「絵本を開いても、すぐにどこかへ行ってしまう」
「読み聞かせようとすると嫌がる」
「絵本を投げたり、かじったりするけれど大丈夫?」
そんな悩みはありませんか?
わが家には、ASD・ADHD・DCD・吃音のある小学生と、4歳の子どもがいます。
私は児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、家庭でも子どもの興味や発達に合わせた読み聞かせを試してきました。
子どもたちが小さい頃は、絵本を渡しても投げたり、開いた直後に別の遊びを始めたりすることがよくありました。
「絵本に興味がないのかな」「読み聞かせを続けても意味がないのかな」と感じたこともあります。
しかし、好きな動物が出るページだけを見る、文章を読まずに絵へ短い言葉を添えるなど、楽しみ方を変えると、少しずつ反応する本が見つかりました。
この記事では、絵本を嫌がる・投げる・かじる・すぐ離れる子への読み聞かせの工夫を紹介します。
発達が気になる場合の考え方や、安全面で注意したいこともまとめました。
※絵本への反応には個人差があります。読み聞かせは、言葉や集中力などの発達を保証するものではありません。
結論|絵本を見ない日があっても、無理に読ませなくて大丈夫
絵本を最後まで見ないからといって、すぐに「絵本が嫌い」「集中力がない」と決める必要はありません。
子どもは、次のような方法でも絵本に関わっています。
- 表紙だけを見る
- 自分でページをめくる
- 好きな絵を指差す
- 絵本を持って歩く
- 音や言葉が聞こえると振り向く
- 読んだ場面を遊びでまねする
乳幼児にとって絵本は、内容を最初から最後まで理解するためだけのものではありません。
ブックスタートでは、赤ちゃんにとっての絵本を、身近な人と一緒に楽しむ「シェアブックス」という考え方で紹介しています。
まずは、静かに座って聞かせることより、子どもが嫌がらない長さや方法を探してみましょう。
絵本に興味がないように見える7つの理由
1.今は別の遊びをしたい
体を動かしたいときや、おもちゃに夢中になっているときに絵本へ誘われても、気持ちを切り替えにくいことがあります。
読みたくないタイミングで無理に座らせると、絵本そのものを嫌がるように見える場合があります。
子どもが少し落ち着いているときや、自分から本棚へ近づいたときに、短く誘ってみましょう。
2.絵本の長さや内容が今の興味に合っていない
対象年齢が合っていても、すべての子が同じ絵本を楽しめるわけではありません。
物語より乗り物の絵を見たい子、細かな絵より大きく分かりやすい絵を好む子など、興味の向き方はさまざまです。
年齢より短くて簡単な本を選んでも問題ありません。
3.文章を聞くより、自分でページをめくりたい
大人が読んでいる途中でページをめくるのは、邪魔をしているのではなく、自分で絵本を確かめたいのかもしれません。
順番どおりに読まず、子どもが開いたページを一緒に見るだけでも構いません。
4.絵・音・声の大きさが負担になっている
細かい絵や鮮やかな色、大げさな声、急な動きを負担に感じる子もいます。
声色を変えると喜ぶ子もいれば、静かで一定の読み方を好む子もいます。
反応を見ながら、声量、読む速さ、絵本との距離を調整しましょう。
5.じっと座って聞くことが難しい
立つ、揺れる、少し離れた場所で遊ぶことと、話をまったく聞いていないことは同じではありません。
動きながら言葉を聞いている子もいます。
危険がなければ、立ったまま、寝転んだまま、ぬいぐるみで遊びながら聞いてもよいことにしてみましょう。
6.絵本を読む時間が「質問の時間」になっている
「これは何?」「何色?」「次はどうなる?」と質問が続くと、試されているように感じる子もいます。
答えさせる代わりに、
- 「わんわん、いたね」
- 「赤い車だね」
- 「おいしそうだね」
と、大人が短い言葉を添えてみましょう。
7.眠い・空腹・疲れている
絵本の内容や読み方ではなく、その日の体調や生活リズムが理由の場合もあります。
寝る前の読み聞かせが合う子もいれば、眠くなると絵本を嫌がる子もいます。
「寝る前がよい」と決めず、朝、帰宅後、入浴前など、親子が落ち着きやすい時間を探してみてください。
絵本を嫌がる子が楽しみやすくなる9つの工夫
1.子どもの好きなものから選ぶ
