「絵本を読んでも、笑ったり声を出したりしない」
「『どれが好き?』と聞いても答えてくれない」
「反応が薄いと、読み聞かせを続ける意味があるのか不安になる」
そんな悩みはありませんか?
わが家には、ASD・ADHD・DCD・吃音のある小学生と、4歳の子どもがいます。
私は児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、家庭でも子どもの興味や理解しやすさに合わせた読み聞かせを試してきました。
子どもたちは、絵本を読めば毎回分かりやすく笑ったり、質問に答えたりしたわけではありません。
黙って絵を見ていたり、途中で離れたりしたのに、後から絵本の言葉をまねすることもありました。
この記事では、絵本を読んでも反応がないように見える理由と、笑わない・答えないときの読み聞かせ方を紹介します。
絵本以外の生活場面でも気になる様子がある場合の相談先についてもまとめました。
※絵本への反応だけで、子どもの発達や理解の状態を判断することはできません。心配が続く場合は、健診・小児科・園や学校・地域の相談窓口なども利用してください。
結論|笑わない・答えないだけで「楽しんでいない」とは限らない
読み聞かせへの反応は、大きな笑顔や言葉だけではありません。
- 絵をじっと見る
- 一瞬だけ絵本へ視線を向ける
- ページを自分でめくる
- 好きな場面へ戻る
- 体の動きが止まる
- 大人の声を聞きながら別の場所にいる
- 読み終わった後に本を持ってくる
- 後から絵本の言葉や動きをまねする
このような姿も、子どもなりに絵本へ関わっている可能性があります。
すぐに反応を引き出そうとせず、「今、何を見ているかな」「どの場面で少し動きが変わったかな」と観察してみましょう。
| 子どもの様子 | 最初に試したいこと |
|---|---|
| 表情が変わらない | 笑わせようとせず、短く読んで終える |
| 質問しても答えない | 質問をやめ、見ている絵に言葉を添える |
| 絵本を見ているか分からない | 視線だけでなく、姿勢や手の動きも見る |
| 途中で離れる | 追いかけず、好きなページだけにする |
| 同じ場面へ戻る | 先を急がず、その場面を一緒に見る |
| 後から本を持ってくる | そのときが読みたいタイミングだと受け止める |
絵本を読んでも反応がないように見える理由
1.反応の表し方が控えめ
楽しくても、声を出して笑ったり感想を話したりしない子もいます。
静かに絵を見ることや、聞き慣れた言葉を待つことが、その子の楽しみ方かもしれません。
大人が期待する反応と、子どもが実際に示す反応が違うことがあります。
2.絵や言葉を理解することに集中している
初めて見る絵や聞き慣れない言葉が多いと、反応するよりも内容を受け取ることに力を使う場合があります。
読み終わってすぐに感想が出なくても、後から物語の言葉を使ったり、遊びで場面を再現したりすることがあります。
3.質問の意味や答え方が分かりにくい
「どう思った?」「どんな気持ち?」のような質問は、目に見えないことを考えて言葉にする必要があります。
気持ちが分かっていても、答えをまとめることが難しい子もいます。
答えないことを、理解していないと決めつける必要はありません。
4.本の内容や長さが今の興味に合っていない
対象年齢に合う絵本でも、すべての子が興味を持つとは限りません。
動物・恐竜・乗り物・食べ物など、今好きなものが登場する本から試すと、視線や指差しが増える場合があります。
5.眠さ・空腹・音などが負担になっている
眠い、空腹、疲れている、大きな声が苦手、周囲の音が気になるなど、絵本以外の理由で反応しにくいこともあります。
読み方だけを変えるのではなく、時間・場所・声量も見直してみましょう。
6.反応を求められることが負担になっている
読むたびに質問されたり、正解を求められたりすると、答えを間違えないよう慎重になる子もいます。
わが家でも、答えを求めずに読んだ方が、後から自分で話し始めることがありました。
「反応」として見つけたい8つのサイン

1.視線
長く見続けなくても、絵本や大人の顔へ一瞬視線を向けることがあります。
目が合うことだけを参加の条件にせず、その子がどこを見ているかを確認します。
2.手の動き
絵を触る、ページをめくる、本を押す、好きなページへ戻ることも反応です。
破損や危険がなければ、子どもが自分で確かめる時間を取ってみましょう。
3.姿勢の変化
動いていた体が一瞬止まる、少し近づく、顔だけこちらへ向けるなど、小さな変化が見られる場合があります。
4.声や音
言葉になっていなくても、声を出す、息を吸う、絵本の音をまねすることがあります。
大人がその音を短くまねすると、やり取りへつながることもあります。
