はじめに|VCIは「言葉で理解し、説明する力」
WISC検査の結果で、
「VCIが高めです」
「言語理解に強みがあります」
「言葉で説明する力に課題があります」
と言われても、保護者としては少し分かりにくいですよね。
VCIとは、言語理解指標のことです。
簡単に言うと、言葉を理解したり、言葉で考えたり、説明したりする力を見ます。
たとえば、
- 言葉の意味を理解する
- 物事の共通点を考える
- 自分の考えを言葉で説明する
- 文章や会話の内容を理解する
- 理由を言葉で伝える
といった力に関係します。
VCIが高い子は、語彙が豊かだったり、会話や説明が得意だったりすることがあります。
一方で、VCIが低めの子は、言葉の意味を理解することや、口頭で説明することに負担がかかることがあります。
ただし、VCIの数値だけで子どもの力を決めることはできません。
WISCでは、言語理解だけでなく、視空間、流動性推理、ワーキングメモリ、処理速度なども合わせて見ます。
この記事では、WISCのVCIについて、
- VCIとは何か
- VCIが高い子の特徴
- VCIが低い子の特徴
- 読解・会話・説明での困りごと
- ASD・ADHDなど発達特性との関係
- 家庭でできる支援
- 学校で相談できる配慮
- わが家の体験談
を、保護者向けにわかりやすく解説します。
WISC検査の対象年齢・費用・検査内容・結果の見方を先に知りたい方は、こちらの記事にまとめています。
WISC検査とは?子どもの対象年齢・費用・結果の見方をわかりやすく解説
VCI(言語理解指標)とは?
VCIは、Verbal Comprehension Indexの略で、日本語では「言語理解指標」と呼ばれます。
WISC-Vの主要指標のひとつで、言葉を使って理解する力や、言葉で考えて説明する力を見ます。
VCIでは、主に次のような力が関係します。
- 言葉の意味を知っている力
- 語彙を使って説明する力
- 物事の共通点を考える力
- 抽象的な概念を理解する力
- 会話や文章を理解する力
たとえば、「りんごとバナナはどこが似ている?」と聞かれたときに、「どちらも果物」と考える力です。
単に言葉をたくさん知っているだけでなく、言葉を使って物事を整理する力にも関係します。
WISCの5つの指標の中でVCIはどんな位置づけ?
WISC-Vでは、主に次の5つの指標を見ます。
| 指標 | 読み方 | 見る力の目安 |
|---|---|---|
| VCI | 言語理解 | 言葉の理解、語彙、説明する力 |
| VSI | 視空間 | 目で見た形や位置関係をとらえる力 |
| FRI | 流動性推理 | ルールや関係性を見つけて考える力 |
| WMI | ワーキングメモリ | 情報を一時的に覚えて使う力 |
| PSI | 処理速度 | 見た情報を素早く正確に処理する力 |
VCIは、言葉を使って理解する力に関係します。
ただし、VCIが高くても、ほかの指標が低いと日常生活や学習で困ることがあります。
たとえば、言葉で説明する力はあるけれど、処理速度が低くて書く作業に時間がかかる子もいます。
また、言葉では理解できても、視空間や流動性推理が苦手で、図形や新しい課題でつまずく子もいます。
そのため、VCIは単独で見るのではなく、ほかの指標とのバランスで見ることが大切です。
VCIで行う主な課題
VCIでは、言葉の意味や概念理解を見る課題が行われることがあります。
ただし、実際の検査問題を詳しく知りすぎると、正確な結果が出にくくなることがあります。
ここでは、家庭でイメージしやすい範囲で説明します。
言葉の意味を説明する課題
ある言葉について、「それは何ですか?」と聞かれ、言葉で説明する課題です。
この課題では、
- 語彙を知っているか
- 言葉の意味を理解しているか
- 自分の言葉で説明できるか
- 伝わるようにまとめられるか
が関係します。
共通点を考える課題
2つのものを比べて、どこが同じかを答える課題です。
たとえば、「犬と猫はどこが似ている?」と聞かれたときに、「どちらも動物」と答えるような力です。
この課題では、
- 共通点を見つける力
- 抽象的に考える力
- カテゴリーで整理する力
- 言葉で説明する力
が関係します。
VCIが高い子の特徴
VCIが高い子は、言葉を使って理解したり、説明したりすることに強みがある場合があります。
