、まずは基本的な気持ちから始めるのがおすすめです。
8枚すべてを一度に使う必要もありません。
最初は、
「うれしい」「かなしい」「イライラ」
の3枚だけにするなど、子どもが選びやすい枚数に減らして使えます。
「ドキドキ」は一つの意味に決めなくて大丈夫
「ドキドキ」には、楽しみなときのドキドキもあれば、緊張や不安によるドキドキもあります。
子どもが「ドキドキ」を選んだら、
「楽しみなドキドキかな?」
「ちょっと怖いドキドキかな?」
と、決めつけずに確認してみましょう。
【小学生向け】24種類から近い気持ちを探せる
小学生向けは、基本の感情だけでなく、似ている気持ちや少し複雑な気持ちも加えました。
1.基本の気持ち

- たのしい
- うれしい
- かなしい
- イライラ
- くやしい
- おどろき
- ドキドキ
- つまらない
2.不安・困りごとの気持ち

- こわい
- さみしい
- はずかしい
- しんぱい
- ふあん
- きんちょう
- こまった
- まよっている
3.少し複雑な気持ち

- つかれた
- がっかり
- うらやましい
- もやもや
- あんしん
- ほっとした
- じしんがある(自信がある)
- わくわく
「嫌だった」という気持ちの中にも、
- 怖かった
- 恥ずかしかった
- 悔しかった
- 困っていた
- 不安だった
など、さまざまな気持ちが隠れていることがあります。
小学生向けカードは、自分の気持ちに近い言葉を探すための選択肢として使えます。
似ている気持ちはどう違う?
小学生向けカードには、あえて意味の近い言葉も入れています。
違いを厳密に覚えることが目的ではありません。
子どもが自分の感覚に合う言葉を探すためのヒントとして、次のように伝えられます。
「しんぱい」と「ふあん」
しんぱいは、「明日の発表がうまくできるかな」など、気になっていることが比較的分かりやすいとき。
ふあんは、理由がはっきりしなくても、何となく落ち着かなかったり、嫌なことが起こりそうに感じたりするとき。
ただし、この分け方がすべてではありません。子どもが使いやすい方を選んで構いません。
「きんちょう」と「ドキドキ」
きんちょうは、人前に出るときや初めてのことをするときに、体や心がかたくなるような感覚。
ドキドキは、緊張だけでなく、楽しみ、驚き、怖さなどでも感じることがあります。
「あんしん」と「ほっとした」
あんしんは、安全だと感じて、落ち着いている状態。
ほっとしたは、心配していたことが終わったあとなどに、力が抜けるような気持ちです。
「もやもや」は説明できないときにも使える
いつも気持ちの名前が一つに決まるとは限りません。
悲しいような、悔しいような、腹が立つような気持ちが混ざることもあります。
そんなときは、無理に一つへ決めず、「もやもや」を選んでも大丈夫です。
感情カードの使い方
1.落ち着いているときにカードを見ておく
初めてカードを見るのが、子どもが強く怒っている最中だと、カードそのものを嫌がることがあります。
まずは落ち着いているときに、
「こんな気持ちがあるね。」
「この顔は、どんなときの顔かな?」
と、一緒に見ておきましょう。
2.最初は選択肢を少なくする
24種類すべてから選ぶのが難しい場合は、今の状況に近そうなカードを2~4枚だけ見せます。
例えば、友達との出来事のあとなら、
「かなしい」「くやしい」「イライラ」「もやもや」
を並べて、
「この中に近い気持ちはある?」
と聞くことができます。
大人の予想したカードの中にないこともあるため、最後に、
「この中にはない?」
という選択肢も残しておきましょう。
3.指さしだけでもよいことにする
カードを選んだあと、すぐに理由まで話せるとは限りません。
まずは、
- 指をさす
- カードを取る
- 近いカードを大人に渡す
- うなずく
だけでも十分です。
言葉で説明することを急がず、気持ちを示せたことを受け止めます。
4.正解・不正解を決めない
