はじめに|「じっとしていられない」は困った行動だけではない
「うちの子、全然じっとしていられない」
「遊びがすぐに変わって、集中が続かない」
「座ってほしい場面ほど、動き回ってしまう」
「毎日注意してばかりで、親の方が疲れてしまう」
そんな悩みはありませんか?
わが家の息子も、小さい頃から落ち着きのなさが目立つタイプでした。
遊び始めたと思ったら、すぐ別のおもちゃへ移る。
片づけようとしても、途中で違うことに気を取られる。
眠くなると逆にハイテンションになり、なかなか落ち着かない。
療育や集団の場でも、座って話を聞くことが苦手と言われることがありました。
当時の私は、
「どうしてじっとできないの?」
「集中力がないのかな?」
「私の関わり方が悪いのかな?」
と悩んでいました。
でも、療育で学ぶうちに、落ち着きのなさの背景には、脳の情報整理、感覚の調整、体の使い方、睡眠や生活リズムなど、いくつかの理由があると知りました。
発達障害ナビポータルでも、ADHDのある子どもの行動は「故意に取り組まない」「怠けている」などと見なされやすく、特性に応じた支援が必要だと説明されています。
参考:発達障害ナビポータル|注意欠如多動性障害(ADHD)のある子どもの指導・支援
この記事では、療育で学んだことと、わが家で実際に試した工夫をもとに、落ち着きがない子どもの集中力を伸ばす家庭でできる方法を5つ紹介します。
※本記事は筆者の体験をもとにした一般的な情報です。診断や治療を目的とするものではありません。日常生活に大きな困りごとがある場合は、小児科・発達相談・療育機関などにご相談ください。
この記事でわかること
- 子どもがじっとしていられない理由
- 集中力が続かない子への家庭での関わり方
- 療育で学んだ家庭遊びの工夫
- 親がイライラしにくくなる環境調整
- おすすめグッズ
落ち着きがない子どもが集中できない理由
子どもが落ち着かないとき、つい「ちゃんとして」「じっとして」と言いたくなりますよね。
でも、子どもが動き回る背景には、いくつかの理由があります。
1. 周りの刺激に注意が向きやすい
落ち着きがない子は、テレビの音、兄弟の声、机の上のおもちゃ、壁の飾りなど、いろいろな刺激に注意が向きやすいことがあります。
大人から見ると「集中していない」と見えますが、本人の頭の中では、周囲の情報がどんどん入ってきている状態かもしれません。
たとえば、
- テレビの音が気になって遊びが止まる
- 机の上の別のおもちゃに目移りする
- 壁の掲示物や窓の外が気になる
- 兄弟の動きが気になって立ち上がる
といった様子です。
厚生労働省の資料でも、発達障害のある人への配慮として、肯定的・具体的・視覚的な伝え方や、スモールステップでの支援が紹介されています。
参考:厚生労働省|発達障害の特性(代表例)
2. 体を動かして感覚を整えている
じっとしていられない子の中には、体を動かすことで自分の感覚を整えている子もいます。
- ジャンプする
- 体を揺らす
- 走り回る
- 椅子の上でそわそわする
- くるくる回る
- 何かを触り続ける
こうした動きは、単なるいたずらではなく、体の感覚を入れて落ち着こうとしている場合もあります。
療育の先生からも、「動きを止める」だけでなく、「必要な動きを安全な形で入れる」ことが大切だと教わりました。
3. 疲れや眠気で逆にハイテンションになる
「眠いなら静かになるはず」と思いがちですが、子どもによっては、疲れているときほどテンションが上がることがあります。
わが家の息子も、眠くなると急に走り回ったり、声が大きくなったりすることがありました。
これは親としては本当に大変です。
でも、「わざとふざけている」のではなく、疲れや眠気で気持ちや体のコントロールが難しくなっていると考えると、対応の仕方が少し変わります。
4. やることが大きすぎて、何から始めればいいか分からない
「片づけて」
「集中して」
「ちゃんと座って」
こうした声かけは、大人には伝わりますが、子どもには抽象的すぎることがあります。
特に発達特性がある子は、行動を小さく分けてもらうと動きやすくなる場合があります。
