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【発達検査WISC-Ⅴ】FSIQ(全検査IQ)とは?意味・特徴・結果の見方と家庭でできるサポート法と体験談

ウィスクFSIQ検査の様子

はじめに

お子さんの発達や学習の得意・不得意を知りたいとき、WISC検査のFSIQ(全検査IQ)は非常に参考になる指標です。
本記事では、
FSIQの意味や基準、
下位指標との関係、
家庭や学校での活かし方までを、
実体験を交えて
わかりやすく解説します。

目次

  1. WISC検査とは?対象年齢・目的・実施方法
  2. FSIQ(全検査IQ)の意味と基準
  3. FSIQと下位指標(VCI・VSI・FRI・WMI・PSI)の関係
  4. 発達障害とFSIQの関係性(ASD・ADHDなど)
  5. 【体験談】わが子のWISC検査FSIQ結果と向き合った経験
  6. FSIQの結果を学校生活・就学判断にどう活かすか
  7. 家庭でできるサポート方法(学習・生活習慣・自己肯定感)
  8. FSIQだけにとらわれない支援の重要性
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ:FSIQを理解し子どもの特性に寄り添う

1. WISC検査とは?(対象年齢・目的・実施方法)

WISC検査は子どもの知能や発達の特性を把握する代表的な知能検査です。
対象年齢や内容を理解することで、検査結果を正しく活かせます。

WISC検査は日本版WISC-Ⅴの場合、5歳0か月〜16歳11か月の子どもを対象としています。
「どんな力が得意で、どんな部分が苦手なのか」を知ることができ、学習のつまずきや支援方法を考える材料になります。

5つの認知指標(VCI・VSI・FRI・WMI・PSI)

WISCでは大きく5つの力を調べ、得意・不得意のバランスを把握します。

  • VCI(言語理解):言葉の理解や表現力
  • VSI(視空間):形や位置をとらえる力
  • FRI(推理):考えて問題を解決する力
  • WMI(ワーキングメモリ):覚えて処理する力
  • PSI(処理速度):作業を速く正確にこなす力

体験談

息子は5歳で初めてWISC検査を受けました。
普段の生活では気づかなかった「苦手な部分」や「得意な部分」が、数値としてはっきり示され、とても驚きました。

実は、3歳の頃にWPPSI-III(ウィプシスリー)という就学前児対象の発達検査も受けていました。
その時の結果と比べると、今回のWISCでは知能指数(IQ)が15ほど低く出ており、正直ショックを受けました。

ただし、医師からは次のような説明を受けました:

  • 幼児期(3歳前後)の検査では、1問の重みが大きいため、結果の数値が大きく変動することがある。
  • 成長とともに得意・不得意のプロファイルが変化するため、単純にIQの数値だけを比較するのは適切ではない。

👉 補足:WPPSIは2歳半〜7歳3カ月用、WISCは5歳〜16歳11カ月用の検査です。
同じ「知能検査」でも尺度や構成が異なるため、直接数値を比較して一喜一憂するよりも、
プロファイル全体の特徴を理解して支援につなげることが大切です。

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2. FSIQ(全検査IQ)の意味とは?

FSIQ(全検査IQ)は、WISC検査全体をまとめて算出した「総合的な知能の指標」です。
平均は100、標準偏差は15(→85〜115が「平均範囲」)で、子どもの学習や適応の全体像を大まかに示します。

FSIQは、平均100・標準偏差15を基準にします。

スコア判定
130以上非常に高い
120〜129高い
110〜119やや高い
90〜109平均範囲
80〜89やや低い
70〜79低い
69以下非常に低い

ただし、これはあくまで統計的な目安であり、支援の必要性を直接決めるものではありません。

下位指標に大きな凸凹がある場合、FSIQだけではその子の特徴を十分に表せません
そのため、専門家はFSIQの数値だけでなく、下位指標や行動観察を含めて解釈します。

👉 ポイント

  • FSIQはあくまで「全体の目安」
  • 子どもの特性を知るには、下位指標と合わせて理解することが大切
  • FSIQが低めでも、強みを活かす工夫で十分に対応できる場合があります

3. FSIQと下位指標(VCI・VSI・WMI・PSI)の関係(WISC-Vの場合)

FSIQだけでは見えない子どもの具体的な得意・不得意は、下位指標を見ることで把握できます。

✅ FSIQと下位指標(VCI・VSI・FRI・WMI・PSI)