乗り物、動物、食べ物、恐竜など、普段から注目しているものが登場する本を選びます。
物語を聞かなくても、好きなものを見つけて指差すところから始められます。
2.2冊から選んでもらう
本棚にたくさん並んでいると、どれを選べばよいか分からない子もいます。
2冊ほど見せて、「どっちを見る?」と聞いてみましょう。
どちらも選ばなければ、その日は読まなくても構いません。
3.1ページだけで終えてよいことにする
最初から最後まで読むことを目標にしません。
表紙だけ、好きなページだけ、数十秒だけでも大丈夫です。
「少し楽しかった」で終わると、別の日にもう一度手に取れることがあります。
4.文章を全部読まない
本文が長いときは、絵に合わせて短い言葉を添えます。
例えば、車の絵なら「ぶーぶー、走ったね」、犬の絵なら「わんわん、いたね」だけでも構いません。
文章を省略したからといって、間違った読み聞かせになるわけではありません。
5.子どもが開いたページから楽しむ
先のページへ進んだり、前へ戻ったりしても止めず、そのページを一緒に見ます。
お気に入りのページだけを何度も開く場合もあります。
大人の読む順番より、子どもの「今見たい」を優先してみましょう。
6.大人が一人で読んでみる
子どもを呼び止めず、大人が近くで絵本を開きます。
短い言葉を声に出していると、子どもが近づいてくることがあります。
興味を示さなくても追いかけず、そのまま終えて構いません。
7.ぬいぐるみに読んで見せる
子ども本人へ向けて読むと嫌がる場合は、ぬいぐるみや人形を聞き手にします。
「くまさんが見ているね」と、大人が楽しむ様子を見せます。
子どもが参加しなくても、そばで見ているだけで大丈夫です。
8.絵本の内容を動きや遊びにつなげる
跳ぶ絵なら一緒にジャンプする、食べ物の絵なら食べるまねをするなど、体を使って楽しみます。
絵本から遊びへ移ってしまっても、失敗ではありません。
ただし、毎回ごっこ遊びや工作を用意する必要はありません。
9.嫌がったら、その日は終わりにする
顔をそむける、押し返す、泣くなどの反応があるときは、無理に続けません。
「今日はおしまいにしよう」と本を閉じます。
読み聞かせを休む日があっても、親子の関係や発達に問題が起こるわけではありません。
絵本を投げる・かじる・破るときはどうする?

絵本を投げる場合
絵本を投げたときは、大きく叱る前に安全を確保します。
絵本は投げないよ。ここに置こうね。
と短く伝え、投げても安全なボールなどへ替えます。
何度も投げる場合は、その日は絵本を手の届かない場所へ移して構いません。
絵本をかじる場合
乳幼児は、手や口で物を確かめようとすることがあります。
ただし、紙や表面の加工がはがれ、口に入ると危険です。かじり始めたら絵本を外し、子ども向けの安全な歯固めなどへ替えましょう。
濡れて傷んだ本、角が裂けた本、部品が取れかけたしかけ絵本は使用を中止します。
ページを破る場合
薄い紙をめくる動作が、まだ難しい場合があります。
厚紙のボードブック、布絵本、ページ数の少ない丈夫な本から試してみましょう。
破ったことを強く責めるより、大人が一緒にページを持ち、「ゆっくりめくろう」と短く伝えます。
安全面で確認したいこと
- 取れかけた小さな部品がないか
- 破れた紙を口に入れていないか
- 本を人や家具へ向けて投げていないか
- 重い本が高い場所から落ちないか
- 角やしかけで指を傷つけないか
安全を優先し、危険な状態の絵本は修理または処分してください。
年齢別|絵本との関わり方の例
年齢はあくまで目安です。子どもの興味や扱いやすさを優先してください。
| 年齢の目安 | 見られやすい関わり方 | 試しやすい工夫 |
|---|---|---|
| 0~1歳頃 | 触る、なめる、閉じる | 丈夫な厚紙・布絵本を使う |
| 2歳頃 | 自分でめくる、途中で離れる | 短い言葉と動作で参加する |
| 3歳頃 | 好きな場面を繰り返す | ごっこ遊びへ広げる |
| 4~5歳頃 | 好きな題材だけを見る | 興味のあるテーマから選ぶ |
| 6歳頃~ | 図鑑や児童書を選ぶこともある | 一人読みを急がず一緒に読む |
対象年齢より簡単な本でも、本人が楽しめるなら今のその子に合った一冊です。
発達が気になる子と絵本を楽しむときの工夫
発達が気になる子の場合も、診断名や実年齢だけで絵本を選ぶ必要はありません。
