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発達検査WISC(ウィスク)とは?対象年齢・費用・結果の見方をわかりやすく解説

■ はじめに

「発達検査 WISC(ウィスク)」は、子どもの知能や認知能力を詳しく調べるための心理検査です。
特に発達障害や学習の困りごとが疑われる場合に受けられることが多く、
お子さんの強みや苦手な部分を客観的に理解するのに役立ちます。

💡この記事では、
WISC検査の基本的な内容から、
検査結果の見方、
発達障害との関連、
実際の受検方法まで、わかりやすく解説します。

発達検査 WISCについて知りたい方の参考になれば幸いです。

目次

  1. WISC(ウィスク)とは?発達検査の概要と目的
    WISC検査の役割と対象
    発達障害や学習困難との関係
  2. WISC-IV(ウィスク・フォー)とWISC-V(ウィスク・ファイブ)の違い
    主要指標の変化と新しい特徴
    ちがい比較表】WISC-IVとWISC-Vの違いまとめ
  3. WISCが教えてくれる5つの認知指標とは?
    言語理解(VCI)
    視空間(VSI)
    ワーキングメモリ(WMI)
    流動性推理(FRI)
    全検査IQ(FSIQ)の意味
  4. ディスクレパンシーとは?
    得意・不得意の差から見える支援のヒント
    診断との関係
  5. WISC検査と発達障害・ギフテッド
    WISCでわかること/わからないこと
    ADHD・ASDとの関係
    限局性学習症(LD)での活用
    ギフテッド(高知能児)の特徴
  6. WISC検査を受ける方法
    対象年齢
    実施場所
    所要時間
    費用の目安
    結果がわかるまでの期間
    子どもへの伝え方のコツ
  7. WISC結果の見方:スコアから読み取る子どもの特性
    スコア範囲と特徴
    指標間の差の活用方法

    支援・療育へのつなげ方
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめと次のステップ

1. WISC(ウィスク)とは?発達検査の概要と目的

WISC検査の役割と対象

WISC(ウィスク)検査は、5歳0か月から16歳11か月までの子どもを対象に行われる知能検査です。
全体のIQだけでなく、言語理解・視空間・ワーキングメモリ・流動性推理・処理速度といった複数の認知指標を測定します。
これにより、子どもの「得意な分野」と「支援が必要な分野」が具体的に把握できます。

例えば、

  • 言語理解が高い → 語彙や説明能力に優れる
  • 処理速度が低い → 作業に時間がかかりやすい
    といった特性が分かり、学習方法や環境調整の方針を立てる材料になります。

発達障害や学習困難との関係

WISCは、発達障害(ADHDやASDなど)の診断補助や、学習困難の原因分析に広く使われます。
診断そのものは医師や臨床心理士が総合的に行いますが、
WISCの結果は「どの認知機能がつまずきやすいか」を客観的に示してくれます。

例えば、

  • ADHD傾向 → ワーキングメモリや処理速度が低め
  • ASD傾向 → 言語理解や視空間能力は高いが、処理速度が低いことも
  • 学習障害(LD) → 特定の指標だけが著しく低い

このように、WISCは単なるIQ測定ではなく、支援の方向性を決めるための「地図」として活用されます。

2. WISC-IV(ウィスク・フォー)とWISC-V(ウィスク・ファイブ)の違い

主要指標の変化と新しい特徴

WISC検査には、「WISC‑IV(ウィスク・フォー)=(第4版)」と
最新の「WISC‑V(ウィスク・ファイブ)=(第5版)」があります。
日本では2022年からWISC-Vが刊行され、徐々に普及中です。

WISC‑IVは言語理解、知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度の4つの指標を中心に評価します。
一方WISC‑Vではこれに加えて認知能力の細分化が進み、より精緻な分析が可能に。
検査の所要時間や実施方法にも若干の違いがあります。

【ちがい比較表】WISC-IVとWISC-Vの違いまとめ

項目WISC-IV(第4版)WISC-V(第5版)
主要指標4指標:言語理解(VCI)
知覚推理(PRI)
ワーキングメモリ(WMI)
処理速度(PSI)
5指標:言語理解(VCI)
視空間(VSI)

