「毎日、同じ絵本ばかり読んでいる」
「何度読み終わっても『もう一回』と言われる」
「いろいろな絵本を読んだ方が、言葉や知識が増えるのでは?」
そんな疑問はありませんか?
わが家にも、気に入った絵本を毎日のように持ってきたり、同じ場面ばかり繰り返して見たりする時期がありました。
読む大人にとっては、「またこの本?」と疲れてしまう日もありますよね。
私は児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、ASD・ADHD・DCD・吃音のある小学生と、4歳の子どもを育てています。
この記事では、子どもが同じ絵本を何度も選ぶ理由と、親が無理をせずに付き合う方法を紹介します。
新しい絵本へ興味を広げるコツや、強いこだわりが気になるときの考え方もまとめました。
※子どもの反応には個人差があります。同じ絵本を読むことだけで、言葉や発達への効果が保証されるわけではありません。
結論|同じ絵本ばかり読んでも、基本的には心配しなくて大丈夫
子どもが同じ絵本を何度も読みたがるのは、珍しいことではありません。
内容を知っている本には、次の場面を予想できる安心感があります。また、好きな言葉や絵をもう一度楽しんだり、前回は気づかなかったものを見つけたりできます。
大人は結末を知ると「もう分かった」と感じやすい一方、子どもは同じ物語の中で、毎回違うところに注目していることがあります。
そのため、新しい本を無理に読ませる必要はありません。
ただし、読む大人がつらくなるまで、何度でも応じる必要もありません。「今日は3回まで」など、家庭で続けられる範囲を決めて構いません。
子どもが同じ絵本を何度も読みたがる5つの理由
1.次の展開が分かり、安心して楽しめる
初めて読む絵本は、次に何が起こるか分かりません。
繰り返し読むと、登場人物や物語の流れが分かり、「次はこの場面」と見通しを持ちやすくなります。
突然の展開や初めて見るものに不安を感じやすい子にとって、内容を知っている絵本は安心して楽しめる一冊になることがあります。
わが家でも、お気に入りの場面が近づくと表情が変わり、次の言葉を待っている様子が見られました。
2.好きな言葉や音をもう一度楽しみたい
絵本には、日常会話とは異なるリズムや繰り返し、擬音語などがあります。
子どもは物語全体だけでなく、特定の言葉の響きや読み手の声を気に入っている場合があります。
毎回同じところで笑ったり、声を出したり、体を動かしたりするなら、その場面を楽しみにしているのかもしれません。
言葉を正確にまねさせる必要はありません。聞く、笑う、動くことも絵本への参加です。
3.覚えたことを確かめたい
繰り返し読むうちに、子どもが次の言葉を先に言ったり、ページをめくる前に展開を話したりすることがあります。
これは、覚えた物語を自分で確かめながら楽しんでいる姿とも考えられます。
大人がわざと読むのを止め、続きを答えさせる必要はありません。子どもが自然に言葉を重ねてきたら、一緒に楽しみましょう。
同じ物語を繰り返した方が、毎回異なる物語を読むより、未就学児が新しい言葉を学びやすかったとする研究もあります。ただし、研究条件と家庭での読み聞かせは同じではないため、「何回読めば効果が出る」と考える必要はありません。
4.絵の中に新しい発見がある
細かく描かれた絵本では、読むたびに別の人物や小物へ注目することがあります。
前回は主人公を見ていても、次は背景の動物、その次は部屋に置かれたものを見るかもしれません。
子どもが文章を聞かずに絵ばかり眺めていても、急いで次のページへ進めなくて大丈夫です。
「ここにもいたね」と短い言葉を添えたり、黙って一緒に見たりして楽しめます。
5.親子で過ごした時間も含めて好きになっている
子どもが求めているのは、絵本の内容だけとは限りません。
膝に座る、隣に並ぶ、いつもの声を聞くなど、同じ人と同じ本を楽しむ時間に安心していることもあります。
ブックスタートも、絵本を介して周囲の人と時間を共有することを大切にしています。