今の興味・理解しやすさ・苦手な刺激を手がかりにします。
- 登場人物や背景の情報が少ない本を選ぶ
- 同じ言葉や場面が繰り返される本を選ぶ
- 同じ本を繰り返して見通しを持ちやすくする
- 指差し・視線・表情・身ぶりも参加として受け止める
- 大きな声や急な動きを避ける
- 触られることが苦手なら、動作をまねさせない
- 写真を好むか、イラストを好むか反応を見る
聞こえにくさがある子にも、絵、表情、身ぶりを一緒に見ることで絵本を共有できる場合があります。ブックスタートでも、子どもが見ている場所を一緒に見たり、表情や身ぶりを添えたりする工夫が紹介されています。
絵本に反応しないことだけで、発達の遅れがあるとは判断できません。
ただし、絵本以外の場面も含めて、
- 音への反応や聞こえ方が気になる
- 名前を呼んでも反応しにくい
- 視線、指差し、身ぶりなどのやり取りが気になる
- 強い感覚過敏や生活上の困りごとが続く
- 保護者が何となく気になると感じている
場合は、健診、小児科、耳鼻科、園・学校、地域の発達相談などを利用して構いません。
相談することは、絵本を好きにさせるためではありません。聞こえ方や発達、家庭での関わり方を一緒に確認する機会になります。
読み聞かせを休んでも大丈夫
「毎日読まなければ」と考えると、読む大人にも子どもにも負担がかかります。
絵本を嫌がる時期は、数日休んでも構いません。
歌を歌う、散歩しながら見つけたものを話す、写真を見る、積み木で遊ぶなど、親子で言葉や気持ちを共有する方法は絵本以外にもあります。
読み聞かせを再開するときは、子どもの好きな本を目に入る場所へ置き、本人が手に取るのを待つ方法もあります。
よくある質問
絵本に興味がない子でも、読み聞かせを続けた方がよいですか?
無理に続ける必要はありません。
1ページだけ見る、好きな絵に言葉を添えるなど、子どもが嫌がらない方法を試せます。強く嫌がるときは休みましょう。
絵本をすぐ投げるのは、絵本が嫌いだからですか?
嫌いとは限りません。
物を投げる動きを試している、読みたいタイミングではない、自分で扱いたいなど、さまざまな可能性があります。
安全を確保し、短い言葉で止めましょう。絵本をかじっても大丈夫ですか?
紙や表面の加工、小さな部品が口に入る危険があるため、かじり続ける場合は外してください。
傷んだ本は使わず、安全な歯固めなどへ替えましょう。
動画なら集中します。絵本も見せた方がよいですか?
動画と絵本のどちらか一方に決める必要はありません。
動画が好きなら、同じ動物や乗り物が出る絵本を近くに置く方法もあります。
ただし、無理に画面を止めて絵本へ切り替える必要はありません。図鑑しか見ませんが問題ありませんか?
問題ありません。
写真や好きなものを探すことも、本を楽しむ方法です。
図鑑から、同じ題材の物語や科学絵本へ興味が広がることもあります。文字を読まず、絵だけ見てもよいですか?
構いません。
絵を眺め、指差し、大人と同じものを見ることも絵本の楽しみ方です。
何歳までに絵本を好きになればよいですか?
期限はありません。
幼児期に物語絵本へ興味を示さなくても、成長してから図鑑、漫画、児童書などを好きになることがあります。
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まとめ|「読ませる」より、子どもが嫌がらない関わり方から始めよう
絵本に興味がないように見えても、すぐに絵本が嫌いだと決める必要はありません。
次の方法から、親子が試しやすいものを選んでみてください。
- 子どもの好きな題材から選ぶ
- 2冊から本人に選んでもらう
- 1ページだけで終えてよいことにする
- 文章を全部読まず、絵に短い言葉を添える
- 子どもが開いたページから楽しむ
- 大人が一人で読んでみる
- ぬいぐるみに読んで見せる
- 動きや遊びへつなげる
- 嫌がったら、その日は終わりにする
わが家でも、絵本を投げたり、読んでいる途中で離れたりする時期がありました。
それでも、好きなページだけ見る、短い言葉を添える、本人が選ぶのを待つという関わりを続けるうちに、それぞれのお気に入りが見つかりました。
静かに座って最後まで聞くことだけが、絵本の楽しみ方ではありません。
絵本を休む日も含めて、親子に無理のない距離で本と関わってみてください。