流動性推理(FRI)
ワーキングメモリ(WMI)
処理速度(PSI)
構造の違いPRIが1つの指標PRIがVSIとFRIに分離
=空間構成力とルール発見・推論力をより分けて把握可能
補助・補完指数GAI(一般能力)
CPI(認知効率) 等
GAI / CPI に加え
QRI(量的推理)
AWMI(聴覚WM)
NVI(非言語)
NSI・STI系(命名速度・記号翻訳)など拡張
代表的下位検査VCI:類似・語彙
PRI:積木模様・行列推理など
VCI:類似・語彙
VSI:積木模様・積木模様系の視覚パズル(Visual Puzzles)
FRI:行列推理・図形加重(Figure Weights)など
WMI:Digit Span・絵の記憶(Picture Span)
PSI:符号・記号探索
🔗The Test Tutor
FSIQ算出10コア下位検査7下位検査(短時間で算出可能)
所要時間約60〜90分コア約60分、全指標取得で60〜90分
対象年齢(日本版)5:0〜16:115:0〜16:11
設計思想の進化総合4因子で幅広く把握視空間と推理を分けて可視化し、詳細な認知プロファイルを描きやすい

まとめ

  • WISC-Vは認知能力をより細かく分析でき、詳細な支援計画に役立つ
  • どちらも有効だが、目的や実施機関の対応状況に応じて選択される

3. WISC検査でわかる5つの認知指標

WISC検査(ウィスク検査)は、お子さんの「頭の中の得意・苦手マップ」を作るような心理検査です。
最新版のWISC-V(ウィスク・ファイブ)では、次の5つの指標が測定されます。
(※旧版のWISC-IV(ウィスク・フォー)では4指標構成でした)

👉 言語理解(VCI)

ことばの意味や語彙、文章理解の力。
会話や説明の理解に影響します。

👉 視空間(VSI)

視覚情報の分析や空間把握能力。
目で見た形や位置関係を把握し、組み立てる力。
積み木やパズルが得意かどうかに関係。

👉 ワーキングメモリ(WMI)

一時的に情報を記憶し、使いながら作業する力。
暗算や指示を覚えて行動する場面で活躍。

👉 流動性推理(FRI)

ルールを見つけ、応用して解決する力。
パターン認識や推理問題に関係。

👉 処理速度(PSI)

課題を素早く正確に処理する力。
計算スピードや集中力にも影響。

👉 全検査IQ(FSIQ)

上記の結果をまとめた総合指数。
全体的な知的発達の目安になります。

💡 このスコアの「でこぼこ」が、発達障害の傾向や学習のつまずきの原因を知るヒントになります。

4. ディスクレパンシーとは?

得意・不得意の差から見える支援のヒント

WISC検査の結果は均一でないことが多く、
例えば言語理解は高いのに処理速度が低い、といった「ディスクレパンシー(凹凸)」が現れます。
これは子どもの認知能力の「でこぼこ」を示し、得意な分野と苦手な分野が明確になることがあります。

この凹凸を理解することで、
発達障害の傾向や学習困難の原因を探る手掛かりになり、個別の支援や療育計画の作成に役立ちます。
ただし、スコア差だけで診断を下すのは避け、専門家の総合判断が重要です。

5. WISC検査と発達障害・ギフテッド💡

WISCでわかること/わからないこと

WISC検査は発達障害の診断そのものには使われませんが、
ADHDやASDの子どもに見られやすい認知プロファイルの傾向を知ることができます。
例えば、ADHDではワーキングメモリや処理速度が低めに出ることが多いです。

ただし、WISCだけで子どもの全体像を判断することはできません。
行動観察・生活記録・他の心理検査と組み合わせて総合的に理解することが推奨されます。

ADHD・ASDとの関係🧠

WISCの結果パターンには、発達障害ごとの特徴が見られることがあります。

ADHD(注意欠如・多動症)

処理速度やワーキングメモリが低めで、集中の持続が難しい傾向

ASD(自閉スペクトラム症)