同じ出来事でも、感じ方は人によって違います。
大人には「悲しい」に見えても、子どもは「恥ずかしい」「悔しい」と感じているかもしれません。
「それは悲しいでしょ。」と直すのではなく、
「悔しかったんだね。」
と、子どもが選んだ言葉を一度受け止めましょう。
5.次にしてほしいことへつなげる
気持ちが分かったら、必要に応じて、次の行動も一緒に考えます。
例えば、
- 休みたい
- 一人になりたい
- 話を聞いてほしい
- 先生に伝えてほしい
- 手伝ってほしい
- もう一度やってみたい
などです。
感情カードだけで終わらず、「今、どうしてほしい?」につなげると、具体的な支援を考えやすくなります。
家庭での活用例
園や学校から帰ったあと
「今日どうだった?」では答えにくいときに、カードを見せながら、
「今日、学校でこんな気持ちはあった?」
と聞くことができます。
何も話したくない日もあるため、「今は選ばない」も認めます。
きょうだいや友達とトラブルになったあと
落ち着いてから、出来事を問い詰める前に、
「どんな気持ちだった?」
とカードで確認します。
怒りの気持ちを受け止めることと、たたくなどの行動を認めることは別です。
「腹が立ったんだね。でも、たたくのはやめよう。」
のように、気持ちは受け止めながら、してはいけない行動は分けて伝えます。
宿題や練習を始める前後
始める前に「ふあん」「つまらない」「つかれた」、
終わったあとに「ほっとした」「じしんがある」などを選ぶと、
気持ちの変化に気づくきっかけになります。
学校・療育での活用例
- 朝の会や帰りの会で、その日の気持ちを選ぶ
- 個別面談や振り返りのときに使う
- トラブル後、落ち着いてから気持ちを確認する
- 活動の前後で気持ちの変化を比べる
- 連絡帳や支援記録を書くときの手がかりにする
ご家庭での利用のほか、学校・園・療育施設などでの支援にもお使いいただけます。
画像そのものの再配布・販売や、加工したデータの配布はご遠慮ください。
使うときに大切にしたいこと
無理に選ばせない
気持ちを聞かれたくないときや、自分でもまだ分からないときがあります。
「分からない」「選ばない」「あとで話す」も大切な選択肢です。
カードだけで気持ちを決めつけない
表情の見え方と、本人が感じている気持ちが一致しないこともあります。
感情カードは診断や判定をするものではなく、本人と話すための補助として使います。
強く興奮しているときは、まず安全と落ち着きを優先する
泣いたり怒ったりしている最中に、何度も質問すると負担になることがあります。
危険がない状態を作り、少し落ち着いてからカードを見せる方が選びやすい場合があります。
表情だけをまねさせる教材にしない
カードと同じ顔ができることより、子どもが自分なりの方法で気持ちを伝えられることを大切にします。
無料の感情カードはこちら
今回作成した感情カードは、無料で使えます。
幼児向け感情カード
基本の8種類を、女の子版・男の子版で掲載しています。

画像をタップして開き、スマートフォンやパソコンに保存してお使いください。
印刷して使う場合は、カードの枠に沿って切り分けると、必要な気持ちだけを選んで見せられます。
小学生向け感情カード
24種類の感情を、女の子版・男の子版で掲載しています。

印刷するときは、プリンターの設定で用紙サイズをA4、倍率を「用紙に合わせる」にしてください。
まとめ
自分の気持ちを言葉にすることは、子どもにとって簡単なことではありません。
「どうして怒っているの?」
「何が嫌だったの?」
と聞かれても、気持ちの名前が分からなければ、うまく説明できないことがあります。
そんなとき、感情カードがあると、表情や言葉を見ながら、今の気持ちに近いものを探せます。
まずは少ない枚数から始めて、指さしだけでも大丈夫。
正解を決めるのではなく、
「そう感じていたんだね。」
と、親子で気持ちを確かめるきっかけとして使ってみてください。