はじめに
「シとツが、どちらか分からなくなる。」
「ソを書いたつもりなのに、ンのように見える。」
「見本を見れば読めるけれど、自分で書くと向きが逆になる。」
そんなことはありませんか?
カタカナの中でも、「シ・ツ・ソ・ン」は形がよく似ていて、間違えやすい文字です。
文部科学省が公開している外国人児童生徒向けの日本語指導資料でも、「シ」と「ツ」、「ン」と「ソ」は、書き間違えやすいカタカナとして挙げられています。
この資料からも、「シとツ」「ンとソ」が混同しやすい組み合わせであることが分かります。
文部科学省の資料
我が家の小学1年生の長男も、似ている文字は、言葉で違いを説明されるだけでは迷ってしまうことがあります。
「そこじゃないよ」「向きが反対だよ」と伝えても、本人には、どこを見ればよいのか分かりにくい様子でした。
そこで今回は、
- ひらがなの「し・つ・そ・ん」を重ねる
- 見る場所を丸で囲む
- 書き始めを青い点で示す
- 手を動かす方向を矢印で示す
- 書き順を①②③で示す
という方法で、「シ・ツ・ソ・ン」の違いを見える化した視覚支援を作りました。
この記事では、4文字の見分け方、書き順、家庭での練習方法を分かりやすく紹介します。
結論|「書き始めの並び方」と「長い線の方向」を見る
「シ・ツ・ソ・ン」を見分けるポイントは、次の2つです。
- 各画の書き始めが、たてと横のどちらに並んでいるか
- 長い線を、上から書くか、下から書くか
| 文字 | 書き始めの並び | 長い線の動き | 画数 |
|---|---|---|---|
| ソ | 横に並ぶ仲間 | 上から下へ | 2画 |
| ツ | 横に並ぶ仲間 | 上から下へ | 3画 |
| ン | たてに並ぶ仲間 | 下から上へ | 2画 |
| シ | たてに並ぶ仲間 | 下から上へ | 3画 |
覚える合言葉は、
「ソ・ツは上から、ン・シは下から」
です。
一度に全部を覚えにくい場合は、まず「ソとン」、次に「ツとシ」というように、2文字ずつ比べます。
「シ・ツ・ソ・ン」の視覚支援イラスト

このイラストでは、カタカナの後ろに、対応するひらがなを重ねています。
- ソには「そ」
- ンには「ん」
- ツには「つ」
- シには「し」
を重ねることで、文字を丸暗記するのではなく、線が動く方向をイメージしやすくしました。
ピンクの丸は注目する場所、青い点は書き始めです。矢印を指でなぞると、鉛筆を動かす方向も確認できます。
覚えるポイントは、「ソ・ツは上から、ン・シは下から」です。
さらに、「ツ」は書き始めが上に横並び、「シ」は左側にたて並びになっています。
最初から4文字すべてを覚えようとせず、まずは「ソとン」「ツとシ」の2文字ずつ比べると分かりやすくなります。
「ソ」と「ン」の見分け方
「ソ」と「ン」は、どちらも2画です。
違うのは、それぞれの線を書き始める位置と、2画目を動かす方向です。
ソの書き順
- 短い線を書く
- 上の方から書き始め、下へはらう
ソは、ひらがなの「そ」の流れを思い出しながら、上から下へ書きます。
ンの書き順
- 短い線を書く
- 下の方から書き始め、右上へはらう
ンは、ひらがなの「ん」の最後の線のように、下から上へ進みます。
覚え方
ソは上から下へ。ンは下から上へ。
形だけを見て迷うときは、「どちら向き?」と尋ねるより、青い点を指して、
ここから、どっちに進むかな?
と聞く方が答えやすくなります。
「ツ」と「シ」の見分け方
「ツ」と「シ」は、どちらも3画です。
2本の短い線が、横に並ぶか、たてに並ぶかを見ます。
ツの書き順
- 左上の短い線
- その右の短い線
- 上から下へはらう長い線
ツは、2本の短い線が上に横並びになります。ひらがなの「つ」の丸い流れを重ねると、上から下へ進む動きを思い出しやすくなります。
シの書き順
- 上の短い線
- その下の短い線
- 下から右上へはらう長い線
シは、2本の短い線が左側にたてに並びます。ひらがなの「し」の最後が右上へ上がるイメージで書きます。
覚え方
ツは書き始めが上に横並び。シは左にたて並び。
短い線を「点」と呼ぶと小さく丸く書いてしまう子もいるため、この記事では「短い線」と表現しています。
なぜ、ひらがなを重ねると分かりやすいの?
「ソは上から」「ンは下から」と言葉だけで覚えても、実際に書く場面では思い出せないことがあります。
そこで、すでに知っているひらがなを手がかりにします。
- ソと「そ」:上から下へ流れる
- ンと「ん」:最後が右上へ進む
- ツと「つ」:上側から丸く下へ進む
- シと「し」:下側から右上へ進む
知っている文字と重ねることで、「形」だけでなく「手の動き」と一緒に覚えられるのが、この視覚支援のポイントです。
ただし、重ねたひらがなの線を、そのままカタカナとして書くわけではありません。あくまでも、書く方向を思い出すための目印として使います。
視覚支援カードの使い方
1.最初は2文字だけ比べる
4文字を一度に見せると迷う場合は、
- ソとン
- ツとシ
のどちらか一組だけを見せます。
その日に間違えた組だけで十分です。
2.ピンクの丸を見る
「文字をよく見て」だけでは、どこを見ればよいのか分かりにくいことがあります。
カードの丸を指しながら、比べる文字に合わせて尋ねます。
「ソ」と「ン」を比べるときは、
長い線は、上と下のどちらから始まっている?