言語理解や視空間能力が高い一方、処理速度に差(ギャップ)が出やすい

こうした傾向を知ることで、課題量の調整や休憩の取り方など、学習環境を整えるヒントになります。

限局性学習症(LD)での活用

限局性学習症(LD)は、読み・書き・計算など特定の学習領域に困難を示す発達障害です。
WISCでは、ワーキングメモリや言語理解などの一部の指標が顕著に低く出ることがあります。
これにより、「全体的な知的能力は十分でも、特定分野での支援が必要」という判断が可能になります。

ギフテッド(高知能児)の特徴

ギフテッドとは、特定の能力が極めて高い子どもを指します。
WISCでは、言語理解や流動性推理のスコアが非常に高い一方で、他の指標との差が大きいこともあります。
そのため、才能を伸ばす教育と同時に、差がある部分へのサポートも重要です。

スコアの「でこぼこ」を活かす📈

WISCの結果を活用すると、

  • 得意分野をさらに伸ばす学習計画
  • 苦手分野を補う支援方法
    が明確になり、個別最適な学びを実現できます。

6. 発達検査(WISC)を受けるには?年齢、実施場所、所要時間、料金は?

対象年齢(日本版WISC-V:ウィスク・ファイブ)

  • 5歳0か月〜16歳11か月で実施可能

発達検査(WISC)を受ける場所

  • 病院の発達外来
  • 児童相談所
  • 療育センター
  • 一部の教育相談機関

✅ 発達検査(WISC)所要時間

  • 約60〜90分(お子さんのペースで増減)

✅ 発達検査(WISC)費用の目安

方法費用の目安備考
自費
(民間機関など)
1〜2万円実施内容による差あり
医療機関
保険診療)
診療報酬
「D283-3(450点)」に該当する場合あり
実施可否は医療機関による
自治体の助成費用負担が無料〜ごく少額になることも「子ども医療証」対象。
自治体により助成年齢・範囲が異なる

自治体の医療費助成例(地域分散)

都市助成対象年齢自己負担備考リンク
大阪市18歳年度末まで1医療機関ごと 1日当たり 最大500円医療証提示で助成大阪市子ども医療費助成
東京都 世田谷区18歳年度末まで無料医療証提示で自己負担なし世田谷区医療費助成
札幌市18歳年度末まで初診時に医科580円医療証提示が助成札幌市医療費助成
名古屋市18歳年度末まで無料通院・入院医療費助成名古屋市医療費助成
福岡市高校生世代まで月500円まで通院・入院医療費助成福岡市子ども医療費助成
広島市中学3年生まで一日500円~1,500円まで医療証提示で助成広島市医療費助成
仙台市中学3年生まで初診時500円、再診時無料医療証提示で助成仙台市医療費助成

⚠️ 注意

  • 実際の発達検査の費用や助成対象は自治体・医療機関によって異なります。
  • 最新情報は必ず各自治体や医療機関に確認してください。

結果が分かるまで

  • 早い場合は1〜2週間、詳細レポートがある場合は3〜4週間かかることも
  • 機関によっては面談形式で結果説明、または郵送で報告

🧒 発達検査(WISC)を受けるのコツ

  • 前日は十分な睡眠
  • 当日はリラックスできる服装

🧒発達検査の伝え方に困る緊張しやすい子どもへの伝え方

  • 「検査・テスト」という言葉を避け、「パズルやゲームをする日だよ」と伝える
  • 「痛いことはしない」「途中で休憩できる」など安心材料を添える
  • 「就学前(小学校入学前)のチェック・5歳児検診」など生活に近い表現に置き換える
    👇
    例:「今日は、お兄さん・お姉さんとパズルやゲームをする日だよ。痛いことはしないし、途中でお水休憩もできるよ。
    小学校入学学前のちょっとしたチェックみたいな感じだよ。終わったらごほうびシールもあるよ」

7. WISC結果の見方:スコアから読み取る子どもの特性

スコア範囲と特徴

WISCの結果票には、全検査IQ(FSIQ)と各指標スコアが表示されます。
平均スコアは100で、標準偏差は15です。

全検査IQ(FSIQ)特徴の目安
116以上高め〜非常に高い傾向
85〜115おおむね標準範囲
84以下学び方や環境の工夫がより有効な可能性
※あくまで目安であり、数値だけで支援の必要性を判断してはいけません。