うまく読もうとしなくても、親子で同じものを見る時間そのものが、その本を好きになる理由の一つになっているのかもしれません。
同じ絵本を繰り返すことで楽しめること
同じ絵本を読むたび、子どもの楽しみ方が次のように変わることがあります。
| 読み始めた頃 | 繰り返したあとに見られること |
|---|---|
| 絵をじっと見る | 気になる絵を指差す |
| 大人の声を聞く | 好きな音を一緒に言う |
| 展開に驚く | 次の場面を待つ |
| 主人公を見る | 背景や小物にも気づく |
| 最後まで聞かない | 好きなページだけ繰り返す |
| 大人に読んでもらう | 覚えた言葉で読むまねをする |
必ずこの順番で変化するわけではありません。
反応が変わらなくても、その子が安心して楽しめているなら、同じ本を繰り返して構いません。
「もう一回」がつらいときの親の対応

子どもにとって楽しい繰り返しでも、読む大人が疲れることはあります。
毎回すべての要求に応えなくても大丈夫です。
1.読む回数を先に伝える
読み始める前に、
今日は2回読んだらおしまいにしようね。
と伝えます。
数字だけでは分かりにくい場合は、指を2本立てる、丸を2つ描くなど、終わりを見えるようにする方法もあります。
「あと1回だよ」と途中で知らせると、終わりを予想しやすくなります。
2.好きなページだけ読む
一冊を最初から最後まで繰り返す必要はありません。
子どもが好きなページを一緒に開き、その場面だけ読んで終える方法もあります。
「今日はここだけにしよう」と伝えれば、読む大人の負担を減らしながら、子どもの「見たい」にも応えられます。
3.家族と交代する
可能であれば、保護者同士やきょうだい、祖父母などと交代します。
読む人が変わると、声や間の取り方も変わり、同じ絵本でも別の楽しさが生まれることがあります。
家族が難しい場合は、子どもがぬいぐるみに読むまねをする時間に変えても構いません。
4.読めない日は正直に伝える
疲れている日に、無理をして何度も読む必要はありません。
今日は疲れたから、この1回でおしまいね。
と短く伝えます。
子どもが残念がることはあっても、大人にも休む必要があります。「読まない日があると読み聞かせの意味がなくなる」と考えなくて大丈夫です。
5.子どもが一人で見る時間も認める
読み聞かせだけが絵本の楽しみ方ではありません。
自分でページをめくる、絵を眺める、覚えた言葉で読むまねをすることもできます。
安全に見られる場所へお気に入りの本を置き、子どもが手に取れるようにしておくのも一つの方法です。
新しい絵本にも興味を広げたいときの5つのコツ
お気に入りの本を取り上げず、その本を入口にすると興味を広げやすくなります。
1.同じ作者やシリーズから選ぶ
絵の雰囲気や登場人物が似ているため、まったく新しい本より入りやすいことがあります。
シリーズをすべてそろえる必要はありません。図書館で一冊借り、反応を見てみましょう。
2.好きな題材が共通する本を選ぶ
恐竜が好きなら別の恐竜絵本、食べ物が好きなら料理やお店の絵本など、題材をつなげます。
文章量や対象年齢よりも、「今好きなものが出ているか」を手がかりにします。
3.お気に入りと新しい本を1冊ずつ用意する
「今日はこの2冊」と、お気に入りの本と新しい本を一冊ずつ置いてみます。
新しい本を選ばなくても問題ありません。目に入る場所へ置き、興味を持つのを待ちましょう。
4.大人が一人で楽しそうに見る
「これを読みなさい」と勧める代わりに、大人が絵を眺めたり、短く声に出したりします。
子どもが近づいてきたら一緒に見ますが、興味を示さなければ無理に誘いません。
5.図書館で本人に選んでもらう
表紙を見て選ぶ、気になる棚から取るなど、子ども自身が選ぶ経験もできます。
借りた本を読まなくても失敗ではありません。「今はこの本ではなかった」と好みを知る手がかりになります。
同じ絵本へのこだわりが強いとき、発達との関係は?
