「宿題に×を付けると、強く怒ってしまう」
「間違いを伝えただけなのに、泣いたりプリントを隠したりする」
「直しまで終わらせたいけれど、毎日親子げんかになる」
そんな悩みはありませんか?
わが家には、ASD・ADHD・DCD・吃音のある小学1年生と、4歳の子どもがいます。
私は児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、家庭でも子どもの特性に合わせた学習方法や視覚支援を試してきました。
小学1年生の長男は、宿題の答えが違っていることを伝えられると、強く怒ることがありました。
特に、「×は付けないで」「印を付けないで」と、プリントに間違いの跡が残ることを嫌がりました。
親から見ると小さな印でも、本人には「できなかった証拠を残された」「全部否定された」と感じるほどつらかったのかもしれません。
この記事では、宿題の丸つけで怒る理由と、×を付けずに間違い直しへつなげる方法を、わが家の経験を交えて紹介します。
先生へ伝えるときの文例や、相談を考えてよい目安もまとめました。
※学校によって宿題の丸つけや直しの方法は異なります。提出方法を変更するときは、必要に応じて担任へご確認ください。
結論|怒っている最中に直させず、「間違いの見せ方」を変えよう
宿題の丸つけで怒ったときは、その場で正しい答えを書かせることより、まず落ち着ける状態へ戻すことを優先します。
強く怒っているときに、
- 「間違いは誰にでもある」
- 「ちゃんと直しなさい」
- 「怒るほどのことではない」
と説明しても、話を受け取る余裕がない場合があります。
落ち着いてから、子どもが受け入れやすい方法で、直す場所を一つだけ確認します。
| 困っていること | 最初に試したいこと |
|---|---|
| ×を見ると怒る | ×を付けず、別紙や付箋で直す場所を示す |
| 印を一切嫌がる | プリントへ書かず、口頭で一問だけ確認する |
| 全部直すことを拒否する | 直す問題を一つだけ選ぶ |
| 指摘すると泣く | その場の直しを中止し、落ち着いてから再開する |
| 親の丸つけを嫌がる | 誰が確認するか、子どもと相談する |
| 毎日親子げんかになる | 家庭での様子を担任へ共有する |
×を使わないことは、間違いをなかったことにするためではありません。
子どもが答えを見直せる状態をつくるために、伝え方を調整する方法の一つです。
宿題の丸つけで怒るのはなぜ?考えられる7つの理由
1.×を「自分への否定」と感じる
大人は×を「答えが違う印」と考えていても、子どもは「自分がだめと言われた」と受け取ることがあります。
間違えた一問ではなく、頑張って取り組んだ宿題全体を否定されたように感じる場合もあります。
2.間違いが目に見える形で残ることがつらい
消しゴムで消しても、鉛筆の跡や紙のへこみが残ります。
その上に×や直しの印が付くと、間違いを何度も見せられているように感じる子もいます。
3.正解だと思っていた答えを変えにくい
本人なりに考えて書いた答えを、急に「違う」と言われると、気持ちを切り替えにくいことがあります。
「どうして違うのか」が分からないまま書き直すことも、負担になります。
4.疲れていて、直しへ切り替える余力がない
学校で一日過ごした後は、座る、書く、考えるだけでも疲れていることがあります。
宿題を書き終えた時点で「終わった」と思っていると、そこから丸つけと直しが始まることに強く反発する場合があります。
5.間違えることへの不安が強い
「間違えたら怒られる」「もう一度やらなければならない」と考え、問題へ取り組む前から緊張する子もいます。
完璧にできないなら最初からやりたくない、という形で表れる場合もあります。
6.どこを、どのように直すか分からない
「ここ、違うよ」だけでは、次に何をすればよいか分かりにくいことがあります。
問題を読み直すのか、計算をやり直すのか、字を書き直すのかを具体的に示すと取り組みやすくなる子もいます。
7.親とのやり取りそのものが負担になっている
親子だからこそ、子どもが学校より強く感情を出すことがあります。
親も毎日の宿題に疲れ、「さっきも説明したでしょう」と声が強くなることがあります。
誰かが悪いと考えるより、親子だけでは難しい状況として、方法や役割を見直しましょう。
子どもが怒った直後の対応
1.丸つけと直しを止める
