「何度『着替えて』と言っても、別のことを始めてしまう」
「毎朝『早くして』と急かし、親子ともに疲れている」
「時間には間に合わないけれど、どこを手伝えばよいか分からない」
そんな悩みはありませんか?
わが家には、ASD・ADHD・DCD・吃音のある小学1年生と、4歳の子どもがいます。
私は児童発達支援アドバイザーの資格を持ち、家庭でも子どもの特性に合わせた視覚支援や、支度の流れを分かりやすくする工夫を試してきました。
朝の支度では、起きる、着替える、食べる、歯を磨く、持ち物を確認する、家を出るなど、複数の行動を短い時間で切り替えます。
大人には当たり前の流れに見えても、小学1年生には負担が大きい場合があります。
この記事では、朝の支度が遅い・進まない理由と、家庭で試せる視覚支援や声かけを紹介します。
毎朝の流れを小さく分ける方法、タイマーを使うときの注意、保護者の負担を減らす考え方もまとめました。
※睡眠や体調、登校への強い不安が関係している場合もあります。遅刻や欠席が続く、本人がつらそうなど心配がある場合は、家庭だけで抱え込まず学校や医療機関などへご相談ください。
結論|「早くして」より、今することと終わりを一つずつ示そう
朝の支度が進まないときは、すべてを本人のやる気や時間感覚の問題にせず、どの場面で止まっているかを確認します。
| 困っていること | 最初に試したいこと |
|---|---|
| 布団から出られない | 睡眠時間と起床後の体調を確認する |
| 次にすることが分からない | 今することを一つだけ示す |
| 何度言っても動かない | 声かけを短くし、カードや実物を見せる |
| 着替えの途中で遊ぶ | 服を順番に一組だけ置く |
| 朝食に時間がかかる | 終わりの時刻や量を家庭で決める |
| タイマーを嫌がる | 本人と使い方を相談し、使わない選択もする |
| 持ち物を忘れる | 前日と朝の準備を分ける |
| 出発前に怒る・泣く | 急かすのを止め、安全と落ち着きを優先する |
「自分で支度すること」を急ぐより、まずは親子が無理なく家を出られる流れを作ります。
大人が一部を手伝う日があっても構いません。
小1の朝の支度が遅くなる8つの理由
1.起きた直後で体と頭が動きにくい
目は開いていても、起き上がる、立つ、着替える状態へ切り替わるまで時間がかかる子もいます。
起きてすぐに複数の指示を出さず、カーテンを開ける、水を飲む、トイレへ行くなど、最初の行動を一つにします。
2.次にすることを覚え続けるのが難しい
「着替えたら顔を洗って、朝ごはんを食べて、歯を磨いてね」と伝えても、途中で次の予定が分からなくなる場合があります。
口頭だけで覚えさせず、短いチェック表やカードを使います。

3.行動の切り替えに時間がかかる
着替えへ移る、食事を終える、テレビを消すなど、一つの活動を終えて次へ移ることが難しい場合があります。
突然終わらせるのではなく、「あと一口」「この番組が終わったら」のように、切り替えの前に知らせます。
4.着替えや身支度の動作に時間がかかる
服の前後を確認する、袖へ腕を通す、ボタンを留める、靴下を履くなどの動作に力を使う子もいます。
「遅い」と急かすより、どの動作が難しいかを見ます。
5.目に入った物へ注意が移る
おもちゃ、テレビ、本、きょうだいの行動などが目に入ると、支度の途中だったことを忘れる場合があります。
今使う物だけを置く、テレビをつける時間を決めるなど、環境も調整します。
6.残り時間が実感しにくい
「あと10分」と言われても、10分で何ができるか分かりにくいことがあります。
時計の数字だけでなく、「長い針がここまで」「このカードが終わったら靴を履く」のように示す方法があります。
7.学校へ行くことに不安がある
支度が遅いように見えても、授業、友達、教室、給食、行事などへの不安で動けなくなっている可能性があります。
「行きたくない」と話した場合は、理由を急いで聞き出さず、まず気持ちを受け止めます。
8.睡眠不足や体調不良がある
寝る時刻が遅い、夜中に何度も起きる、いびきが強い、朝に頭痛や腹痛があるなど、生活や体調が関係していることもあります。
支度方法だけで解決しようとせず、心配な状態が続く場合は小児科などへ相談してください。
まず確認したい|朝のどこで止まっている?