たとえば、次のような姿が見られることがあります。
- 語彙が豊か
- 会話が得意
- 説明を聞いて理解しやすい
- 理由を言葉で説明できる
- 物語や本が好き
- 知識を言葉で覚えやすい
- 大人びた表現を使う
- 言葉で考えることが得意
VCIが高い子は、言葉で説明されると理解しやすいことがあります。
そのため、学習でも「なぜそうなるのか」を言葉で説明してもらうと納得しやすい場合があります。
一方で、VCIが高いからといって、すべてが得意とは限りません。
たとえば、
- 話す力はあるのに書くのは苦手
- 言葉で理解できても図形は苦手
- 説明は上手でも作業が遅い
- 頭では分かっているのに行動に移すのが難しい
- 大人っぽく話せるため、困りごとが見えにくい
ということもあります。
「話せるから大丈夫」と見られやすい子ほど、実際の困りごとを丁寧に見ていくことが大切です。

VCIが低い子の特徴
VCIが低めの子は、言葉の意味を理解したり、自分の考えを言葉で説明したりすることに負担がかかりやすいです。
たとえば、次のような姿が見られることがあります。
- 語彙が少ない
- 説明を聞いても分かりにくい
- 質問に答えるまで時間がかかる
- 自分の気持ちを言葉にしにくい
- 文章の意味をつかみにくい
- 抽象的な言葉が分かりにくい
- 「どうして?」と聞かれると固まる
- 会話がかみ合いにくいことがある
これは「考えていない」という意味ではありません。
言葉で理解することや、言葉で表すことに負担がかかっている場合があります。
VCIが低めの子には、言葉だけで説明するより、
- 絵
- 写真
- 実物
- ジェスチャー
- 選択肢
- 短い言葉
を使うと理解しやすくなることがあります。
VCIと読解・会話・説明の関係
VCIは、学習や日常会話にも関係します。
読解での困りごと
文章を読むときは、言葉の意味や文のつながりを理解する必要があります。
VCIに負担がある子は、
- 知らない言葉が多いと内容が分からない
- 登場人物の気持ちを言葉で説明しにくい
- 問題文の意味を取り違える
- 抽象的な表現が分かりにくい
ことがあります。
会話での困りごと
会話では、相手の言葉を理解し、自分の考えを言葉で返す必要があります。
VCIに負担がある場合、
- 質問の意味が分かりにくい
- 返事が短くなる
- 自分の気持ちを説明しにくい
- 「何が嫌だったの?」に答えにくい
ことがあります。
説明での困りごと
説明するには、頭の中の考えを言葉にして、相手に伝わる順番で話す必要があります。
そのため、語彙だけでなく、整理する力やワーキングメモリも関係します。
VCIが高くても、説明が苦手な子もいます。
その場合は、言語理解だけでなく、WMIやPSI、注意、緊張なども関係していることがあります。
VCIとASD・ADHDなど発達特性との関係
VCIの結果は、発達特性を理解する手がかりになることがあります。
ただし、VCIだけでASDやADHDを診断することはできません。
診断は、医師が問診、行動観察、生活の様子、他の検査などを総合して判断します。
ASDとの関係
ASDのある子では、言葉の力に凸凹が見られることがあります。
語彙が豊かでVCIが高めに出る子もいれば、言葉の理解や会話に支援が必要な子もいます。
また、言葉の意味は知っていても、
- 相手の意図を読み取る
- 曖昧な表現を理解する
- 場面に合わせて言葉を使う
- 気持ちを言葉にする
ことが難しい場合もあります。
ADHDとの関係
ADHD傾向がある子では、VCIそのものよりも、注意の持続や聞き取りの影響で言葉の理解が不安定に見えることがあります。
たとえば、
- 説明の途中で注意がそれる
- 最後まで聞く前に答える
- 聞いた内容を忘れる
- 質問の意図を取り違える
ことがあります。
この場合、言葉の力だけでなく、注意やワーキングメモリも合わせて見ることが大切です。
VCIが高い子へのサポート
VCIが高い子には、言葉の強みを活かした支援が合うことがあります。
理由を言葉で説明する
「こうしなさい」だけではなく、
「なぜそうするのか」
「どうしてこの方法がいいのか」
を説明すると納得しやすいことがあります。
言葉で整理する
考えをノートに書く、話して整理する、親子で振り返るなど、言葉を使って整理する方法が合うことがあります。
得意な言葉で苦手を補う
