はじめに|公園で友達とつかみ合いになった日
先日、5歳の息子が公園でお友達と遊んでいるとき、つかみ合いのようなケンカになってしまいました。
きっかけは、ボールの取り合いでした。
最初は「貸して」「ぼくの!」と言い合っているだけでした。
でも、だんだん声が大きくなり、押し合いになり、最後はもみくちゃになって地面に倒れ込むような形になってしまいました。
私は慌てて駆け寄り、子どもたちを引き離しました。
その直後、息子の口から強い言葉が出ました。
相手を傷つけるような言葉でした。
その瞬間、私はショックで頭が真っ白になりました。
「どうしてそんなこと言うの?」
「なんで手が出るの?」
「相手の子やママにどう謝ればいいの?」
そんな気持ちでいっぱいになりました。
でも、息子の顔を見ると、怒っているというより、悔しさと怖さでいっぱいの表情をしていました。
涙をこらえながら、唇を震わせていたのです。
その姿を見て、これは単なる「悪い言葉」や「乱暴な行動」ではなく、気持ちをうまく言葉にできなかった結果なのかもしれないと思いました。
この記事では、わが家の体験談をもとに、5歳の子どもが公園で友達とつかみ合いになる理由、手が出るときの対応、暴言が出たときのフォロー、相手の親への伝え方、家庭でできる練習をまとめます。
※この記事は医療的な診断を目的としたものではありません。友達トラブルや暴力・暴言が頻繁に続く場合は、園・療育先・発達相談・医療機関などに相談してください。
この記事でわかること
- 5歳の子どもが友達とつかみ合いになる理由
- 公園で手が出たときに親が最初にすること
- 暴言が出る子どもの心理
- 相手の子や保護者への謝り方
- 家庭でできる力加減・言葉の練習
- 発達特性がある子へのサポートの考え方
5歳の子どもが友達とつかみ合いになる理由

5歳前後の子どもは、友達と遊びたい気持ちは育ってきています。
でも、まだ感情のコントロールや力加減、言葉での交渉は発達途中です。
そのため、遊びの中でトラブルになることがあります。
1. 「貸して」「順番」がまだ難しい
おもちゃやボールの取り合いは、幼児期によくあるトラブルです。
「使いたい」
「取られたくない」
「今すぐ遊びたい」
という気持ちが強くなると、言葉より先に手が出てしまうことがあります。
息子も、ボールを取られたと感じた瞬間、冷静に「貸して」「あとで交代して」と言う余裕がなかったのだと思います。
2. 力加減が分かりにくい
5歳頃は、体は大きくなってきますが、力加減はまだ練習中です。
軽く押したつもりでも、相手には強く感じることがあります。
じゃれ合いのつもりでも、つかみ合いになってしまうことがあります。
DCDや感覚統合の苦手さがある子は、体の距離感や力の強さを調整することが難しい場合もあります。
3. 感情が高ぶるとブレーキがききにくい
悔しい、取られた、負けた、びっくりした。
こうした感情が強くなると、子どもは一気に行動が大きくなることがあります。
大人なら「一度落ち着こう」と思える場面でも、子どもはまだそのブレーキが育っている途中です。
特にADHD傾向がある子は、衝動的に手が出ることがあります。
4. 気持ちを言葉にする力が育ち途中
「やめて」
「貸して」
「まだ使いたい」
「取られて悔しい」
「痛かった」
「びっくりした」
こうした言葉がすぐに出ないと、手や強い言葉で表現してしまうことがあります。
息子も、落ち着いてから聞くと「痛かった」「悔しかった」と言いました。
つまり、強い言葉の裏には、まだ言葉にできなかった気持ちがあったのだと思います。
5. 発達特性が関係していることもある
ASDやADHDなどの発達特性がある子は、友達との関わりで次のような苦手さが出ることがあります。
- 距離感が近くなりやすい
- 相手の表情や気持ちを読み取りにくい
- 順番やルールの理解に時間がかかる
- 感情が高ぶると切り替えにくい
- 言葉より行動が先に出やすい
- 力加減が難しい
だからといって、手が出ることをそのままにしてよいわけではありません。
ただ、「悪い子だから」ではなく、「まだ練習が必要な力がある」と考えると、親の関わり方も変わってきます。
公園でつかみ合いになったとき、最初にすること
子ども同士がつかみ合いになったとき、まず大切なのは安全確保です。
理由を聞くのは後で大丈夫です。
1. まず距離をとる
感情が高ぶっているときは、言葉が届きにくいです。
まずは体を離します。
「いったん離れよう」
「こっちに来よう」
「手を離そう」
と短く伝え、物理的に距離をとります。
2. ケガがないか確認する
次に、相手の子と自分の子、両方のケガを確認します。
「痛いところある?」
「ぶつけたところある?」
「大丈夫?」