💡WISC結果の見方のポイント

  • 生活場面の観察や他の心理検査と合わせて分析することが大切
  • 注意力、感覚過敏、情緒面、環境要因なども含め総合的に判断
  • 1つの数値だけで判断せず、指標間の差凹凸(ディスクレパンシー)も重視
  • 指標間の差凹凸(ディスクレパンシー)は学び方や支援方法やを見つけるヒント

指標間の差の活用方法

結果を見る際は、指標間の差凹凸(ディスクレパンシー)に注目します。
例えば、言語理解が高いが処理速度が低い場合、

  • 課題の時間制限を緩和
  • 筆記より口頭回答を活用
    といった支援が有効です。

支援・療育へのつなげ方

WISCの結果は、生活観察や他の心理検査と合わせて分析します。

  • 学校 → 個別指導計画(IEP)の作成
  • 家庭 → 宿題や学習方法の調整
  • 療育 → 苦手分野のトレーニング

重要なのは、結果をラベル化ではなく支援の材料に使うことです。

8. よくある質問(FAQ)

WISC検査はどんな年齢の子どもが受けられますか?

5歳から16歳くらいまでが対象です。

WISC‑IVとWISC‑Vの違いは何ですか?

WISC‑Vは新版で検査内容が細分化され、より精度の高い分析が可能です。

WISC検査で発達障害は診断できますか?

WISCは診断用ではなく、発達の特性を理解するための検査です。

検査の所要時間はどれくらいですか?

一般的に60〜90分ほどかかります。

検査結果のスコアはどのように解釈すれば良いですか?

平均は100前後で、85〜115の範囲が標準的です。
偏りのあるスコアは得意・不得意のヒントになります。

検査結果はどこで受け取れますか?

検査後に専門家から説明を受けるのが一般的です。

費用はどのくらいかかりますか?

病院や施設によって異なりますが、数千円〜数万円の範囲が多いです。

WISC検査を受けるために準備は必要ですか?

特別な準備は不要ですが、体調を整えてリラックスできるようにしましょう。

検査結果をもとにどんな支援が受けられますか?

発達支援や学習支援、療育の方針作成に役立ちます。

WISC検査の結果は変わりますか?

子どもの成長に伴い変わることもあるため、定期的な検査が推奨される場合もあります。

9. まとめと次のステップ🚀

1. 数値よりも「活用」が大切

WISCはIQの高さを競うものではなく、子どもの特性を知り支援につなげるためのツールです。
点数だけを見て一喜一憂するより、日常生活や学習の中でどう活かすかが重要です。

2. 支援や教育計画につなげる

  • 学校 → 個別指導計画(IEP)や合理的配慮の検討
  • 家庭 → 宿題の工夫や学習環境の整備
  • 療育 → 苦手分野を補うプログラム

結果は「ラベル」ではなく「道しるべ」として使いましょう。

3. 相談先の案内📞

  • 臨床心理士や公認心理師による結果説明
  • 発達支援センターや教育相談室
  • 医療機関(必要に応じて診断や治療)

✅ 最後に

WISC検査は、子どもの未来をより良くするための大切な情報源です。
専門家と一緒に結果を読み解き、子どもが自分らしく学び・成長できる環境を整えていきましょう。

次回予告

次回は、「体験談:WISC-V(ウィスク・ファイブ)」をお伝え予定です。
お楽しみに!

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  • この記事を書いた人

しょうがなすこさん

はじめまして🌼「しょうがなすこ」と申します。 私は、2歳と4歳の発達障害の息子を育てているママです。 児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、現役保育士監修のもと、発達に特性のあるお子さんとの向き合い方や、日々の悩みに寄り添う情報をこのブログで発信しています。 「ことばがゆっくり」「感覚に敏感」「お友だちとの関わりがむずかしい」そんな日々のちょっとした困りごとに、私自身もたくさん向き合ってきました。 このブログでは、🔸わが子のリアルなエピソード🔸家庭でできる関わりの工夫🔸ママの心がふっと軽くなるヒントなどをお届けしています。 🍀「私だけじゃないんだ」そう思える場所が、ここで見つかりますように。どうぞ、気軽に読んでいってください☺️

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