「宿題を始めるまでに時間がかかる」
「やっと始めても、なかなか終わらない」
「間違いを伝えると怒り、親子げんかになってしまう」
そんな悩みはありませんか?
わが家には、ASD・ADHD・DCD・吃音のある小学1年生と、4歳の子どもがいます。
私は児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、家庭でも子どもの特性に合わせた学習方法や視覚支援を試してきました。
小学1年生の宿題は、大人には短く見えても、子どもにとっては複数の負担が重なることがあります。
椅子に座る、連絡帳を見る、必要な物を出す、問題を読む、文字を書く、間違いを直す、終わった物を片付けるなど、宿題の前後にも多くの行動が必要です。
わが家でも、宿題を始められない日、丸つけの印を嫌がる日、音読の間違いを直されて怒る日がありました。
この記事では、小学1年生の宿題で起こりやすい困りごとを整理し、それぞれに合う対応と詳しい記事を紹介します。
「全部一人で、毎日同じようにできること」を急がず、どこで困っているのかを見つけるためにお役立てください。
※学校によって宿題の内容・量・提出方法・保護者の確認方法は異なります。家庭で取り組み方を変更するときは、必要に応じて担任へご確認ください。
結論|「宿題をやらない」と決めつけず、困っている場面を分けよう
宿題が進まないときは、「やる気がない」「怠けている」と一つにまとめず、どの場面で止まっているかを確認します。
| 子どもの様子 | 最初に試したいこと |
|---|---|
| 宿題を始められない | 最初にすることを一つだけ示す |
| 何から始めるか決められない | 二択にする、遊びで決める |
| 宿題が終わらない | 量と時間を記録し、短く区切る |
| ×を付けると怒る | 印の付け方を変え、一問だけ確認する |
| 書き直しを嫌がる | 消す・書く負担を分けて考える |
| 音読を嫌がる | 大人が先に読む、交代して読む |
| 一人で本を読まない | 読み聞かせを続け、短い部分だけ任せる |
| 順番を何度も聞く | 「まず・つぎ・おわり」を見えるようにする |
| 毎日親子げんかになる | 家庭での様子と試した方法を担任へ伝える |
一つの方法で解決しないこともあります。
その日の疲れ、宿題の難しさ、書く量、見通しの持ちにくさなどを確認し、できそうな工夫を一つずつ試してみましょう。

小学1年生の宿題が大変になりやすい理由
学校で一日過ごした後だから
小学1年生は、授業だけでなく、集団で行動する、先生の話を聞く、持ち物を管理する、休み時間から授業へ切り替えるなど、学校で多くの力を使っています。
学校では頑張れていても、家に帰ると疲れが表れることがあります。
帰宅直後に始められない場合は、先におやつを食べる、少し休む、体を動かすなど、取り組む時間を調整してもよいでしょう。
宿題の全体像が分かりにくいから
「宿題をしよう」という言葉だけでは、次に何をすればよいか分かりにくい子もいます。
連絡帳を見る、教科書を出す、音読する、カードへ印をもらう、ランドセルへしまうという流れを、頭の中だけで整理することが負担になる場合があります。
読む・書く・考える負担が重なっているから
プリント一枚でも、問題文を読む、意味を理解する、答えを考える、枠の中へ書くといった複数の作業があります。
姿勢を保つことや鉛筆を動かすことに力を使っている場合は、知っている答えを書くことにも時間がかかります。
間違いや直しへの不安があるから
「間違えたら×を付けられる」「全部消して書き直さなければならない」と考え、始める前から不安になる子もいます。
間違いを受け入れさせることを急ぐより、何を嫌がっているのかを分けて確認します。
終わりが見えにくいから
どこまで取り組めば終わるか分からないと、宿題全体がとても大きく感じられることがあります。
「この一問まで」「音読を一回したら終わり」など、今取り組む量と終わりを具体的に示す方法があります。
困りごと1|宿題を始められない
宿題を始められないときは、何度も「早くしなさい」と言うより、最初にする行動を小さくします。
例えば、次の中から一つだけ伝えます。
