はじめに|「うちの子、他の子と違う?」と感じたら
「うちの子、ちょっと他の子と違うかも」
「これって成長の途中でよくあること?」
「私の育て方が悪いのかな」
子どもの発達が気になり始めたとき、こんなふうに不安になることはありませんか。
私もそうでした。
息子が小さい頃、外出先での激しい癇癪、感覚の敏感さ、言葉のつかえ、こだわりの強さなどがありました。
でも当時は、それが発達障害の兆候なのか、性格なのか、成長の個人差なのか分かりませんでした。
発達障害とは、脳の働き方の特性によって、コミュニケーション・行動・学習・感覚などに困りごとが出やすい状態です。厚生労働省では、発達障害者支援法における発達障害として、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などを挙げています。また、吃音や場面緘黙なども発達障害に含まれるとされています。
参考:厚生労働省 発達障害者支援施策
この記事では、発達障害の兆候として見られやすいサイン、3歳前にわが家が感じていた違和感、早期相談・早期支援につながるまでの流れを、体験談を交えてまとめます。
※この記事は診断を目的としたものではありません。気になる様子がある場合は、保健センター、自治体の発達相談、小児科、発達外来、療育センターなどに相談してください。
発達障害の兆候とは?幼児期に見られやすいサイン

発達障害の兆候は、子どもによって表れ方が違います。
「言葉が遅いから必ず発達障害」
「癇癪があるから必ずASD」
というわけではありません。
ただ、日常生活や集団生活で困りごとが続いている場合は、早めに相談することで親子ともに楽になることがあります。
ここでは、幼児期に気づきやすいサインを整理します。
1. 言葉の遅れ・会話のやりとりが気になる
発達障害のある子どもの中には、言葉の発達やコミュニケーションに困りごとが見られることがあります。
見られやすいサイン
- 3歳前後でも言葉が少ない
- 単語は出るけれど二語文・会話につながりにくい
- 質問に答えるより、同じ言葉を繰り返すことが多い
- 言いたいことがあるのに言葉にならず癇癪になる
- 名前を呼んでも反応が薄いことがある
- 指差しや身振りが少ない
- 会話が一方通行になりやすい
わが家では、長男に吃音が出てきたことで「言葉の発達」についてより意識するようになりました。
2歳半ごろから、「ぼ、ぼ、ぼくね……」のように言葉がつかえる場面が増えました。
最初は一時的なものだと思っていましたが、療育センターの紹介で病院を受診し、言語聴覚士さんとつながったことで、言葉の困りごとを家庭だけで抱えなくていいのだと感じました。
家庭でできるサポート
- 子どもの行動に言葉を添える
- 「言い直して」と急かさず、最後まで聞く
- 絵カードや写真カードで伝える手段を増やす
- 「どっちがいい?」と選択肢を出す
- 伝えられたことを具体的にほめる
言葉が遅い、吃音がある、話したいのに伝わらないという状態は、本人にとっても大きなストレスになります。
「言葉だけで伝えさせる」よりも、指差し・絵カード・写真・ジェスチャーなど、伝える方法を増やしてあげることが大切だと感じています。
2. 人との関わり方・距離感が気になる
発達障害、特にASDの特性がある子どもは、人との関わり方に独特さが見られることがあります。
見られやすいサイン
- 友達との距離が近すぎる
- 相手の反応に気づきにくい
- 集団遊びに入りにくい
- ひとり遊びが多い
- 順番やルールが分かりにくい
- 目を合わせるのが苦手
- 自分の話したいことを一方的に話す
息子は、人と関わること自体は好きでした。
でも、友達との距離感が近すぎたり、相手が嫌がっていることに気づきにくかったりすることがありました。
私とは目を合わせて話すこともあったので、2〜3歳の頃はあまり気にしていませんでした。
でも幼稚園に通い始めると、先生や友達との会話では目をそらすことが多く、「ただの恥ずかしがり屋とは少し違うのかもしれない」と感じるようになりました。
家庭でできるサポート
- ごっこ遊びで順番ややりとりを練習する
- 「このくらい離れると話しやすいよ」と具体的に伝える
- 絵カードで「貸して」「入れて」「やめて」を練習する
- 無理に目を見させず、横並びで話す