たとえば、「片づけて」ではなく、
「まずブロックを箱に入れよう」
「次に絵本を棚に戻そう」
と伝えると、動けることがあります。
落ち着きがない子の集中力を伸ばす方法5選
ここからは、家庭で試しやすい方法を5つ紹介します。
方法1|まずは刺激を減らした環境を作る

集中力を伸ばすために、最初にできることは「頑張らせる」ことではなく、集中しやすい環境を作ることです。
家庭でできる工夫
- テレビを消す
- 机の上に必要な物だけ置く
- おもちゃを一度に出しすぎない
- 遊ぶ場所と勉強する場所を分ける
- 目に入る収納を減らす
- 音が気になる場合は静かな場所に移動する
- 5分だけ取り組める課題にする
わが家の実践例
息子は折り紙を始めても、周りにおもちゃがあるとすぐ気が散っていました。
そこで、リビングの一角に小さな作業スペースを作り、机の上には、
- 折り紙
- はさみ
- のり
だけを置くようにしました。
すると、以前よりも折り紙に向かえる時間が増えました。
集中力が急に伸びたというより、「集中を邪魔するものが減った」ことで、本人が取り組みやすくなったのだと思います。
声かけ例
「机の上はこれだけにしよう」
「今日は折り紙だけ出そうね」
「ここは作る場所にしよう」
「5分だけやってみよう」
集中グッズまとめ
机の上に物が多いと気が散りやすい子には、種類別に分けられる収納ボックスがあると、遊びを1つずつ出しやすくなります。
- 収納ボックス
- ラベルシール
- 学習机用パーテーション
- デスクマット
- 子ども用タイマー
- 折り紙・はさみ・のりセット
方法2|体を使う遊びで動きたい欲求を満たす

落ち着きがない子に「動かないで」と言い続けるのは、親子ともにしんどいです。
それよりも、先に体を動かす時間を作るほうが、その後に落ち着きやすいことがあります。
おすすめの運動遊び
- トランポリン
- ブランコ
- ボール遊び
- 追いかけっこ
- 動物歩き
- 布団の上でごろごろ
- ジャンプ10回
- バランスクッション
- 平均台遊び
- でこぼこ道歩き
わが家の実践例
療育で、トランポリンやブランコなど、体を大きく使う活動を取り入れてもらうことがありました。
最初は「ただ遊んでいるだけ?」と思ったこともあります。
でも、体を動かしたあと、少し落ち着いて座れたり、活動に入りやすくなったりする様子を見て、動きには意味があるのだと感じました。
家でも、夕方に公園へ行き、走る・ボールを蹴る・追いかけっこをする時間を作りました。
すると、その日は夜の切り替えが少しスムーズだったり、イライラが減ったりすることがありました。
もちろん毎回うまくいくわけではありません。
でも、「落ち着かないなら先に動く」という視点は、わが家にとってかなり役立ちました。
声かけ例
「先にジャンプしてから座ろう」
「走りたい気持ちがあるね。公園で走ろう」
「体を動かしたら、次は絵本にしよう」
「あと10回ジャンプしたらおしまいね」
おすすめグッズ
- 室内トランポリン
- バランスストーン
- バランスクッション
- キッズ用ボール
- 室内鉄棒
- ヨガマット
- 縄跳び
方法3|感覚遊びで「手元に注意を向ける」練習をする

落ち着きがない子には、全身を動かす遊びだけでなく、手元や体の感覚に注意を向ける遊びもおすすめです。
集中力を育てるというと、プリントや勉強を思い浮かべがちですが、幼児期や低学年では、遊びの中で集中する経験を積むことが大切です。
おすすめの感覚遊び
- 背中に形を描いて当てる
- 手のひらに数字やひらがなを書く
- 粘土遊び
- スライム遊び
- 小麦粉粘土
- シール貼り
- ビーズ通し
- 洗濯ばさみ遊び
- お米や小豆をすくう遊び
- 指先で迷路をなぞる
わが家の実践例
息子は手先の不器用さもあり、細かい作業が苦手でした。
でも、背中に丸や三角を描いて「何の形?」と聞く遊びは、楽しみながらできました。
また、シール貼りや簡単なパズルなど、短時間で終わるものから始めると、「できた!」を感じやすかったです。
大切なのは、最初から長く集中させようとしないこと。
