はじめに
「うちの子、もしかして発達障害なのかな?」
そう感じたとき、最初にぶつかるのが、
発達障害って何?種類が多すぎて分からない
という壁ではないでしょうか。
私もそうでした。
息子の行動に「ちょっと気になるかも」と感じ始めたのは、幼稚園で集団行動が難しかったり、家で癇癪が増えたりした頃です。
当時の私は、「発達障害」という言葉は知っていても、ASD・ADHD・LD・DCDなどの違いはほとんど分かっていませんでした。
調べていくうちに分かったのは、発達障害はひとつの型にきれいに分かれるものではないということ。
息子の場合も、
- 集団指示が苦手
- 感覚過敏がある
- 手先や体の使い方が不器用
- 吃音がある
- 気持ちの切り替えが苦手
など、いくつもの特性が少しずつ重なっていました。
この記事では、発達障害の代表的な種類と特徴を、親目線の体験談を交えながらわかりやすく解説します。
「診断名を決めるため」ではなく、
子どもの困りごとを理解し、家庭でできる支援を考えるための入口として読んでもらえたら嬉しいです。
※この記事は医療的な診断を目的としたものではありません。気になる様子がある場合は、自治体の発達相談、保健センター、小児科、発達外来などに相談してください。
発達障害とは?

発達障害は、生まれつきの脳の働き方の違いによって、コミュニケーション、行動、学習、運動、感覚などに困りごとが出やすい状態をいいます。
厚生労働省では、発達障害者支援法における発達障害として、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などを挙げています。また、トゥレット症候群、吃音、場面緘黙なども発達障害に含まれるとされています。
参考:厚生労働省 発達障害者支援施策
大切なのは、発達障害は「親のしつけ」や「本人の努力不足」ではないということです。
政府広報オンラインでも、発達障害は脳機能の発達が関係する障害であり、複数の障害が重なって現れることもあると説明されています。
参考:政府広報オンライン 発達障害って、なんだろう?
発達障害の主な種類と特徴

ここでは、子どもの発達相談や療育でよく出てくる代表的な特性を整理します。
1. 自閉スペクトラム症(ASD)

ASDは、対人関係やコミュニケーションの難しさ、こだわりの強さ、感覚の偏りなどが見られる特性です。
以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」などと分けて呼ばれることもありましたが、現在は連続した特性として「自閉スペクトラム症」と表現されることが多くなっています。
ASDで見られやすい特徴
- 相手の気持ちや場の空気を読むのが苦手
- 会話が一方通行になりやすい
- 急な予定変更が苦手
- こだわりが強い
- 音・光・服のタグなどに敏感
- 友達との距離感が近すぎる、または関わり方が分からない
わが家の体験談
息子は、友達と関わりたい気持ちはあるのに、距離感が近すぎたり、相手の反応に気づきにくかったりすることがありました。
「一緒に遊びたい」気持ちが強いのに、うまく伝わらず、相手を驚かせてしまうことも。
最初は「どうしてそんなことするの?」と思ってしまいましたが、今は「関わりたいけど、やり方がまだ分からないんだ」と考えるようになりました。
家庭でできるサポート
- 見通しを伝える
- 絵カードや予定表を使う
- 「近すぎるよ」ではなく「このくらい離れると話しやすいよ」と具体的に伝える
- ロールプレイで友達とのやりとりを練習する
- 予定変更は早めに伝える
2. 注意欠如・多動症(ADHD)

ADHDは、不注意・多動性・衝動性が目立ちやすい特性です。
「集中できない」「落ち着きがない」「思いついたらすぐ動いてしまう」など、園や学校生活で困りごとにつながることがあります。
ADHDで見られやすい特徴
- 忘れ物が多い
- 話を最後まで聞くのが苦手
- 順番を待つのが苦手
- すぐに動き出してしまう
- 気が散りやすい
- 感情が高ぶると止まりにくい
わが家の体験談
息子も、気持ちが盛り上がると声が大きくなったり、急に走り出したりすることがありました。
「危ないよ」と言っても、その瞬間はなかなか止まれない。
でも、あとから落ち着いて話すと、「分かってたけど、止まれなかった」と言うことがありました。
この言葉を聞いたとき、「分からない」のではなく「分かっていても止まりにくい」ことがあるのだと気づきました。
家庭でできるサポート
- 指示は短く、1つずつ伝える
- やることを見える化する
- タイマーで時間を区切る
- 動いていい時間と座る時間を分ける
- できた行動をすぐに褒める
- 危険な場面では事前にルールを確認する
3. 限局性学習症(LD/SLD)