このとき、どちらが悪いかをすぐに決めつけないようにします。
3. すぐに長く説教しない
つかみ合い直後は、子どもも興奮しています。
その場で長く説教しても、あまり入りません。
まずは落ち着くことを優先します。
「びっくりしたね」
「少し離れて落ち着こう」
「お水を飲もう」
と声をかける方が、次の話し合いにつながりやすいです。
「どっちが悪い」より「何が起きたか」を整理する
子ども同士のトラブルでは、親もつい「どっちが悪いの?」を知りたくなります。
でも、幼児同士のケンカでは、どちらか一方だけが悪いとは限りません。
- ボールを使いたかった
- 順番が分からなかった
- 取られたと思った
- タッチが強かった
- 嫌だったけれど言えなかった
- 相手の表情に気づかなかった
いくつもの小さなすれ違いが重なって、つかみ合いになることがあります。
わが家では、落ち着いてから、
「何があったの?」
「ボールを使いたかったの?」
「取られたと思ったの?」
「痛かった?」
「悔しかった?」
と短く聞くようにしました。
子どもがうまく答えられないときは、親が言葉を補います。
「使いたかったんだね」
「取られたと思ってびっくりしたんだね」
「悔しかったんだね」
まず気持ちを言葉にしてあげることで、子どもは少しずつ自分の気持ちを整理できるようになります。
手が出たときに教えたい言葉
手が出る子には、「叩かないで」「押さないで」だけでは足りないことがあります。
大切なのは、手の代わりに使う言葉を教えることです。
使いやすい短い言葉
- やめて
- かして
- まだ使ってるよ
- 順番だよ
- 交代しよう
- 痛いよ
- びっくりした
- 先生に言うね
- ママに言うね
- いったん休む
5歳の子には、長い言葉より短い言葉の方が使いやすいです。
わが家でも、「手じゃなくて言葉で言おう」と言うだけではなく、
「こういうときは『やめて』って言おう」
「ボールがほしいときは『かして』だよ」
「まだ使いたいときは『まだ使ってる』って言っていいよ」
と具体的に練習しました。
暴言が出たときの対応
つかみ合いのあと、息子の口から強い言葉が出たとき、私はとてもショックでした。
でも、その言葉だけを切り取って叱ると、息子の中にあった「痛い」「悔しい」「怖い」という気持ちを見落としてしまうかもしれません。
もちろん、相手を傷つける言葉はそのままにできません。
でも、まずは落ち着かせてから、言い換えを教えることが大切だと感じました。
直後の対応
「今の言葉は相手が傷つくよ」
「でも、すごく悔しかったんだね」
「次は『くやしい』『やめて』って言おう」
このように、
気持ちは受け止める。
言葉の使い方は教える。
この2つを分けて考えるようにしました。
暴言の言い換え例

| 子どもの強い言葉 | 本当は伝えたかった気持ち | 言い換え |
|---|---|---|
| し〇! | すごく悔しい | くやしい! |
| バカ! | 嫌だった | やめて! |
| うざい! | 今は近づかないでほしい | 今はいやだ |
| もう嫌い! | 怒っている | 怒ってるよ |
| どっか行け! | 離れてほしい | 少し離れて |
強い言葉を完全になくすより、使える言葉の引き出しを増やすことが大切です。
息子も、「痛かったし、悔しかった」と言えたとき、少し表情が落ち着きました。
【ふわふわ言葉・チクチク言葉】子どもが使える言い換え例|無料ゲームで練習
相手の子や保護者への謝り方
友達トラブルで親が一番悩むのが、相手の子や保護者への対応です。
子どもがすぐに謝れないときは、親が代わりに伝えて大丈夫です。
その場での伝え方
「びっくりさせてしまってすみません」
「押し合いになってしまって、すみません」
「強い言葉が出てしまって、申し訳ありません」
「今、本人も気持ちが高ぶっているので、落ち着いてから話します」
長く説明しすぎるより、まずは相手の不安を受け止める言葉を伝えます。
子どもが落ち着いてから
子ども本人が言えそうなら、
「さっきは押してごめんね」
「強い言葉を言ってごめんね」
「ボールを使いたかったんだ」
など、短い言葉で伝えられれば十分です。
無理に謝罪の言葉を言わせると、かえって反発することもあります。
まず親が代弁し、子どもが落ち着いてから一緒に考える形でも大丈夫です。
家庭でできる力加減の練習

公園でのつかみ合いを防ぐには、家で「力加減」を練習するのも効果的です。
ふわふわタッチ遊び
目的:やさしく触る感覚を覚える
やり方:
- 親子で手を合わせる
- 「ふわふわタッチ」と言いながら、やさしく触る
- 強すぎたら「もう少しやさしく」と伝える
- できたら「今の力、ちょうどよかったね」と褒める
声かけ例:
「痛くないくらいでタッチしよう」
「今の力、やさしかったね」
「友達にもこのくらいで触れるといいね」
クッション押し合い遊び
目的:力を出す場所と、手加減を覚える
やり方:
- クッションを間に置く
- 親子で押し合う
- 「強い力はクッションに使おう」と伝える
- 人にはやさしい手、クッションには強い力と分ける
声かけ例:
「強い力はクッションに使おう」
「人にはふわふわの手だよ」
「力を止められたね」
おにごっこのルール確認
公園に行く前に、簡単なルールを確認します。
- タッチは肩か背中
- 服を引っ張らない
- 押さない
- 嫌なときは「やめて」と言う
- 休みたいときは「休む」と言う
長いルールは覚えにくいので、その日のテーマは1つか2つにします。
家庭でできる言葉の練習
手が出る子には、言葉の練習も大切です。
ロールプレイ
親が友達役になり、よくある場面を練習します。
親:「ボール貸して」
子:「まだ使ってるよ」
親:「入れて」
子:「いいよ」
親:「やめて」
子:「わかった」
遊びの中で練習すると、実際の場面でも言葉が出やすくなります。
【無料公開】【友達との会話が苦手な子に】「こんなときはなんていう?」視覚支援カード20選|幼児・小学生向け
【無料公開】「かして」が伝わる視覚支援カード|おもちゃを取ってしまう子にもおすすめ
【無料公開】順番にならぶ視覚支援カード|横入り・順番待ちが苦手な子に分かりやすく伝える方法
3歳〜6歳の子どもが遊びに入れないときの声かけ例40選|家庭でできるSST・会話練習【体験談】
【実体験】子どもの社会性を伸ばす方法|家庭でできるSST×協力スキルの育て方
集団で行うゲーム|社会ルール・切り替え力がぐんと伸びる遊び!
感情カード
感情カードを使って、
「今の気持ちはどれ?」
「悔しい?」
「びっくりした?」
「痛かった?」
と確認します。
暴言が出る子には、気持ちと言葉をつなげる練習が役立ちます。
【無料ゲーム】ことばへんしん!|気持ちを伝える言葉を練習【幼児・小学生向け】
【無料公開】きもち探偵|気持ちを考える小学生向け心の教育ゲーム
💗【体験談あり】感情カードで子どもの気持ちを育てる方法と効果
【無料ダウンロード】気持ちを言葉にしにくい子に|感情カードで気持ちを見える化【幼児・小学生向け】
うまく気持ちを伝えられない子どもが変わる!家庭でできる感情表現トレーニング
💛感情の切り替えが苦手な子どもに|遊びで身につく自己コントロール力8選【療育にも◎】
「おこりたくなるのはどんなとき?」絵本レビュー|怒りの気持ちとやさしく向き合う親子の時間
『きもちってなあに?』絵本の魅力と効果|感情を言葉で伝える力を育てよう
ふわふわことば・ちくちくことば
「言われてうれしい言葉」
「言われると痛い言葉」
を親子で分けて考えるのもおすすめです。
強い言葉を叱るだけでなく、
「同じ気持ちを伝えるなら、どの言葉がいいかな?」
と一緒に考えると、言葉の選び方を学びやすくなります。
【無料公開】【ゲーム中に暴言を言ってしまう子に】ゲームのふわふわことばカード
【無料公開】【お友達に強い言葉を使ってしまう子に】ふわふわことば・ちくちくことばの視覚支援カード
【ふわふわ言葉・チクチク言葉】子どもが使える言い換え例|無料ゲームで練
公園に行く前の1分ルール確認
公園でのトラブルを減らすには、遊ぶ前の確認が大切です。
わが家では、長く説明するより、1分で短く確認する方が合っていました。
公園前の確認例
「今日は楽しく遊ぼうね」
「ボールは順番」
「嫌なときは『やめて』」
「手は押すためじゃなくて、タッチや握手に使おう」
「困ったらママに言ってね」
そして、遊んだあとに振り返ります。
「今日は手を出さずに言えたね」
「順番って言えたね」
「途中で休めたね」
「嫌なときにママに言えたね」
できたことを具体的に認めることで、次につながります。
ママ・パパの気持ちも大切に
子どもが友達とトラブルになると、親の心もかなり疲れます。
「また手が出た」
「相手の親にどう思われただろう」
「うちの子ばかり悪く見える」
「もう公園に行きたくない」
そう感じることもあります。
私も、息子の強い言葉を聞いたとき、本当にショックでした。
でも、親が一人で抱え込む必要はありません。
園や療育先に相談してもいい。
公園の時間を短くしてもいい。
遊ぶ相手や場所を選んでもいい。
事前にルールを決めてから行ってもいい。
トラブルをゼロにすることだけが目標ではありません。
子どもが少しずつ、
「手ではなく言葉で伝える」
「力を調整する」
「嫌なときに助けを求める」
「仲直りする」
という経験を積むことが大切です。
よくある質問
5歳の子どもが友達とつかみ合いになるのはよくあることですか?