5.表情
大きく笑わなくても、目元が変わる、口元が少し動く、真剣な顔になることがあります。
真顔だから楽しんでいないとは限りません。
6.繰り返し
同じ本を持ってくる、同じページを開く、同じ言葉を待つ姿は、その場面に関心があるサインかもしれません。
7.読後の遊び
その場では黙っていても、後から人形を動かしたり、絵本と似た動作をしたりする場合があります。
8.拒否や「おしまい」
本を閉じる、顔を背ける、離れることも、子どもからの分かりやすい意思表示です。
無理に続けず、「今日はここまで」と受け止めましょう。
笑わない・答えないときの読み聞かせ方7選
1.一冊を読み切ろうとしない
表紙だけ、1ページだけでも構いません。
短く終えることで、絵本の時間が負担になりにくくなります。
2.子どもが見ているものを短く言葉にする
質問する代わりに、子どもが見ているものへ言葉を添えます。
- 「犬がいたね」
- 「赤い車だね」
- 「走っているね」
答えを求めず、大人が気づいたことを短く伝えるだけで十分です。
3.反応を少し待つ
読み終えた直後に次の質問を重ねず、数秒待ってみます。
視線、指差し、声など、小さな反応が出るまでに時間が必要な子もいます。
反応が出なくても、待ち続けて緊張させる必要はありません。そのまま次のページへ進んで構いません。
4.子どもの声や動きをまねする
子どもが「ブーブー」と言ったら、大人も「ブーブー」と返す方法があります。
指差した場所を一緒に見る、めくったページを読むなど、子どもの行動を受け取って返します。
子どもの身ぶりや声に大人が応じる、短いやり取りも親子の関わりになります。genui{“citation”:{“refs”:[“turn20search0″,”turn20search1”]}}
5.二択を使う
質問に答えにくい場合は、選択肢を二つにします。
- 「犬と猫、どっちを見る?」
- 「うれしい顔かな、悲しい顔かな」
- 「もう一回読む? おしまいにする?」
言葉で答えなくても、指差しや視線で選べます。
6.好きなものが載っている本から試す
物語絵本に反応しなくても、図鑑・写真絵本・乗り物の本なら見る子もいます。
「物語を聞くこと」にこだわらず、好きなページを一緒に眺めるところから始めましょう。
7.同じ本を繰り返す
内容を知っている本は、次の展開を予想しやすく、反応しやすくなる場合があります。
毎回新しい反応がなくても問題ありません。
▶ 絵本を何度も読むのはなぜ?同じ絵本ばかり選ぶ理由と親の対応
質問するなら、目に見えることから始めよう

質問そのものが悪いわけではありません。
子どもが問いかけを楽しんでいるなら、やり取りの一つとして取り入れられます。
答えにくそうな場合は、次の順番にすると負担を減らしやすくなります。
- 「車があるね」のように、見えるものを伝える
- 「赤い車と青い車、どっち?」と二択にする
- 「車はどこへ行くのかな」と出来事を尋ねる
- 「この子はどんな気持ちかな」と気持ちを尋ねる
答えなかった場合は、正解を言わせようとせず、「私は少しびっくりしたよ」のように大人の感想を伝えて終えても構いません。
▶ 絵本の読み聞かせで質問しすぎ?感想を聞かない方がよい?親子で楽しむ声かけ
年齢別|反応が少ないときの楽しみ方
| 年齢の目安 | 楽しみ方 |
|---|---|
| 0~1歳頃 | 絵を見る、声を聞く、触るだけでもよい。短時間で終える |
| 2~3歳頃 | 指差し・ページめくり・動作を参加として受け止める |
| 4~6歳頃 | 好きな題材を選び、質問より子どもの発見を待つ |
| 小学生頃~ | 一人読みを急がず、交代読みや読み聞かせも続ける |
年齢は目安です。対象年齢より簡単な本でも、本人が楽しめるなら今のその子に合っています。
発達が気になる子と読むときの工夫
発達が気になる子の読み聞かせも、診断名だけで方法を決める必要はありません。
- 登場人物や背景が少ない本を選ぶ
- 写真や実物に近い絵の本から試す
- 文章を短くし、絵を中心に見る
- 同じ本を繰り返す
- 指差し・視線・身ぶりを受け止める
- 触れることが苦手なら、ページをめくらせようとしない
- 大きな声が苦手なら、静かな声で読む
- 気持ちを一つに決めつけない
米国小児科学会の保護者向け情報でも、発達特性のある子との読書では、文章を読むだけでなく、絵を説明することや、子どもが触れられる物を取り入れる方法などが紹介されています。genui{“citation”:{“ref”:”turn20search10″}}
絵本は療育や治療そのものではありません。反応を引き出す課題にせず、親子で同じものを見る時間の一つとして考えましょう。
絵本以外でも反応が気になるときは?