FSIQを構成する主要な能力群です。

  1. VCI(言語理解):語彙力や概念理解
    • 言葉を理解・表現する力
    • 知識、語彙、推理力
    • 【強いと】読解や会話が得意
    • 【弱いと】言葉で説明するのが苦手
  2. VSI(視空間):図形や空間認識能力
    • 目で見た情報を正確に把握し、形や位置関係を処理する力
    • パズル、ブロック構成など
    • 【強いと】図形や地図、空間把握が得意
    • 【弱いと】図工や算数の図形問題に苦手さが出やすい
  3. FRI(流動性推理)
    • 新しい問題を論理的に考えて解決する力
    • パターン認識や規則性を見抜く力
    • 【強いと】算数や理科の新しい課題に強い
    • 【弱いと】初めての問題解決が苦手
  4. WMI(ワーキングメモリ):短期記憶や指示理解
    • 聞いた情報を短期的に記憶し、操作する力
    • 【強いと】暗算や文章読解の保持が得意
    • 【弱いと】複数指示を一度に覚えるのが苦手
  5. PSI(処理速度):注意力や作業スピード
    • 単純な作業を正確かつ速く行う力
    • 書く速さ、パターンの見分けの速さなど
    • 【強いと】計算ドリルや事務作業が早い
    • 【弱いと】板書やテストに時間がかかる

体験談

私の息子の場合、FSIQ(全検査IQ)は平均ギリギリでしたが、下位指標には凸凹がありました👇

  • VSI(視空間):低い 🧩
  • FRI(流動性推理):低い🧠
  • WMI(ワーキングメモリ):高め 📚

💬 「あぁ、だから順序立てて行動するのが苦手だったんだ!」
💬 「図形や空間課題でつまずきやすいのも納得!」


このように、FSIQと下位指標のバランスから「得意・不得意」が具体的に見えてくるので、
日々の学習や生活に活かせます。

👉この結果をもとに、家庭学習では

  • 「見て理解する課題」を補う
  • 「記憶や言語を活かす方法」を工夫する

ことができました。

📊 指標の簡単解説

  • VCI(言語理解):言葉で理解・説明する力 💬
  • VSI(視空間):形や位置関係を把握する力 🧩
  • FRI(流動性推理):新しい問題を解く論理的思考力 🧠
  • WMI(ワーキングメモリ):聞いたことを一時的に覚えながら処理する力 📚
  • PSI(処理速度):視覚的に素早く正確に作業する力 ⚡

🌟 ポイント

FSIQが低くても、強い能力を生かす工夫次第で、学習や生活に十分対応できる場合があります✨

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家庭学習での活かし方|下位指標ごとの工夫例

下位指標の特性を踏まえて、家庭学習を工夫することができます。
数字では苦手が見える化されるので、親として具体的な支援を考えやすくなります。

📊 下位指標ごとの家庭学習サポート表(教材例つき)

  • VCIが弱い場合:絵カードや具体物を使って説明
  • VSIが弱い場合:図形や地図は分かりやすい色分けや手順書を活用
  • FRIが弱い場合:解き方の「型」を先に教える
  • WMIが弱い場合:指示は短く区切る、手順カードを使う
  • PSIが弱い場合:テストや宿題は時間に余裕を持たせる
下位指標特徴苦手さが出やすい場面家庭での工夫例教材・アプリ例
VCI
(言語理解)
言葉の理解・表現力説明を理解する/作文・絵カードや具体物で説明
・「言葉+絵」で教える
・質問にはYes/Noで答えやすくする
・学研「ことばのドリル」
・公文の国語カード
・アプリ「ことばのパズル」
VSI
(視空間)
形や位置関係の把握図形の問題/地図を読む・図や図形は色分けして提示
・積み木やブロックで実体験を増やす
・手順をイラスト化
・レゴやニューブロック
・くもん「図形キューブつみき」
・アプリ「Think!Think!」
FRI
(流動性推理)
論理的に考える力新しい問題の解決・解き方の“型”を最初に示す
・例題を繰り返して慣れる
・「同じところはどこ?」と気づきを促す
・Z会「思考力ドリル」
・ナゾトキ系ワーク
・パズルゲーム「ラッシュアワー」
WMI
(ワーキングメモリ)
記憶+操作する力複数の指示/暗算・指示は短く区切る
・手順カードやToDoリストを使う
・暗算より筆算を許可する
・百玉そろばん
・アプリ「計算ドリル系」
・付箋やToDoリスト
PSI
(処理速度)
作業の速さと正確さ板書/計算ドリル・宿題やテストは時間に余裕を持たせる
・「速さ」より「正確さ」を重視
・文字が書きにくい場合はキーボード利用も検討
・タイピング練習アプリ
・計算プリント(時間制限なし)
・くもん「すうじ・たしざんカード」