幼児期には、気持ちの言語化や力加減がまだ発達途中のため、友達とのトラブルが起こることはあります。ただし、頻繁に手が出る、相手にケガをさせる、集団生活で困りごとが続く場合は、園や発達相談に相談すると安心です。
公園で手が出たとき、まず何をすればいいですか?
まずは安全確保です。子ども同士を離し、ケガがないか確認します。理由を聞いたり叱ったりするのは、子どもが少し落ち着いてからで大丈夫です。
暴言を言ったらすぐに叱るべきですか?
強い言葉はそのままにしてよいわけではありませんが、直後に強く叱ると感情がさらに爆発することがあります。まず落ち着かせてから、「その言葉は相手が傷つくよ」「本当は悔しかったんだね」と伝え、言い換えを教えます。
相手の親にはどう謝ればいいですか?
まずは「びっくりさせてしまってすみません」「強い言葉が出てしまって申し訳ありません」と短く伝えます。子どもの気持ちが落ち着いてから、必要に応じて本人と一緒に謝る形で大丈夫です。
発達障害があると友達トラブルが増えますか?
ASDやADHDなどの特性がある子は、距離感、順番、感情の切り替え、衝動性、力加減の面でつまずきやすく、友達トラブルが起きやすいことがあります。ただし、支援や練習で少しずつ関わり方を学ぶことができます。
家でできる練習はありますか?
ふわふわタッチ、クッション押し合い、ロールプレイ、感情カード、ふわふわことば・ちくちくことばの練習がおすすめです。力加減と言葉の両方を練習すると効果的です。
「ごめんね」を無理に言わせてもいいですか?
無理に言わせるより、まず親が代弁しても大丈夫です。子どもが落ち着いてから、「次は何て言えるかな?」と一緒に考える方が学びにつながりやすいです。
公園に行くのが怖くなったらどうすればいいですか?
無理に長時間遊ばせなくても大丈夫です。短時間から始める、空いている時間に行く、ルールを1つだけ決める、親が近くで見守るなど、安心できる形に調整してよいです。
何度も同じトラブルを繰り返す場合は?
家庭だけで抱えず、園・療育先・発達相談などに共有しましょう。どんな場面で手が出るのか、どんな声かけが効果的かを一緒に整理すると対応しやすくなります。
暴言を減らすにはどうしたらいいですか?
「言ってはいけない」と叱るだけでなく、代わりの言葉を増やすことが大切です。「くやしい」「やめて」「痛かった」「今は嫌だ」など、気持ちを表す言葉を日常の中で練習していきます。
まとめ|友達トラブルは「悪者探し」より、次の関わり方を学ぶチャンス
5歳の息子が公園で友達とつかみ合いになったとき、私はとてもショックを受けました。
手が出たこと。
強い言葉が出たこと。
相手の子や保護者への申し訳なさ。
いろいろな気持ちでいっぱいになりました。
でも、落ち着いて振り返ると、息子の中には「ボールを使いたかった」「取られて悔しかった」「痛かった」「怖かった」という気持ちがありました。
その気持ちを、まだ上手に言葉にできなかったのだと思います。
友達トラブルが起きたとき、大切なのは、
- まず安全を確保する
- どちらかを悪者にしすぎない
- 気持ちを言葉にする
- 手の代わりに使う言葉を教える
- 相手の子や保護者へ誠実に対応する
- 家庭で力加減と言葉の練習をする
- できた瞬間を具体的に褒める
ことです。
トラブルはつらいです。
でも、子どもが人との関わり方を学ぶ大切な機会でもあります。
「手ではなく言葉で伝える」
「強い言葉ではなく気持ちを言う」
「遊び直す」
「仲直りする」
そんな経験を少しずつ積み重ねながら、子どもの社会性は育っていきます。
焦らず、親も子どもも一緒に練習していきましょう。