「読み聞かせ中に、質問した方が言葉や考える力につながるの?」
「『これは何?』『どうして?』と聞くと、子どもが嫌がってしまう」
「読み終わったあとに感想を聞いても、『分からない』で終わる」
そんな悩みはありませんか?
わが家には、ASD・ADHD・DCD・吃音のある小学生と、4歳の子どもがいます。
私は児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、家庭でも子どもの興味や答えやすさに合わせた読み聞かせを試してきました。
わが家でも、絵本を見ながら子どもが自分から話すことがある一方、「この子はどんな気持ち?」と聞いても答えにくそうなことがありました。
以前は、質問することが読み聞かせの学びにつながると思っていましたが、質問を減らし、大人が短い感想を伝えるだけの方が楽しめる日もありました。
この記事では、絵本の読み聞かせで質問しすぎないための考え方と、子どもが答えやすい声かけを紹介します。
感想を聞かない読み方や、発達が気になる子への工夫もまとめました。
※読み聞かせや質問によって、言葉・思考力・共感力などの発達が保証されるわけではありません。子どもの反応や理解しやすさに合わせてください。
結論|読み聞かせの質問は必須ではない
絵本の読み聞かせでは、毎回質問したり、感想を言わせたりする必要はありません。
質問を楽しむ子には取り入れて構いませんが、答えを求められることを負担に感じる子もいます。
大切なのは、質問の数ではなく、子どもの反応を見ながら一緒に絵本を楽しむことです。
| 子どもの様子 | 試したい関わり方 |
|---|---|
| 自分から話し始める | 読む手を止め、話を聞く |
| 指差しをする | 「ここにいたね」と短く返す |
| 質問に答えない | 答えを求めず、続きを読む |
| 「分からない」と言う | 「分からなくても大丈夫」と伝える |
| 選択式なら答えられる | 「うれしい?悲しい?」と2択にする |
| 早く続きを読みたがる | 質問をやめ、物語を進める |
| 感想を嫌がる | 何も聞かず、余韻を楽しむ |

親子で本について会話する「対話的な読み聞かせ」という方法もありますが、すべての場面で質問を続けることとは異なります。
子どもが絵や言葉に反応したときに、大人がそれを受け止めて返すことも、十分なやり取りです。
絵本の読み聞かせで質問してもよい?
質問すること自体が悪いわけではありません。
子どもがクイズや予想を楽しんでいるなら、「次はどうなると思う?」と話すことも、絵本の楽しみ方の一つです。
一方で、質問が続くと、物語を楽しむ時間より「正しく答える時間」になってしまう場合があります。
質問を楽しんでいるサイン
- 子どもからも質問が返ってくる
- 笑いながら答えている
- 絵を指差しながら話している
- 自分の経験を話し始める
- 「もう一回聞いて」と求める
- 答えたあとも物語を楽しんでいる
質問が負担になっているかもしれないサイン
- 目をそらす
- 黙り込む
- 「分からない」を繰り返す
- 本を閉じる、離れる
- 答えを間違えることを強く嫌がる
- 大人の顔を見て正解を探そうとする
- 「もう聞かないで」と言う
一つの反応だけで決めつける必要はありません。
答えにくそうなときは、質問をやめて本文を読み進める、大人が短く感じたことを話すなど、関わり方を変えてみましょう。
質問しすぎると、なぜ子どもが嫌がることがある?
1.正解を求められているように感じる
「これは何?」「何色?」「どうしてこうしたの?」と続けて聞かれると、子どもがテストのように感じる場合があります。
特に、間違えることへの不安が強い子は、知っていても答えないことがあります。
2.物語の流れが何度も止まる
子どもが続きを知りたいときに質問が入ると、物語へ集中しにくくなることがあります。
質問より先にページをめくりたがるなら、その日は読むことを優先して構いません。
3.言葉にするまで時間が必要
質問を理解していても、考えをまとめ、言葉にするまで時間がかかる子もいます。
すぐに質問を言い換えたり、別の質問を重ねたりせず、少し待ってみましょう。
4.登場人物の気持ちに正解があるように感じる
同じ表情を見ても、「悲しい」「疲れている」「考えている」など、受け取り方は異なります。
大人が想定した気持ちを答えさせるのではなく、複数の可能性があることも伝えられます。
5.自分の経験を話すことが負担になる
「あなたも昨日同じことをしたよね」と結びつけられると、注意や反省を求められているように感じる子もいます。
最初は登場人物の話として楽しみ、子ども自身が経験を話し始めたら聞くようにしましょう。
子どもが答えやすい質問の順番

抽象的な質問が難しい場合は、目に見えることから始めます。
1.見えるものを確認する
- 「犬がいるね」
- 「雨が降っているね」
- 「この子、泣いているね」
最初から答えを求めず、大人が見えたものを短く伝えます。
2.2つの選択肢を示す
- 「大きい?小さい?」
- 「赤と青、どっちが好き?」
- 「うれしいのかな、悲しいのかな」