- 連絡帳を見る
- 筆箱を出す
- プリントを机へ置く
- 名前を書く
- 一問だけ一緒に見る
「宿題を全部する」ではなく、「まずプリントを出す」までなら取り組める子もいます。
始める順番を自分で選びたい子には、「音読と算数、どちらからにする?」と二択にします。
詳しい工夫はこちらで紹介しています。
▶ 【小1】宿題を始められない子へ|やることが分かる視覚支援と声かけ
困りごと2|どの宿題から始めるか決められない
やることが複数あると、選ぶこと自体に時間がかかる場合があります。
大人が毎回決めても構いませんが、遊びの要素があると始めやすい子には「宿題フィッシング」も使えます。
海の生き物を選んで釣り、最初に取り組む宿題を決める無料ツールです。
選ばれた宿題を必ず最後までしなければならないわけではありません。
始めるきっかけとして使い、難しければ別の課題へ変更して構いません。
困りごと3|宿題に時間がかかり、終わらない
宿題に時間がかかるときは、時計だけを見るのではなく、どの作業に時間がかかっているかを確認します。
- 始めるまでに時間がかかる
- 問題文を読むことに時間がかかる
- 答えは分かるが、書くことに時間がかかる
- 一問ごとに注意がそれる
- 間違い直しで止まる
- 何度も消して書き直す
- 休憩から戻れない
数日だけでも「宿題を始めた時刻」「終わった時刻」「止まりやすかった場所」を記録すると、学校へ相談するときにも役立ちます。
長時間続けさせるより、「一問」「一行」「5分」など、取り組む単位を小さくします。
▶ 【小1】宿題に時間がかかる子へ|終わらない理由と家庭でできる工夫
困りごと4|丸つけの×や間違い直しで怒る
大人には「答えが違う印」に見える×でも、子どもは「自分が否定された」「頑張った宿題を全部だめにされた」と受け取る場合があります。
×を強く嫌がるときは、次のような方法を試せます。
- 正解だけに丸を付ける
- プリントへ印を残さず、付箋を使う
- 別紙へ確認する問題番号を書く
- 一度に一問だけ見る
- 自分で見るか、一緒に見るか選んでもらう
- 強く怒っている間は直しを中止する
×を使わないことは、間違いを隠すためではありません。
子どもが答えを見直せる状態をつくるために、伝え方を調整する方法の一つです。
▶ 【小1】宿題の丸つけで怒る子へ|×を嫌がる・間違い直しを拒否するときの対応
困りごと5|文字の書き直しを嫌がる
書き直しを嫌がるときは、「丁寧に書きたくない」と決めつけず、どの部分が負担かを確認します。
- 消しゴムで消すことが難しい
- 紙を押さえながら消すことが難しい
- 消した跡や紙のへこみが気になる
- どこを直すか分からない
- 何度書いても合格にならないと感じる
- 書く動作そのものに時間がかかる
- 終わったと思った後に直しが始まることがつらい
直す字を一つだけ選ぶ、大人が消す部分を手伝う、別の紙へ一回だけ書くなど、学習の目的と直接関係しない負担を減らせる場合があります。
▶ 【小1】書き直しを嫌がる子へ|文字を消す・書き直すと怒るときの対応
困りごと6|音読の宿題を嫌がる
音読では、文字を目で追う、音へ変える、声に出す、次の行へ移る、意味を理解するなど、複数のことを同時に行います。
全部一人で読ませることが難しい日は、次のような読み方があります。
- 大人が先に読む
- 一文ずつ交代する
- 大人の後に続いて読む
- 一緒に声をそろえて読む
- 読む行以外を紙で隠す
- 文を短く区切る
- 今読む範囲だけ見せる
宿題として認められる方法や読む量は学校によって異なるため、継続的に変更する場合は担任へ相談してください。
▶ 【小1】音読の宿題を嫌がる子へ|読まない・間違いを直されると怒るときの対応
困りごと7|ひらがなが読めても一人で本を読まない
一文字ずつ読めることと、文章を続けて読みながら物語を理解することは同じではありません。
文字を音へ変えることに力を使うと、内容を楽しむ余裕が少なくなる場合があります。
一人読みを急がず、次のように少しずつ分担できます。
- 大人が全部読む
- 繰り返し部分だけ一緒に言う
- 短いせりふだけ子どもが読む
- 一文ずつ交代する
- 好きなページだけ任せる