朝全体を「遅い」と捉えず、時間がかかっている場面を分けます。
起きるまで
- 声をかけても反応しない
- 目を覚ましても布団から出ない
- 起きる時刻が毎日大きく変わる
着替え
- 服を選ぶことに時間がかかる
- 前後や裏表で迷う
- 途中で遊び始める
- ボタン、ファスナー、靴下などが難しい
朝食
- 食べ始めるまでに時間がかかる
- 話やテレビへ注意が移る
- 食べる量が多く、終わらない
歯磨き・洗顔・トイレ
- 順番が分からない
- 洗面所へ移動できない
- 感覚的に苦手な動作がある
持ち物確認・出発
- 水筒や手提げ袋を忘れる
- 靴を履く直前に別のことを始める
- 出発時刻になってから探し物をする
止まりやすい場面が分かれば、カードや声かけを使う場所も絞れます。
朝の持ち物確認を子ども自身で進めやすくする方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶ 【小1】忘れ物が多い子へ|持ち物を自分で確認できる視覚支援
朝の支度を進めやすくする8つの工夫

1.前日にできる準備を分ける
朝にすべて行おうとせず、教科書、ノート、筆箱、特別な持ち物などは前日に準備します。
朝は、水筒、ハンカチ、当日用の袋など、直前に必要な物だけを確認します。
持ち物の確認方法はこちらで詳しく紹介しています。
▶ 【小1】忘れ物が多い子へ|持ち物を自分で確認できる視覚支援
翌朝の準備を楽にするため、帰宅後にランドセルの中身や水筒を出す流れも見える化できます。
▶ 【小1】帰宅後の片付けができない子へ|ランドセル・プリント・水筒の置き場所を見える化
2.支度の流れを3~5個に絞る
最初から細かな行動をすべて並べると、見るだけで疲れることがあります。
例:
- きがえる
- あさごはん
- はみがき
- もちもの
- くつをはく
子どもの様子に合わせ、2~3個から始めても構いません。
3.今することだけを見せる
朝の予定全体を見ると負担になる場合は、今のカードだけを示します。
「全部できたら学校」と伝えるより、「今は着替え」「終わったら朝ごはん」と一つずつ確認します。
4.服や持ち物の置き場所を決める
毎朝探す必要があると、それだけで支度が止まります。
着る服を一組にして置く、ハンカチを同じ引き出しへ入れるなど、探す範囲を狭くします。
5.二択にする
自分で決めたい気持ちはあるものの、選択肢が多いと止まる子には、二つから選べるようにします。
- 先に着替える?トイレへ行く?
- 青い服とオレンジの服、どちらにする?
- 一人でやる?一緒にやる?
選ぶこと自体が難しい日は、大人が決めても構いません。
6.切り替えを予告する
「早く終わって」と急に止めるより、切り替えの少し前に知らせます。
- あと一口でおしまい
- このページを見たら着替えよう
- タイマーが鳴ったら靴を履こう
予告を何度も重ねると聞き流す場合があるため、回数は少なくします。
7.できた項目を消す・外す
終わったカードを裏返す、外す、箱へ入れるなど、残っていることが分かる形にします。
全部終わったときに「おしまい」が見えると、先の見通しを持ちやすくなる場合があります。
8.難しい日は大人が手伝う
時間に間に合わせる必要がある朝は、大人が服を用意する、持ち物を一緒に入れるなど、支援を増やして構いません。
「昨日できたから今日も全部一人で」と固定せず、睡眠、体調、学校の予定に合わせます。
家庭での朝の支度だけでなく、学校へ着いた後の行動にも見通しが必要な場合があります。
朝の視覚支援カードの作り方
文字・イラスト・写真から選ぶ
文字だけで理解しやすい子、シンプルなイラストを好む子、実物の写真が分かりやすい子がいます。
本人が見て、すぐに何をするカードか分かる表現を選びます。
短く具体的に書く
「準備する」より、行動を具体的にします。
- ふくをきる
- ごはんをたべる
- はをみがく
- すいとうをもつ
- くつをはく
カードを使う場所へ置く
- 着替えカード:服を置く場所
- 歯磨きカード:洗面所の近く
- 持ち物カード:ランドセル置き場
- 最後の確認:玄関
一枚の表を持ち歩くのが難しい場合は、それぞれの場所へ必要なカードだけ置きます。
子どもと順番を相談する
家庭の都合で決まっている部分以外は、「着替えと朝ごはん、どちらからがよい?」と本人に選んでもらえます。
自分で決めた順番の方が取り組みやすい子もいます。
ゲーム感覚で支度を進めたい場合
紙のカードより、画面上で一つずつ進める方が入りやすい子には「おしたく探検隊」も使えます。
朝・夜・学校の準備を、犬と猫と一緒に冒険のように進められる無料ツールです。
ゲームを開くことに時間がかかる、終わりにくくなる場合は、紙のカードへ戻して構いません。
子どもが取り組みやすく、家庭で続けやすい方を選びましょう。
タイマーを使うときの注意
タイマーは、残り時間や切り替えの時刻を見えるようにする道具です。
ただし、すべての子に合うわけではありません。
本人と使い方を決める
突然タイマーを鳴らすと、急かされた、驚かされたと感じる子もいます。