絵本を読んでいるときだけ反応が少なく、普段は好きな遊びや人の声に反応しているなら、本の好みや読み方が合っていない可能性もあります。
一方、次のような様子が生活全体で続く場合は、一人で判断せず相談して構いません。
- 呼びかけへの反応が少ない
- 音や声が聞こえにくそうに見える
- 視線・指差し・身ぶりなどのやり取りが気になる
- 言葉の理解や表現について心配がある
- 園や学校でも同じ様子を指摘された
- 保護者の不安や負担が大きい
相談することは、発達の遅れを決めることではありません。
健診・小児科・耳鼻科・園や学校・保健センター・地域の発達相談などで、家庭での様子を伝えてみましょう。
読み聞かせを続けるのがつらいときは?
反応が見えない状態が続くと、読む大人が寂しく感じることもあります。
そのような日は、無理に盛り上げる必要はありません。
- 1ページだけ読む
- 子どもが絵を見るだけにする
- 図鑑や写真集に変える
- 読まない日をつくる
- 家族と交代する
大人が疲れていることを責めなくて大丈夫です。
読み聞かせを毎日の課題にせず、親子が無理なく楽しめる日に取り入れてください。
よくある質問
絵本を読んでも笑いません。楽しんでいないのでしょうか?
笑わないだけで、楽しんでいないとは判断できません。
絵を見る、声を聞く、同じページへ戻る、後から本を持ってくるなども反応の可能性があります。
質問しても答えないときは、答えを教えた方がよいですか?
必ず答えを教える必要はありません。
「犬がいるね」と見えることを伝えたり、「犬と猫、どっち?」と二択にしたりできます。返事がなければ、そのまま読み進めても構いません。
無表情でじっと見ています。読み続けてよいですか?
嫌がる様子がなければ、短く読み続けても構いません。
真剣に見ている可能性もあります。顔を背ける、本を閉じる、離れるなどの様子があれば、いったん終えましょう。
絵本より図鑑ばかり見たがります
問題ありません。
写真を見る、好きな生き物を探す、名前を聞くことも本の楽しみ方です。物語絵本へ無理に移す必要はありません。
読み聞かせへの反応が少ないと、発達の遅れがありますか?
絵本への反応だけで、発達の状態を判断することはできません。
絵本以外でも呼びかけ・聞こえ方・視線・言葉などが気になる場合は、健診や小児科、地域の相談窓口などを利用してください。
毎日読んだ方が反応するようになりますか?
毎日読むことは必須ではありません。
回数を増やすより、子どもが疲れていない時間や好きな題材を選ぶ方が楽しみやすいこともあります。
途中で離れても読み続けてよいですか?
離れた場所で声を聞いていることもありますが、追いかけて読ませる必要はありません。
いったん終え、子どもが本を持ってきたときに再開して構いません。
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まとめ|分かりやすい反応を求めず、小さなサインを受け止めよう
絵本を読んでも笑わない、質問に答えないからといって、何も感じていないとは限りません。
反応は、次のような形でも表れます。
- 絵を見る
- ページをめくる
- 好きな場面へ戻る
- 大人の声に耳を傾ける
- 後から言葉や動きをまねする
- もう一度本を持ってくる
- 「おしまい」を行動で示す
反応を引き出そうと質問を重ねるより、子どもが見ているものに短い言葉を添え、その子のペースを待ってみましょう。
一冊を最後まで読めなくても、感想を話さなくても大丈夫です。
親子が同じ絵や言葉を少し共有できたなら、それも大切な読み聞かせの時間です。