- 読めない文字だけ大人が伝える
一人で読める本が増えても、読み聞かせをやめる必要はありません。
▶ 【絵本を自分で読まない】ひらがなが読めても一人読みしない理由と親の関わり方
困りごと8|順番や終わりが分からない

言葉で何度も説明しても順番が伝わりにくい場合は、「まず・つぎ・おわり」をカードで見えるようにできます。
無料の宿題サポートカードメーカーでは、家庭の宿題に合わせて好きな言葉を入力できます。
- 「まず・つぎ・おわり」の順番カード
- 切って並べられるカード
- 自由に使えるカード
を作成し、A4用紙へ印刷できます。
使い方と家庭での活用例はこちらで紹介しています。
▶ 【小1】宿題の順番がわかる視覚支援カード|無料メーカーの使い方
カードどおりに行動させることが目的ではありません。
疲れている日は項目を減らす、順番を変える、使わないなど、その日の状態に合わせて調整してください。
家庭で最初に試しやすい7つの工夫
1.休んでから始める
帰宅後すぐにこだわらず、おやつや休憩を挟みます。
ただし、休憩が長いと戻りにくい子には、「おやつの後」「時計の針がここまで来たら」など、始める目安を伝えます。
2.最初の行動を一つにする
「宿題をして」ではなく、「連絡帳を見よう」「プリントを出そう」と具体的に伝えます。
3.二つから選べるようにする
「国語と算数、どちらから?」「一人で見る?一緒に見る?」など、選択肢を二つに絞ります。
選ぶこと自体が負担な日は、大人が決めても構いません。
4.今する部分だけ見せる
プリント全体を見ると負担になる場合は、紙や付箋で隠し、今取り組む一問や一行だけを示します。
5.終わりを先に伝える
「ここまで終わったら休憩」「音読を一回したらおしまい」と伝えます。
6.できた事実を短く伝える
「最後までできて偉い」と評価するだけでなく、次のように取り組めた事実を伝えます。
- プリントを出せたね
- 分からないと言えたね
- 一問一緒に見られたね
- 休んだ後に戻れたね
褒められることを負担に感じる子には、淡々と確認するだけでも構いません。
7.難しい日は学校へ伝える
家庭で強く拒否した日や、非常に時間がかかった日は、そのまま提出し、状況を伝えられるか担任へ相談します。
親子だけで毎日解決し続ける必要はありません。
宿題で避けたい対応
怒っている最中に説得を続ける
強く怒ったり泣いたりしているときは、説明を受け取る余裕がない場合があります。
安全を確認し、いったん課題を止め、落ち着いてから次の方法を相談します。
きょうだいや友達と比べる
同じ学年でも、読む速さ、書く量、疲れ方には違いがあります。
比較しても、本人が困っている部分は小さくなりません。
全部終わるまで休ませない
疲れるほど間違いが増え、直しが増えて、さらに終わらなくなることがあります。
短い範囲で区切り、難しい日は学校へ相談します。
毎日の家庭学習を親子の勝負にする
大人も疲れていると、声が強くなることがあります。
親が丸つけをすると必ずぶつかる場合は、学校で確認してもらえるか、家庭で行う範囲を相談して構いません。
担任へ相談するときに伝えたいこと
「宿題を嫌がります」だけでなく、次の4点を伝えると状況を共有しやすくなります。
- どの宿題で困るか
- どの場面で止まるか
- 家庭でどのような反応になるか
- どの方法なら取り組めたか
連絡帳・連絡アプリの文例
宿題についてご相談があります。
家庭では、宿題を始めるまでに時間がかかり、書き直しや音読の間違いを伝えると強く怒ることがあります。特に、宿題全体が見えると負担が大きいようです。
一問ずつ示す、大人と交代して読む、最初と終わりをカードで示す方法では取り組めることがあります。
宿題の目的を損なわない範囲で、量・回数・家庭での支援方法についてご相談させてください。
必要に応じて、次の項目を確認します。
- 家庭でどこまで丸つけや直しを行うか
- 一度に取り組む量を減らせるか
- 交代読みや一緒読みでもよいか
- 問題文を大人が読み上げてもよいか
- 書く量や提出方法を調整できるか
- 難しかった日はどのように記録するか
- 学校でも同じ困り方があるか
すべてを一度に求めず、最も負担が大きいことから一つ相談してみましょう。
