はじめに
「うちの子、勉強のときに途中でつまずきやすい」「先生の指示をすぐに忘れてしまう」
――そんな不安をきっかけに検査WISCを受けるご家庭も多いです。
WISC(ウィスク)は子どもの得意・不得意を見える化する発達検査で、
その中でも WMI(ワーキングメモリ指標) は「覚えながら考える力」を知るうえで重要なポイントです。
この記事では、
- WISCのWMIとは何か?
- WMIが低い/高いとどうなるのか?
- どんな支援や工夫ができるのか?
を専門用語をかみ砕きながらわかりやすく解説していきます。
お子さんの学びをサポートするためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
目次
- WISC検査とは?
1-1. 対象年齢・実施方法・目的
1-2. 5つの認知指標(VCI・VSI・FRI・WMI・PSI) - WMI(ワーキングメモリ指標)とは
2-1. WMIで分かること
2-2. 学習や生活への影響 - WMIが低い場合に見られる特徴
- WMIが高い場合に見られる特徴
- WMIの結果をどう活かす?
5-1. 学校・家庭でできる工夫
5-2. トレーニングや支援方法 - 【体験談】わが子のWISC-WMIの結果と対応
- WMIが高いのに複数指示が苦手な場合はなぜ?
- よくある質問(FAQ 10選)
- まとめ|WISC-WMIを理解して子どもの「できる!」を広げよう
1. 発達検査WISCのWMIとは?|ワーキングメモリの特徴と支援方法
対象年齢・実施方法・目的
WISC(ウィスク)検査は、5歳〜16歳のお子さんを対象に行う発達検査です。
「どんな力が得意で、どんな部分が苦手なのか」を知ることができ、学習のつまずきや支援方法を考える材料になります。
5つの認知指標(VCI・VSI・FRI・WMI・PSI)
WISCでは大きく5つの力を調べます。
- VCI(言語理解):言葉の理解や表現力
- VSI(視空間):形や位置をとらえる力
- FRI(推理):考えて問題を解決する力
- WMI(ワーキングメモリ):覚えて処理する力
- PSI(処理速度):作業を速く正確にこなす力
今回はこの中の「WMI」(ワーキングメモリ)に注目してみましょう。
2. WMI(ワーキングメモリ指標)とは

WMI(ワーキングメモリ)で分かること
WMIは、一時的に覚えておきながら作業を進める力を測ります。
たとえば、
- 数字を逆から言う
- 先生の指示を聞いて実行する
こうした課題で力を見ていきます。
WMI(ワーキングメモリ)が学習や生活に与える影響

WMIが高いと、授業や生活で「指示を覚えて行動する」ことが得意になります。
一方で低い場合は、「忘れっぽい」「途中で混乱する」といった困りごとが出やすくなります。
3. WMI(ワーキングメモリ)が低い場合に見られる特徴
- 算数の筆算や暗算で途中を忘れる
- 複数の指示を覚えにくい
- 長い文章の理解に時間がかかる
➡ 決して努力不足ではなく、記憶を扱う力の特性によるものです。
4. WMI(ワーキングメモリ)が高い場合に見られる特徴
- 複数の情報を一度に処理できる
- 計算や暗記が得意
- 集中が続きやすい
ただし、数値が高くても「得意な部分をどう活かすか」が大切です。
5. WMI(ワーキングメモリ)の結果をどう活かす?
学校・家庭でできる工夫
- 指示は短く分けて伝える
- メモやカードで「見える形」にする
- 作業を小さなステップに区切る
トレーニングや支援の方法