たとえば、図形が苦手な子でも、手順を言葉で説明すると理解しやすい場合があります。
「まず上を見る」
「次に同じ形を探す」
「最後に向きを確認する」
のように、言葉で手順化すると取り組みやすくなることがあります。
話せるから大丈夫と見ない
VCIが高い子は、周りから「しっかりしている」と見られやすいです。
でも、実際には不器用さ、処理速度、感覚過敏、切り替えの苦手さなどで困っていることもあります。
言葉の力だけで判断せず、生活全体を見ることが大切です。
VCIが低い子への家庭でのサポート

VCIが低めの子には、言葉だけで伝えすぎないことが大切です。
1.短く具体的に伝える
長い説明より、短い言葉の方が理解しやすいことがあります。
「ちゃんとして」ではなく、
「くつをそろえよう」
「赤いノートを出そう」
「ここに名前を書こう」
のように、具体的に伝えます。
2.絵や写真を使う
言葉だけで分かりにくいときは、絵や写真を使います。
- 手順カード
- 写真つきの予定表
- 絵カード
- 実物を見せる
- 指差しで伝える
視覚的な手がかりがあると、理解しやすくなることがあります。
3.選択肢を出す
自由に説明するのが難しい子には、選択肢があると答えやすくなります。
「どうだった?」よりも、
「楽しかった?疲れた?」
「怒った?悲しかった?」
「こっちとこっち、どっちがいい?」
のように聞くと、答えやすくなることがあります。
4.言い換えを増やす
新しい言葉を覚えるときは、別の言い方も一緒に伝えると語彙が広がります。
たとえば、
「大きい」は「広い」「高い」「長い」と場面によって言い方が違います。
日常会話の中で、
「これは大きいね。背が高いとも言うね」
のように伝えると、言葉の幅が広がります。
5.3ヒントゲームをする
物の特徴を言葉で説明する練習として、3ヒントゲームもおすすめです。
たとえば、答えが「カニ」なら、
- 海にいる生き物です
- はさみがあります
- 横に歩くことがあります
というように、特徴を少しずつ伝えます。
最初は親がヒントを出し、慣れてきたら子どもがヒントを考える形にすると、説明する力につながります。
VCIが低い子への学校での支援

学校では、言葉での説明や口頭指示が多いため、VCIに負担がある子は困りやすいことがあります。
指示を短く分ける
長い説明を一度に聞くと、理解しにくいことがあります。
その場合は、
「まず教科書を開きます」
「次に赤鉛筆を出します」
のように、短く区切ると分かりやすくなります。
具体物や見本を使う
言葉だけで説明するより、見本や具体物があると理解しやすいです。
- 完成見本を見せる
- 実物を使って説明する
- 図で示す
- 例文を出す
- 手順を板書する
といった支援が役立つことがあります。
質問の仕方を工夫する
「どう思う?」と聞かれても、答えにくい子がいます。
その場合は、
「AとBならどちらに近い?」
「うれしい気持ち?困った気持ち?」
「理由は、これかな?それともこっちかな?」
のように、選択肢を出すと答えやすくなります。
先生へ相談するときの文例
学校へ相談するときは、検査結果だけでなく、具体的な困りごとを伝えると分かりやすいです。
いつもありがとうございます。
WISC検査で、言語理解(VCI)の特徴が見られました。
家庭では、長い説明や抽象的な言葉だけだと理解しにくいことがあります。
学校でも、口頭指示が長い場面や、理由を言葉で説明する場面で困っているかもしれません。
可能な範囲で、短く具体的に伝える、見本や図を使う、選択肢を出して確認するなど、ご相談できると助かります。
わが家の体験談
わが家の息子は、WISCでVCIが平均に近い結果でした。
語彙は比較的ある方でしたが、説明することには少し苦手さがあると言われました。
一方で、視空間や流動性推理には苦手さがあり、言葉で説明すると分かりやすい場面もありました。
検査結果を見てからは、
- 絵本の読み聞かせで言葉を増やす
- 3ヒントゲームで説明する練習をする
- 知らない言葉は生活の中で使ってみる
- 苦手な課題は言葉で手順化する
- できたところを言葉で確認する
ことを意識しています。
VCIの結果を見て、「言葉が得意」「言葉が苦手」と単純に見るのではなく、どんな場面で言葉が助けになるのか、どんな場面では別の支援が必要なのかを考えるようになりました。
よくある質問
VCIとは何ですか?