強く怒っているときは、いったん鉛筆やプリントを置きます。
怒っている間に直しを続けると、説明が入りにくいだけでなく、宿題そのものを嫌な経験として覚える場合があります。
2.安全を確保する
鉛筆を投げる、机をたたく、紙を破ろうとするなどの行動がある場合は、危険な物を遠ざけます。
長い説得はせず、「今は止めよう」「落ち着いてから考えよう」と短く伝えます。
3.気持ちを決めつけない
「悔しかったんだね」と言われることも嫌がる子がいます。
その場合は、
- 「×を付けてほしくなかったんだね」
- 「今は直したくないんだね」
- 「いったん休もう」
のように、見えた事実や本人が言った言葉を短く返します。
4.落ち着く方法を選べるようにする
- 水を飲む
- 別の部屋へ移る
- 少し体を動かす
- 静かな場所で休む
- 好きな物を触る
など、その子が落ち着きやすい方法を使います。
「5分休む」「時計の針がここまで来たら相談する」と、再開の見通しを示してもよいでしょう。
×を付けずに間違い直しへつなげる7つの方法

1.最初に丸つけの方法を確認する
宿題を始める前か、丸つけの前に確認します。
「今日は、合っているところだけ丸にする?」
「直すところは、付箋で知らせる?」
「お母さんと一緒に見る?」
突然ペンを入れず、方法を先に伝えるだけでも見通しを持ちやすくなります。
2.正解だけに丸を付ける
正しい問題には丸を付け、違っている問題には何も書かない方法です。
丸が付いていない場所を一緒に確認します。
ただし、「丸がない=間違い」と分かることで同じようにつらくなる子もいます。反応を見ながら使ってください。
3.プリントではなく別紙に問題番号を書く
プリントへ印を残すことを嫌がる場合は、別の紙へ、確認する問題番号だけを書きます。
例:
いっしょに見るところ
3ばん
「間違い」ではなく「一緒に見るところ」と表現すると、受け入れやすい子もいます。
4.付箋で知らせる
直す場所の近くへ、小さな付箋を貼ります。
直しが終わったら付箋を外せるため、プリントに印が残りません。
付箋自体を嫌がる場合は、無理に使わないでください。
5.二択で確認する
いきなり「もう一回やって」と言わず、選択肢を二つにします。
- 「自分でもう一度見る? 一緒に見る?」
- 「今直す? 休んでから直す?」
- 「鉛筆で直す? 口で答える?」
宿題の提出方法によっては、口頭だけでは直しにならない場合があります。最後に必要な形は担任へ確認しましょう。
6.一度に一問だけ見せる
直す問題が複数あると、「全部できなかった」と感じることがあります。
紙でほかの問題を隠し、今見る一問だけを示します。
一問が終わったら、続けるか休むかを確認します。
7.学習の目的と直接関係しない負担を減らす
考え方は分かっていても、問題文を読むことや、書く場所を探すことが負担な場合があります。
学校のルールで問題なければ、問題文を大人が読み上げる、式を書く場所を指で示す、紙でほかの問題を隠すなど、学習の目的と直接関係しない負担を減らします。
保護者が答えや式を書くのではなく、どこまで手伝ってよいか迷う場合は担任へ確認しましょう。
わが家で意識したこと
長男は、答えの違いを指摘されること以上に、プリントへ×や印を残されることを嫌がりました。
そこで、「間違いを受け入れさせなければ」と急ぐより、まず何を嫌がっているのかを分けて考えました。
- 答えが違うことが嫌なのか
- 親に指摘されることが嫌なのか
- 紙に印が残ることが嫌なのか
- 消して書き直すことが嫌なのか
- 宿題が終わらないことが嫌なのか
本人の様子を見ると、特に「印が残ること」と「終わったと思った後に直しが始まること」の負担が大きいようでした。
毎回同じ方法で解決できるわけではありませんでしたが、印を付ける前に確認する、一問だけ一緒に見る、難しい日は、家庭で直しができなかったことを担任へ伝えてそのまま提出するなど、親子でぶつかり続けない方法を選ぶようにしました。
「×を我慢できるようにすること」より、間違えた問題を落ち着いて見直せることを目標にしました。
避けたい対応
「間違いは恥ずかしくない」と繰り返し説得する
内容は正しくても、怒っている最中には受け取れないことがあります。
落ち着いているときに、大人の失敗談を短く話す程度でも十分です。
無断で×や印を付ける
本人が強く嫌がると分かっている場合は、先に方法を確認します。