✅ まとめ

  • FSIQ:知能全体の大まかな数値(平均100)。
  • FSIQは目安に過ぎず、下位指標の凸凹を見ることが重要
  • 下位指標=その子の学びの強み・弱みの地図
  • 支援や学習の工夫は、FSIQよりも下位指標の特徴を踏まえることが大切です。
  • 検査結果を「弱点探し」ではなく「理解とサポートの手がかり」として活用しよう
  • 教材や工夫を「下位指標ごと」に合わせると、子どもの「できた!」が増える

4. 発達障害とFSIQの関係性(ASD・ADHDなど)

FSIQの数値と発達障害(ASD:自閉スペクトラム症、ADHD:注意欠如・多動症など)は直接的な因果関係はありません
発達障害は「脳の情報処理特性の違い」に基づく診断であり、FSIQが高くても低くても診断されることはあります。

また、ASDやADHDの子どもは、FSIQが平均でも得意・不得意が極端に分かれることがあります。
診断や支援の判断には、行動観察や生活面での情報も重要です。

体験談

息子はFSIQが平均でしたが、集団活動では注意が散漫になりやすく、順序立てて行動するのが苦手でした。
療育の先生と一緒に、スケジュール表や具体的な指示を使った支援を強化したことで、
少しずつ集団での過ごし方が安定してきました。

👉 補足:ASDやADHDのお子さんでは、FSIQよりも 下位指標の凸凹や実生活での行動観察 が支援方針を考える上で重要視されます。

5.【体験談】わが子のWISC検査FSIQ結果と向き合った経験

実際の家庭体験を通して、FSIQの意味や日常生活への活かし方を紹介します。

  • 検査前の心配:苦手な部分が数値でどう出るのか不安だった
  • 検査結果:FSIQは平均より少し高め、ただしWMI(ワーキングメモリ)が低め
  • 日常での工夫:複数の指示は細かく分けて伝える、学習の手順を明確にする

体験談

検査結果を見て、息子の「苦手」と「得意」が数値として可視化されました。
以前は『どうしてできないんだろう?』と思っていましたが、
理由が分かったことで家庭での支援方法を考えやすくなり、声かけや学習の進め方も工夫できるようになりました。

👉WISCは「得意不得意を理解するツール」であり、
数値そのものに一喜一憂するのではなく、支援や理解につなげることが大切です。

6. FSIQの結果を学校生活・就学判断にどう活かすか

SIQや下位指標の結果は、学習環境の工夫や就学先を検討する際の参考情報になります。

  • 就学判断の材料:支援級か通常級かを検討する際の参考
  • 学習面での活用:苦手教科には補助を入れ、得意分野はさらに伸ばす
  • 学校との連携:教師や支援員と情報を共有することで、理解が深まる

体験談

検査を受けて初めて、息子がどこでつまずきやすいのかが明確になりました。
その情報を学校や療育先に伝えることで、先生も配慮してくださったり、安心して学べる環境づくりにつながります。

👉就学先の判断はFSIQの数値だけではなく、実際の生活・行動観察や発達特性を総合的に見て行われるのが基本です。
FSIQが高くても、集団行動や自己調整が苦手で支援が必要な場合もあります。

7. 家庭でできるサポート方法(学習・生活習慣・自己肯定感)

家庭での工夫は、FSIQのプロファイルを活かしながら支援につなげることができます。

  • 学習面:得意を伸ばし、苦手は小さなステップで取り組む
  • 生活習慣:複数の指示は分けて伝える、見通しを持てる工夫をする
  • 自己肯定感:成功体験を積み重ね、自信を持たせる