1分でも、3分でも、子どもが遊びに向かえたら十分な一歩です。
声かけ例
「何の形か分かるかな?」
「ここまでできたね」
「あと1枚貼ったら終わりにしよう」
「手をよく見てできたね」
おすすめグッズ
- シールブック
- 知育パズル
- ひも通し
- ビーズセット
- 粘土セット
- 洗濯ばさみ知育玩具
- 指先トレーニング教材
方法4|短い時間で「できた」を積み重ねる
集中力が続かない子に、最初から長時間の活動を求めると、失敗体験になりやすいです。
まずは短い時間で終わる活動から始めます。
取り組みやすい例
- パズルを3ピースだけ
- シールを5枚貼る
- 絵本を1ページだけ読む
- プリントを1問だけ
- ブロックを1作品だけ作る
- 片づけを1種類だけする
「短すぎるかな?」と思うくらいで大丈夫です。
子どもにとっては、「最後までできた」という経験が大切です。
わが家の実践例
息子とパズルをするとき、以前は「全部完成させよう」としていました。
でも、途中で飽きたり、違う遊びに移ったりしてしまうことが多かったです。
そこで、最初は一緒に数ピースだけはめることにしました。
「ここまでできたね」
「あと1個で終わりにしよう」
と区切ると、最後までできることが増えました。
集中力は、長時間がんばる力というより、「始めて、終わる経験」を積み重ねることで少しずつ育っていくのだと感じました。
声かけ例
「今日はここまででOK」
「最後までできたね」
「短い時間でも集中できたね」
「また明日続きをしよう」
方法5|生活リズムを整えて集中しやすい土台を作る
集中力は、遊び方だけでなく、睡眠や生活リズムにも影響されます。
寝不足、空腹、疲れがあると、子どもは落ち着きにくくなります。
見直したい生活リズム
- 起きる時間
- 寝る時間
- 朝ごはん
- 外遊びの時間
- 夕方以降の刺激
- スクリーンタイム
- 寝る前のルーティン
わが家の実践例
息子は、眠くなると静かになるタイプではなく、逆にテンションが上がることがありました。
「まだ元気だから寝なくていい」のではなく、「眠いからコントロールしにくくなっている」と考えるようになってから、夕方以降の過ごし方を意識するようになりました。
夜に興奮する遊びを減らす。
寝る前は絵本や静かな遊びにする。
部屋の明かりを少し落とす。
寝る流れを毎日同じにする。
こうした小さな工夫で、入眠が少しスムーズになる日もありました。
声かけ例
「そろそろ体を休める時間だよ」
「今日はたくさん動いたね」
「寝る前は静かな遊びにしよう」
「絵本を読んだら電気を消そう」
困りごと別|家庭でできる集中力サポート表
| 困りごと | 背景の例 | 家庭でできる工夫 |
|---|---|---|
| 遊びがすぐ変わる | 刺激に注意が向きやすい | おもちゃを1つずつ出す |
| 座っていられない | 体を動かして感覚調整している | 先にジャンプや外遊びを入れる |
| 片づけができない | 手順が多すぎる | 「ブロックだけ」など小さく分ける |
| 眠いとハイテンション | 疲れで調整が難しい | 夕方以降の刺激を減らす |
| プリントが続かない | 終わりが見えにくい | 1問だけ、タイマーを使う |
| すぐイライラする | 疲れ・感覚刺激・空腹 | 落ち着く場所や休憩を用意する |
療育施設を選ぶときに見ておきたいポイント
家庭でできる工夫も大切ですが、療育の先生や専門家からアドバイスをもらうことで、子どもに合った関わり方が見つかることもあります。
わが家も、療育での活動や先生の声かけから学んだことがたくさんありました。
見学時に確認したいこと
- 子どもが楽しそうに参加できそうか
- 体を動かす活動があるか
- 感覚遊びや指先遊びがあるか
- 家庭でできる工夫も教えてくれるか
- 先生が子どもを否定せず見てくれるか
- 親の相談に乗ってくれるか
- 無理に座らせるだけの支援になっていないか
「座れるようにする」だけでなく、「なぜ動きたいのか」「どうしたら落ち着きやすいのか」を一緒に考えてくれる場所だと、家庭でも活かしやすいです。
よくある質問
じっとしていられない子は発達障害ですか?