- 神経衰弱やしりとりなど遊びを通した練習
- 音読して内容をまとめる
- 静かな環境で学習を進める
➡ 無理に伸ばすよりも、「覚える工夫」「忘れても大丈夫な仕組み」を作ることが大切です。
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6.【体験談】わが子のWISC-WMIの結果と対応
私の息子はWISCではWMI(ワーキングメモリ指標)が平均〜やや高めという結果でした。
特に、見た情報を順番どおりに覚える/頭の中で並べ替えるといった課題は非常に得意とのこと。
FSIQ(知能指数)の結果より、時に賢く思われがちなのは、WMIが高いことが要因なのかなと感じました。
しかし、日常生活では指示を同時に覚えることが苦手です💦
そこで、家庭では次の工夫を続けました。
- ✅指示は1つずつ、順番に伝える
- ✅チェックリストやカードで「見える化」する
この2つだけでも「できた!」が少しずつ増え、
数値はあくまで参考で、日常の工夫こそが子どもの成長につながると実感しました✨。
7. WMI(ワーキングメモリ)が高いのに複数指示が苦手な場合はなぜ?
私の息子のように、
WMI(ワーキングメモリ)が高くても「複数の指示」が苦手な子は少なくありません。
理由は、WMI(ワーキングメモリ)だけでなく 注意の切り替え・理解力・処理速度・段取り力 など、
いろんな力が必要になるからです。
WMI(ワーキングメモリ)が高くてもつまずく理由として、次の可能性があります。👇
1. 検査と日常の違い
検査は静かで刺激が少なく、課題が短い。
一方、家庭や学校は騒音・同時作業・移動があり、負荷が急増。
2. モダリティの偏り
視覚のワーキングメモリは強いが、聴覚指示の保持が弱いと、口頭の長い指示で崩れやすい。
3. 言語理解や語彙の負荷
複数指示は「理解→保持→実行」を一気に求めます。
文の長さ・助詞・順接/逆接が多いと難度アップ。
4. 処理速度(PSI)・注意制御の影響
PSIが相対的に低い、または注意の切り替え・抑制が苦手だと、手順が飛びやすい。
5. 計画・系列化(実行機能)の未成熟
「どれから始める?」の段取りが苦手だと、覚えていても実行で崩れる。
6. 情緒・感覚要因
不安や感覚過敏、雑音などの外的ストレスでワーキングメモリの容量が一時的に縮む。
たとえば…
- 検査のように静かな環境ではできても、日常は音や刺激が多い
- 視覚は得意でも、口頭の長い指示は苦手
- 「まず何からやる?」という段取りが難しい
こんなときは、
- 指示は 1つずつ 伝える
- カードやリストで見える化する
- 子どもに 復唱してもらう
といった工夫で「できた!」が増えていきます。

すぐ試せるサポート(実践Tip)
- 指示は2ステップまで+番号を付けて伝える
(①上着をしまう ②ノートを出す) - (まず…→その次…)
ボード/ピクトカード/チェックリスト - キーワード先出し:
「上着→しまう、ノート→出すだよ」 - リピートバックを習慣化:
「今の指示を自分の言葉で言ってみよう」 - 視覚+口頭の二重提示
机上に必要物だけを残す - タイマーで見通し提示、作業を小刻みに区切る
- うまくいった手順は写真手順書にして再利用
ポイント💡
覚える量を減らす・順番を見える化する・成功体験を回すです。
8. よくある質問(FAQ)
WISCのWMIとは何ですか?
WMIは「ワーキングメモリ指標」で、一時的に覚えて処理する力を測る項目です。
WMIが低いとどうなりますか?
計算や複数の指示を覚えることに苦手さが出る場合がありますが、工夫で支援可能です。
WMIが高い子はどんな特徴がありますか?
記憶を活用して効率的に学習できることが多いですが、他の指標とのバランスも大切です。
WMIの結果は将来に大きな影響がありますか?
数値だけで将来を決めることはありません。支援の方向性を考える参考にします。
WMIはトレーニングで伸びますか?
遊びや学習の工夫で向上することもありますが、環境調整の方が効果的です。
ADHDやASDの子どもはWMIが低く出やすいですか?
その傾向があるといわれますが、個人差が大きく一概には言えません。
WMIが低くても勉強はできますか?
はい。メモやカードなどサポートを取り入れれば十分に学習を進められます。
家庭でできるWMIサポートはありますか?
神経衰弱やしりとり、音読の要約など、遊びを通して練習できます。
WMIの数値が低いと就学に影響しますか?
WMIだけでは判断されません。全体のバランスや日常の様子と合わせて考えます。
WISCのWMIはどのくらいの頻度で測定しますか?
基本的に数年に一度。必要に応じて再検査されることがあります。
9. まとめ|WISC-WMIの理解が子どもの学びを支える
WISCのWMIは、記憶力や集中力に関わる大事な指標です。
「低い=ダメ」ではなく、
👉 どんな場面で困りやすいのか
👉 どう支援すれば安心して学べるのか
を知ることが目的です。
発達検査の結果を理解し、日常に取り入れる工夫をすることで、お子さんの「できる!」を広げるサポートにつながります🌱
検査結果に悩んでいる方は、数値だけでなく日常の工夫を大切にしてくださいね🌸
📢次回予告
次回は、「【発達検査WISC-Ⅴ】PSI(処理速度)とは?サポート法と体験談」をお伝え予定です。
お楽しみに!
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