発達が気になる子の宿題で意識したいこと
発達が気になる子の場合も、診断名だけで方法を決める必要はありません。
その子が実際に困っている場面へ合わせます。
- 一度に伝える指示を一つにする
- 手順や終わりを見えるようにする
- 読む範囲以外を隠す
- 文や問題を短く区切る
- 書く量を調整できるか相談する
- 読み上げや音声教材を利用できるか確認する
- 休憩を予定に入れる
- 選択肢を二つにする
- 疲れた日は方法を変える
カードや表を使うことが負担になる子もいます。
視覚支援を必ず使うのではなく、本人が分かりやすく、親子の負担を減らせる方法を選んでください。
相談を考えてよい様子
宿題を嫌がることだけで、すぐに発達や学習上の問題があるとは限りません。
ただし、次のような状態が続き、本人や家族の負担が大きい場合は、学校や専門機関へ相談して構いません。
- 宿題のたびに長時間の激しい怒りや混乱がある
- 物を投げる、自分や人を傷つける行動がある
- 読み書きや計算に強い困難がある
- 宿題へ極端に長い時間がかかる
- 文字を何度も飛ばす、行を見失う
- 書くと強く疲れる、手の痛みを訴える
- 間違いを恐れ、学校の課題へ取り組めない
- 本人が「自分はだめ」「学校へ行きたくない」と繰り返す
- 家庭での対応だけでは難しい
相談先には、担任、特別支援教育コーディネーター、通級指導教室、スクールカウンセラー、小児科、地域の発達相談などがあります。
危険な行動がある場合は、宿題を終えることより安全を優先してください。
よくある質問
小学1年生の宿題は、親がどこまで手伝ってよいですか?
宿題の目的や学校の方針によって異なります。
問題文を読む、最初の一問を一緒に見る、音読を交代するなどの支援が可能か、必要に応じて担任へ確認してください。
宿題を嫌がったら、休ませてもよいですか?
強く怒ったり疲れ切ったりしているときは、いったん中止して構いません。
落ち着いてから短い範囲にするか、その日は難しかったことを学校へ伝え、今後の対応を相談しましょう。
宿題を全部終わらせてから遊ばせるべきですか?
家庭によって決め方は異なりますが、長時間取り組み続けると集中や正確さが下がる子もいます。
短い休憩を予定へ入れ、終わり方も含めて担任と相談して構いません。
宿題にどのくらい時間がかかったら相談すべきですか?
一律の時間では判断できません。
同じ量の宿題に毎日非常に長い時間がかかる、本人が強く疲れる、親子げんかが続く場合は、かかった時間と困った場面を記録して学校へ共有しましょう。
宿題へご褒美を使ってもよいですか?
ご褒美が始めるきっかけになる子もいます。
ただし、読み書きの難しさ、疲れ、間違いへの不安が強い場合は、ご褒美だけでなく、課題量や示し方も見直しましょう。
視覚支援カードを使えば、一人で宿題ができますか?
必ず一人でできるようになるものではありません。
順番や終わりを確認する助けとして使い、必要なところは大人が一緒に取り組んで構いません。
宿題をできなかった日は、そのまま提出してよいですか?
学校の方針によります。
家庭で試した方法、どこまでできたか、どの部分で難しかったかを伝え、提出方法を担任へ確認してください。
まとめ|宿題を終わらせる前に、困っている場所を見つけよう
小学1年生の宿題が進まないときは、やる気だけが原因とは限りません。
- 何から始めるか分からない
- 全体の量や終わりが見えない
- 読む、書く、考える負担が大きい
- 間違いや書き直しがつらい
- 音読で文字や行を追いにくい
- 学校で一日過ごして疲れている
など、複数の理由が考えられます。
家庭では、次のような工夫を試せます。
- 休憩してから始める
- 最初にすることを一つだけ示す
- 二つから選べるようにする
- 今する部分だけ見せる
- 終わりを先に伝える
- 順番をカードで見えるようにする
- 難しい日は学校へ伝える
宿題を毎日すべて終わらせることだけを目標にせず、子どもが「分からない」「手伝って」と伝えられることも大切にしましょう。
親子だけで抱え込まず、どの方法なら取り組めたかを学校と共有し、その子が学びやすい形を一緒に探してみてください。