言葉で答えることが難しければ、指差しでも構いません。
3.出来事を一緒に確認する
- 「大切なおもちゃが壊れたんだね」
- 「友達が来てくれたね」
- 「一人で待っていたんだね」
出来事を短く整理すると、気持ちと結びつけやすくなることがあります。
4.気持ちは可能性として伝える
- 「悲しかったのかもしれないね」
- 「びっくりしたのかな」
- 「うれしい気持ちもありそうだね」
「絶対に悲しい」と決めつけず、「かもしれない」「かな」と表現します。
5.自由に考える質問は、楽しめるときだけ使う
- 「自分だったらどうする?」
- 「このあと、どうなると思う?」
- 「ほかにどんな方法があるかな?」
自由回答の質問は、考えることを楽しむ子には向いています。
答えが出ないときは、大人が「私はこう思ったよ」と話して終えて構いません。
読み聞かせで使える7つの声かけ
1.見つけたものを一緒に確認する
「ここにも猫がいたね」
質問にせず、同じものを見ていることを伝えます。
2.大人の感想を短く伝える
「私はこの場面、少しドキドキしたよ」
子どもへ答えを求めず、大人にも気持ちがあることを示せます。
3.子どもの言葉を繰り返す
子どもが「怖そう」と言ったら、
「怖そうに見えたんだね」
と返します。
すぐに理由を聞かなくても構いません。
4.指差しや表情を言葉にする
「その車が気になったんだね」
言葉で答えなくても、指差し・視線・笑顔などを参加として受け止めます。
5.分からないことを認める
「どうしてだろうね。私も分からないな」
大人がすべての正解を知っている必要はありません。
6.続きを優先する
「続きが気になるね。読んでみよう」
子どもが先を読みたがるときは、質問を挟まず物語を進めます。
7.何も言わずに待つ
声かけをしないことも選択肢です。
子どもが絵をじっくり見ているときは、静かに待つだけでも構いません。
年齢別|質問や声かけの目安
年齢は目安です。質問への答え方には個人差があります。
| 年齢の目安 | 取り入れやすい関わり方 |
|---|---|
| 0~1歳頃 | 絵に短い言葉を添える。表情や声も反応として受け止める |
| 2歳頃 | 指差し、まね、2択で参加できるようにする |
| 3~4歳頃 | 見えるものや出来事を確認し、短い質問を一つだけ使う |
| 5~6歳頃 | 子どもが楽しむなら、予想や理由を尋ねる質問も取り入れる |
| 小学生頃~ | 感想を求めるより、親子それぞれの考えを話し合う |
年齢が上がっても、毎回感想を言う必要はありません。
子どもが黙って読み終えたいときは、その気持ちを尊重しましょう。
読み終わったあとに感想を聞かない方がよい?
感想を聞いてはいけないわけではありません。
子どもが話したそうなら、「どこが面白かった?」と聞いても構いません。
ただし、読み終わるたびに感想を求めると、「何か答えなければならない」と感じる子もいます。
感想を聞かずに終えてよい日
- 子どもが静かに余韻を楽しんでいる
- 疲れている、眠そうにしている
- 質問を嫌がっている
- すぐ別の遊びへ移った
- 長い物語を聞き終えたばかり
何も話さず本を閉じても、読み聞かせが無駄になるわけではありません。
親から感想を話す方法もある
子どもへ「どう思った?」と聞く代わりに、親が短く話せます。
- 「私は最後の場面が好きだったよ」
- 「この子が戻ってきて、ほっとした」
- 「この絵、きれいだったね」
子どもが返事をしなくても問題ありません。
感想が「面白かった」だけでもよい
詳しい理由を説明できなくても、その子なりに物語を楽しんでいることがあります。
「どこが?」「どうして?」と続けず、「面白かったんだね」と受け止めて構いません。
質問に答えないときの対応
答えを急かさない
質問してから少し待ちます。
答えが出なければ、「分からなくても大丈夫」と伝え、続きを読みましょう。
質問を簡単にする
「この子はなぜこんな行動をしたと思う?」が難しければ、
「この子、笑っているね」
「うれしいのかな、びっくりしたのかな」
のように、見えることや2択へ変えます。
言葉以外の答え方を認める
指差す、うなずく、表情を変える、同じ動作をまねすることも答え方です。
言葉で説明させることへこだわらなくて構いません。
笑顔や言葉以外の小さなサインについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
親が答えてもよい
子どもが答えないときは、大人が「私はこう思うな」と話せます。
正解として教えるのではなく、一つの感じ方として伝えましょう。
質問に答えなくても、絵を見る、指差す、体の動きが止まるなどの反応が見られることがあります。
発達が気になる子への質問の工夫
発達が気になる子のなかには、登場人物の気持ちを想像する質問や、自由回答の質問を負担に感じる子がいます。
診断名だけで方法を決めず、今の理解しやすさや答え方に合わせてください。
- 質問は一度に一つにする
- 短い言葉で聞く
- 答えるまで待つ
- 2つの選択肢を示す
- 絵や表情カードを使う
- 指差しや視線も答えとして受け止める
