はじめに|小学校では「立って靴を履く」場面が増える
「靴を履くのに時間がかかる」
「立ったまま靴を履こうとすると、ふらつく」
「左右をよく間違える」
「かかとがうまく入らず、毎朝バタバタする」
そんな悩みはありませんか?
入学準備の中でも、意外と見落とされがちなのが 靴の着脱 です。
園では座って靴を履くことが多いですが、小学校に入ると、外遊び・体育・下校準備などで、立ったまま靴を履く場面が増えます。
わが家の園でも、年長からは「立って靴を履く」ことを少しずつ練習していました。
最初は「靴くらいそのうち履けるかな」と思っていたのですが、実際にやってみると、立って履くには思った以上にいろいろな力が必要でした。
立って靴を履くには、
- 体幹の安定
- 片足立ちのバランス
- 手先と足の協調
- 靴の向きの理解
- 動作の順番を覚える力
が関わります。
特に、発達性協調運動症(DCD)やASD傾向、不器用さがある子は、靴を履く動作につまずきやすいことがあります。
この記事では、小学校入学前に家庭でできる「立って靴を履く練習法」と、つまずきやすいポイント、靴選びのコツを体験談を交えて紹介します。
この記事でわかること
- 立って靴を履くのに必要な力
- 靴を履けない子がつまずきやすい理由
- 家庭でできる練習ステップ
- 片足立ちが苦手な子への遊び
- 就学準備に向いた靴の選び方
- 朝の支度で親子がラクになる工夫
1. なぜ「立って靴を履く」練習が就学準備になるの?
小学校では、園よりも自分で動く場面が増えます。
たとえば、
- 朝の登校後に靴を履き替える
- 体育で外靴や上履きを使い分ける
- 休み時間に外へ出る
- 下校準備をする
- 雨の日に靴を履き替える
など、靴の着脱が何度もあります。
もちろん、必ず立って履かなければいけないわけではありません。
でも、立って履けるようになると、支度がスムーズになり、本人の「自分でできた!」にもつながります。
また、立って靴を履く動作は、ただの生活習慣ではなく、体の使い方を育てる練習にもなります。
2. 立って靴を履くのに必要な力
立って靴を履くには、実はいくつもの力が同時に必要です。
体幹の安定
片足を上げたときに体がぐらつかないよう、体幹で姿勢を支える力が必要です。
体幹が不安定な子は、靴を履こうとした瞬間にふらついたり、壁に寄りかかったりしやすくなります。
片足立ちのバランス
靴を履くときは、一瞬でも片足になる場面があります。
片足立ちが苦手な子は、足を上げたまま靴を入れることが難しく、焦ってしまうことがあります。
▶ 【就学準備】ジャンプ・バランスが苦手な子へ|家庭でできる運動スキル練習7選
手足の協調
手で靴を持ちながら、足を靴に入れる。
かかとを合わせて、マジックテープを留める。
このように、手と足を同時に使う必要があります。
DCD傾向がある子は、この「同時に動かす」動作が苦手な場合があります。
▶ 子どもの不器用さはDCDかも?発達性協調運動症の特徴と家庭でできる支援
靴の向き・左右の理解
右と左、前と後ろ、かかとの位置を理解する力も必要です。
靴の向きが分からないと、履き間違えたり、何度もやり直しになったりします。
動作の順序理解
靴を履く動作には順番があります。
- 靴の向きを見る
- 足を入れる
- かかとを入れる
- マジックテープを留める
- 立って確認する
この流れを覚えることも、就学前の大切な練習になります。
▶ 【立って上靴が履けない子に】上靴を立って履くコツ|視覚支援カード【無料公開】
3. わが家の体験談|「靴を履く」が思ったより難しかった
わが家でも、就学前に「立って靴を履く」練習を意識しました。
最初は、座って履くならできるのに、立ったままになると急にうまくいきませんでした。
- 片足を上げるとぐらつく
- 靴の向きが分からなくなる
- かかとが入らずイライラする
- 急いでいる朝ほど失敗する
- 「もうママやって」となる
そんなことが何度もありました。
最初は私も、
「靴くらい自分で履いてほしい」
と思ってしまうことがありました。
でも、よく見てみると、本人はサボっているわけではなく、バランスを取りながら靴を履くこと自体が難しそうでした。
そこで、いきなり立って履かせるのではなく、
「座って順番を確認する」
「壁に手をついて履く」
「休日にゆっくり練習する」
という形に変えました。
すると少しずつ、本人も「できた!」を感じられるようになりました。