ただし、学校の先生が行う採点まで拒否できると約束するのではなく、家庭で困っていることとして学校へ相談しましょう。
全部直すまで終わらせない
疲れている日に直しを続けると、親子ともに負担が大きくなります。
「今日は一問だけ」「残りは先生に相談する」という選択肢もあります。
きょうだいや友達と比べる
「みんな直している」「弟は怒らない」と比べても、本人の困りごとは小さくなりません。
その子が受け入れやすい方法を探しましょう。
ご褒美だけで無理に直させる
ご褒美がきっかけになる子もいますが、強い不安や読み書きの負担がある場合、それだけでは解決しません。
何が難しいのかを確認し、課題量や示し方も調整します。
丸つけ前に使える簡単な視覚支援

毎回長く説明する代わりに、次の流れを紙へ書いて見せる方法があります。
しゅくだいの あと
1.できたところを みる
2.いっしょに見るところを 1こ えらぶ
3.なおす/せんせいに そうだんする
4.おしまい
子どもに合わせて、項目を2~3個に減らして構いません。
選択カードの例:
□ いま いっしょに見る
□ 5ふん やすんでから見る
□ せんせいに そうだんする
カードを見せること自体が負担になる日は、使わなくて大丈夫です。
担任へ相談するときの伝え方
家庭での丸つけが毎日親子げんかになる場合は、担任へ具体的に共有します。
「間違いを嫌がります」だけでなく、何をすると、どのような反応になるか、何なら取り組めたかを伝えると分かりやすくなります。
連絡帳・連絡アプリの文例
宿題の丸つけについてご相談があります。
答えが違っている問題に×や印が付くと、本人が強く怒り、直しへ進めないことがあります。特に、プリントに間違いの印が残ることを嫌がっています。
家庭では、正解だけに丸を付け、確認する問題は付箋や別紙で示すと、一問ずつ見直せることがあります。
宿題の目的を損なわない範囲で、家庭での丸つけや直しをどのように行えばよいか、ご相談させてください。
学校で使っている丸つけの方法や、直しをどこまで家庭で行うかも確認しましょう。
学校と相談したい具体的な項目
- 家庭で丸つけをする必要があるか
- ×ではなく別の印へ変えられるか
- 正解だけに丸を付けてもよいか
- 直せなかった問題をそのまま提出してよいか
- 一度に直す問題数を減らせるか
- 消して書き直さず、横へ正答を書いてよいか
- 問題文を保護者が読み上げてもよいか
- 宿題量や提出方法を調整できるか
すべてを求めるのではなく、家庭で最も困っていることから一つ相談します。
発達が気になる子の宿題で意識したいこと
ASD・ADHD・学習面の困難などがある子は、間違いへの受け止め方だけでなく、次の負担が重なっていることがあります。
- 学校生活で疲れている
- 書く動作に時間がかかる
- 問題文の意味を捉えにくい
- どこを見るか分からない
- 複数の指示を覚えにくい
- 終わりが見えない
- 気持ちの切り替えに時間がかかる
怒る行動だけを止めようとせず、その前にどの負担があったのかを確認しましょう。
診断がなくても、学校へ家庭での困りごとを相談できます。
宿題へ取りかかるまでに時間がかかる場合は、最初にすることや終わりを見えるようにすると、動き始めやすくなることがあります。
▶ 【小1】宿題を始められない子へ|やることが分かる視覚支援と声かけ
丸つけや直しを含めて宿題が毎日終わらない場合は、始めるまで・問題を解く時間・直しにかかった時間を分けて記録してみましょう。
▶ 【小1】宿題に時間がかかる子へ|終わらない理由と家庭でできる工夫
専門機関への相談も考えてよい場合
次のような状態が続き、本人や家族の負担が大きい場合は、学校や専門機関へ相談して構いません。
- 宿題のたびに長時間の激しい怒りや混乱がある
- 物を投げる、自分や人を傷つける行動がある
- 読み書きや計算に強い困難がある
- 宿題に極端に長い時間がかかる
- 間違いを恐れ、学校の課題へ取り組めない
- 家庭での対応だけでは難しい
- 本人が「自分はだめ」と繰り返す
相談先には、担任、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、小児科、地域の発達相談などがあります。
危険な行動がある場合は、宿題の完了より安全を優先してください。
よくある質問
宿題に×を付けないと、間違いを覚えませんか?