体験談

順序を守るのが苦手な息子に「手順カード」を作ってあげたところ、自分でチェックしながら行動できるようになり、
『できた!』という達成感を味わえる回数が増えました。

👉 家庭での工夫は 学習支援+生活支援+自己肯定感の土台づくり の3本柱で考えると効果的です。

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8. FSIQだけにとらわれない支援の重要性

FSIQはあくまで「ひとつの指標」であり、子どもの実際の行動や特性を理解することが支援の中心になります。

  • FSIQが高くても困難がある
    集団活動や生活面でつまずく場合がある
  • 数値にとらわれすぎない
    観察や体験を重視して支援を組み立てる

体験談

FSIQは平均範囲でしたが、集団活動では苦手が多く、家庭で小さな成功体験を積ませることがとても大切だと実感しました。

👉 補足:最新のWISCの解釈でも、FSIQよりも下位指標や臨床的な観察の方が支援に直結するとされています。

✅ まとめ

  • FSIQは平均100・標準偏差15が基準だが、数値だけにとらわれるのは危険。
  • 就学判断や支援級の検討は、FSIQだけでなく行動観察・生活の様子を含めて総合的に判断。
  • 家庭での工夫は「学習・生活・自己肯定感」の3本柱が大事。
  • FSIQは「子どもの理解を深めるための手がかり」であり、ゴールではない。

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9. よくある質問(FAQ)

WISC検査とは何ですか?

WISC検査は、子どもの知能や認知能力を測定する心理検査です。
発達の得意・不得意を把握し、学習支援や生活支援に活かされます。

WISCのFSIQとは何を意味しますか?

FSIQは「Full Scale IQ(全検査IQ)」の略で、WISC検査の総合的な知能指数を表します。
子どもの全体的な能力バランスを知る手がかりとなります。

FSIQの平均値はどのくらいですか?

平均値は100、標準偏差は15です。
85〜115が「平均範囲」とされ、多くの子どもがこの範囲に含まれます。

FSIQが低いと発達障害ですか?

いいえ。FSIQが低めでも必ずしも発達障害とは限りません。
診断には行動観察や医師の判断が必要です。

FSIQが高いと特別な才能があるということですか?

高いFSIQは学習面の得意さを示す場合がありますが、必ずしも「天才」や「ギフテッド」とは限りません。
下位指標や生活面の様子も重要です。

WISC検査は何歳から受けられますか?

日本版WISC-Ⅴでは、5歳0か月から16歳11か月までの子どもが対象です。

FSIQと下位指標はどちらが重要ですか?

両方重要です。
FSIQは総合的な数値を示しますが、下位指標(VCI・VSI・WMI・PSI)を見ることで具体的な得意・不得意がわかります。

WISCの結果は学校でどのように活かせますか?

支援級か普通級かの就学判断、学習方法の調整、先生との連携に活かされます。

家庭でできるFSIQに基づくサポートはありますか?

はい。複数の指示を分けて伝える、得意を伸ばす学習、成功体験を積ませることが有効です。

WISCの結果は一生変わらないのですか?

子どもの発達は成長に伴い変化します。再検査で数値が変わることもあります。
FSIQは「今の状態」を示す目安と考えることが大切です。

10. まとめ:FSIQを理解し子どもの特性に寄り添う

FSIQを理解し、子どもに合った学習支援や生活の工夫を行うことが大切です。

  • FSIQは得意・不得意を把握する手段の一つ
  • 下位指標や行動観察と組み合わせると支援が具体化
  • 家庭と学校が連携することで、子どもに合った学びの環境を作れる

📢次回予告

次回は、幼稚園生活でよくある困りごととサポート方法|発達検査の結果と息子の体験談です。
お楽しみに!

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  • この記事を書いた人

しょうがなすこさん

はじめまして🌼「しょうがなすこ」と申します。 私は、2歳と4歳の発達障害の息子を育てているママです。 児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、現役保育士監修のもと、発達に特性のあるお子さんとの向き合い方や、日々の悩みに寄り添う情報をこのブログで発信しています。 「ことばがゆっくり」「感覚に敏感」「お友だちとの関わりがむずかしい」そんな日々のちょっとした困りごとに、私自身もたくさん向き合ってきました。 このブログでは、🔸わが子のリアルなエピソード🔸家庭でできる関わりの工夫🔸ママの心がふっと軽くなるヒントなどをお届けしています。 🍀「私だけじゃないんだ」そう思える場所が、ここで見つかりますように。どうぞ、気軽に読んでいってください☺️

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