VCIは言語理解指標のことです。
言葉の意味を理解したり、言葉で考えたり、説明したりする力を見ます。
VCIが高い子にはどんな特徴がありますか?
語彙が豊か、説明を聞いて理解しやすい、会話が得意、言葉で考えることが得意などの特徴が見られることがあります。
ただし、VCIが高くても、書くことや作業スピード、図形、切り替えなどで困ることもあります。
VCIが低い子にはどんな特徴がありますか?
言葉の意味を理解しにくい、説明が苦手、抽象的な言葉が分かりにくい、自分の気持ちを言葉にしにくいなどの姿が見られることがあります。
VCIが低いと国語が苦手になりますか?
国語で困りやすくなることはありますが、VCIだけで国語力が決まるわけではありません。
読解、書字、注意、ワーキングメモリ、語彙経験なども関係します。
VCIが高いと発達障害ではないですか?
いいえ。
VCIが高くても、ASDやADHDなどの発達特性がある子もいます。
診断はVCIだけでなく、生活の様子や行動観察などを含めて総合的に判断されます。
ASDとVCIは関係ありますか?
ASDのある子では、言葉の力に凸凹が見られることがあります。
語彙が豊かな子もいれば、言葉の理解や会話に支援が必要な子もいます。
ADHDとVCIは関係ありますか?
ADHD傾向がある子では、注意のそれやすさや聞き取りの不安定さによって、言葉の理解が不安定に見えることがあります。
VCIだけで判断せず、WMIやPSIなども合わせて見ることが大切です。
家庭でできるVCI支援はありますか?
絵本の読み聞かせ、3ヒントゲーム、言い換え遊び、絵カード、日常会話で知らない言葉を使うことなどが役立ちます。
学校ではどんな支援が合いますか?
短く具体的な指示、見本や図の提示、選択肢を出す、説明の前にキーワードを示すなどが合うことがあります。
VCIの結果はどう活かせばいいですか?
VCIの数値だけで判断するのではなく、言葉で理解しやすい場面、言葉だけでは難しい場面を整理し、家庭や学校での支援に活かすことが大切です。
まとめ|VCIは言葉の得意・苦手を知るヒント
WISCのVCI(言語理解指標)は、言葉を理解し、言葉で考え、説明する力を見る指標です。
VCIが高い子は、語彙や会話、説明を聞く力に強みがあることがあります。
VCIが低めの子は、言葉の意味、抽象的な表現、説明することに負担がかかりやすいことがあります。
ただし、VCIは子どもの一部を知るための指標です。
VCIだけで発達特性や学力を判断することはできません。
大切なのは、
- 言葉で理解しやすいのか
- 絵や写真があると分かりやすいのか
- 説明する力に支援が必要なのか
- ほかの指標とのバランスはどうか
を見ていくことです。
検査結果は、子どもを決めつけるためではなく、支援を考えるためのヒントです。
その子に合った伝え方や学び方を見つけながら、安心して言葉を使える経験を増やしていけるといいですね。
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