4. 練習を始める前に準備したいこと
立って靴を履く練習は、安全にできる環境づくりが大切です。
安定した場所で練習する
フローリングの上より、滑りにくいマットの上がおすすめです。
転びそうな場所や、物が多い玄関ではなく、最初は広めの場所で練習すると安心です。
壁や棚の近くで行う
最初から支えなしでやる必要はありません。
壁や手すり、棚に手をついて練習すると、バランスが取りやすくなります。
履きやすい靴を選ぶ
練習には、紐靴よりもマジックテープの靴がおすすめです。
かかとが硬すぎる靴、足に合っていない靴、脱げやすい靴は、練習の負担が大きくなります。
朝ではなく、余裕のある時間に練習する
朝の登校前は、親も子も焦りやすい時間です。
練習は、休日や夕方など、時間に余裕があるときに行うのがおすすめです。
5. ステップ別|立って靴を履く練習方法
ステップ1|座って靴の向きと手順を覚える

まずは座った状態で、靴の左右や履く順番を確認します。
- 靴の右左を見る
- 足を入れる
- かかとを入れる
- マジックテープを留める
座って安定した状態でできるようになってから、立つ練習に進むとスムーズです。
左右が分かりにくい子には、靴の中にシールを貼るのもおすすめです。
左右を合わせると絵が完成するタイプにすると、子どもにも分かりやすくなります。
▶ 就学前チェックリスト(年長向け)|小学校入学までに必要な力と家庭での練習法
ステップ2|壁に手をついて片足で履く

次に、壁や棚に手をついて、片足立ちで靴を履く練習をします。
この段階では、支えを使ってOKです。
「壁に手をついていいよ」
「足を入れたら、かかとトントンだよ」
と短く伝えると分かりやすいです。
ステップ3|かかとを入れる練習だけする
靴を履く中でも、かかとを入れるところでつまずく子は多いです。
その場合は、全部を一度に練習せず、
「かかとトントンだけ」
「指でかかとを引っ張るだけ」
のように部分練習にします。
靴べらや、かかとループ付きの靴を使うのもおすすめです。
ステップ4|支えを少しずつ減らす
壁に手をついて履けるようになったら、支えを少しずつ減らします。
最初は片手で壁に触る。
次に、壁の近くで立つ。
最後に、支えなしで履く。
このように段階を分けると、子どもも不安になりにくいです。
ステップ5|生活場面で実践する
練習でできるようになったら、外出前や登校準備の中で少しずつ実践します。
ただし、朝の忙しい時間に毎回完璧を求めなくて大丈夫です。
平日はサポート多め。
休日に練習多め。
このくらいの気持ちで続けると、親子ともに負担が少なくなります。
6. よくあるつまずきとサポート法
| つまずき | サポート法 |
|---|---|
| 片足立ちでふらつく | 壁や棚に手をついて練習する |
| 靴の左右を間違える | 中敷きや靴の内側にシールを貼る |
| かかとが入らない | かかとループ付きの靴や靴べらを使う |
| 順番が分からない | 写真や絵カードで手順を見える化する |
| 朝に焦って泣く | 練習は休日にして、朝はサポートする |
| すぐ「やって」と言う | 最初の1動作だけ本人に任せる |
大切なのは、全部を一気にできるようにすることではありません。
「今日は足を入れられた」
「今日はかかとトントンできた」
のように、小さな成功を見ることです。
7. 片足立ちが苦手な子におすすめの遊び
立って靴を履くには、片足立ちの力が必要です。
でも、練習っぽくすると嫌がる子もいますよね。
そんなときは、遊びの中でバランス感覚を育てるのがおすすめです。
▶ 【家庭療育】サーキット遊びのやり方|発達が気になる子の運動・感覚統合・就学準備に
ケンケンパ
床にテープやマットを置いて、ケンケンパをします。
最初は「パ」「パ」「パ」と両足ジャンプだけでもOKです。
慣れてきたら、片足のケンケンに進みます。
片足バランスチャレンジ
「5秒立てるかな?」
「どっちの足が得意かな?」
とゲーム感覚にします。
タイマーを使って、5秒、10秒と少しずつ伸ばすと達成感が出ます。
風船キャッチ
風船はゆっくり落ちるので、運動が苦手な子にも取り入れやすいです。
風船をポーンと投げて、キャッチする前に片足立ちポーズをするなど、遊びながらバランスを育てられます。
ペンギン歩き
足の間にタオルやぬいぐるみを挟んで歩きます。
「落とさないように歩けるかな?」