同じ絵本を好むことだけで、発達の遅れや特性があるとは判断できません。
好きな本を繰り返すのは、多くの子どもに見られる楽しみ方です。
一方で、
- いつもと違う読み方をすると非常に強く混乱する
- 本が見つからないと長時間生活へ戻れない
- 読む回数や手順へのこだわりで、食事や睡眠などに大きな影響が出る
- 絵本以外にも強い困りごとが続いている
など、本人や家族の日常生活に大きな負担がある場合は、一人で抱え込む必要はありません。
園・学校、健診、小児科、地域の発達相談などへ、家庭での様子を伝えて相談できます。
相談することは、同じ絵本を読むのをやめさせるためではありません。本人が安心でき、家族も続けやすい関わり方を一緒に考えるための方法です。
よくある質問
同じ絵本を毎日読んでも大丈夫ですか?
問題ありません。
子どもが楽しんでいるなら、毎日同じ本を選んでも構いません。
読む大人が負担になる場合は、回数を決めたり、好きなページだけにしたりして調整しましょう。いろいろな絵本を読まないと語彙が増えませんか?
同じ本を繰り返すなかでも、言葉の音を聞いたり、絵と言葉を結びつけたりできます。
一方で、異なる本には別の言葉や世界に触れられるよさがあります。
どちらか一方に決めず、お気に入りを大切にしながら、新しい本も目に入る場所へ置いてみましょう。何回まで読めばよいですか?
決まった回数はありません。
子どもが求める回数よりも、親子が無理なく続けられる回数を基準にします。
「今日は2回まで」と家庭ごとに決めて構いません。文章を全部覚えているようですが、文字を読んでいるのでしょうか?
絵やページの位置を手がかりに、聞いた文章を覚えている場合があります。
暗唱していることと、文字を一字ずつ読んでいることは同じではありません。
どちらが優れていると比べず、本人が楽しんでいる姿を受け止めましょう。読み方を間違えると怒るのはなぜですか?
覚えている言葉と違うことに気づいたり、いつもの流れが変わって戸惑ったりしている可能性があります。
わざと間違えて反応を試す必要はありません。大人が読み間違えた場合は、「ここだったね」と直せば十分です。新しい絵本をまったく読みたがりません
無理にお気に入りを取り上げる必要はありません。
同じ作者・シリーズ・題材の本を近くに置き、本人が興味を持つのを待ってみましょう。
図書館で本人に選んでもらう方法もあります。
年齢や悩みから、ほかの絵本記事を探す
1歳~6歳の年齢別絵本に加えて、発語・感情・自己肯定感・友達関係・生活習慣・恐竜や生き物など、テーマ別の記事もまとめています。
子どもが集中しない、途中で離れるときの読み方はこちらで紹介しています。
▶ 【読み聞かせのコツ7選】子どもが集中しない・すぐ飽きるときの楽しみ方
年齢別のおすすめ絵本をまとめて比較したい方はこちらをご覧ください。
▶ 【年齢別】1歳~5歳におすすめの絵本15選|選び方・読み聞かせのコツ
まとめ|お気に入りの一冊を、親子が続けられる範囲で楽しもう
子どもが同じ絵本を何度も選ぶ背景には、次のような理由が考えられます。
- 次の展開が分かり、安心できる
- 好きな言葉や音をもう一度楽しみたい
- 覚えたことを確かめたい
- 絵の中に新しい発見がある
- 親子で過ごす時間も含めて好きになっている
同じ本を繰り返すことは、絵本の楽しみ方の一つです。
新しい本を読ませるために、お気に入りを取り上げる必要はありません。
ただし、読む大人が疲れているときまで、何度でも応じなくて大丈夫です。読む回数を決める、好きなページだけにする、家族と交代するなど、家庭で続けられる方法に調整しましょう。
子どもの「もう一回」と、大人の「今日はここまで」の両方を大切にしながら、お気に入りの絵本を楽しんでみてください。