限局性学習症は、知的発達に大きな遅れがないにもかかわらず、読む・書く・計算するなど、特定の学習に強い苦手さが出る特性です。
LDで見られやすい特徴
- 文字を読むのに時間がかかる
- 書き間違いが多い
- 文字の形を覚えにくい
- 音読を嫌がる
- 計算の手順が定着しにくい
- 板書が苦手
家庭でできるサポート
- 文字を大きくする
- 読み上げや音声教材を使う
- 書く量を減らして選択式にする
- 色分けやマーカーを使う
- 苦手を責めず、得意な覚え方を探す
- 学校と合理的配慮について相談する
4. 発達性協調運動症(DCD)

DCDは、体の動きや手先の操作がぎこちなく、運動や日常動作に困りごとが出やすい特性です。
「不器用」「運動が苦手」と見られやすいですが、本人は一生懸命やっているのに体の使い方がうまくいかないことがあります。
DCDで見られやすい特徴
- ボタンやファスナーが苦手
- 箸やハサミが苦手
- 姿勢が崩れやすい
- 転びやすい
- ダンスや体操の動きを真似しにくい
- 塗り絵や工作が苦手
わが家の体験談
息子は、ダンスの振り付けを覚えるのが苦手で、年少の頃は棒立ちになってしまうことがありました。
手先の不器用さもあり、塗り絵ははみ出しやすく、ボタンも時間がかかりました。
でも療育で少しずつ体の使い方や模倣の練習を重ねるうちに、年長ではダンスを楽しめるようになりました。
「できない」と思っていたことも、練習方法や環境が合えば伸びるのだと感じた経験です。
家庭でできるサポート
- 着替えは手順を分ける
- ボタンが少ない服を選ぶ
- ハサミや鉛筆は使いやすい道具を選ぶ
- 運動は競争より遊びとして取り入れる
- できないことを責めず、少しできた部分を褒める
- 必要に応じて作業療法士や理学療法士に相談する
5. 知的発達症

知的発達症は、知的な理解や考える力に加えて、日常生活や社会生活への適応に困難があり、継続的な支援が必要になる状態です。
知能検査では、IQがおおむね70前後以下かどうかが参考にされることがあります。ただし、診断はIQだけで決まるものではありません。
身の回りのこと、コミュニケーション、学習、集団生活など、生活の中でどのくらい支援が必要かも含めて、総合的に判断されます。
知的発達症で見られやすい特徴
- 言葉の理解に時間がかかる
- 年齢相応の生活動作が難しい
- ルール理解が難しい
- 新しいことを覚えるのに時間がかかる
- 抽象的な説明が分かりにくい
家庭でできるサポート
- 言葉だけでなく、絵や写真で伝える
- 一度にたくさん言わない
- 同じ流れをくり返す
- 小さな成功体験を積む
- 「できた」を目に見える形で残す
- 園や学校、専門機関と連携する
6. 感覚特性(感覚過敏・感覚鈍麻)
感覚特性は、音・光・におい・味・触覚・体の感覚などの感じ方に偏りがある状態です。
発達障害の診断名そのものではありませんが、ASDなどに伴って見られやすい困りごとのひとつです。
感覚過敏で見られやすい特徴
- 服のタグや縫い目を嫌がる
- 服が濡れると強く嫌がる
- 大きな音で耳をふさぐ
- 食感やにおいで食べられない
- まぶしい光が苦手
- 泥・のり・絵の具などを触りたがらない
感覚鈍麻・感覚探求で見られやすい特徴
- 強くぶつかっても気づきにくい
- 体を強く押しつけたがる
- 高いところやジャンプを好む
- 力加減が強くなりやすい
- 口に物を入れたがる
わが家の体験談
息子は、小さい頃から服が少し濡れるだけで着替えたがったり、泥やスライムを強く嫌がったりしていました。
最初は「わがままなのかな」と思ったこともあります。
でも、感覚過敏について知ってからは、本人にとっては本当に不快でつらい感覚なのだと分かりました。
無理に慣らすのではなく、まずは安心できる服や環境を整えることが大切でした。
家庭でできるサポート
- タグなし・縫い目が少ない服を選ぶ
- 苦手な音にはイヤーマフや避難場所を用意する
- 食感が苦手な食材は無理に押し込まない
- 感覚遊びは本人が安心できる範囲から始める
- 「これくらい平気でしょ」と言わず、本人の感じ方を尊重する
発達障害は「ミックスジュース型」で現れることも多い

発達障害は、ASDだけ、ADHDだけ、LDだけ、ときれいに分かれるとは限りません。
実際には、
- ASDとADHDの特性がある
- ASDに感覚過敏が強く出ている
- DCDの不器用さと学習の苦手さがある
- 吃音や場面緘黙なども重なっている
というように、いくつもの特性が混ざり合っていることがあります。
私はこれを、よく「ミックスジュースみたい」と感じています。
バナナだけ、りんごだけ、みかんだけではなく、いろいろな味が混ざって、その子らしさになっている。
だからこそ、診断名だけで見るのではなく、
その子が何に困っていて、どんな支援があると過ごしやすいのか
を見ることが大切だと思います。