- できた関わり方を具体的にほめる
人との関わりは、自然に身につく子もいれば、練習が必要な子もいます。
「なんでできないの?」ではなく、「どう伝えたら分かりやすいかな」と考えるようになってから、私自身も少し楽になりました。
3. こだわり・同じ行動の繰り返しがある
ASDの特性として、こだわりの強さや反復行動が見られることがあります。
見られやすいサイン
- 同じ道順でないと嫌がる
- 毎日同じ服を着たがる
- おもちゃを同じ順番に並べる
- 予定変更が苦手
- 手をひらひらさせる、ぴょんぴょん跳ぶなど同じ動きを繰り返す
- 好きなものへの集中が強い
こだわりは、一見「わがまま」に見えることがあります。
でも、本人にとっては「いつも同じ」が安心につながっている場合があります。
わが家でも、予定が急に変わると不安定になったり、着る服にこだわったりすることがありました。
家庭でできるサポート
- 予定を事前に伝える
- 視覚スケジュールで見通しを作る
- こだわりを無理にやめさせない
- 少しだけ変える練習をする
- 終わりの合図を決める
たとえば、同じ道しか歩きたがらない場合は、いきなり違う道に変えるのではなく、
「今日は帰りだけ少し冒険ルートにしてみる?」
「この角まではいつもの道、その先だけ変えてみよう」
のように、小さく変える方が受け入れやすいことがあります。
こだわりは「困った行動」ではなく、安心するための方法でもあります。
だからこそ、やめさせるよりも、うまく付き合う工夫が大切だと感じています。
4. 感覚過敏・感覚の偏りがある

発達障害のある子どもには、音・光・触覚・におい・味などの感じ方に偏りが見られることがあります。
見られやすいサイン
- 洋服のタグや縫い目を嫌がる
- 靴下の縫い目を嫌がる
- 服が少し濡れただけで着替えたがる
- 泥・のり・スライムなどを触りたがらない
- 掃除機やチャイムの音を嫌がる
- 人混みやにぎやかな場所で不安定になる
- 食感やにおいで食べられないものが多い
息子は、服が少し濡れるだけで強く嫌がることがありました。
外出先でも「着替えたい」となり、予備の服がないと親子でつらい時間になってしまうこともありました。
最初は「そんなに気にする?」と思ってしまったこともあります。
でも感覚過敏について知ってからは、本人にとっては本当に不快で、がまんしにくい感覚なのだと分かりました。
家庭でできるサポート
| サイン | 対応例 |
|---|---|
| タグを嫌がる | タグなし・外タグ・タグを切る |
| 縫い目を嫌がる | 縫い目の少ない服、無縫製インナーを選ぶ |
| 服の濡れを嫌がる | 外出時に着替えを持つ |
| 音が苦手 | イヤーマフ、静かな場所への避難 |
| 感触遊びが苦手 | タオル越し、袋越しなど安心できる形から始める |
感覚過敏は、気合いで克服させるより、環境を整えた方がうまくいくことが多いです。
服選びや視覚支援グッズ、写真カードなどは、自然に収益化にもつなげやすい部分です。
5. 注意力・多動・衝動性が気になる
ADHDの特性がある子どもは、不注意・多動性・衝動性が目立つことがあります。
見られやすいサイン
- じっと座っているのが苦手
- 話を最後まで聞く前に動き出す
- 順番を待つのが苦手
- 興味が次々に移る
- 危ない場面でも急に走り出す
- 片付けや準備が途中で止まりやすい
息子も、気持ちが盛り上がると急に走り出したり、声が大きくなったりすることがありました。
「危ないよ」と言っても、その瞬間は止まりにくい。
あとから落ち着いて話すと「分かってたけど止まれなかった」と言うこともありました。
この言葉を聞いて、「分からない」のではなく「分かっていても止まりにくい」ことがあるのだと気づきました。
家庭でできるサポート
- 指示は1つずつ短く伝える
- タイマーで終わりを見える化する
- 先にルールを確認する
- 動いていい時間を作る
- 危険な場面は言葉だけでなく手をつないで予防する
- できた行動をすぐにほめる
注意力や衝動性の困りごとは、叱るだけでは改善しにくいです。
「動きたい気持ち」を否定するのではなく、安全に動ける時間と、止まる練習の両方を作ることが大切だと感じています。
発達障害のサインに気づいたら、どこに相談する?