と声をかけると、遊び感覚で体幹を使えます。
線の上歩き
床にマスキングテープを貼って、その上を歩きます。
「線路の上を歩くよ」
「落ちないようにゆっくりね」
という遊びにすると、バランス練習になります。
8. 靴選びのポイント

立って靴を履く練習では、靴選びも大切です。
合わない靴だと、子どもが頑張っても履きにくく、失敗体験が増えてしまいます。
▶ 子どもが物や人にぶつかる理由|発達障害・DCDと空間認知・ボディイメージの支援法【体験談】
▶ 【上靴は大きめがいい?】実は大きすぎると履きにくい|おすすめサイズと選び方
マジックテープタイプを選ぶ
就学前の子には、紐靴よりマジックテープタイプがおすすめです。
自分で開け閉めしやすく、足に合わせて調整しやすいです。
かかとがしっかりしている靴
かかとが柔らかすぎる靴は、足を入れるときにつぶれやすいです。
かかと部分がしっかりしている靴の方が、立って履きやすいことがあります。
かかとループがある靴
かかとにループがあると、子どもが指を引っかけて履きやすくなります。
「ここを持って引っ張るよ」と教えやすいのもメリットです。
サイズが合っている靴
大きすぎる靴は脱げやすく、小さすぎる靴は履きにくいです。
つま先に少し余裕があり、かかとがフィットする靴を選びましょう。
軽くて滑りにくい靴
重い靴や滑りやすい靴は、立って履く練習には不向きです。
軽くて、ソールに滑り止めがあるものが安心です。
9. 家庭での声かけのコツ
靴の練習では、声かけも大切です。
NGになりやすい声かけ
- 早くして
- なんでできないの?
- もう小学生になるんだから
- さっきも言ったでしょ
こうした言葉は、子どもを焦らせてしまうことがあります。
おすすめの声かけ
- まず足を入れてみよう
- かかとトントンできたね
- 壁を使っていいよ
- 片方できたね
- 昨日より早かったね
- 自分でやろうとしたね
結果だけでなく、動作の一部や挑戦したことを褒めると、子どもも続けやすくなります。
10. よくある質問
立って靴を履く練習は何歳から始めればいいですか?
4〜5歳頃から少しずつ始める子が多いです。
ただし、座って靴を履くことに慣れてからで大丈夫です。
片足立ちが苦手でも練習できますか?
できます。
最初は壁や棚に手をついて、支えありで練習しましょう。
DCDやASDの子でもできるようになりますか?
段階を分けて練習すれば、できることが増える子は多いです。
ただし、無理に自立を急がず、その子に合った方法を探すことが大切です。
▶ 指先が不器用な子へ|3歳から家庭でできる指先トレーニング9選
朝の準備で練習すると親子でイライラします。
朝は練習に向かないことも多いです。
平日の朝はサポートし、休日や夕方に練習するのがおすすめです。
左右をよく間違える場合は?
靴の内側にシールを貼る、左右を合わせると絵が完成するマークをつけるなど、視覚的に分かる工夫が効果的です。
かかとがうまく入りません。
かかとループ付きの靴や靴べらを使うと履きやすくなります。
最初は「かかとを入れる」だけを練習してもOKです。
紐靴の練習もした方がいいですか?
就学前は、まずマジックテープで自分で履けることを優先して大丈夫です。
紐靴は手先の発達や本人の意欲に合わせて、後からでも問題ありません。
練習時間はどれくらいがいいですか?
1回3〜5分で十分です。
長くやるより、短く成功で終わる方が続きやすいです。
靴を履くのを嫌がるときは?
無理に練習せず、まずは好きな靴を選ぶ、シールを貼る、休日だけ練習するなど、ハードルを下げましょう。
小学校までにできないと困りますか?
できた方がスムーズですが、入学時点で完璧でなくても大丈夫です。
困りごとがある場合は、担任の先生に事前に伝えておくと安心です。
まとめ|立って靴を履く練習は「就学準備」と「自信づくり」
立って靴を履くことは、ただの生活習慣ではありません。
- 体幹
- バランス
- 手足の協調
- 靴の左右理解
- 動作の順序理解
- 身辺自立
につながる、大切な就学準備のひとつです。
でも、最初から完璧にできなくて大丈夫です。
座って手順を覚える。
壁に手をついて履く。
かかとだけ練習する。
休日にゆっくり取り組む。
そんな小さなステップで十分です。
「自分で履けた!」という経験は、子どもの自信になります。
焦らず、比べず、家庭のペースで練習していきましょう。