こんにちは、皆さん。
前回の記事では、発達検査を受ける決断に至るまでの葛藤や、不安な気持ちと向き合いながら療育を始めた私たち家族の思いをシェアしました。発達検査という言葉を聞くと、正直「本当に必要なのか?」という疑問や、「これで子どもの未来が変わってしまうのでは…」という漠然とした不安に心を揺さぶられる親も多いかと思います。
今回は、息子が受けたWPPSI-III(ウィプシ3)という知能検査について、私たち家族の体験をシェアしたいと思います。この検査は、主に2歳6か月から7歳3か月までの子どもを対象に、知能や発達の状態を評価するものです。
息子のWPPSI-III(ウィプシ3)検査を通じて、具体的な結果が示されたことで、私たち夫婦の気持ちが少しずつ変わり始めました。
今回は、その知能検査の体験と、それが私たちに与えた気づきについてお話しします。
発達検査(WPPSI-III)の重要性とは?
発達検査は、子どもの成長や発達の状態を客観的に評価するために非常に重要なツールです。特に、幼い子どもは自分の考えや気持ちを言葉でうまく表現できないことが多く、親や保育者が見過ごしてしまうようなサインを発達検査が捉えてくれます。例えば、言語理解や知覚推理、処理速度といった特定の領域での強みや弱みを明確にすることで、どのようにサポートしていくべきかの方向性が見えてきます。また、日常生活での困りごとが、発達のどの部分に由来しているのかを知ることができるため、適切な支援策を講じやすくなります。
息子の場合も、発達検査を受ける前は漠然とした不安や、日常生活での困りごとが多くありましたが、検査結果が示されたことで、私たち親としてもより具体的な対策が考えられるようになりました。
息子が受けた発達検査WPPSI-IIIは、私たちが息子の成長や発達をより深く理解するための大きなステップとなりました。特に、発達障害の子どものサポートについてどのように進めるか悩んでいる親にとって、このような知能検査の結果は非常に重要です。
WPPSI-III検査で得られる情報
WPPSI-III検査は、以下の指標を通じて子どもの知能や発達を評価します。
- 全体知能指数(FSIQ: Full Scale IQ)
子どもの知能全体を総合的に評価し、言語理解や知覚推理、処理速度など、さまざまな能力を総合的に判断するものです。 - 言語理解(VCI: Verbal Comprehension Index)
言葉の理解や推論力、言語表現力を評価します。語彙や類似、理解などの課題が含まれ、言語的な能力の指標となります。 - 知覚推理(PRI: Perceptual Reasoning Index)
視覚的な情報を使って推論し、問題解決する力を測定します。積み木模様や絵の概念、行列推理などの課題が含まれます。 - 処理速度(PSI: Processing Speed Index)
視覚的な情報を迅速かつ正確に処理する力を評価します。符号や記号探しなどの課題が含まれ、処理速度がどの程度高いかが分かります。 - 全体言語(GLC: General Language Composite)
言葉に関する総合的な力を評価します。言語理解力や表現力、言語による問題解決力を測定します。
息子のWPPSI-III検査体験
WPPSI-IIIを受けると決めたとき、私の心には「これで本当に正しいのだろうか」という不安がありました。検査結果がどう出るのか、もしかすると問題が見つかるのではないかという恐れも抱えていました。しかし、検査を受けている息子の姿を見守る中で、彼が一生懸命に問題に取り組む姿に胸が熱くなりました。積み木模様やパズルに苦戦しているときには、「もっとこうすればいいのに」と焦る気持ちが湧くこともありましたが、彼が全力で挑む姿には親としての誇りを感じました。
息子がこの知能検査を受けたのは3歳8か月のときで、検査は約70分間行われました。私は同室で彼の様子を見守りながら、一つひとつの課題に真剣に向き合う姿を観察していました。最初は順調に進んでいましたが、次第に積み木の模様合わせやパズルの課題で苦戦する姿が見られました。例えば、赤白の順番で積み木を並べる課題では戸惑い、何度も間違えてしまいました。彼が視覚的な情報を記憶し、指示通りに実行することに苦労している様子が印象的でした。また、パズルの課題でも、ピースを正しい場所に置くことが難しいようで、視覚情報を整理し統合することの大変さを感じました。
この検査を通じて、息子の頑張りや挑戦する姿に感動する一方で、彼が日常で感じている困難について改めて考えさせられる機会となりました。
検査結果が示した息子の特性
約2週間後、夫と一緒に検査結果を聞きに行きました。結果として、息子は言語理解が強みである一方、視覚的な情報処理や知覚推理には課題があることがわかりました。特に、視覚情報の推論や課題の理解に大きなギャップ(凸凹)があり、これまでの日常生活で見られた困りごとの原因が明確に示されました。息子が何度も同じミスを繰り返す理由や、集団行動で指示にうまくついていけなかった理由が、この検査で理解できました。
結果を聞くまでは不安でいっぱいでしたが、意外にも結果を知ったときには少し安心した自分がいました。これまで「なぜうまくいかないのだろう」という漠然とした悩みが、具体的な形で示されたことが大きかったのだと思います。息子の特性を理解することで、これからは彼の強みを伸ばしつつ、課題に対してどのようにサポートしていくべきかがはっきりと見えてきました。結果をもとに、今後の支援の方向性を見つけることができ、少しずつでも前向きに進んでいけるという希望が湧いてきました。
今後の取り組み
このWPPSI-III検査を通じて、息子の得意なことと苦手なことが具体的に分かり、今後どのようにサポートすべきかの方向性が明確になりました。例えば、視覚的な課題に対しては少しずつサポートし、言語面では息子の強みを伸ばすことを目指しています。
夫婦で協力し合いながら、息子が自分らしく成長していけるように、引き続き前向きに取り組んでいきたいと思います。
次回のブログでは、「検査結果がもたらした生活の変化」についてお話しします。引き続き、私たちの経験が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
発達検査の結果を元に、息子の療育に取り組む際の工夫については、こちらの記事「発達障害の理解とサポート:子どもの特性に寄り添う親の心構え」でも詳しく触れています。