必ずしも発達障害とは限りません。
幼児期は好奇心が強く、体を動かしたい時期でもあります。
ただし、園や学校、家庭生活で大きな困りごとが続く場合は、小児科や発達相談窓口に相談すると安心です。
落ち着きがない子には、まず何をすればいいですか?
まずは、環境の刺激を減らすことから始めるのがおすすめです。
テレビを消す、机の上を片づける、おもちゃを1つだけ出すなど、すぐにできる工夫から試してみてください。
集中力を伸ばすにはプリント学習が必要ですか?
必ずしもプリント学習でなくて大丈夫です。
幼児期や低学年では、パズル、シール貼り、粘土、絵本、ブロックなど、遊びの中で集中する経験を積むことが大切です。
トランポリンやブランコは集中力に役立ちますか?
体を動かす遊びは、子どもによっては気持ちや体の調整に役立つことがあります。
ただし、すべての子に同じ効果があるわけではありません。安全に配慮しながら、子どもの様子を見て取り入れてください。
怒ると逆効果ですか?
危険な行動は短く止める必要があります。
ただし、「じっとして」「ちゃんとして」と怒り続けるだけでは、子どもが何をすればよいか分かりにくいことがあります。
「ここに座ろう」「まず1つやろう」のように、具体的な行動を伝えるほうが分かりやすいです。
外食や病院の待ち時間が苦手です。どうしたらいいですか?
事前に体を動かす、待ち時間用の小さなおもちゃや絵本を持つ、待つ時間を短く伝えるなどが役立つことがあります。
「あと5分」など、見通しを持たせることも大切です。
療育に通えばすぐ落ち着きますか?
すぐに劇的に変わるとは限りません。
でも、子どもに合った支援を継続することで、少しずつ「できる場面」が増えることがあります。
家庭でも同じ声かけや遊びを取り入れると、つながりやすくなります。
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まとめ|集中力は「叱る」より「整える」で育てる
落ち着きがない子どもの集中力を伸ばすには、叱って動きを止めるだけではなく、集中しやすい土台を整えることが大切です。
家庭でできる工夫は、次の5つです。
- 刺激を減らした環境を作る
- 体を使う遊びで動きたい欲求を満たす
- 感覚遊びで手元に注意を向ける
- 短い時間で「できた」を積み重ねる
- 生活リズムを整える
子どもがじっとできない背景には、本人なりの理由があることがあります。
「どうして落ち着かないの?」ではなく、
「どうしたら落ち着きやすい形になるかな?」と考える。
その視点が、親子の毎日を少しラクにしてくれます。
焦らなくて大丈夫です。
今日できる小さな工夫をひとつだけ。
その積み重ねが、子どもの集中力と自信を少しずつ育てていきます。