「5分になったら知らせる?」「音と振動、どちらがよい?」など、可能な範囲で相談します。
競争にしすぎない
毎朝「時間内にできるか」の競争にすると、間に合わないことへの不安が強くなる場合があります。
速さではなく、次へ移る目印として使います。
鳴った後にすることを決める
タイマーが鳴るだけでは、次の行動が分からないことがあります。
「鳴ったらテレビを消して着替える」のように、次にすることも一緒に示します。
嫌がる場合は使わない
音を怖がる、残り時間の表示で焦る場合は、時計の針、カード、言葉での予告など別の方法を選びます。
声かけを減らすための言い換え
何度も同じ指示を繰り返すと、大人も疲れ、子どもも聞き流しやすくなります。
| 繰り返しやすい声かけ | 短く具体的な言い方 |
|---|---|
| 早くして | 今は靴下だよ |
| 何回言ったら分かるの | カードを一緒に見よう |
| ちゃんと準備して | 水筒を持とう |
| もう時間ないよ | あと一つで玄関だよ |
| 遊んでないで | そのおもちゃを置いたら着替えよう |
短く言っても動けない場合は、言葉を増やすより、実物やカードを見せ、一緒に最初の動作を始めます。
朝に怒る・泣くときの対応
強く怒ったり泣いたりしているときは、支度を教えることより、安全と落ち着きを優先します。
- 長い説明を止める
- 危険な物を遠ざける
- 声量を下げる
- 今しなくてもよいことを減らす
- 大人が手伝える部分を引き受ける
- 学校へ遅れる可能性があれば連絡する
「泣いても行かなければならない」と急いで結論を出さず、何がつらかったかは落ち着いてから確認します。
朝の混乱が続く場合は、登校への不安、睡眠、学校での困りごとなども学校と共有してください。
保護者の負担を減らす工夫
毎朝すべてを練習にしない
時間がない日は、大人が服を出す、朝食を簡単にする、持ち物を一緒に確認して構いません。
練習は、休日や前日の落ち着いた時間に行う方法があります。
家族で役割を分ける
可能であれば、朝食、持ち物確認、送迎などを家族で分担します。
一人の保護者がすべての声かけを担う必要はありません。
優先順位を決める
朝の限られた時間に、すべてを完璧に行う必要はありません。
安全、体調、学校へ必要な物などを優先し、髪型や細かな片付けなどは簡略化できる場合があります。
できなかった日を失敗にしない
同じカードを使っても、毎日同じように進むとは限りません。
「今日は大人と一緒なら家を出られた」のように、その日にできた形を確認します。
学校へ相談するときの伝え方
朝の支度が難しく、遅刻や登校しぶりにつながっている場合は、担任へ伝えて構いません。
連絡帳・連絡アプリの文例
朝の支度についてご相談があります。
家庭では、着替えから次の行動へ移ることや、出発前の持ち物確認に時間がかかっています。支度の順番をカードで示し、一つずつ伝えると進められることがあります。
朝の負担が強い日は、登校時刻が遅れる可能性があります。学校で不安に感じていることや、登校後に取り組みやすい流れがあれば教えていただけますでしょうか。
学校と共有したいこと
- 朝のどの場面で止まりやすいか
- どのような声かけやカードなら進めるか
- 睡眠や体調の様子
- 学校について不安に感じていること
- 遅刻した場合の教室への入り方
- 登校後、最初にすること
学校へ着いた後の流れを見えるようにしたい場合は、こちらの記事もご覧ください。
発達が気になる子の朝支度で意識したいこと
ASD・ADHD・DCDなどがある子は、複数の指示、切り替え、時間の見通し、着替えなどの動作で負担が重なる場合があります。
診断名だけで方法を決めず、その子が実際に止まる場面へ合わせます。
- 指示を一つずつにする
- カードの枚数を減らす
- 終わったカードを外す
- 服を着る順番で並べる
- 選択肢を二つにする
- 音や光など朝の刺激を調整する
- タイマーを嫌がる場合は使わない
- 体調に合わせて大人の支援を増やす
- 学校への不安がないか確認する
視覚支援カードを使えば、必ず一人で支度できるわけではありません。
カードを見ることも難しい日は、大人が短く伝え、一緒に動き始めて構いません。
相談を考えてよい様子
朝の支度に時間がかかることだけで、心配しすぎる必要はありません。
ただし、次のような状態が続き、本人や家族の生活に影響している場合は、学校や医療機関などへ相談して構いません。
- 朝、ほとんど起きられない状態が続く
- 強いいびきや睡眠中の呼吸が気になる
- 頭痛、腹痛、吐き気などを繰り返す
- 朝の支度のたびに激しい怒りや混乱がある
- 物を投げる、自分や人を傷つける行動がある
- 遅刻や欠席が増えている
- 学校へ行くことを強く怖がる
- 保護者の負担が非常に大きい
相談先には、担任、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、小児科、地域の発達相談などがあります。
よくある質問
朝の支度は何分前から始めればよいですか?