「もしかして」と思ったとき、いきなり診断を受けに行かなければいけないわけではありません。
まずは、相談できる場所につながることが大切です。
相談先の例
- 市区町村の発達相談
- 保健センター
- 子育て支援課
- こども家庭センター
- かかりつけ小児科
- 発達外来
- 児童精神科
- 療育センター
- 発達障害者支援センター
- 幼稚園・保育園の先生
厚生労働省のページでも、発達障害情報・支援センターや発達障害ナビポータルなど、発達障害に関する情報提供・支援体制について案内されています。
参考:厚生労働省 発達障害者支援施策
【体験談】2歳で相談したけれど「3歳まで様子見」と言われた
息子が2歳の頃、育てにくさ、癇癪、言葉の不安があり、市役所に相談しました。
でも、そのときは、
「3歳まで様子を見ましょう」
と言われました。
正直、少し拍子抜けしました。
「こんなに困っているのに、まだ何もできないの?」
「相談しても意味がなかったのかな」
そんな気持ちもありました。
でも後から振り返ると、2歳頃は発達の個人差も大きく、すぐに診断や療育につながらないこともあります。
それでも、相談したことは無駄ではありませんでした。
誰かに話せたことで、私の気持ちは少し軽くなりました。
そして、その後の3歳児健診や療育につながる土台になったと感じています。
3歳児健診が、療育につながるきっかけに
息子の場合、本格的に発達の特性と向き合うきっかけになったのは3歳児健診でした。
それまで感じていた違和感が、健診をきっかけに「相談していいこと」になったような感覚がありました。
そこから療育センター、発達検査、児童発達支援、言語訓練へとつながっていきました。
もちろん、すぐにすべてが解決したわけではありません。
でも、支援につながったことで、
「家庭だけで抱えなくていい」
「専門家と一緒に考えられる」
「息子に合う関わり方を探せる」
という安心感が生まれました。
次男は早めに相談できた
長男の経験があったことで、次男については早い段階で相談できました。
次男は、言葉の発達をゆっくり見守ってきた発達グレーの子です。
「発語が少ないかも」という小さな不安から相談し、2歳のうちに療育につながることができました。
長男のときは、何も分からず不安ばかりでした。
でも次男のときは、すでに療育機関や相談先とつながっていたため、支援への流れがスムーズでした。
早く相談することは、子どもを急かすことではありません。
親が安心して見守るための準備でもあるのだと感じています。
家庭でできる早期支援|診断前でもできること

診断がついていなくても、家庭でできる支援はたくさんあります。
1. 生活の流れを見える化する
発達特性のある子どもは、次に何をするのか分からないと不安になりやすいことがあります。
朝の準備、帰宅後の流れ、寝る前の流れなどを、絵カードや写真で見える化すると安心しやすくなります。
例:
- 起きる
- 朝ごはん
- 着替え
- 歯みがき
- 幼稚園・保育園へ行く
視覚支援カードやフォトカードメーカーを使うと、子ども自身が見て分かる形にしやすいです。
2. 感情を言葉にする練習をする
癇癪の背景には、「嫌だった」「怖かった」「やりたかった」「終わりたくなかった」など、言葉にしきれない気持ちがあることがあります。
親が、
「帰りたくなかったんだね」
「まだ遊びたかったんだね」
「びっくりしたね」
と代弁することで、少しずつ感情と言葉がつながっていきます。
3. 困りごとを記録しておく
相談に行くときは、困りごとの記録があると伝えやすいです。
メモしておくとよい内容は、
- いつ起きたか
- どこで起きたか
- 何がきっかけだったか
- どんな行動が出たか
- どう対応したら落ち着いたか
です。
育児記録ノートやA4ファイルにまとめておくと、健診や相談のときにも役立ちます。
よくある質問
発達障害の兆候は何歳頃から分かりますか?
1歳半〜3歳頃に「言葉が遅い」「目が合いにくい」「癇癪が強い」「こだわりが強い」などの違和感を感じる保護者もいます。ただし個人差が大きいため、気になる場合は早めに相談するのがおすすめです。
言葉が遅いと発達障害ですか?
必ずしも発達障害とは限りません。言葉の発達には個人差があります。ただ、言葉の遅れに加えて、視線が合いにくい、指差しが少ない、癇癪が強い、こだわりが強いなど複数の困りごとがある場合は相談してみると安心です。
2歳で相談しても早すぎませんか?
早すぎることはありません。診断がつかなくても、家庭での関わり方や相談先を知るだけで親の安心につながります。
3歳児健診で発達障害は分かりますか?
3歳児健診は、発達の気になる点に気づくきっかけになることがあります。ただし、健診だけで診断が決まるわけではありません。必要に応じて発達相談や専門機関につながります。
発達障害は親の育て方が原因ですか?
いいえ。発達障害は脳の働き方の特性によるもので、親のしつけや育て方が原因ではありません。
診断がないと療育は受けられませんか?
自治体や制度によって異なります。診断名がなくても、発達の心配や支援の必要性が認められれば相談や支援につながる場合があります。お住まいの自治体に確認してください。
どこに相談すればいいですか?
市区町村の発達相談、保健センター、こども家庭センター、かかりつけ小児科、発達外来、療育センター、発達障害者支援センターなどに相談できます。
早期支援にはどんなメリットがありますか?
子どもに合った関わり方を早く見つけやすくなります。また、親が一人で抱え込まず、専門家と一緒に考えられる安心感も大きなメリットです。
まとめ|発達障害の兆候に気づくことは、子どもを責めることではない
発達障害の兆候に気づくことは、子どもを決めつけることではありません。
その子が何に困っていて、どんな支援があると過ごしやすいのかを知るための第一歩です。
わが家も、最初は不安でいっぱいでした。
外出先での癇癪。
服の感覚への強いこだわり。
吃音。
目線の合いにくさ。
人との距離感の難しさ。
ひとつひとつは「よくあること」に見えるかもしれません。
でも、毎日一緒にいる親だからこそ感じる違和感があります。
「気のせいかも」
「相談するほどじゃないかも」
「私の育て方が悪いのかも」
そう思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、気になったら相談して大丈夫です。
相談することは、子どもを否定することではありません。
親子が少しでも安心して過ごすために、助けを借りることです。
発達には、その子なりのペースがあります。
焦らず、比べず、でも一人で抱え込まずに。
小さな違和感を大切にしながら、家庭・園・専門機関と一緒に、子どもが安心して育つ環境を整えていきましょう。