発達障害かも?と思ったときの相談先
「うちの子も当てはまるかも」と感じたとき、いきなり診断を受けに行かなければいけないわけではありません。
まずは相談できる場所につながることが大切です。
相談先の例
- 市区町村の発達相談
- 保健センター
- 子育て支援課
- こども家庭センター
- かかりつけ小児科
- 発達外来
- 児童精神科
- 療育センター
- 発達障害者支援センター
- 園や学校の先生
政府広報オンラインでも、気になることがあるときは市町村の窓口や発達障害者支援センターへの相談が案内されています。
参考:政府広報オンライン 発達障害って、なんだろう?
家庭でできる基本のサポート

診断の有無にかかわらず、家庭でできる支援はたくさんあります。
見通しを作る
予定が分からないと不安になりやすい子には、視覚スケジュールや絵カードが役立ちます。
「朝ごはん」
「着替え」
「歯みがき」
「幼稚園」
のように、流れを見える形にすると安心しやすくなります。
指示を短くする
「早く着替えて、歯みがきして、カバン持ってきて」ではなく、
「まずズボンをはこう」
「次に靴下をはこう」
のように、1つずつ伝えると動きやすくなります。
できたことを言葉にする
「すごいね」だけでなく、
「自分で靴下をはけたね」
「順番を待てたね」
「嫌だったって言葉で言えたね」
と具体的に伝えると、子どもも何がよかったのか分かりやすくなります。
苦手を道具で助ける
苦手を根性で乗り越えるより、道具や環境で助ける方がうまくいくことがあります。
- タイマー
- 視覚支援カード
- 絵カード
- ノイズ対策グッズ
- タグなし衣類
- 太めの鉛筆
- 持ちやすいハサミ
- 姿勢を支えるクッション
こうしたものは、子どもの「できた」を増やす助けになります。

よくある質問
発達障害にはどんな種類がありますか?
代表的なものに、ASD、ADHD、限局性学習症、発達性協調運動症、知的発達症などがあります。また、吃音、場面緘黙、トゥレット症候群なども発達障害に含まれることがあります。
ASDとADHDの違いは何ですか?
ASDは主に対人関係やコミュニケーション、こだわり、感覚特性に困りごとが出やすい特性です。ADHDは不注意、多動性、衝動性が目立ちやすい特性です。ただし、両方の特性を併せ持つ子もいます。
発達障害は治りますか?
発達障害は「治す」というより、特性を理解し、環境調整や支援によって困りごとを減らしていくものです。適切な支援によって、生活しやすくなったり、自信を持てる場面が増えたりします。
診断がないと療育は受けられませんか?
自治体や制度によって異なります。診断名がなくても、発達の心配や支援の必要性が認められれば相談や支援につながる場合があります。まずは自治体の窓口に確認するのがおすすめです。
何歳から相談できますか?
気になる様子があれば、年齢にかかわらず相談できます。乳幼児健診、保健センター、子育て相談、かかりつけ医などが入口になります。
親の育て方が原因ですか?
発達障害は親のしつけや育て方のせいではありません。脳の働き方の違いによるものであり、子どもに合った理解と支援が大切です。
感覚過敏は発達障害ですか?
感覚過敏そのものが単独の発達障害名というわけではありませんが、ASDなどの発達特性に伴って見られることがあります。生活に困りごとがある場合は、環境調整や専門相談が役立ちます。
DCDとは何ですか?
DCDは発達性協調運動症のことで、体の動きや手先の操作がぎこちなく、運動や日常動作に困りごとが出やすい特性です。
家庭でまずできることは何ですか?
予定を見える化する、指示を短くする、成功体験を増やす、感覚面に配慮するなどが始めやすいです。困りごとをメモして相談先に持っていくのもおすすめです。
どこに相談すればいいですか?
市区町村の発達相談、保健センター、こども家庭センター、小児科、発達外来、療育センター、発達障害者支援センターなどに相談できます。
まとめ
発達障害には、ASD、ADHD、限局性学習症、発達性協調運動症、知的発達症、感覚特性など、さまざまな種類があります。
でも実際の子どもたちは、診断名だけで説明できるほど単純ではありません。
息子も、感覚過敏、吃音、不器用さ、集団行動の苦手さなど、いろいろな困りごとが重なっていました。
最初は不安でいっぱいでしたが、少しずつ特性を知ることで、
「どうしてできないの?」から
「どうしたらできるかな?」
に考え方が変わっていきました。
発達障害の種類を知ることは、子どもを分類するためではありません。
その子に合った関わり方を見つけるための、最初の地図のようなものです。
焦らなくて大丈夫です。
比べなくて大丈夫です。
子どもの困りごとをひとつずつ見つけながら、家庭・園・学校・専門機関と一緒に、安心して過ごせる環境を整えていきましょう。