必要な時間には個人差があります。
数日間、起床から出発までの流れを見て、特に時間がかかる場面を確認してください。余裕を増やすために早起きさせるだけでなく、前日に移せる準備も考えましょう。
何度言っても動かないのは、反抗しているからですか?
反抗だけが理由とは限りません。
次にすることが分からない、指示を覚え続けられない、切り替えに時間がかかる、動作が難しいなどの可能性があります。
朝のテレビや動画は消した方がよいですか?
映像があると支度が止まる子も、決まった番組が朝の見通しになる子もいます。
本人の様子を見て、見る時間、消すタイミング、支度との順番を家庭で決めてください。
タイマーを使うと焦って怒ります
無理に使う必要はありません。
カード、時計の針、言葉での予告など、本人が落ち着いて確認できる方法へ変えましょう。
親が手伝うと、自分でできなくなりませんか?
必要な支援をすることと、すべてを代わりに行うことは同じではありません。
時間がない日は手伝い、余裕のある日に一部分だけ任せるなど、支援量を調整できます。
チェック表を見ても支度が進みません
項目が多い、置き場所が合わない、見るタイミングが分からない、行動そのものが難しいなどの可能性があります。
今することを一枚だけ見せ、大人と一緒に最初の動作を始めてみましょう。
学校へ遅れそうなときはどうすればよいですか?
学校の連絡方法に従い、遅れることを伝えてください。
急かして危険な状態になるより、安全を優先します。遅刻が続く場合は、朝の状況を担任などへ共有しましょう。
小1の学校生活・視覚支援に役立つ記事
持ち物を忘れることが多い場合はこちらをご覧ください。
▶ 【小1】忘れ物が多い子へ|持ち物を自分で確認できる視覚支援
宿題を始められない、終わらない、丸つけや音読で怒る場合はこちらにまとめています。
▶ 【小1の宿題が大変】始めない・終わらない・怒るときの困りごと別対応
朝・夜・学校の準備をゲーム形式で進めたい場合はこちらを利用できます。
▶ おしたく探検隊
登校後にすることの順番が分からず困る場合は、学校へ着いてからの流れを確認できるカードも利用できます。
まとめ|早くさせるより、朝の流れを分かりやすくしよう
小学1年生の朝の支度が遅いときは、やる気や反抗だけが原因とは限りません。
- 起きた直後で体と頭が動きにくい
- 次にすることを覚え続けにくい
- 行動の切り替えに時間がかかる
- 着替えなどの動作が難しい
- 別の物へ注意が移る
- 残り時間を実感しにくい
- 学校へ行くことに不安がある
- 睡眠や体調に心配がある
など、複数の理由が考えられます。
家庭では、次のような工夫を試せます。
- 前日にできる準備を分ける
- 朝の流れを3~5個に絞る
- 今することだけを見せる
- 服や持ち物の置き場所を決める
- 二択にする
- 切り替えを予告する
- 終わったカードを外す
- 難しい日は大人が手伝う
毎朝すべてを一人でできることより、親子が安全に、少ない負担で家を出られることを大切にしましょう。
その子が止まりやすい場面を見つけ、分かりやすい方法と必要な手助けを一緒に探してみてください。