「ツ」と「シ」を比べるときは、
2本の短い線は、上に横並び? 左にたて並び?
と聞きます。
見る場所と選択肢を具体的にすることで、子どもが違いに気づきやすくなります。
3.青い点から矢印を指でなぞる
いきなり鉛筆で書かず、青い点に指を置いて矢印をなぞります。
声に出すことが負担でなければ、
ソ・ツは上から。ン・シは下から。
と一緒に言いながら動かします。
4.大きく1文字だけ書く
指で動きを確認したら、空中やホワイトボードに大きく1文字書きます。
小さいマスへ何度も書くよりも、まず大きく動かした方が、始点と方向を意識しやすい子もいます。
5.言葉の中で使ってみる
最後に、文字だけでなく短い言葉を書きます。
- ソ:ソース、ソファ
- ン:パン、メロン
- ツ:ツナ、バケツ
- シ:シール、ライオン
たくさん書く必要はありません。1~2語でも、正しく使えた経験を作ることを優先します。
間違いを指摘されると怒る子には「直す」より「選ぶ」
我が家では、学習の間違いに印を付けられることや、「違う」と指摘されることを強く嫌がることがあります。
そのようなときに、書いた文字へすぐ×を付けると、文字を見ることよりも「間違えた」という気持ちが大きくなってしまいます。
そこで、
間違っているよ。書き直して。
ではなく、
書きたかったのは、上からの仲間? 下からの仲間?
カードと同じスタートは、どこかな?
のように、カードを見ながら本人が選べる声かけにします。
書き直しを嫌がるときは、消さずに見本を横へ1文字書くだけでも構いません。
今書いた文字を全部直すことより、次の1文字で使える手がかりを残すことを大切にしています。
実際に子どもと使ってみた感想
実際に子どもとカードを見てみると、言葉だけで「向きが違う」と説明するよりも、青い点と矢印を見せた方が、書き始める場所を確認しやすそうでした。
また、カタカナの後ろにひらがなを重ねることで、
「シは『し』と同じように、下から右上へ進む」と、線の動きを結び付けやすくなりました。
まだ一度で完全に覚えられたわけではありませんが、迷ったときに自分でカードを見て確認できる手がかりになっています。
うまくいかないときの工夫
4文字を何度も書かせない
疲れるほど反復すると、線の方向より「早く終わらせたい」という気持ちが強くなることがあります。
1回で覚えることを目指さず、その日に使う文字だけ確認します。
フォントではなく手書きの見本を使う
印刷されたフォントは、学校で習う手書きの形と線の角度が違う場合があります。
書く練習では、教科書や学校の見本に近い字形を使います。
書き順だけを正解にしすぎない
書き順は、整った字形や書きやすさにつながる大切な手がかりです。
一方で、書き順の注意ばかりが続いて書くこと自体が嫌にならないよう、読める字を書けたことも認めます。
よくある質問
シとツは、どこを見ればすぐ分かりますか?
各画の書き始めの並び方を見ます。ツは上に横並び、シは左にたて並びです。
長い線も、ツは上から下へ、シは下から右上へ書きます。
ソとンの一番大きな違いは何ですか?
長い線の書き始めです。
ソは上から下へ、ンは下から右上へ進みます。
何歳向けですか?
主に、カタカナを学び始める幼児から小学1年生ごろを想定しています。
学年に関係なく、この4文字を混同するときの確認用として使えます。
発達障害がある子だけの教材ですか?
いいえ。ASD、ADHD、DCDなどの診断の有無にかかわらず、言葉だけの説明より、色や矢印で見た方が理解しやすい子に使えます。
学校と書き方が違う場合はどうしますか?
学校の教科書や担任の先生の指導を優先してください。
特に線の角度や止め・はらいは、使用する見本によって見え方が少し異なる場合があります。
まとめ|ソ・ツは上から、ン・シは下から
「シ・ツ・ソ・ン」は形が似ていますが、見る場所を絞ると違いが分かりやすくなります。
- ソ・ツ:書き始めが横に並ぶ仲間、長い線は上から下へ
- ン・シ:書き始めがたてに並ぶ仲間、長い線は下から上へ
- ソ・ン:2画
- ツ・シ:3画
覚える合言葉は、
「ソ・ツは上から、ン・シは下から」
です。
間違えた文字を何度も消して直すのではなく、ひらがなを重ねたカードで、書き始めと方向を一緒に確認する。
その方が、子どもの「次は書けそう」という気持ちにつながることがあります。
家庭学習、学校、療育などで、お子さんに合う方法を選びながら使ってみてください。
この視覚支援イラストの使い方
このイラストは、画像を保存して無料でお使いいただけます。
印刷して机の近くに置いたり、タブレットやスマートフォンに表示したりして、その日に迷った文字を確認してください。
家庭・学校・療育など、子どもの学習支援を目的とした非営利利用にお使いいただけます。
※画像の再配布、販売、加工しての公開はご遠慮ください。
ブログ記事のURLをご紹介いただくことは問題ありません。
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