×を付けなくても、間違った問題を確認する方法はあります。
付箋や別紙で示す、一問ずつ一緒に解くなど、本人が見直せる方法を選びましょう。
正解だけに丸を付けてもよいですか?
家庭での工夫として使えますが、学校によって丸つけの決まりが異なります。
提出方法に影響する場合は、担任へ確認してください。
怒っても、最後まで直させるべきですか?
強く怒っている最中は、説明や学習が入りにくいことがあります。
いったん中止し、落ち着いてから一問だけ見る、翌日に回す、先生へ相談する方法があります。
間違いを指摘しない方がよいですか?
間違いを隠す必要はありません。
ただし、本人が受け取りにくい方法で指摘を重ねるより、直す場所と次にすることを具体的に示しましょう。
音読の読み間違いを伝えると怒る場合も、読む途中で何度も止めず、直す場所を一つに絞る方法があります。
▶ 【小1】音読の宿題を嫌がる子へ|読まない・間違いを直されると怒るときの対応
消しゴムで全部消したがります
跡が残ることを嫌がっている可能性があります。
消す前に正しい考え方を確認し、必要であれば横へ書く、別紙で解くなどの方法を担任と相談してください。
消しゴムの力加減が難しい、紙が破れる、消し跡を強く気にする場合の具体的な工夫は、こちらで紹介しています。
▶ 【小1】書き直しを嫌がる子へ|消しゴムで消す・文字を書き直すのが苦手な理由と対応
親が丸つけをすると必ずけんかになります
学校で丸つけをしてもらえるか、家庭では正解だけ確認する形にできるかを担任へ相談して構いません。
親子だけで解決し続ける必要はありません。
ご褒美を使ってもよいですか?
ご褒美を使うこと自体が悪いわけではありません。
ただし、読み書きの難しさや間違いへの強い不安がある場合は、課題の量や示し方も一緒に見直しましょう。
宿題を直せなかった日は、そのまま提出してよいですか?
学校の方針によります。
家庭で直しが難しかったことを連絡帳などで伝え、どのように対応するか担任と相談してください。
小1の宿題・家庭学習に役立つ記事
宿題で読み書きや計算につまずく場合は、問題の内容だけでなく、文字の見え方や取り組む手順が分かりにくいこともあります。
子どもの困り方に合わせた家庭学習や視覚支援の記事も、順次まとめています。
宿題を始められない、終わらない、丸つけや音読で怒るなど、小学1年生の宿題の困りごと別対応はこちらにまとめています。
▶ 【小1の宿題が大変】始めない・終わらない・怒るときの困りごと別対応
まとめ|「×に慣れること」より、落ち着いて見直せる方法を探そう
宿題の丸つけで怒るときは、単に間違いを認めたくないとは限りません。
- ×を自分への否定と感じる
- 間違いの跡が残ることがつらい
- 宿題が終わらないと感じる
- 疲れていて切り替えられない
- どのように直すか分からない
など、複数の理由が考えられます。
家庭では、次のような方法を試せます。
- 印を付ける前に方法を確認する
- 正解だけに丸を付ける
- 別紙へ確認する問題番号を書く
- 付箋で知らせる
- 二択で直し方を選ぶ
- 一度に一問だけ見る
- 読む・書く負担を減らす
×を使わないことを最終目的にするのではなく、子どもが落ち着いて答えを見直せる方法を探しましょう。
親子だけで毎日抱え込まず、難しい場合は家庭での様子を学校へ伝えて構いません。
宿題をすべて終わらせること以上に、子どもが「間違えても、もう一度考えられる」と感じられる関わりを大切にしてみてください。
参考資料
※本記事は、間違いを確認しないことを勧めるものではありません。子どもが学び直せる状態をつくるための家庭での工夫を紹介しています。学校の宿題の扱いは、必要に応じて担任へご確認ください。