発達障害は、子どもの成長や発達に影響を与える多様な状態を指します。自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)など、さまざまなタイプがありますが、共通して見られる兆候があります。早期発見し、適切な支援を行うことで、子どもが持つ可能性を最大限に引き出すことができます。
発達障害に見られる一般的な兆候
1. コミュニケーションの遅れ
発達障害の子どもは、同年代の子どもに比べて言葉の発達が遅れることがあります。言葉が出るのが遅かったり、言葉をうまく使えない、話すことが少ない、言葉の理解に時間がかかるなどの兆候があります。さらに、非言語的なコミュニケーション(ジェスチャーや表情)にも難しさを感じることがあります。
- 例えば、 3歳を過ぎても単語しか話せない、他人の目を見てコミュニケーションを取らない。
2. 社会的スキルの問題
他者との距離感を保つことや、社会的なルールを理解することが難しい場合があります。友達と遊ぶときにトラブルが起きやすかったり、集団行動が苦手だったりする兆候が見られるかもしれません。目を合わせることが少なく、感情表現が一方的になることも特徴です。
- 例えば、公園で遊んでいても他の子どもと関わろうとしない、感情の変化を相手に伝えられない。
3. 反復的な行動やこだわり
自閉スペクトラム症(ASD)の場合、特定の物事に強いこだわりを持ち、同じ行動を繰り返すことがあります。たとえば、同じ道を通りたがったり、毎日同じ服を着たがるなど、特定のパターンを好む行動が挙げられます。
- 例えば、毎日同じ順番でしかおもちゃを並べない、特定の動きを繰り返す。
4. 感覚の過敏さ
発達障害の子どもは、感覚過敏を抱えていることが多いです。特定の素材の服が苦手だったり、音に敏感だったりするなど、日常生活の中で特定の感覚に対して過剰に反応することがあります。
- 例えば、 洋服の縫い目やタグが痛いと感じ、頻繁に着替えたがる。音の大きさに過剰に反応して耳を塞ぐ。
5. 集中力の欠如や過度の活動性
注意欠如・多動症(ADHD)の兆候として、集中力を持続することが難しかったり、じっとしていられない、計画を立てて物事を進めることが困難だったりします。指示を守れない、落ち着きがないといった行動も見られます。
- 例えば、学校の授業中に座っていられず、教室を歩き回る。ひとつの遊びに集中できず、すぐに別のことに気が移る。
早期発見と支援の重要性
発達障害の兆候に早期に気づくことは、子どもの未来をより良くするために極めて重要です。早期発見により、適切な療育や支援を開始することで、子どもの潜在能力を引き出し、社会生活での適応スキルを育てることができます。
- 例えば、 言葉の遅れに対して早期に言語療法を受けた子どもが、学校でのコミュニケーションが大幅に向上するケースもあります。
家庭でのサポート
親として子どもの発達に対する敏感な観察が求められますが、専門家のサポートを受けることも不可欠です。例えば、家庭内でのサポートとして以下が役立ちます。
- ルーチンの確立
- 毎日の生活の中で安定した日課を作ることで、子どもに安心感を与えます。
- 感情表現の練習
- 絵本や感情カードを使い、子どもが自分の感情を言葉で表現できるようにする練習が効果的です。
- 専門家との連携
- 療育センターや学校の先生と連携し、子どもの成長を支えるための情報交換を積極的に行いましょう。
私の体験から感じた発達障害の兆候
息子が小さい頃から、何か発達に違和感を覚えることがありました。特に「感覚の敏感さ」や「こだわり」といった特徴は、よく発達障害の子どもたちに見られると聞きますが、息子にもそのような様子が見られました。2~3歳の頃になると、外出先での強い癇癪や、いつも同じ順序で物事を進めたがる傾向が見え、他の子どもたちとは少し違うと感じることが増えました。
特に気になったのは「言葉の発達」です。遅れが大きく目立つわけではなかったものの、同年代の子どもたちと比べると少し遅れているのかな、という心配が頭をよぎりました。また、療育先で同じように「吃音」を抱える子どもたちがいることを知り、発達の面で何らかの関連があるのかもしれないと思うようになりました。
もう一つのサインは「目を合わせる」ことです。2~3歳頃は、息子は比較的よく私と目を合わせてくれていたので特に気にはしていませんでしたが、4歳になった頃から、会話の際に目を逸らすことが増え、「これがよく言われる『目を合わせない』という特徴なのかもしれない」と意識するようになりました。
発達には個人差が大きいため、親自身がどこまで気にするべきか、自分だけでは判断が難しいと感じました。
気になったら役所に相談を
息子が2~3歳の頃、「育てにくさ」や「癇癪の強さ」が気になり、市役所に相談したことがありました。ですが、その時は「まだ3歳まで様子を見ましょう」と言われ、すぐに具体的な支援を受けることはできませんでした。3歳までは発達に個人差が大きいとされるため、専門家に相談しても「もう少し様子を見てください」という回答が多かったのです。
しかし、3歳児健診で他の子どもたちと比較する機会があり、その際にはっきりとした違いを感じました。それが、息子の発達について本格的に向き合うきっかけとなりました。
母親の直感を大切に
最終的に、母親として毎日子どもと接しているからこそ感じる「直感」が重要だと感じました。家族や友人の意見も大切ですが、自分自身が「何か違う」と感じたとき、その感覚を信じて行動に移すことが必要だと思います。私も、3歳児健診で感じた違和感をきっかけに、息子の発達にしっかり向き合うようになりました。
まとめ
発達障害の兆候に気づくことは、子どもの未来をより良くするための第一歩です。兆候が見られた場合は、専門家に相談し、早期に適切な対応を検討しましょう。家庭や学校、療育センターでのサポートを活用し、子どもが自信を持って成長できる環境を整えることが重要です。
次回は「発達障害の種類と特徴」について詳しくお話しします。ぜひご覧ください!
参考情報
国立成育医療研究センター - 発達障害に関する研究と支援を行っており、親や医療従事者向けの情報も充実しています。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/geka/hattatsu-hyoka.html
日本発達障害ネットワーク(JDDnet) - 発達障害に関する情報提供や支援体制の構築に取り組む団体です。
https://jddnet.jp/
全国発達支援センター協会 - 各地域の発達支援センターに関する情報や、各地の療育センターの連絡先を提供しています。
https://www.cdsjapan.jp/
厚生労働省 発達障害情報・支援センター - 発達障害に関する政策や支援制度、各種ガイドラインなどが紹介されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hattatsu/index.html