- 「分からない」と言えるようにする
- 子どもの経験と無理に結びつけない
- 気持ちを一つに決めつけない
- 質問を嫌がる日は、何も聞かず読む
例えば、次の順番で伝えられます。
- 「この子は泣いているね」
- 「大切なものが壊れたんだね」
- 「悲しかったのかな。びっくりしたのかな」
抽象的な質問から始めず、見えることと出来事を確認してから、気持ちの可能性を示します。
絵本は、正しい答えや感想を確認するテストではありません。
言葉や理解、聞こえ方、視線などについて心配がある場合は、絵本だけで解決しようとせず、健診、小児科、園・学校、地域の相談窓口なども利用してください。
読み聞かせを親子の会話につなげるときの注意点
親子で本について話すことには、さまざまな楽しみ方があります。
米国小児科学会は、幼い子どもとの共有読書を、豊かな言葉や初期の読み書きに触れられる前向きな親子の関わりとして位置づけています。
また、子どもの働きかけに大人が応じる、行ったり来たりのやり取りも大切だとされています。
ただし、会話を増やすために質問を続ければよいわけではありません。
子どもの反応から始める
大人が質問を用意するより、子どもの指差し・言葉・表情を手がかりにします。
子どもが猫を指差したら、「猫がいたね」と返すだけでもやり取りになります。
会話をしたくない日も認める
静かに聞きたい日や、絵だけを見たい日もあります。
会話をしなかったからといって、絵本を楽しめていないとは限りません。
読み方を一つに決めない
同じ子どもでも、質問を楽しむ日と、静かに聞きたい日があります。
その日の反応に合わせて、読む、話す、待つを選びましょう。
よくある質問
読み聞かせ中に質問すると、物語への集中を妨げますか?
質問の内容や回数、子どもの好みによります。
質問を楽しむ子もいますが、続きを読みたい子には負担になることがあります。答えたがらないときは、質問を減らして物語を進めてください。
「これは何?」と聞くのはよくないですか?
聞いてはいけないわけではありません。
子どもがクイズとして楽しんでいるなら構いません。何度も続けて答えを求めるより、「犬がいたね」と大人が言葉を添える方法もあります。
読後に「どうだった?」と聞いてもよいですか?
子どもが話したそうなら聞いて構いません。
毎回感想を求める必要はなく、何も聞かず余韻を楽しむ日があっても大丈夫です。
子どもが「分からない」としか答えません
質問が抽象的だったり、言葉にまとめることが難しかったりする可能性があります。
見えるものを確認する、2択にする、親が短い感想を伝える方法を試してみてください。
親が登場人物の気持ちを説明してもよいですか?
一つの可能性として伝えるなら構いません。
「悲しいね」と決めつける代わりに、「悲しかったのかもしれないね」と伝えると、ほかの感じ方も残せます。
感想を言えないと、内容を理解していないのでしょうか?
感想を言えないことだけで、理解していないとは判断できません。
内容を楽しんでいても、言葉にまとめることが難しい場合があります。表情・指差し・繰り返し読みたがる様子なども見てみましょう。
質問をしない読み聞かせにも意味がありますか?
質問をしなくても、絵を見る、大人の声を聞く、物語を一緒に楽しむことができます。
親子に合う読み方を選んで構いません。
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年齢や悩み別に絵本を探したい方は、こちらにまとめています。
まとめ|質問より、子どもの反応を受け止めることを大切にしよう
絵本の読み聞かせでは、毎回質問したり、感想を言わせたりする必要はありません。
質問を楽しむ子には取り入れ、負担に感じているときは減らしましょう。
答えにくそうなときは、次の関わり方があります。
- 見えるものを短く伝える
- 質問は一度に一つにする
- 2つの選択肢を示す
- 答えるまで少し待つ
- 指差しや表情も答えとして受け止める
- 親が短い感想を話す
- 何も聞かず、物語を楽しむ
大切なのは、正しい答えや立派な感想を引き出すことではありません。
親子で同じ絵や物語を見て、子どもが話したいときには耳を傾け、静かに見たいときには待つことも読み聞かせです。
その子に合う「読む・話す・待つ」のバランスを探してみてください。
参考資料
- American Academy of Pediatrics|Literacy Promotion: An Essential Component of Primary Care Pediatric Practice
- Center on the Developing Child at Harvard University|Serve and Return
- Pillinger C, Vardy EJ. A story so far: A systematic review of the dialogic reading literature(PDF)
※研究で扱われる対話的な読み聞かせには、目的や方法が定められたものがあります。家庭で毎回質問することを義務づけるものではありません。